犯罪者への道

昔、精神科医が快楽殺人について書いた本を読んだら
「ほとんどの人間は脳に病巣を持っている。
 しかし、実際に犯罪を犯す人は一握りしかいない。」
みたいな事が書いてあった。

犯罪者は脳に欠陥やら傷やら腫瘍があるという説は
沢山の学者が研究しているが、確定されていない。
これに対して、この精神科医はこう述べたのであろう。

だったら犯罪を犯す境界線は何なんだろう?
私が思うに、MAXになると犯行に及ぶ
“犯罪メーター” のようなものがあるのかも知れない。

誰しもヘンな嗜好や思想を持っていたとして
それが現実の犯罪行為にまで発展するには
環境、教育、立場、状況で決まる、と、思われる。

特殊な嗜好は、必ず外的情報から産み出される。
0から既に存在しているとは思えない。
そういう情報を得る機会があるか
ゲームや漫画のせいにされるのは、このせいだろう。

嗜好ができても、それをコントロールできる機能がある。
それは理性。
理性がどう保たれるかが、境界線である。

親との関係、学校の教育、友人知人の存在
本人の行動による知識収集
これらがすべて理性と反対方向に向いてないと
犯罪決行には至らないとしたら
ある意味、犯罪者はとても無個性な人間性だと言えよう。

しかし、この条件がすべて満たされていても
最後にひとつ、“チャンス” がないと犯行不可能である。
これがあるせいで、犯罪確立メーターがMAXのヤツでも
死ぬまで犯罪を犯さないで済む場合が多いのではないか。
猟奇犯罪が少ない理由はここだと思う。

奈良女児殺害事件の被告は
「何であんな事をしたのかわからない」
と、供述しているらしいが、これが本心なら
この “チャンス” がメーターに及ぼす影響は
かなり大きいのかも知れない。
チャンスとは、まさに “悪魔のささやき” か?

Comments

“犯罪者への道” への4件のフィードバック

  1. りゃんのアバター
    りゃん

    境界線、0か1か、そういったのがあればわかりやすいけれど、
    実際要素は複雑に絡み合ってわからないものですね。

    人間には理性があり、他の生物とは違う。
    また現代人はより優れている。
    だから理性的である。
    という錯覚にとらわれがちですが、
    原始的な面、生物本来の欲と言いましょうか、
    そういうものは根底に必ずあります。
    いくら理性的であるといえ、必ず絡んできます。
    その根底にあるものからくる感情は、
    論理的に自分の中で正当化させる力があります。
    感情的な面も理性的な面も同一の自分の中にあります。

    コントロールできなくなるほどバランスが崩れてしまったのが
    猟奇的な犯罪を犯す人なんでしょうね。

  2. あしゅらのアバター
    あしゅら

    私、最近になって思うようになったんだけどさ
    理性って元々人間に備わっているものじゃないような。
    理性は教育で生まれるし
    感情もすべて教育で生まれるんじゃないかと。

    この場合の “教育” ってのは
    “教わる” のも含まれるが、“覚える”、ってのが主。
    乳児の頃の母親の抱擁や表情、そこから始まって
    色んな刺激によって、覚えていくような気がする。

    もし、産まれたばかりの子供を
    何の刺激もない環境においたらどうなるんかな。
    ヘレン・ケラーは言葉を覚えるまでは
    ケモノのようだったと聞くし
    人間と動物の決定的な違いは
    教育の可能性が大きいってところかも。

    欲望をコントロールできないヤツは
    ヘンになったんじゃなく
    最初から何かを覚えてなかったのかも知れない。

    とすると、どうしようもない犯罪者にも
    更生の可能性があるのだろうか?
    そりゃあ、あるだろうが
    多大な時間、費用、人手を使って
    そこまで面倒見きらんって感じ?

  3. りゃんのアバター
    りゃん

    「バカの壁」がベストセラーになった、
    養老孟司氏の本読むと結構面白いですよ。
    卒業論文書かなきゃーって時に
    NHKスペシャル出てた人(バカの壁出版前だったので)
    だな~と思いつつ本を読んでみたのですが、
    自分の求める内容だったのではまっちゃいましたよ。
    この人よくわかってんじゃない!(って何様だ?)
    とうれしくなりました。(先生はなんかよくわかんないって言ってましたが)

    人間も生まれた時はまだまだ未熟で、
    おっしゃるとおり、やはり教育によって育てていかねばならないものだと思います。
    理性は新皮質(脳の中で人類から特に発達してきた部分)
    のはたらきにより、
    感情は旧皮質(比較的昔の生物からある部分)
    のはたらきによるのですが、
    どちらも同じ人間の一部。どちらも発達させねば
    なりません。
    それができなければ、いわゆる「異常」な状態になります。
    脳の構造がそういう状態になってしまっているわけ
    ですから、ちょっとやそっとでは到底変わりません。
    たとえば、感情のコントロールができないキレやすい人は、
    そのコントロールに必要な部位がやせており、
    事実、脳の状態から見てもわかります。
    そういう構造に育ってしまったなら回復は
    相当むずかしくなります。
    このことからも教育の大切さがよくわかります。

    (うろ覚えの自分なりの理解で書いておりますので
    その辺はご了承ください。)

  4. あしゅらのアバター
    あしゅら

    「バカの壁」ってタイトルは聞いた覚えがあるけど
    養老孟司が書く本って、そういう内容だったのかー。
    ・・・読むと落ち込みそうで、恐くて読めねえよw

    ほんと常日頃、事ある毎に
    自分って何てアホなんだアホなんだアホ・・・・・
    と、脳内にエコーが響く人生を送ってるぜ、ううう。

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