死にたい人へ

今年一年の総まとめなんだが、えれえ不吉なタイトルだ。

能天気に生きる私でも、よく 「生きるって辛い」 と思う。
“人生プラスマイナス0” と、よく言うのはそういう経験から。

今年は私にとって、辛い事がいくつも重なった年で
「ああ、クソ死にてえ! 通り魔カモーン!」 と
何度も思ったものだ。

昔から、「早く人生が終わらんかな」 と、懇願していたが
自殺をしようなどとは、一度も考えた事はない。
それは何故だろう? と、自分でも不思議だったが
最近、やっと答がわかった。

私は、文房具や化粧品など、キレイな消耗品が大好きである。
美しいものを大事に大事に使っていき
使い切った時の、あの達成感が何とも言えない。

たとえば消しゴムとか、途中で切っちゃったりしたら
使い切った時の感動も半減だから
大切に必要な時に必要なだけ使うのがコツなのだ。

アイシャドウや口紅、色鉛筆やボールペン
大好きだが、キレイな消耗品をコレクションはしない。
きっちり、ひとつひとつ使い切るためだ。

かあちゃんが死んだ時、とても羨ましかった。
かあちゃんは、命を使い切ったのだ。
だから、「死なないで」 とは思わなかった。

長く辛い人生をきちんと生きて死ぬ
この達成感はどれほどのものだろう。

かあちゃんは感動に包まれて死んだと思っている。
(不肖の娘を案じて、ちょっと浮遊したかも)

波間に光が反射する初夏の海や
冬枯れに凍える裸の木々を見る時、何故か命を感じる。
多分、命とはとても美しいものなんだろう。

だから私は自殺しないのだ。

この世で一番貴重な唯一無二の美しい命
これを使い切った時に、一体どんな気持ちになるだろう。
一生懸命に生きるほど、その時の感動が増す気がする。
寿命が尽きる時が楽しみでならない。

が、よおく考えると、果たして私は一生懸命に生きてるか?
私の命も美しいのか?
何か、すんげえ汚れてる気もせんでもないが・・・
など、一抹の不安もあるが
とりあえず、私はこういう趣味なので
「あいた、しもうたあー! こんな筈じゃ!」 になっても
それはそれで、大どんでん返しで面白かろう。

使い切りの醍醐味がわからないヤツ、
まず、今使っている消耗品 (歯磨き粉とか) で
使った事がない珍しい物を、次に使うために買ってみい。

そんで、ルールを作る。
「今使用中のをきちんと使い切らないと、新しいのを出さない」

まだなくならないんだろうか、あとどれぐらいだろう
と、イライラ思いつつ、それでも真面目に使っていると
使い終わった時に
「うおおおおお、やったーーーーーーーー!」 と、思えるぞ。

こうやって、使い切りの味を覚えていく。
そうしたらきっとその内、命も使い切らにゃ
気が済まなくなるかも、ふっふっふ。

自分の命を大事にするには、周りの者を、物を、大事にする。
一見、関連性がないように見えるが
これが案外、繋がっているもんなんだよな。

来年も頑張って命をすり減らそう。
焦らなくとも、必ずその時はやってくるのだから。

読み返してみて、私がやたら死にたがっているように
読めるかも知れんが、そういうわけではない。
辛い時に 「ああ、神様! (どこの?)」 と
思うようなもんだ。

使い切りには根性と忍耐がいるもので
そういう習性の私が途中下車なんかするもんかい。

人生ってのは、大抵
「楽しいー」 と 「辛いー」 が交互にくるもので
誰でも死にたいと思った事の一度や二度はあるだろう。
その辛い時を乗り越えるための
私なりの考え方のひとつを提案しただけなのさ。

いやあ、今年はきつかったー。

Comments

“死にたい人へ” への6件のフィードバック

  1. 京子のアバター
    京子

    あしゅさん
    本当に有難うございます
    涙が止まりません・・・
    それしか 言えません・・・

  2. あしゅのアバター
    あしゅ

    京子、おめえ大丈夫か?

    気持ちが弱っているのなら
    笑えるものを見聞きするようにな。
    気楽な人生のコツだ。 コツ。

  3. なつのアバター
    なつ

    潜在的に感じていることが、言葉になっていて感動した。

    >長く辛い人生をきちんと生きて死ぬ
    >この達成感はどれほどのものだろう。

    自分が死ぬ瞬間のことは、
    最後に何を考えようかとか思いながら、楽しみにしているが、
    母の時については恐くて仕方がない。

    この文章を読んで少し気持ちが楽になった

    >「早く人生が終わらんかな」

    同じ事を自分もいつも思っていて、
    人生は壮大な暇つぶしだ、と諦めに入っているが、
    暇つぶしのためにやっている日常が耐えがたいときがあって、
    時々、自分が暇につぶされそうになる。

    >波間に光が反射する初夏の海や
    >冬枯れに凍える裸の木々を見る時、何故か命を感じる。

    共感…。現代の都会の人間界から視線を逸らすときにだけ、
    自分は生きているリアリティを感じられる。

    あしゅさんの文章は、
    客観的で、バランス感覚があって、人間らしくて、
    企まないユーモアがあるから、
    (ウケを狙っていない率直な記述が、ものすごく面白い時がある)
    読んでいると元気をもらえる。

    結構すごい状況も、湿っぽくならずに、
    真正面から切り返して、開き直っている感じの文章が、
    小心者な自分は読んでいて楽しい。

  4. あしゅのアバター
    あしゅ

    うわ、凄い褒めてくれて恐縮だよ
    ありがとうーーー。

    ひとつ主張したい。
    小心者じゃない人間なんて
    空気が読めない頭の悪いヤツか
    他人の事はどうでも良い鬼だと思う。
    もちろん、私は小心者!

    この記事は5年前のものだけど
    今も変わらずに、生きているのが辛い。

    これは私の性格なんだと思う。
    何故か生きるのが辛い。
    幸せな時も不幸な時も、常に生きるのが辛い。
    多分、一生辛いんだろう。

    ニホンカモシカは2km圏内に
    同じ種が存在すると死ぬ
    という話を聞いたけど
    人間にもそういうヤツがいるのかもな。

    もちろん自殺などしない。
    こんだけ辛いんだから
    それから解放された時に
    どんな状態になるのか、楽しみ。

    その自然な流れをブチ壊すなんて
    ほんっと、それぞ真の “ムダ死に” じゃん。

    お互いに頑張ってラストシーンを見ような。

  5. ひでのアバター
    ひで

    周りの物を大切にできない人は、周りの人を大切にできない。
    周りの人を大切にできない人は、自分を大切にできない。人も物もいつかは朽ち果てるから、今を大切にしなければならない‥‥

  6. あしゅのアバター
    あしゅ

    “今”、大切に出来ない・・・。

    振り返って初めて
    あの時のあの事って、すっごく大事な事だったんだ!
    と、いつも驚いているよ。

    いちいち丁寧に生きてられない私は
    “人生、ギャンブル” って
    こういう事なのかな、とも思ったりする。
    全然違うんだろうけど。

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