叔母から 「無事に帰った?」 と、電話があった。
この叔母は親戚一族の中でも、説教の特攻隊長なのだが
怒る人ほど、こうやって気に掛けてくれる。
「ありがたい」 以外に言葉が出ない。
一周忌の会食は、私の説教部屋と化したが
その説教の一部で、私の格好についても言及された。
「もっと小奇麗にしなさい」 と、言われ
高価な喪服を着ていた私は驚き
「えっ、私、小汚いですか?」 と、ついつい聞き返してしまった。
よく聞けば、私がノーメイクだった事に対する説教で
「二十歳すぎたら絶対にお化粧をしなくちゃダメ!」 だそうだ。
そういうものなんか? と、周囲を見回すと
皆、化粧はしているが、ノーメイクの私よりきれいな肌の人はいない。
化粧の意味がないような・・・と、こっから自画自賛に走りたいが
「お化粧して汚くなっても、しなきゃダメ!」
と、一体、私の何に対するダメ出しなのか
勘ぐりたくなるようなお小言をいただいたので
この状況でどうやって自慢を盛り込むのかが難しいところだ。
母方一族は、美男美女揃いで
私は残念すぎる事に、父方似なのだ。
「美人は年を取ったら衰えが激しいけど
普通の顔なら維持できるのよ」 と、叔母が言う。
「こういう子は70歳になっても80歳になっても
ツルツルの肌なのよねー」 と、従姉妹が言う。
もう、ほんっと、何を言いたいのか
それはフォローなんか、罵倒なんか
美人たちに言われてるから、腹も立たんと納得するが
遠まわしに何かを言われてるようで
余計に深読みしてしまうが、それが深読みなのかもわからんぞ!
シミシワだらけの美人と、ツルピカ肌のブサイクと
どっちが良いんだろう、と、考えたが
どっちもどっちのような気がするし
無理矢理、自賛にチャレンジするも、なんかもう大失敗。
「すみません、親戚だけの集まりだと思ってナメて来ました。」
と、非を認めて素直に謝ったというのに
「ナメちゃダメ!」 と、更にグレードアップして怒られた。
「口紅もつけないなんて、だらしがない。」
と言われ、なるほど、これが社会性か、と、わかったので
次からの集まりは、フルメイクで行こうかとも思うが
それはそれで激しく突っ込まれそうなので、口紅だけにしとこう。
フルメイクでの非難単語なんて 「バケモノ」 以外になく
それを言われた日にゃ、女を捨てたくなるわい。
そういや、これで思い出した話があるが
私はメイクにものすごく時間が掛かる。
決して動作がドンくさくはないと思うんだが
「どれを使おうか」 とか、悩みつつメイクするせいか
ゆうに1時間は掛かる。
迎えに来た友人一同を待たせて、フルメイクをして
「お待たせー」 と、出ていったら
「まだ化粧しとらんのか!」 と、怒られ
その時のショックと言ったら
1番違いで大当たりを逃した宝くじを手にしたのと同じぐらい
ひとり虚無感にうちひしがれたもんだ・・・。
一体何が問題なのかすらわからんが、どうやら
私は他人の顔だけじゃなく、自分の顔もよく見とらんようだ。
自分のモンタージュとか、絶対に作れんと断言できる。
肌はじっくり見てるんだがなあ。
叔母の電話は、説教&心配だった。
私がポヤンポヤンしているので、心配でしょうがないらしい。
「宗教とかやってないでしょうね?」 と、聞かれ
「宗教も覚せい剤も犯罪も風俗もやってない」 と
こんなごく普通の事を、何故わざわざ弁明せにゃならんのか。
「新聞に載るような事はしないでちょうだいよ」 と
すんげえ念押しをされて、電話を切られた。
こういう内容で1時間ぐらい電話される私って
人からどう見られているのか、むちゃ不安になった。
アホの看板を背負って歩いているんだろうか・・・・・?
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