兄は相変わらず今回もヘンだった。
まず、門を開けたら庭が草ボウボウで、まるで空き家状態。
「雑草も植物だ」 という慈愛の念で
植物伸び放題な楽園になっていた。
朝になると、庭のテーブルにエサを巻く。
去年はスズメが5~6羽つつくだけののどかな光景だったが
今や、ネズミ算式に増えたようで
直径60cmぐらいの丸テーブルから
こぼれ落ちそうに、数十羽のスズメがうじゃうじゃたかり
激しい争奪戦と化していた。
その混乱を見て、あまりの数の多さにゾッとしている私に
「夕方も集まってくるんだよな」 と、兄が嘆くので
「夕方もやりゃいいじゃん」 と、言うと
「鳥のエサは高いんだぞ!
わざわざネットで取ってるんだぞ!」 と、怒る。
・・・ペットじゃあるまいに、そこまでして何故エサをやる・・・。
ちなみに、スズメは1羽たりとも、兄になついてはいない。
ちょっとでも庭に顔を出そうもんなら、全員即座に逃げ惑う。
何か、ほんとーーーに銭捨てって感じ。
最近の夜の兄の習慣は、米の選別である。
テーブルの上にチラシを引き、翌朝炊く米をそこに広げ
一粒一粒チェックしているのである。
あまり兄に干渉はすまい、と決意していた私だが
さすがにそれを延々3時間もやられていたら、不安感が芽生える。
「何をしているの?」 と、つい聞いてしまった。
「ネット懸賞で米が当たったんだけど、クズ米が混じっているんだ。
これをこのまま炊くとベチャッとするからな。」 だと。
「ほら、こんなに混じっているんだぞ。」 と
見せてくれたクズ米とやらは、単に半分に欠けていたりする米だった。
こんなん、私だったら気にもせん。
というか、ワシワシといでて砕いてる気がするぞ。
こういう生活の些細な部分を、丁寧に丁寧にこなしていて
こいつは生きる事がさぞ楽しいだろうな、と
ちょっと羨ましくなった。
今回の帰省で、私は大失敗をした。
洗濯をして乾燥機にかけたが、いまいち乾きが悪いパンツを
コタツの中に入れて、それを忘れてきてしまったのだ。
しかも、悲しくなるような防寒デカパン。
今年の九州は寒いと思ったんだよおおおおおおおーーーーーー!
あまりにあまりなので、干すのも恥ずかしく
コタツで隠れて乾かそうとしたのにーーーーーー。
兄がそれを発見したら何と思うやら・・・・・。
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