見知らぬ犬との交流

マーケットの前に、ゴールデンレトリーバーが繋がれていた。
犬好きの私としては、せせくり回さずにはいられない。

ここで素人の方々に注意。
初めて見る犬に、いきなり手を差し出してはいけない。

まずは、近くに寄って、反応を見る。
特に不穏な反応を示さなくても、まだ手を出してはダメ。

近付いて大丈夫だった親戚の犬に、触ろうとした途端
手の肉を喰いちぎられた経験がある私が言うのだから間違いない。
(小学校1年生の頃で、数針縫ったさ。
 相手は当時の私と同じぐらいの大きさの犬だった。
 その頃から動物には意味なく嫌われてたんだよなあ・・・)

近付いて臭いを嗅がせつつ、話しかける。
触りたい場合は、手を下から出す。 できればグーで。
噛み付かれた時に、指を喰いちぎられないようにだ。

さて、知識はあれども、すぐにトチ狂う私。
ダーーーッと繋がれてるゴールデンに突進した。

ゴールデンは一瞬ギョッとしたみたいだが
私に一体何を感じたのか、目を合わそうとしない。

そこで、指をビッと立て 「おすわり!」 と、言った。

ここでもワンポイントアドバイス。
中指を立てるファックユーの要領で
人差し指を立てて 「おすわり」 か 「シット (SIT)」
というのが、訓練士の共通のしつけである。

「伏せ」 は、手の平を下に向けて上下する。
「立て」 or 「ステイ (STAY)」 は
手の平を上に向けて上下に動かす。
「待て」 「ウェイト (WAIT)」 は
手の平を犬に立てて向けてビシッと止める。

動作と言葉を連動させる事で、より明確に命令を伝えるわけだ。
いずれの場合も、動作はキビキビと
言葉はキッパリと、野太い声を腹の底からしぼり出す。
威厳が大事ってこった。

見知らぬ女にいきなり命令をされたゴールデン。
「何でおまえにそんな事を命令されにゃならんの?」
というムッとした顔をしてくれた。

そこで、もうイッパツ、「おすわり!!」 指ビッ。
ゴールデン、渋々と座る。

座った途端 「おおおーーー、よくできたじゃーーん」 と
嬌声をあげて、抱きつき、体中バホバホ叩いた。

ワンポイントアドバイスその2。
犬が命令を聞いたら、喜んで褒めて褒めて褒めまくる。
やってて、アホくせえ・・・ と、イヤになるが
それは腹の底だけで思っとけ。

人間だって、普通に評価されてても物足りんもんだろ。
「頑張ってるのに認めてもらえん」 というヤツには
「じゃ、あんたは他人を褒めちぎっているんか?」
と問い返すと、大抵のヤツは気付くもんさ。
正当な評価の表現はわかりにくいって事に。

有無を言わさず、何かを一方的に命令する場合
それに対するご褒美は倍返し。
相手が犬なら10倍返しでちょうど良しと心掛けよ。

ゴールデン、嫌々座ったのが、思いもかけない賛辞をもらい
調子ブッこいたのか、「僕、お手もできるんだよ!」 と
手をブンブンあげ、それがバシバシ当たって
端から見たら、取っ組み合い状態に。

公共の場でのこの大騒ぎは、さすがの私でも恥ずかしいので
その場をすみやかに去り、物陰からしばし観察。
(これも公共的にはどうかと思うが、犬を見ていたいのだ)

通りすがる人々の様子で、犬好き、犬嫌い、大型犬は恐い
って違いがよくわかって、とても楽しかった。

犬好きは、かすかに微笑み、ちょっと手を伸ばしたりする。
犬嫌いは、目もくれずまったく無視。
大きい犬が恐い人は、犬の方を凝視しつつ、ちょっと避けて歩く。

しばらくして、飼い主が戻ってきたが
手には小袋1個で、おめえ、たったそんだけの買い物に
どんだけ犬くんを待たせるんだよ! と、ムカつき
柱の影から、怒りの念をニュンニュン発しておいた。

Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です