かあちゃんは、茶道の免許?みたいなものを持ってて
うちには茶道具がいっぱいあった。
そのせいか、緑茶にもこだわりがあったようだ。
そんなかあちゃんがブリブリ怒っていた。
茶を飲みに来た近所の人に、お茶を出したら
「ぬるいんで入れ直してくれ」 と、突っ返されたらしい。
とうちゃんには、「ここらの人は熱くて苦いお茶を好むから」 と
言われ、せっかくの玉露のもてなしが逆効果になったという話。
私には緑茶の味はわからないが、玄米茶やほうじ茶は好きである。
これはかあちゃんに言わせれば、“安物好み” だそうだ。
普通の茶なら、食堂とかで出される薄いお茶が美味いと思うので
安物好きと言われても、何の反論もできない。
うちで出る茶は苦いんだよ!!!!!
かあちゃんといい、兄といい
茶筒が何個もあって、急須もそれによって替えて
よくわからんが、急須と湯のみでお湯の往復をさせて
それを実に優雅に時間を掛けてやる。
見てると、イライラするほどだ。
そんで、邪魔くせえフタ付きの湯飲みで出して
時には何分か開けちゃダメとか言われたりするし。
一番困るのが、飲むと必ず、感想を聞かれる事である。
私にはどれを飲んでも、「苦い!」 のひとことしかなく
それを言うと、激しく落胆されるので
脳内グルグルで他の表現を考えていると
「これは甘みが爽やかだろう?」 とか、衝撃の真実を伝えられ
確認のため飲み直すも、苦い以外の何物でもない。
私の味覚がとことん鈍いのか?
本当にこれらの緑茶に違いがあるんか? と
首根っこを掴んで振り回したくなる激情で問いただしたいが
いらん地雷は踏まんと、大人しくペットボトルの “十六茶” を
飲む人生を真っ当しとこうと思っていた。
淹れた後の香りはいいが、使用前の緑茶の香りが嫌いなので
デパ地下の緑茶売り場には近寄らないのが常なのだが
(何でどこもエスカレーター近所が緑茶売り場なんだよ?)
この前、紅茶がいっぱい並んでいる茶専門店の前を通りがかったら
その中に緑茶コーナーもあり、ふと思い出した。
「だったら、おまえこれも好きだろう。」 と
昔、兄が買ってきたのが、くき茶というシロモノで
「東京土産が茶かよ!」 と、思ったが、これが実に美味かった。
(何か、人に言わせれば、これも貧乏人が飲む茶だと笑われたが
入れ物は銀の重量感がある茶筒で、えれえ高級そうだったぞ?)
思い出にひたりボーッと見てたら、店員さんに声を掛けられたので
「くき茶ってありますか?」 と聞いたら、棒茶ならあると言う。
香りを嗅いだら、あの嫌いな普通の緑茶の匂いしかせず
迷ったが、つい魔が差して買ってしまった。
さて、買ったはいいが、うちには急須も湯のみもない。
店員さんが熱弁をふるってくれた、美味しい淹れ方の説明も
ややこしかったんで、キレイさっぱり忘れた。
どうしようかと思ったが、お茶パックにザラザラ目分量で入れ
耐熱グラスに熱湯ドボドボで、色が付いたら茶葉引きあげという
実にアバウトな淹れ方で飲んでみた。
・・・・・・・ほうじ茶にしか思えねえ・・・・・・・。
まあ、ほうじ茶も好きだから構わんが
せっせと飲まんと風味が落ちると、店員さんに忠告されたので
しばらくは棒茶漬けの日々である。
(こういう淹れ方をして、風味もへったくれもねえと思うんだが)
緑茶の値段はまったくわからんのだが
加賀棒茶 50g 1000円は、高いのか、安いのか?
これは、くき茶とはまた違うのか?
妙なこだわりのあるかあちゃんと兄にこき下ろされて
自分が違いのわからない味覚障害みたいに思い込まされているが
うちのかあちゃんと兄がやってる事は正しくて
本当に各家庭ではああいう面倒な茶の淹れ方を日常にしてるのか?
私は安物好みなのか?
皆、高級茶とかいうものの味がわかるのか?
茶を飲む度に、脳内で 「?」 が舞い踊っている。
お茶、こわ~い! で、おあとをよろしくしていい?
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