去年の12月の出来事なんだが
事の起こりは、レンタルビデオに挿入されている映画紹介。
この映画宣伝ってのは、その本体の映画の配給会社や
内容によって決められていると思う。
ホラーを借りたら、予告もホラー系ばかりだから。
たまに唐突な浮いた映画予告もあるけど
大抵は借りたタイトルに沿った内容の映画予告が入っている。
予告だけで、ああ・・・この映画は失敗だったかも
と予想でき、またそれが当たっている事が多い。
(と言うか、私の借りる映画はほぼ9割がジャンクなんだが)
で、何の映画のビデオか忘れたけど
見事に私好みの映画の宣伝が詰まったのがあって
それを見ながら5本ほどメモして
それを持って、レンタルビデオ屋さんに行った。
全部初耳のマイナーなタイトルなので、まったく見つからず
近くにいた店員さんに、サラッと質問だけするつもりだった。
ほんと、「○○というビデオ、どこらへんにありますか?」 程度に。
すると店員さんが、私の持っていたメモ紙をスッと取り
「ちょっとお待ちくださいね」 と、どっかに行ってしまった。
他人に見せる事を想定して書いてなかったので
蛍光パープルの紙に、汚い字で殴り書きのあげく
「定番ゾンビ系」「割に血ドバーのような」「なければいらね」
とか、見られたくない自分だけの秘密注釈まで書いてあり
更に裏面には、「お茶漬けの素 豆腐 長ネギ・・・」 と
際立って貧乏臭い買い物メモまで書いてあるのにーーーーーー!
店員さんの予想外の行動に激しく動揺し
しばらくその場に立ち尽くしていたけど
中々戻ってこないので、どうなってるのかと
ソロソロとカウンターの方に移動していたら
ダーッと横を走り去った店員さんの手に、蛍光パープルの紙が!!!!!
私の紙を持って行った店員さんは男性だったのに
それを持っていたのは、何故か女性店員さん。
え? え? と、振り返ったけど、既に謎の店員さんの姿はなく
ウロウロ探し回っていたら、棚の向こうから叫び声が聞こえてきた。
「スプラッタのとこにないーーー?」「ないですー」
また、他方面からは
「ああー、あのタイトル、絶対に見た覚えがあるんだけど」
「結構古いやつじゃなかったですかね」「あるって!」
など、やまびこのように聞こえてくる事に気付いた。
で、店員さんが通路を走り回る姿を目撃し
その数、少なく見積もっても男女入り混じって5人はいる。
ちょ、待てよー、カウンターにお客さん並んでなかったっけ?
決してヒマなはずはないだろー、と、カウンターを遠くから覗くと
案の定、お客さんは並んでいた。
うわ、そりゃ私は観たいけど、こんなくだらん映画のために
店員総動員で探してくれなくてもーーーーー
と、愕然としていると、男性の店員さんが走り寄ってきて
「見つかりにくいので、もうちょっとお時間よろしいですか?」
と、早口でまくしたて、その勢いに押されて
「は・・・はい・・・」 と、とっさに肯定してしまい
時間がないのは私じゃなく、おめえらの方じゃねえのか?
いいんか? こんな客を並ばせといて、と我に返って
言おうとしたけど、店員さんは疾風のように走り去って行った。
どうしたらいいかわからず、アワアワと棚の方に近寄ったら
終いにゃ、「呪いの○○ありましたーーー」 とか
通路のあちこちから、通行人には聞かれたくないタイトル名を
叫ぶ声が聞こえて、マジでクラッと目まいがーーーーーーーーーー。
いやあああああああああああ
ほんと恥ずかしいからやめてーーーーーーーー
もう良いですーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
と、中止命令を出したかったけど
走り回る店員さんズを追っていると
その恥ずかしいタイトルの映画を観たがってるのが
この一見上品で知的でナイスバディな私だと、全客に丸わかりなわけで
自分を守るべきか、公共の秩序を守るべきか
激パニックを起こして、脳内が真っ白になって
カウンターと棚の間を白熊のように行ったり来たりして
今思えば、その姿で既に私が “惨劇の○○” だの
“××の悪霊” だのを借りたがってるのは明白であっただろう。
その騒ぎは30分以上続き、5本中3本しか見つからなかったが
そこまでして観たいやつでもなかったっちゅうか
実際に観ても、やっぱりどう考えても
私のかいた恥に見合う内容じゃなかったっちゅうか。
今までにも何度かビデオのありかを尋ねた事はあるけど
今回のような騒動に発展した事はなかった。
店内のPCで在庫チェックをすれば、すぐわかるだろうに
何であんな有り様になったんだろう?
不思議でしょうがない。 何かの接待キャンペーンだったのか?
確かに私はホラーファンを公言してはいるが
実際に借りている映画のタイトルまで言いたくはない。
聞いたら、万人がヒくと思うから。
この前の呪いの写メールの時もそうだったが
店は借りる側の名誉も考慮してくれよー。
私だって最低限の羞恥心は持ってるんだよーーーーーー。
当分あの店には近寄れない・・・。
借りてて、いつも疑問に思うけど
こういうホラーや心霊系と、エロ系と
一般的にはどっちが、より恥ずかしいんだろう?
ここで書くのは、恥ずかしいとは思わないけれど
リアル現場では、借りる度返す度ににキョドってるんだよな。
普通の映画の中に1~2本混じってるんならいいけど
全部それ! っていうのは、すげえ勇気がいるんだぞ。
私のレンタルデータは凄い事になっているだろうなあ
と、カウンターで毎回、背中にイヤな汗がにじんでくるんだ。
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