昔の知人

昔の知人の、思いがけない来訪は、嬉しいものである。

が、悲しい事に、そのほとんどが
「マルチじゃないのよ、うちは」
「皆が幸せになれたら良いと思わない?」
「実は今困っていて、いくらか都合してくれない?」
このどれかだと疑わざるを得ない現状である。

兄から電話があった。
「おまえ、XXって知ってるか?」
「うん、知ってるよー。 マルチの会社だよね。」
「えっ・・・」
「有名じゃないから知らない人も多いけど、そこマルチだよ。
 ○○や△△と一緒。」
「物は良いのか?」
「ふっ・・・(鼻で笑う)、“ナチュラル” はマルチのお題目で
 『うちのは完全に安全』 とか、こぞって言うけど
 ロクに研究結果も出してないような会社が何を言う? って感じ。」
「ああ・・・そうなんか・・・」
「・・・?・・・ で、そのマルチがどうしたの?」

いつもと違って、歯切れの悪いシドロモドロな様子に
聞くと、母の焼香に来た昔の知人が、隣にいるらしい。
「えええーーー、どうしちゃったの? 立派な人だったのにー」
「電話、かわるか?」
「いや、マルチを信じ込んでいるような人とは関わりたくない。
 お茶を濁して追い返したら?」

と、実はここではとても書けないほどの酷い言葉を言って電話を切ったが
どうにも兄の事が気になって気になって寝付けず
翌朝、電話を掛けてみた。

兄は、しょうがないので数品買ったそうな。
「マルチの品を買う事は、マルチに加担する事と一緒だよ。
 そんなん、夢から覚めるのを先延ばしにするだけじゃん
 さっさと引導を渡してやればよかったんだよ。」
と、とことん罵倒しまくってあげた。

兄は、ちゃんとネットで調べてみた、とか言い逃れをするが
「何で検索した? ああー? それじゃ手ぬるい!」
と、検索方法にまでケチを付けられ、もう、兄珍しくコテンパン。

て言うか、それほど心配だったんだよ。
身内に強欲系や信者系がいると、せんでいい苦労をするわけじゃん。

しかも今回勧誘に来たのは、大昔の恩人で
当時はちゃんとした人だったのに、何で? というショックが大きく
ものすごく怒りを覚えた。

うちの実家は、こういうマルチ知人がほんとよく来てて
亡き両親は、しょうがなく商品を買っていた。

でもその根底には、哀れみの気持ちがある事を知れ。
マルチで買わなきゃ入手できない物など、何ひとつ存在しないんだよ!
何で普通に売り買いできん?

マルチなどやってるヤツは、何の言い分があろうと
私も “気の毒な人” と見下すね。
人間関係どころか、昔の良い思い出までブチ壊してくれるマルチ、滅びれ!

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