私は旅行が嫌いである。
その理由のひとつは、ガキの頃の家族旅行にある。
かあちゃんが旅行好きなので
我が家は、毎年1週間の日程で家族旅行を開催していたのだが
昔気質のヤツは欲深いのか、そのスケジュールが超ハードだったのだ。
行き先も、「○○地方に行く」 というアバウトな視野に基づき
例えば東北地方なら、岩手、秋田、宮城、山形、福島の5県
(かあちゃんの嗜好で何故か青森は無視された)
四国なら4県全部、各土地の主要な名勝地を
1週間で走り回るという、修行レベルの強行軍。
京都と奈良は別格らしく、2県行き来で済んだのだが
ほとんどの神社仏閣を巡りまくり、一体どういうお遍路かと思ったぜ。
お陰で北海道と青森以外の、全国に行ったわけだが
ガキというのはな、特に頭の弱いガキはな
短期間に大量に情報を与えると、片っ端から全忘れするんだよ!
行った場所など、ほぼ記憶にねえよ。
「娘 (私だ) の見識を深めるため」 という崇高な目的など
まっっったく意味がなかったわけだ。
というか、その理由は単なる後付けだろうけど。
こういう経験上、私の記憶では旅行は苦行も同然なのである。
この家族旅行にまつわる面白い逸話もあったはずだから
思い出したら、潜伏に書こうと思っているが
一向に思い出さないのは、無意識に記憶を封印しているのかも。
もうひとつの旅行嫌いの理由は、必需品の多さにある。
兄は中バッグひとつで1ヶ月ほど、どっかにフラッと行くが
私からしてみりゃ、服はどうすんの? 靴は? な上に
お手入れ用品が多すぎて、ミニ容器に詰め替えをしても重い。
なくなったら買い足せばいいと思うだろうが
化粧品、デカいぞ? ボトル1本増えるんだぞ?
売ってる場所が限られてる物もあるんだぞ?
悪い事に、環境が変わると肌荒れしやすくなる可能性もあるんで
旅行中に別の化粧品を使うのは恐いぞ?
お手入れだけじゃなく、これにメイク道具まで加わると
まるで夜逃げするかのような、見苦しい大荷物になる。
メイクコスメは詰め替えられないし
1回のメイクで使うブラシは最低5本はいるし
これにスポンジやパフも必須。
(不器用なのを道具でカバーせにゃならんのさ。)
よって、泣く泣くメイク道具を極力省くので
旅行中はオシャレ心のないババアの風貌でさまよわねばならない。
旅の恥はかき捨て、と言うが
これは、あえて恥を晒しに行く、って意味じゃねえよな。
まあ、冷静に語ると、メイクをしてもしなくても
そう変わりはないのだが、自己満足が満たされないのがイヤ!
ここを満足させようとすれば、荷造りがおおごとで
もんのすげえ面倒くさいし、移動も大変になるので
旅行自体を敬遠するようになるのは、自然の摂理である。
そんな旅行嫌いな私には、旅番組の存在が理解できない。
飯屋紹介などのグルメ番組も、同様にうっとうしいのだが
旅番組に関しては、最近ちょっと許せるようになってきた。
多分、多くの視聴者は旅番組を観て
「へえ、こんな面白そうな名所があるんだ」 やら
「こんなにキレイな所に行ってみたい」 やら思うんだろう?
日常から離れて、夢を見たいっちゅう心理とやらか。
実は最近、私もそういう心理に目覚めたのである。
霊スポット突撃のビデオを観て
「へえ、こんな面白そうなとこが」「行ってみたい」
と、ワクワクする事に気付いた。
これは、「何か出るかも」 という意味が違う高揚感と
混同しちゃっているのかも知れないが
旅番組を好む人の気持ちがちょっとわかった気分である。
もちろん、呪われるのがイヤなので、実際には行かない。
余談だが、旅番組で紹介される場所は、虚構が多いぞ。
現実には、大してキレイでも面白いとこでもない。
“場所” にもカメラ写りが良いってのがあるもんだなあ、と
知ってる所が紹介される度に思うもん。
TVの構成って凄い技術だよな。
あれ、実際に行ったら、時間のムダ! と思うに1000点。
私の感覚が狂ってる可能性もあるが (てか、それがビンゴだろうが)
これもあの家族旅行の賜物かも。
コメントを残す