何故、食い物系の話題が続くかっちゅうと
夏バテしてるので、栄養摂取に必死だからである。
いつもの朝飯はお茶漬けに漬け物なのだが、卵も1品追加、ってわけ。
世の男性は、彼女の手料理に肉じゃがとか望むが
卵焼きこそ、真の “おふくろの味” である。
このショボい脇役料理にこそ、各家庭の味が凝縮されている。
と言っても、彼女の作る卵焼きの味が、彼女の家の味じゃないぞ。
言ってる事が矛盾してるだろうが、本人の技量ってもんがあるし
こういう単純な料理の方が、再現が難しいのだ。
もうここでおわかりかも知れんが、私の作る卵焼きは不味い!
ほんと、何の味だ? というほど、不味い!!!
何でこんなに不味いのか、原因もわからんほど不味い!!!!!
でもひとつ言わせてもらえば、今までに美味い卵焼きは
うちのかあちゃんのと、どっかの料亭のと、2回しか食った事がない。
あとは、“普通” か、“不味い” のどっちか。
で、私のは不味い!
(卵焼きとだし巻きの違いって、出汁を入れるかどうかだけだろ?
ここで既に間違っているんなら、お話にもならん有り様になるんで
両方をひとくくりに “卵焼き” と言って良いよな?)
卵焼き、実は今朝食って、あまりの不味さにゲスゲス言ってるんだが
私はかあちゃん伝来の、甘い卵焼き派である。
またしても、これがデフォだと思い込んでいたら
「甘いのダメ!」 という人の方が多くて、軽くショックを受けている。
卵焼きの甘くないのって、味ねえじゃん。
醤油をかけたら、水っぽくなるし塩辛いだろ。
どっちに転んでも、酷だぞ。
でも甘いとおかずにならない、という意見にも納得させられる。
こればっかりは、幼少よりのすり込みでしかなく
自分ではどうにもできない、トラウマにも近いものがあると思う。
うちのかあちゃんは料理上手だったが、世界一ではない。
しかし卵焼きだけは、私にとって最高の味だった。
かあちゃんが死んだ後、霊って実在すんのか仏教って正しいんかわからんが
ほんとに何の偶然か、ちょうど49日目にかあちゃんが夢に出てきた。
その時にこれが最後のお別れだとわかった私が言ったのは
自分でも意外だったが、「もう1回卵焼きを作って」 だった。
目覚めた後に、私、何をトチ狂っとんのだ? と呆れただけで
この時の言葉の重みが、当時はよくわからなかったが
卵焼きを作って食うたびにゲロゲロなってる今では
あの夢の私の最後の願いが、潜在意識に隠れていた願望で
実に的を射た発言だった、と未練タラタラである。
手に入れられないものほど欲しくなる、とは言うが
まさか卵焼きごときが、こんな重要な地位にくるとは・・・。
かあちゃんに卵焼きを習った事はあった。
そろそろお迎えが来るんじゃないかと思ったんで
「死ぬ前に卵焼きの焼き方を教えて」 と、習いに行ったのだ。
(ここらへん、違和感がある人もいるだろうけど
私は年老いての子だったので、親子ともに覚悟は出来てたのだ。
何より、親にとっては子が先に死ぬ以上の不幸もないので
親の死は、家族の中で絶対の命題であった。
その覚悟は決して、人生がラクになるものでもなかったが。)
同じキッチンで同じ材料道具で作ったのに、味が違う!
かあちゃん曰く、「愛が足りないのよ」 だったが
そんなメルヘンで誤魔化されるかい!
絶対に何か原因があるはず、とチェックしまくったが
結局、かあちゃんの味は学びとれず。
あの卵焼きの味は今でもはっきり覚えているので、断言できるが
かつて1度たりとも、似た味すら出せた事がない。
多分この先、一生無理だろう。
卵焼きが幻の味化してるなど、どんだけ安いんやら、と結構悲しい。
にしても、せめて美味いと思える卵焼きを作りたいものだ。
かあちゃんの卵焼きの作り方は、砂糖と塩のみだった。
砂糖は普通の白砂糖、塩もごくありふれた塩化ナトリウム
使う油は日清サラダ油、フライパンはテフロン。
卵2個に、砂糖小さじ1強~2弱、塩少々を入れて溶き
熱したフライパンに厚めに流し入れ、ちょっと焦がし気味に巻いていく。
たったこれだけの作業で、何故味に違いが出るんだよ?????
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