昔は柔らかければ何でも良かったんだが
昨今はトイレットペーパーいっちょ買う時も
メイドインを確かめるようになった。
トイレットペーパーはデカい割に
そこらへんの説明書きの字がちっこくて
メイドイン欄を探すのにも一苦労させられる。
もちろんメイドインジャパンと明記しているものしか買わない。
材料は全部輸入で、袋詰めだけ日本でやって
メイドインジャパンと言い張ってるような気がせんでもないけど
日本製を買うのは、消費者としての意思表示なので
とにかく、メイドインジャパン購入を心掛けているのだ。
ところでトイレットペーパーにこだわりはあるか?
私は特にないが、選べるなら2枚重ね (ダブル) の方を選ぶ。
2枚重ねの方がふんわりしている気がするからである。
と言ったら、「信じられなーーーい!!!」 と言ったヤツがいる。
そいつは絶対にシングルじゃないとイヤなんだと。
たかが便所紙に対する好みの相違で
人に不信感を持つ勢いで主張するヤツがいる事に
まずは驚かさせてもらったが
とりあえず、その主義主張を訊いてみた。
そいつ曰く、ダブルだと途中で切れ目がズレてくるのが許せないんだと。
えっ、そういうのが不具合だと思うんか!
と思った私は、トイレットペーパーの都合など知ったこっちゃなく
どこでもむりやり自由奔放に引きちぎっていたので
あの切れ線のありがたみに気付いていなかった。
もう、ここで既に反論できなくなったので
以後おとなしく聞きに徹したんだが
その割に延々語られた事をほぼ覚えてないんだが
しまいにゃそいつの話がエコ方向に行きついたのには参った。
ダブルはシングルの2倍の量を使うので、ムダだそうだ。
そんなに紙をムダ使いしていて、もったいなくないのか?
と、責められたのだ。
2枚重ねなんだから短く切りゃいいじゃん、と口を挟んだら
トイレットペーパーを引き出す感覚には、個人のクセがあって
いつも通りに引き出さないと気持ち悪い
ダブルはどう使ってもシングルよりは量を使う、と、譲らなかった。
一体どういう使い方をしているのか、突っ込んで訊きたかったけど
スカトロが嫌いなので、これ以上便所絡みの話を続ける気にもならず
正直トイレットペーパーに、そんなにパッションも持っていないので
何ひとつ逆らう気にもなれず、結局はダブル好みを非難されて終わった。
まさか便所紙選びでも怒られる日が来るとは、夢にも思わなかったが
トイレットペーパーにこだわる人の気持ちは、わからんでもない。
トイレを安らぎの空間にしている人もいるらしいし
長年の習慣はそうそう変えたくはないものだ。
そして、これはこだわっている当人には大問題であろうから
かつての生活環境が異なっていた夫婦間では
意見が違う場合、えれえなケンカに発展するような気がする。
そういや昔友人から聞いた事があるが
“トイレットペーパーをなくなったままにしておく”
という理由で、夫と大ゲンカをしたそうだ。
そんな些細な事で、と一瞬思ったけど
逆に言えば、トイレットペーパーの交換ぐらい、さっさと出来る。
なのに、なくなった事は絶対に気付くのに、それでも放置する
その思いやりのなさ、家事に他人事なのが腹が立つんだ!
と力説され、なるほど、と納得させられた。
そのケンカの後、そこんちのご主人がどうしたか?
ギリギリひと巻き残しになったそうな。
そこまでして交換したくない気持ちがわからんが
面倒うんぬんじゃなく、折れたくないだけなのかもな。
しかしそんな事をしていると、不満が積み重なる内に
夫婦間の心がズレてきて、いずれ大変な揉め事が勃発するんじゃないのか?
ダブルの切れ線のように。
と、上手くまとめてみた。
何でもない日常に、こんな濃厚な想いが隠されているなど
生活って奥が深いな、とシミジミ思ったぜ。
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