オカルト初め

元旦早々、とても辛い出来事があったわけで
年末に心霊ビデオを借りておいて
ほんとーーーーーーに良かった! と、つくづく思った。

借りたのは、定番の呪いのビデオの30と
巷で 「くだらなさすぎる」 と評判の裏ホラー、その他多数。

「くだらなさすぎる」 !!!!!
心霊ファンにとっては、これ以上の褒め言葉はない。
何故ならば、初手から “くだらないもの” を喜んで観ている
という自覚を持っているからだ。
(真面目な霊能者の方、申し訳ございません。
 “心霊“ がではなく、心霊 “ビデオ” が
 くだらないものが多い、という意味です。)

「くだらない」 の最上級の、「くだらなさすぎる」
このレビューを読んだ心霊ファンは全員
即座に裏ホラーをレンタルしに走ったに違いない。
もちろん私もその評価を読み、これは絶対に外せない! と決意した。

暮れも差し迫った31日、大掃除の合間を見計らって
買出しとともに、レンタルビデオ店に走った。
12月は忙しかったので、新作をほとんど観られなかったのだ。
今日は大量に借りるぞーーー! という気合い満載だった。

心霊ビデオはどこのレンタル店でも、棚の一番下段に追いやられている。
しゃがめば、ローライズジーンズなら
勝負していないパンツをうっかり見せる体勢にさせられるわけだが
冬は大丈夫だから、心置きなくしゃがみ込み裏書きを読みまくる。

と、ちょっと離れたところから、こっちを凝視している若者に気付くが
こっちは池田や霊ドルものを除外するのに必死なので、構っていられない。

おそらく日本一いらない知識であろうが、解説しよう。
池田何とか (名も覚えていない) とは、中年男性霊能者なんだが
こいつの出る作品は、最高最大に地味なのだ。
喋りもボソボソしててよく聞こえない上に、霊1個も出ず。
本人は真面目に霊を追求してるのだろうけど
それが真実かどうかは、霊能力ゼロの素人には判断しようがないので
心霊物は、エンターテイメント性を重視した作りをしてもらいたい。
そんな私の希望からは外れるので、彼の出る作品は観ない事にしている。

“霊ドル” は、私が勝手に言ってるだけで
そういうアイドルのジャンルがあるのかはわからんが
自称霊感持ちの可愛い子ちゃんが、霊スポットを探索する系。
こいつらの出る心霊物は、霊どっかに忘れたかのように
5分の4がこいつらの御姿写しで、プロモーションビデオとしか思えない。
これ系の正しい見方は、可愛い子ちゃんが怯える姿を観て喜びつつ
たまにあるパンチラを待つ、じゃないかと考えられるので
まがりなりにも女性の私には縁のないシロモノだと、除外しているのだ。

こういう都合があるので、鬼の形相で心霊ビデオを選んでいたのだが
こっちを凝視している兄ちゃんが、一向に立ち去ってくれない。
ずっと不動でこっちを見ているのだ。

モコモコのコートにセーターにブーツにマフラーという
あまりまだ関西ではされていない、浮きまくる厳寒仕様の重装備に加え
ラスタ帽にサングラスにマスク、と
確かに見た目もやってる事も、とことん怪しいけどご心配なく。
私は不審者でも変質者でもありませんから!
池田と霊ドル、ものすごく多いんで当たりたくないんです!

と、時折、咳をしたりして、あからさまな風邪なんですよアピールをしつつ
しつこく選び続けていたんだが、本当に風邪中なんで
お兄さんのあまりの凝視が気になり、ヘンな汗はかき始めるし
集中力がとぎれてきて、もういいよ! と、立ち上がってレジへ向かった。

と見せかけて、背後の棚列のゾーンに入り
お兄さんの行く末をチェックしたら
そのお兄さん、私がいた場所に陣取って心霊物をあさり始めた。

ああ、何だ、おめえも心霊物を借りたかったんか。
それなら近くに来てくれれば、ちょっとよけたのに。
と、仏心を出しかけ、はっっっと思い付いた。

呪いシリーズの新作が出る度に、必ず貸し出し中が続いてたのは
もしかしておめえの仕業かーーーっっっ!!!

そのお兄さんが手に取る種類が、私の趣味とかぶりまくりだったからだ。
呪いシリーズは1本しか入らず、それが中々開かず
一体どこのどいつがこんなもん観るんだよ、と
貸し出し中の空き箱を見てはイライラさせられているんだ。

それが彼の所業かは定かではないが、あまりの好みのかぶりに
こいつは絶対に、この先の私のレンタル人生の障害になる!
と恐れたので、真後ろからムンムンと怨念を贈っておいた。
心霊系はどれも入荷数が1本で、空きを待つのが大変なのだ。

皆素通りするレンタル店の心霊コーナーで
密かに熱い心理戦が繰り広げられていたのは、ふたり以外に誰も知らない。

心霊ビデオを鑑賞中、その時の事をふと思い出し
そういや、若い男性が熱い視線 (ある意味) を送っているのに
それがナンパだとは、一瞬たりとも脳裏に浮かばなかった自分に
激しく、“女終了!” のレッテルを貼りたくなった。

いや、あの時はたとえ茶に誘われても飯に誘われても
宗教か、「携帯契約1機で5000円が」 といった
怪しい商売の勧誘だとしか思わなかった自信があるほど
異様な格好をしていたしなあ。

あっ、そうか、あのお兄さんが遠巻きに見てたのは
近寄るのが恐かったからか!
と気付き、更に自分の首を絞めた気分になった。

いや、風邪真っ最中だったし
今年はパンデミックが恐いから、外出時のマスクは必須の予定だし
冬は諦めとこう。 (何を!!!!! 今更!!!!!)

ちなみに、裏ホラーは評判通りに満足の作品だった。
が、あんだけ確認したのに、借りた1本が池田だったという不覚。
裏書きの写真にも顔を出さないとは、何ちゅう姑息な!

てか、そもそもあの凝視が気を散らせたんだよ。
あいつはバジリスクかよ?
まったく、心霊好きにロクなヤツはいねえ。

Comments

“オカルト初め” への2件のフィードバック

  1. 奈々のアバター
    奈々

    池田ぃぅのは池田貴族さんじゃ、なぃょな?

    で、ァシュとレンタル被りの男性さぁ
    付き合っちゃぃなょw
    そしたら、全解決じゃね?

  2. あしゅらのアバター
    あしゅら

    違うよ、貴族の方じゃねえ。
    北陸出身の地味なオヤジなんだ。
    池田○夫みたいな名前だったと思う。

    自分と趣味が合うヤツなんて
    どういう変質者だよ? って感じで
    ほんと願い下げなんだけど
    それを私が言う前に
    向こうの方が先にイヤだと叫ぶ気配がしてならんのだがな。

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