ジャンル・やかた 20

よく推理小説なんかで、ダイイングメッセージとかあるけど
何でわざわざわかりにくくするんやら。
兄の残した1枚の写真を眺めながら、アッシュはイラ立っていた。

答、それは明らかにわかりやすいと、証拠隠滅されるからでーす。
って言うけど、現実問題、わかりにくいなら意味なくね?

気を取り直して、アッシュは推理に入った。
何で写真の裏に日本語で書き残したか?
私に宛ててだからだろうけど、そんなヒント、見つかったら没収だよね。
と言う事は、やっぱりこの写真自体が、重要なヒントなんだ。
裏に何を書き残そうが、即没収クラスの。

でも、そしたら詳しく書いても良いはず。
うーん、ギリオッケーみたいなライン?

アッシュは改めて写真の館を見つめた。
これ、この館に似てるけど違う建物だよね。
この写真の館は、2階建てだし小さい。
あっ、もしや、敷地内に別建物があって、そこに主がいる?

うわあーーーーー、それは反則だろーーーーーーーー。
アッシュはバッタリとベッドに倒れこんだ。
しかし、頭の中ではグルグルと考えが渦を巻いている。

・・・・・・・・・もしかして、こっから見えない角度に
この写真の建物があって、通路で繋がってるとか?
だったら、それがあるのは北側じゃないよね?
死角の南側で、南館のどっかから行けるんじゃないの?
それじゃあ、北館に滞在すると激しく不利になるんだけど・・・。

でも、この言葉はどういう意味?
歴史と伝統
確かにここらへんの人、重要視してるよね、歴史と伝統。
で、それが何なんだ?

うーん、答、出ないっぽいー。
とりあえず今日からは南に集中するか。
考えようによっちゃ、候補が半分に絞られたわけだし
お兄ちゃんありがとう、だよ。

でも私なら、もちっとわかりやすく残すけどね、ふん。
アッシュは、よっこらしょ、と起き上がった。

探すべきは、南館の1F、2F、5F、6F
の、一番南側の壁及び部屋。

「ローズさん、明日は南館の2Fにレッツゴーですわよーーー!」
アッシュはローズの部屋のドアを勢いよく開けて叫んだ。
日本人にはノックの習性はない。 ふすま、紙だし。

数時間後、ベッドに突っ伏したアッシュは溜め息を付いた。

今日の南館2階は、敵の出が激しかった。
そのせいで奥まで行かない内に、ローズの鋏が壊れ
不本意でも、引き返さざるを得なかった。
それも、かなりの危機一髪で。

あんだけ敵が出るってのは、本丸に近いって証拠のようなもんだよな。
もう一度、南館の2階の残りに行かなければ。
鋏の修理は、バイオラが張り切っていたし
もし何とかいう兄ちゃんが三節棍を持ってきたら
バトルマスター・ローズに使いこなしてもらおう。

アッシュは人の名前と顔を、まったく覚えられないので注釈するが
“何とかいう兄ちゃん” とは、ラムズの事である。

アッシュは、あまりの疲労にそのままベッドで爆睡した。

続く。

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