「ふうむ、まさか反乱グループができとるとはのお。」
「今までが何もなさすぎだったんですよー。
てゆーか、何かヌルくないですかー?
盗聴だの通話傍受だの、悠長ってゆーかー意味ないってゆーかー。」
「うーん、この若造、バスカム? わし知っとるぞ。
同じ反抗的でも、前はもちっと活発だったと記憶しとるが
えらい引きこもりになっとるのお。」
ジジイがバスカムを知っていた事に驚くアッシュ。
「えっ? 何か活発に反抗されたんですかー?」
「うん、廊下で会うと、ツンとそっぽを向かれたり。」
「・・・えらい躍動的な反抗ですねー・・・。」
「そうは言うが、されると悲しいもんなんじゃぞ?」
ヘッとバカにした笑いをするアッシュに、ジジイが訊いた。
「で、どうするんじゃ? 皆殺しか?」
ふたりで顔をつき合わせてケッケッケと笑う姿に
リリーは首を振って溜め息を付いた。
「にしても、このふたつの死亡案件、何故誰も気付かなかったんじゃ?」
ジジイの責めに、アッシュが反省もなく答える。
「これは普通、見落とすでしょうー。」
まあ、そうじゃな、と思いつつ、リリーに念を押す。
「この反抗者リストは確かなんかい?」
「はい。 それは確定済みです。」
「他にも小さい不満を持っているヤツはいるだろうけど
どうこうしよう、というほどの気合いはない、って事で
放置で良いですよねー?」
「個々の不満なんて、拾い上げてたらキリがないからな。」
「という感覚で、ジジイがノビノビと放置したタンツボを
私が始末せにゃならん、ってわけですねー。」
「それが後釜の定めじゃな。」
「ヌケヌケと、よくもー・・・。」
ジジイとアッシュの漫談は続く。
「しかし、盗聴など始めたからには放ってはおけんじゃろう。
頭と、勢いのあるのを殺れば、大人しくなるんじゃないのか?」
「ええーーー、頭、殺っちゃうんですかー? もったいねーーーっ。」
「何じゃ? あんたこういうのが好みなんか?」
「私、こういう知的イケメンビジュアルがタイプなんですよー。」
「言ってくれれば、本部から何人でも寄越すぞ?」
「・・・いや、いいですー。 もう性欲、ないもんでー。」
ああ・・・と、ジジイが同意した。
「わかるぞ、その気持ち。
わしも昔はリリーちゃんの黒下着チラ見えに癒されたものじゃが
最近は見ても、全然心が動かんようになってしもうて・・・。」
「はあ?????????」
リリーが珍しく大声で叫んだ。
「ほら、リリーさんがドン引きしてるー。 これだから男ってのはー。
ジジイ、私のパンツならいくらでも見せたるから
インテリ美女へのセクハラは止めとけー。」
「あんたのは下着じゃなくて、“肌着” じゃもんなあ・・・。」
「既にチェック済みかいーーーーーっっっ!」
アッシュとリリーはふたり引き潮に乗り、海の彼方へと流されて行った。
「とてつもない後味の悪い嫌悪感をジジイがかもし出したところで
とりあえず、このバ・・・と一度話がしてみたいですねー。」
遠海から何とか生還したアッシュが、まとめに入った。
「んで、洗脳するんかい?」
と、ジジイの入れる茶々に、アッシュがまた乗っかる。
「そりゃもう、口八丁手八丁でー。」
「そう上手くいくなら良いんじゃがな・・・。」
「いかなかったら、おつー、あとよろー、ですよー。」
「あんたの話はよくわからん!」
ジジイの一括で、チャンチャン、と幕を下ろすアッシュ劇場であった。
「この事態を知っとるのは誰じゃ?」
「ここにいる以外は、当事者のデイジーと電気部、監視部ですわね。」
「デイジーはどうするんじゃ?」
「んー、また反乱軍に万引きを命じられたら
毎回、無理! じゃ通らないでしょうから
これを渡すように言おうかとー。」
アッシュは1枚のディスクを取り出した。
「何じゃね? それは。」
「これはですねー、相続戦の時に私が時々PCで書いてた日記ですよー。」
「何でそんな事をしとったんじゃ?」
「いや、ブログにアップしようかと思ってー。
“実録! 呪われた館の惨劇 血にまみれた相続争い!!!”
アクセス稼いで、アフィリでウッホウホー!」
「アホか!!!」
ジジイが、アッシュの脳天をパカーンと殴った。
「何を書いたんか、ちょっと見せてみい。」
ジジイがリリーにディスクを渡す。
パソコンのモニターを見たジジイとリリーは、ウッと言葉に詰まった。
「・・・これは何語かね?」
「日本語のローマ字打ちですー。
書いた本人も解読しにくいんで、誰が見ても大丈夫でしょー。」
「こんなものは、こうじゃ!」
ジジイが取り出したディスクをパキッと折った。
「あああああああああああああああああああーーーっっっ!!!」
ヘタリ込むアッシュに、更にジジイが説教をたれる。
「外部には秘密厳守だと言うとろーが!
あんたは主の自覚が足らんぞ!
まったく、漏れる前に気付いて、本当に良かった良かった。」
あー、このド腐れジジイには、私のデータをことごとく破壊されとる・・・。
アッシュがフテ腐れてソファーに倒れたら、今度はリリーが訊いてきた。
「ローズにはどうします?」
「え・・・?」
「ローズはあなたの護衛でしょうに、まだ話してもいませんよね?」
その問いかけに、アッシュの表情が曇ったのを見て
リリーは話を続けるのを止めた。
ジジイは爪楊枝で歯をほじくりながら思った。
ローズの話は、アッシュの地雷じゃな。
続く。
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Comments
“ジャンル・やかた 52” への1件のコメント
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早くちゃんちゃんにーあぁぁあ!!!!!!!!
って福井出身の子に言われて「?」って感じだったんだが
早くマ●コに入れてって意味だったんだなw
やっぱ方言セックヌはオモロイし燃えるし最高すぎだよな(≧▽≦)
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