イキテレラ 7

昼食の用意をしていると、玄関のドアが激しく叩かれた。
台所の窓から覗くと、家の前の通りに馬が何頭も繋がれている。
 
どうやら父親がドアを開けたようである。
家の中に大勢の人間が入り込む気配がする。
 
「どの娘だ?」
「違う、こっちじゃない。」
響き渡る大声に、料理の手も止まり怯えるイキテレラ。
 
 
台所のドアが勢い良く開き、羽付きハットをかぶった制服の男が入ってきた。
「おーい、こっちにひとりいるぞー。」
 
逃げようとしたけど数人の男たちに押さえつけられ、足を掴まれた。
「いやあああああああああああああああ」
叫ぶイキテレラの足先に固く冷たいものが当たる。
 
ふと見ると、あのガラスの靴を履かされていた。
割れていない。
ヒビひとつも入っていない。
 
どういう事?
 
イキテレラはパニックを起こした。
 
 
城にひとりの男がやってきた。
「あの貼り紙の靴に心当たりがあるんすけど・・・。」
男がバッグから出したものは、ガラスの靴だった。
 
男はイキテレラの家の近所に住むガラス職人だった。
男はミニっ娘萌えであった。
しかも足フェチであった。
 
イキテレラの古靴を盗み、その足型に合わせてガラスで
輝く美しい靴を作った。
魔女が言った “あんたの靴” とは、この事だったのである。
 
 
男は報奨金目当てに名乗り出た。
自室にあるはずの、自作の靴が片方なくなっていて
それが城にある理由は、男には皆目見当も付かなかったが
持ってきた靴と、城にある砕けた靴が一致した事から
男の話が真実だと判明した。
 
しかし男は報奨金を受け取れなかった。
 
「それではおまえは、貴族の姫の足にハアハアしていたんだな?」
そう追求されて、男は打ち首となった。
 
報奨金は、男の年老いた母親へと贈られた。
母親は、その金で風光明媚な保養地に家を買った。
 
 
そして、イキテレラの家に兵が派遣された。
イキテレラは、必死に抵抗をした。
 
「お父さま、助けて、お父さまーーーーーっ!!!」
娘の悲鳴に、父親はオロオロするだけだった。
 
「姫さま、どうかお気を静めてください。」
兵たちのなだめる言葉も、イキテレラの耳には入らず
イキテレラは泣き喚きながら、3人がかりで抱えられて馬車に乗せられた。
 
あまりの騒動に、家の周りには人垣が出来ていた。
 
 
 続く
 
 
関連記事 : イキテレラ 6 10.5.25
       イキテレラ 8 10.5.31
       
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Comments

“イキテレラ 7” への6件のフィードバック

  1. 椿のアバター
    椿

    待ちに待った続編!
    今回も面白いです!

  2. 酔花のアバター
    酔花

    たまに無記名の酔花です・・・。(スマソ

    今回も楽しみにしてるよん♪
    ラブストーリーなんだよな!!
    ハーレクインみたいなんだよな!!・・・と、
    追いつめてみた!!(笑)

  3. まいこのアバター
    まいこ

    オカルト物、血が出てくるのすら苦手なので前のは読めなかったんです。
    今回は恋愛モノだと勝手に思って読んでたら
    一人早速打ち首・・・!ガラスで足怪我したおねえさんも。

    でもこの先、例え姫と王子の殺し合いになっても読まずにおれなさそう・・・

  4. あしゅのアバター
    あしゅ

    椿、待っててくれてるなんて
    ありがとうー。

    面白いってのは、笑えるって意味じゃないよな?
    そこらへんの自分の感覚に自信がないんで
    外してたらすまん。

    酔花、えっ?
    おめえも小説系読むんか?
    うーむ、意外だったよ
    おめえと私は美容バトルの仲だし。

    ・・・と思っていたら
    バトルを挑まれていた。
    しかも一番痛いとこを突付かれ・・・(笑)

    まいこ、オカルトも血も苦手なのに
    よくここに来てて無事だったな・・・。

    恋愛話にするよ、頑張る。
    でも、ほんと万が一はごめん!

    何か春が終わったせいか
    当初のロマンチックが止まったっぽいんだ。
    ああーーー、だからさっさと書いておけとーーー!

  5. けるのアバター
    ける

    どんな話になっても、受け入れますよ~

    書きたいように、書けばいいと思います。

    「○○なくちゃ!」
    って思うと○○なくなっていく、っていう
    悪循環に気をつけてね。

  6. あしゅのアバター
    あしゅ

    うっ・・・、まさに今
    その悪循環の真っ最中だよ・・・。

    だけどチャレンジしたいんだ
    わかってる、無理とわかってる
    でも、回る扇風機に手を突っ込みたくなるじゃん
    あの誘惑なんだよ、このムチャは!

    あっ・・・、エロ、
    最悪、エロで良いかな?
    エロ、“恋愛” でくくれるよね?
    (また、いらん脇道を見つけ)

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