昼食の用意をしていると、玄関のドアが激しく叩かれた。
台所の窓から覗くと、家の前の通りに馬が何頭も繋がれている。
どうやら父親がドアを開けたようである。
家の中に大勢の人間が入り込む気配がする。
「どの娘だ?」
「違う、こっちじゃない。」
響き渡る大声に、料理の手も止まり怯えるイキテレラ。
台所のドアが勢い良く開き、羽付きハットをかぶった制服の男が入ってきた。
「おーい、こっちにひとりいるぞー。」
逃げようとしたけど数人の男たちに押さえつけられ、足を掴まれた。
「いやあああああああああああああああ」
叫ぶイキテレラの足先に固く冷たいものが当たる。
ふと見ると、あのガラスの靴を履かされていた。
割れていない。
ヒビひとつも入っていない。
どういう事?
イキテレラはパニックを起こした。
城にひとりの男がやってきた。
「あの貼り紙の靴に心当たりがあるんすけど・・・。」
男がバッグから出したものは、ガラスの靴だった。
男はイキテレラの家の近所に住むガラス職人だった。
男はミニっ娘萌えであった。
しかも足フェチであった。
イキテレラの古靴を盗み、その足型に合わせてガラスで
輝く美しい靴を作った。
魔女が言った “あんたの靴” とは、この事だったのである。
男は報奨金目当てに名乗り出た。
自室にあるはずの、自作の靴が片方なくなっていて
それが城にある理由は、男には皆目見当も付かなかったが
持ってきた靴と、城にある砕けた靴が一致した事から
男の話が真実だと判明した。
しかし男は報奨金を受け取れなかった。
「それではおまえは、貴族の姫の足にハアハアしていたんだな?」
そう追求されて、男は打ち首となった。
報奨金は、男の年老いた母親へと贈られた。
母親は、その金で風光明媚な保養地に家を買った。
そして、イキテレラの家に兵が派遣された。
イキテレラは、必死に抵抗をした。
「お父さま、助けて、お父さまーーーーーっ!!!」
娘の悲鳴に、父親はオロオロするだけだった。
「姫さま、どうかお気を静めてください。」
兵たちのなだめる言葉も、イキテレラの耳には入らず
イキテレラは泣き喚きながら、3人がかりで抱えられて馬車に乗せられた。
あまりの騒動に、家の周りには人垣が出来ていた。
続く
関連記事 : イキテレラ 6 10.5.25
イキテレラ 8 10.5.31
カテゴリー パロディー小説
イキテレラ 7
Comments
“イキテレラ 7” への6件のフィードバック
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待ちに待った続編!
今回も面白いです! -
たまに無記名の酔花です・・・。(スマソ
今回も楽しみにしてるよん♪
ラブストーリーなんだよな!!
ハーレクインみたいなんだよな!!・・・と、
追いつめてみた!!(笑) -
オカルト物、血が出てくるのすら苦手なので前のは読めなかったんです。
今回は恋愛モノだと勝手に思って読んでたら
一人早速打ち首・・・!ガラスで足怪我したおねえさんも。でもこの先、例え姫と王子の殺し合いになっても読まずにおれなさそう・・・
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椿、待っててくれてるなんて
ありがとうー。面白いってのは、笑えるって意味じゃないよな?
そこらへんの自分の感覚に自信がないんで
外してたらすまん。酔花、えっ?
おめえも小説系読むんか?
うーむ、意外だったよ
おめえと私は美容バトルの仲だし。・・・と思っていたら
バトルを挑まれていた。
しかも一番痛いとこを突付かれ・・・(笑)まいこ、オカルトも血も苦手なのに
よくここに来てて無事だったな・・・。恋愛話にするよ、頑張る。
でも、ほんと万が一はごめん!何か春が終わったせいか
当初のロマンチックが止まったっぽいんだ。
ああーーー、だからさっさと書いておけとーーー! -
どんな話になっても、受け入れますよ~
書きたいように、書けばいいと思います。
「○○なくちゃ!」
って思うと○○なくなっていく、っていう
悪循環に気をつけてね。 -
うっ・・・、まさに今
その悪循環の真っ最中だよ・・・。だけどチャレンジしたいんだ
わかってる、無理とわかってる
でも、回る扇風機に手を突っ込みたくなるじゃん
あの誘惑なんだよ、このムチャは!あっ・・・、エロ、
最悪、エロで良いかな?
エロ、“恋愛” でくくれるよね?
(また、いらん脇道を見つけ)
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