ドスン! と、地面に落ちたご一行。
「ふふふ・・・、ここがどこだかわかるかね?」
ウサギが邪悪な顔をして問う。
「ほらあ、明らかにこいつが悪でしょう?
あなたたち、さっき私を悪者呼ばわりした事を謝りなさいよ。」
黒雪姫の抗議に、小人たちが素直に詫びた。
「すまんじゃった。」
「まさか、こういう展開になるとは思わんで・・・。」
「だから、あなたたち、考えが浅すぎるんだって。」
小人たちに説教をかます黒雪姫に、ウサギが怒鳴る。
「おまえら、ここをどこだと思ってるんだ!」
黒雪姫が、ゆっくりとウサギを持ち上げる。
「あなた、まことのバカ?
ここがどこだろうと、あなたは私になぶり殺される事決定なのよ?」
黒雪姫はワープ中もウサギの耳を離さなかった。
ウサギは、黒雪姫に両耳を掴まれたまま凄んでいたのである。
自分の目の高さにウサギを持ち上げた黒雪姫が、キリッと言う。
「大丈夫、全部残さず美味しくいただくから!」
「・・・あわわ・・・。」
動揺するウサギに、王子が優しく語り掛ける。
「ウサギ殿、我々に情報をくれたら
姫をとりなしてあげても良いですよ?
私は殺生は好みませんので。
いえいえ、決してベジタリアンではないですけどね。」
「・・・何を訊きたい?」
渋々と受けるウサギ。
「そうですねえ、まず、ここはどこで、誰が黒幕で
あなたは何者なのか、何をしようとしてるのか
300年前と数年前に、妖精界に何が起こったのか
人間界の北国の村の滅亡と、東国の王妃に関わる鏡は何なのか
現在の妖精界で、何か異変が起きているのか
今のところ、これぐらいですかねえ?」
黒雪姫に同意を求める王子に、小人が突っ込む。
「それ、この話全部じゃないか!」
「てかさあ、ウサギごときにそんな核心がわかるとは思えないけど?
それより、これ、鍋にしない?
私、お腹すいちゃったわ。」
軽々しく自分を鍋の材料にしようとする黒雪姫に
ウサギが慌ててバタついた。
「待てっ、待ってくれ、何でも答えるから命だけはーーー!」
「そういや、さっきお茶会とか言ってたぞ。」
「食べ物があるんじゃないのか?」
「ある! あるから俺を食わんでくれーーー!」
「んじゃ、さっさと案内した方が良いぞ。
この女、腹が減るとより一層凶暴になるし。」
「何ですって?」
小人のその言葉に、黒雪姫の腕がピクッと動いた。
「あああああ、余計な事を言って
こいつの神経を逆なでせんでくれーーー!」
ウサギが必死に叫ぶ。
黒雪姫の怒りは、全部自分にくる事をわかっているようだ。
続く
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カテゴリー 小説・黒雪姫シリーズ
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