「ほんま、怒るで、しかし!!!」
ワープの目まいに、ゼロがガラ悪く凄む。
「ごめん! ゼロさん、私が頼んだの。」
石川が両手を合わせて拝む。
「何か、石川が相談したいんだって。」
太郎の説明に、ゼロが ふーん と腕組みをした。
「こっち、こっち、人に聞かれたくないから。」
石川はゼロを教室の隅に連れて行った。
太郎は今から別教室で何かの作業らしい。
「で? 病気もらっちゃったか、デキちゃったか
股かけられたか、フラレちゃったか、どれかな?」
ゼロのロマンのない言い草に、石川はギョッとした。
「何でわかるの? 恋愛相談だって事が。」
「多分、年増霊であるゼロさまには
おめえが処女じゃない事もわかるぞお?」
「えっっっっっ!」
なっ何で? と焦る石川にゼロがふふんと笑う。
「男との距離感が微妙に違うと思わないか?
処女と非処女。
しかも非処女が近いわけじゃあない。
岡山は、ありゃ処女だな。
それも乙女系じゃなく、男いらねの鉄の処女だよね。」
ああ・・・、と、納得する石川。
「で、どれかな?」
「とりあえず、決定じゃないけど
浮気されそうっぽくって・・・。」
「なあ、さっきっから隅っこで壁に向かって
ひとりブツブツ言ってるあの女、何なの?」
当然、人々にはこう見えるわけで。
「で、今、彼はその女と学食にいるはずなのよ。
何を喋っているか、ちょっと聞いてきてくれない?」
石川のお願いを、ゼロは即答で断った。
「イ・ヤ!」
「何で?」
叫ぶ石川に、ゼロが答えた。
「私は今から凄く忙しくなるんだよ。」
「・・・今って、何で?」
「それはな・・・、い ま か ら 」
ゼロがユラリと立ち上がった。
「おめえに説教するからだよーーーっっっ!!!」
ゼロがヌバーッと、石川に迫り
キャアアアアアアア と教室中に石川の悲鳴が響く。
石川の大学での立場は、これで揺るぎないものとなった。
イヤな方面の意味で。
続く。
関連記事: 亡き人 25 11.2.7
亡き人 27 11.2.14
カテゴリー 小説
亡き人 1 10.11.17
亡き人 26
Comments
“亡き人 26” への2件のフィードバック
-
石川さん、親身な心霊被害に遭ってますね。憑いてるなあw
トイレの個室にでも来てもらえば良かったのに…って
それはそれで怖いか^^; -
ゼロがあまりにもくっきり見え過ぎるんで
ついつい普通に接してしまうんかもなw
コメントを残す