300年ぐらい前 ハブ女王 謀反 妖精王勝利 ハブ女王死亡
人間界 北国の村 鏡のせいで滅びる
10数年前 妖精界の結界に穴
人間界 東国の后がおかしくなる
その数年後 黒雪姫 妖精界に迷い込む
「この間、妖精界の結界が破られたのは1度。
そして、私が生まれたのはこの頃。」
王子がペンで突付いたところを見て、黒雪が驚く。
「あなた、いくつ?」
「大体あなたより、50歳ぐらい上なだけですよ。」
「ええええええええええええええっ???」
「私は母の謀反の少し前に産まれて、ずっと繭の中にいたんです。
孵化したのがこの時、謀反から250年後ぐらいなんですよ。」
「マユ? 何でヘビが繭?」
ズケズケとヘビ呼ばわりする黒雪に、王子が溜め息を付く。
「妖精界でも私は人間の姿だったでしょう?
私は元々、人型なのですよ。」
黒雪は少しうつむいて、それから王子の顔を見た。
「にしても、何で繭?
訊きにくい事を訊くかも知れないけど、あなたの父親は誰なの?」
「本当によく訊けますよね、そういう事。
こっちが言うまで訊かないであげるのが、思いやりでしょうに。」
「だって後出し後出しで、もうゴッチャゴチャじゃん。
それに父親不在とか、よくある話だし。」
黒雪が うちなんか母子で殺し合いしてたのよおー と嘆くので
王子は、つい笑ってしまった。
「父親、誰かわからないんです。
母に訊いても答えてくれないし・・・。」
黒雪は少し困ったような顔になった。
「あのね、何となくひらめいただけなんだけど
あなたのお父さん、神さまなんじゃない?」
「はあっ??????」
黒雪の突拍子もない意見に、王子は驚愕した。
「だっておかあさんヘビなのに、あなた人型でしょ。
人に似てるのって、神界の人なんじゃない?
ウサギやら猫やらトランプ兵士やら、魔界人、人型じゃないし
あなたに遺伝してるのって、人間か神かのどっちかだと思うわよ。
で、絶対に人間じゃないわよ。 繭だし。」
考え込む王子に、なおも続ける黒雪。
「それに、あの時の荒野に妖精王が来るのはわかるわよ。
でも何で神さままでシャシャッてくるの?
ハブ女王と妖精界に、神さま何か関係してるの?」
「いえ、それは・・・、人間界は神さまの管轄ですから・・・。」
「じゃあ、以前から妖精王と神さまが示し合わせていたの?
あの時タイミング良く現われたよね、神さまたち。
しかも同時に。
何かおかしくない?」
そう言われると、確かにそうである。
「あなた言ってたじゃん、謀反人の子に厚遇すぎる、って。
もしかしてさ、あなた、謀反人の子扱いじゃなく
神さまの子扱いなんじゃないの?」
何でもない口調の黒雪に
この人は自分の言葉の意味をわかって言ってるんだろうか?
と、王子は、その大それた考えに不安になった。
続く
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