「猫にはマタタビですよね、ほら、植物事典、役に立つでしょう?
マ・・・、マ・・・」
「もおおおおおおお!
猫なんか瞬殺じゃん、ソニックブーーーム!!!」
黒雪の発した衝撃波で、浮いていた猫が落ちた。
「えええええええええっっっ?
それ、人間がやって良い事なんですか?」
王子の常識発言を、黒雪がギャアギャア怒鳴る。
「ヨガフレイムにしなかっただけ、穏便に済ませた、と解釈してよ!」
(注: ソニックブームとヨガフレイムとは
格闘ゲームのキャラが出す衝撃波のような技である。
ドラゴンボールで言えばカメハメ波?)
「・・・何を怒っているのですか・・・?」
機嫌を伺うようにおそるおそる訊く王子。
「別に!」
黒雪は、落ちた猫をガシッと乱暴に掴んだ。
ご 苦 労 -----
大きな手が、黒雪の握った猫を掴む。
この素早さがまた、ムカつくーーーっ!
機嫌が悪い黒雪は、魔王にまで噛み付く。
「報酬はっ?」
ドドーーーーーーーーーン !!!!!
轟音を轟かせて、岩山の向こうに雷が落ちた。
「ビ・・・ビックリしたー・・・。 何なの?」
「あそこに鉱脈があるという知らせなんじゃないですか?」
「わーい!
経済的には純金が良いけど、武器的には鉄希望ーーー!」
さっきまでの不機嫌さも吹っ飛び、喜び勇んで岩山を超えた。
・・・途端、ズッこける黒雪。
「大丈夫ですか? どうしたんですか?」
やっと黒雪に追いついた王子が目にした風景は
温泉であった。
「ちょっと、魔王!!!
これだけで納得すると思ってるの?」
黒雪が天に向かって怒鳴る。
「ちょっ・・・、奥さ・・・」
王子が止めようとした時、宙に再び手が現われた。
何かが手から落ちてくる。
「危ないっ!」
王子が黒雪に覆いかぶさったそのすぐ横で
地面に激突したものが、バリーンと割れた。
「・・・な、何・・・?」
拾った欠片をマジマジと見るふたりの横に
手が今度はソッと、壊れていない “それ” を置く。
「・・・・・手桶・・・・・。」
とことん呆れる黒雪の頭頂部に、ヘチマタワシがベコンと降ってきた。
「魔王って、天然・・・?」
黒雪が絶望的な口調で言うのを、王子が慌てて止める。
「シーッ、シーッ
人間界以外の王は、独裁でものすごい力の持ち主ですから
あまり逆らうような事を言わないでください!
ほんっと、恐い存在なんですよ。」
「そんな雲の上の存在なら、小さき人間のたわごとなんか
笑って許してくださるでしょうよっ!」
黒雪は、ふん と横を向いた。
続く
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黒雪伝説・湯煙情緒 12
Comments
“黒雪伝説・湯煙情緒 12” への3件のフィードバック
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あ、ここからタイトルの湯煙情緒ですか~
ちょっと気になってたんですo(^-^)o -
まとめ読み完了ーー!
暫くはネットする暇もなかったのですが久しぶりの休みに湯煙情緒!
サブタイの意味が分からずにいましたが此処からがまた楽しみです。
一度手荒くぶっ壊した手桶を今度は壊さないようにそっと置き直すのにちょっと萌えてしまった… -
のと、うん
“湯煙情緒” って、よく考えると
自分でもよく意味がわからんけど
ご褒美の温泉を目指してたんだ。私のやってる事って、結構
ちゃんと理由があるんだよー。
それこそ、盗っ人にも言い分があるように。椿、お疲れさまだー。
すまん、この話、あと1話で終わる。黒雪伝説は続くんで
どんどん話を広げてるけど
私のやってる事って以下同文。えっ、手桶そっと置きに萌え?
・・・うーむ・・・、高度すぎる・・・。
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