亡き人 40

砂利に足を取られないように、板の上を歩く。
歩幅が合わずに、よろけつつ。
 
それが現実ではないという事は、すぐにわかった。
でもトンネルが見えた時には、いやだな、と思った。
薄暗さもだけど、列車が来ないかが恐い。
 
少し歩調を速めるけど、走る事はしない。
何となく。
 
 
トンネルの出口では、光の眩しさに
しばらく立ち尽くしてしまった。
 
目が慣れてきて、少しずつ視界が開ける。
遠くに女性が立っていた。
 
その小さな人影に、何故に真っ先に気付いたのか。
 
 
真っ青な空に、真っ赤な花畑の中
 
黒い髪に白い服のその女性だけ
まるで塗り忘れたかのように、色がなかったからである。
 
 
その女性は、こちらの存在をわかっていたかのように
ゆっくりと振り返った。
 
白も “色” なんだな、と気付いた。
 
 
 
山口・・・・・父親の会社の跡を継ぎ、危ぶまれつつも
       人材に恵まれ、業績を安定して維持させる。
       結婚後、一男一女の父となる。
       
福島・・・・・プログラマーになり、結婚後、子供も儲けるが
       激務に離婚、離職。
       田舎に移り住んで、土と共に暮らす人となる。
       
岡山・・・・・実家の神社を入り婿で存続させ
       自分は、地元では有名な “霊能巫女” となる。
       子供を3人産み、なお精力的に活動をする。
       
石川・・・・・ゼロの言い付けを守って、キャリア官僚をゲットするも
       第二子を産む際の、夫の浮気が原因で別居。
       そろそろ許してあげてもいいか、と高飛車中。
 
 
 
長野太郎・・・ 
 
 
 
     終わり
 
 
 
  < おまけ >
 
 スピリチュアル・長崎は、ゼロ捜索時の働きを買われて
 探偵会社に就職した。
 後の霊能力探偵の誕生である。
 
 が、この話を広げたくはない。
 
 
 
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Comments

“亡き人 40” への3件のフィードバック

  1. ゆずのアバター
    ゆず

    うぅ…。 長野は??
    ゼロさんと一緒に成仏しちゃったの?
    なんか、せつないです。

  2. あまぐりのアバター
    あまぐり

    「亡き人」もとても面白かったです!
    導入部から引き込まれまくりでした。
    展開も予想外なことばかりで、先が読めず毎回「早く続きを…」と思っていました。

    最終話は光景の美しさと登場人物の感情を想像してしまって、
    悲しいような苦しいような、それでいて幸せなような不思議な心地です。
    この気持ちを上手く表現できないのが、もどかしい…

  3. あしゅのアバター
    あしゅ

    ゆずにはそう思えるんだな。
    そういう感想が、とても刺激になるよ
    ありがとう。

    あまぐり、えっ、この話を好きだったんか?
    いつもいつも、皆すまん、どうしても書きたいんだ
    我慢してくれ、と思いつつアップしてたよー。

    ありがとう。
    今後も自分本位に小説を書いていくよー。
    (と、あまぐりを共犯者に)

    この “亡き人” の見苦しい言い訳を
    “後書き” と称して
    今日 (2011.8.1) にアップするぜ。

    月始め早々から、土下座記事とは
    今月も散々な日々が待ってそうで不吉ーーー。

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