全員が延々と、は??? となっている最中
真っ先に事態を認識したのは王子であった。
「奥さま! 濡れ衣です!」
黒雪は は? と、また王子に言う。
「戦闘モードに入ってください!
このままじゃ、謀反人にされますよ!
私たち、“また” 国を追われますよ!!!」
その言葉に、黒雪のスイッチが入った。
何がどうなってるのかわからないけど、多分ピーーーンチ!
黒雪は広間の隅の花瓶を蹴り落して、その台の上に王子を乗せた。
「皆さん、王さまのお言葉は誤解です。
私たちは、この国の繁栄のみを願って・・・」
王子の言葉を王がさえぎる。
「ええい、キレイ事をヌカすな!
余にはわかっておる。
そなたが余を追い落として王になろうとしている事を!」
「アホか!
わざわざ追い落とさなくても、王子は自動的に次期王でしょ。
そんなに寝言を言いたいんなら、思う存分言えるように
永眠させてあげましょうか?」
黒雪の罵倒に、王はほら見た事か、と叫んだ。
「聞いただろう!
余を殺すと!!!」
「ほんとに、くびり殺したろか?」
拳をバキボキ鳴らしていきり立つ黒雪を、王子が止める。
「奥さま、何でも力押しに持っていくのはやめてください!
デラ・マッチョ、奥さまを押さえてくださいーっ!」
「えっ、あたしら、デラ・マッチョ決定・・・?」
嘆きながらも、3人掛かりで取り押さえるので
さすがの黒雪も、身動きが取れない。
「とりあえず、ここは引きましょう。」
「えっ? 何でよ、何も悪い事はしていないのにーーーっ。」
黒雪の言い分ももっともだが、臣下は王の命令には逆らえない。
王のおかしさに気付いているのに、王が望む通り
王子と黒雪を捕えなければならないのである。
「これ以上、この場を混乱させないためには
私たちが一旦捕まるか、逃げるしかないでしょう。
捕まえられた場合、奥さまがどれだけ暴れるかわからないから
城の被害を最小限にするためにも
ここは逃げる事を選びましょう。」
うーうー唸る黒雪を引きずりながら
デラ・マッチョたちは、王子のこの意見に賛同した。
「どこに行きますか? 王子さま。」
「とりあえず、西方向に。
西の村に行くと見せかけて、その後荒野の方面に。
あそこなら、東国の動きも把握できますから。」
黒雪が追われたなど東国が知ったら、戦になりかねない。
東国への情報漏れも、事前に止めたい。
にしても、また荒野へ・・・。
あそことは不思議な縁があるようですね。
王子は必死に女走りをしながらも、あれこれと考えた。
黒雪は縄と毛布でグルグル巻きにされて
デラ・マッチョたちに、エッホエッホと担がれて運ばれていた。
追っ手が来ていないのが、こちら側にとっては朗報であった。
続く
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