黒雪伝説・王の乱 7

「ん・・・?」
いきなり突っ伏して、地面に耳をつける黒雪。
 
「何をしてるんです?」
「シッ! 動かないで!!」
王子とレグランドは、その場で固まるしかなかった。
 
 
「・・・かすかに気配があったのよ。
 南の方から。」
「あなた、時々人間とは思えない能力を発揮しますよね。」
 
「これ、サバイバル法なのよ。
 東国じゃカリスマ山賊ってのがいてね
 そのほとんどは、見た目の良さで売ってるんだけど
 私の師匠は、真の山賊技術で尊敬されてるお方だったのよ。」
 
「さ・・・山賊がいるんですか?」
驚くレグランドに、王子が笑いながら言う。
「北国だって海賊がいるじゃないですか。
 山か海かの違いですよ。」
 
「違う!」
王子の言葉に、黒雪が怒り出した。
「東国の山賊技術は、国技なの!
 東国人は、山賊技術が生涯学習なの!」
 
王子とレグランドは目を合わせたが、無言だった。
ふたりとも、そんな国はイヤだな、と思ったが言えるはずがない。
 
 
「そんな国、何かイヤでござるねえ。」
 
王子とレグランドはギョッとした。
自分が無意識に口に出してしまったのか、と慌てた。
 
「そんな事をこんなところで大声で叫んでいるから
 こうなるんでござるよ。 フヒョヒョヒョヒョヒョ」
黒雪の背後に人影が見えた。
 
ああ、自分が言ったんじゃなくて、本当に良かった
と胸を撫で下ろしたのもつかの間
よく見ると、黒雪の喉に短剣が突きつけられている。
 
「黒雪さまの後ろ、取ったり! グフッ」
男は楽しそうに含み笑いをした。
 
 
立ちくらみを起こす王子と
それを支えるレグランドに、黒雪は手を振った。
 
「ああ、大丈夫。 こいつは知り合いだから。」
言った後に少し考えて、後ろの男に同意を求める。
「大丈夫・・・よね?」
 
男は短剣を華麗に回しながら、鞘に戻した。
「やっぱり何か起こったんですね? ハフウ・・・。」
 
 
男の名はファフェイ。
継母が数年前から忍者に凝り、側に仕えさせている。
 
「盛り過ぎた筋肉など、動きの邪魔でござるよ。
 暗殺には忍術が一番! フーッフッフッフ」
 
モデル立ちするファフェイに、黒雪が顔を赤らめる。
「ごめん・・・、継母ほんと、こんなんばっかり集めてるのよ・・・。」
 
 
 続く 
 
 
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