黒雪伝説・王の乱 8

「で、おまえ、何故ここに?」
黒雪の質問に、ファフェイは口を押さえてウフウフと笑う。
その姿を見て、レグランドは嫌悪感を覚えた。
やだ、何かこいつ、気持ち悪・・・。
 
「お后さまは、“鏡” をお探しになってるんでござるよ、ウフフ。
 黒雪さまのお側にも、もちろん間者を忍ばせてるんでござるけど
 いいところで連絡が途絶えてしまい、ウフ
 それで、それがしが遣わされたのでござる、ウフフフフ。」
膝を付き、頭を下げたまま語るファフェイ。
 
「お父さまじゃなく、お継母さまだったのね・・・。
 お父さま側は何をしてるのかしら?
 相変わらず手ぬるいわねえ。」
 
黒雪が嘆く横で、王子がファフェイに質問をした。
「間者とは誰ですか?」
ファフェイはウフウフと笑っているだけである。
 
 
「言わないのなら、私の敵って事で良いのかしら? その間者。」
黒雪が無表情で言うと、ファフェイは慌てだした。
 
「いえっ、滅相もない!
 それがしどもは心配しての事で
 決して黒雪さまに敵対などしないでござる! アフフフフフフフ」
 
小刻みに足踏みをするファフェイに
レグランドは、虫でも見るような目つきになってしまった。
 
「だったら誰なの?」
「キキキキキキドでござるっ! アフアフアフ」
 
一瞬全員が 誰????? という表情になったが、すぐに思い出した。
あのカマ美容係か・・・・・。
 
「あ、そ、そうね、お継母さまはキドと気が合うでしょうね。」
キドの意外な重要人物設定に、黒雪が愕然としながらも納得する。
 
 
「で、どういうわけであなたはここに来たんですか?」
引き続き王子がファフェイを詰問する。
「んー、さすが王子さま、核心をブラさないでござるなあ、ウフフフ。」
 
黒雪が王子の顔を覗き込んで言う。
「ね? 誘い受けってイライラするでしょ?」
 
私はこんな事してない! と反論したかったけど
怒っていた黒雪が、それを忘れて普通に話しかけてきたので
我慢して、でも返事はせずにファフェイの方を向いた。
 
ファフェイは、忍者の定番の服装をしていて
それは逆にこの世界では、これ以上にないほど悪目立ちなのだが
その上に、胸元から手裏剣をチラ見せしたりしている。
 
 
「待ったってムリよ、こいつは。」
黒雪が指の関節を鳴らしながら、近づこうとすると
ファフェイが急に後ろに飛び退いて、土下座した。
 
「フハーーーーーーーーーッッッすまぬでござるすまぬでござる言うでござる別に秘密じゃないんでござると言うか黒雪様が無事かを確かめに来たんでござる何も隠してないんでござるーーーーーーーーっっっ!!!フェッフェッ」
 
土下座しているファフェイの耳をかすめて
地面にかかと落としをした黒雪が怒鳴る。
「さっさと吐かないから、恐怖を味わうハメになるのよ!」
 
「奥さま・・・、チンピラのような言動はしないでください。」
黒雪のガラの悪さを、さすがに王子がたしなめる。
 
 
どうやら、ファフェイは腕では黒雪には敵わないようである。
 
 
 続く 
 
 
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