黒雪伝説・王の乱 17

「ああ、王子さま、お待ちしておりました。」
レグランドとクレンネルのふたりが城門前で王子を出迎えた。
「あら? 黒雪さまは?」
 
「奥さまは待機中です。
 さあ、城の者たちが心配している事でしょう
 急いで事態の収拾を図りましょう。」
 
あの黒雪さまが大人しく待機・・・?
違和感を感じたレグランドだったが
王子の後に付いて、城内に入った。
 
 
「皆さん、心配をお掛けしました。
 今から父上と話し合いを始めますので
 あと数日間だけ、このまま待っていてください。」
 
王子の言葉に、城内にいた者は全員、安堵した表情になった。
「大丈夫です、ちゃんと話せば誤解は解けます。
 親子ですから。」
王子がこう叫ぶと、拍手が湧き起こった。
 
王子はデラ・マッチョふたりを伴い
王の居室の方へと向かった。
 
 
王の部屋のドアの前では、執事が待っていた。
「おお、王子さま、よくぞご無事で。」
レグランドには、その言葉が何故か
心がこもっていないような響きに聴こえる。
 
あたし、この執事殿はどうも信用できないかも・・・
レグランドの視線に、執事がふと振り向く。
ドキッとしたが、うろたえないよう取り繕ったレグランドに
執事はニッコリと微笑んだ。
 
その瞬間、レグランドはゾッとした。
どうしよう、こいつ絶対にヤバい!
でも王子さまの腹心なんだよね?
じゃあ、王子さまもヤバいヤツって事?
 
・・・黒雪さま!
何で黒雪さまがここにいないんだ?
ああ、どうしよう、黒雪さまも騙されているんじゃ?
 
 
必死に無表情を装うレグランドを尻目に
王子がデラ・マッチョに言った。
「クレンネルは、ここで番をしてください。
 レグランドは私と一緒に中へ。」
 
そして、小声でクレンネルにボソボソと細かく指示を出す。
「はい。」
クレンネルは敬礼をした。
 
「父上、私です。 あなたの息子です。
 入りますよ。」
王子がノックをして声をかける。
 
 
レグランドは、すぐさま黒雪を探しに行きたかったが
時すでに遅し。
 
ドアがギイイとゆっくり開く。
 
 
 続く 
 
 
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