3人はコタツでグッタリとうずくまっていた。
「同時通訳はー・・・。」
「何度観てもこれは・・・。」
「何じゃ、この凶悪さは・・・。」
ジジイが怒り出す。
「救いも何もないじゃないか!
日本ではこんな事が起こっとるんか!」
「じゃ、ジェイソンは実際にアメリカで暴れとるんですかいー。」
呆れる主に、ジジイが質問をし直した。
「いや、“恐怖” の概念が、あまりにも違うじゃろ。
日本の霊はこういうものなんか?」
「霊感があったら、こんなん余計に恐くて観れませんよー。
だから日本の霊がどんなんかは知りませんけど
日本の恐怖ってのは、こういう傾向ですねー。」
ジジイが納得する。
「日本、恐すぎるぞ!
さすが、あんたを輩出した国じゃな!」
もう、言い返す気力もない主。
はあ・・・、と3人が疲れきっているところに
リオンがおもむろにドアを開けた。
「・・・また、レディーの部屋にノックもせずにー・・・。」
「心配ご無用、レディーの部屋ならノックしまーす。
おや、皆さんお揃いで今日はどうしたんでーすか?」
「・・・主に騙されて悲惨な体験をさせられたんじゃ・・・。」
「あんたが勝手に押しかけたんでしょうがー!」
ふたりの感情論に、グリスが補足をする。
「皆で呪怨を観たんですよ。」
「呪怨!
あれはいけませーん!
あんなもの恐すぎて、さすがの私もギブしまーした。
もう日本ホラーだけは封印してくださーい!」
「うちでは恐いのしか観ませんー。
じゃ、次はほんとうにあった呪いのビデオを1から観ますよー。」
「また恐いのかい!」
激怒するジジイに、リオンが言った。
「これは大丈夫でーす。
エンターティメントでーす。
日本の心霊物の最高峰の逸品でーす。」
「そそ。 これは笑いながら観れるんですよー。
じゃ、どこに霊が映ってるか、当てるの勝負ねー。」
「待て!」
怒鳴るジジイに、主が睨んだ。
「まだ何か文句でもー?」
「茶と菓子を忘れとるぞ!」
「あっ、私とした事がー。
いやあ、ナイスタイミングー。
ちょうど良いブツを輸入したとこですぜー。」
部屋の隅のダンボール箱の山をゴソゴソと漁る主とジジイ。
「これこれ、亀せんー。」
「何じゃ、ボンチ揚げじゃないか、この前食ったぞ。」
「あれとは違うんですよー、これはー。」
「わしゃ、雀の卵が食いたいんじゃが。
茶はほうじ茶で。」
「玄米茶の有機物を入手しましたよー、へっへっへー。」
「ほお、甘味はないんかの?」
「チロルチョコときのこの山、あっさり系でそばぼうろはどうですー?」
グリスがリオンにコソッと訊く。
「あの隅に積み上げている箱は、全部お菓子なんですか?」
「主が日本から取り寄せている駄菓子でーす。
これがまた絶品揃いなんでーすよ。
娯楽も食べ物も素晴らしいなんて、天国でーすよね。
私、生まれる場所を間違えまーした。
老後は本気で日本に移住を考えていまーす。」
両手に山盛りの菓子袋を抱えた主とジジイがコタツに座る。
「グリスも食べて良いですよー。
でも体に悪いんで、量は控えてくださいねー。」
「おお、体に悪そうじゃが、これは美味い!」
「この醤油味がまた、止められないんでーすよねえ。」
バリバリボリボリ食う大人3人。
TVの画面は心霊だし、まるで地獄絵の餓鬼図のような光景だった。
続く
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かげふみ 33
Comments
“かげふみ 33” への4件のフィードバック
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今朝ちょっとおかしな夢見たんですよね~。
つーか私の夢いっつもおかしなのだったりチョー面白いのだったり二度寝すると続きが見れたりするんで楽しくてなかなか起きられないんですけども~。
今朝の夢は、ランチに和食やさんに入ったんですけど、和食やさんなのにおすすめがパスタで何種類もあるんですね。
店内はお座敷オンリーで、靴ぬいであがるんです。
で、味はまあそこそこで可もなく不可もなく。
帰りにトイレ行きたくなったんでトイレ貸してくださいって言ったんです。
そしたら、トイレが中二階みたいな二段ベッドみたいな、木の枠しかなくて壁がないんです。
んで、大島紬みたいないろんな柄のちょっとすてきなお布団が敷いてあって、お布団めくると便器があるんですけど、その便器のまわりもお布団なんです。
便器の形に穴があいてるつーか、裁ちっぱなしじゃなくてちゃんとそういう形のお布団なんです。えーお布団の中でオシッコすんのいやだ~(´Д`)っと思って、すごいオシッコしたいのに全然出ないんですよ。
つーかたぶん夢の中でオシッコ出てたら現実の私はオネショしてただろうと容易に想像できますけども。
んで、結局オシッコ出なかったから、もういい帰りますつって下駄箱から靴(スニーカー)出してもらって履いたら、スニーカーのヒモが何十本ものパスタなんです。
ええええなんでパスタ!?とは思わないで、ああもう本数多すぎ!とか茹ですぎだよ~ブヨブヨしてんじゃん!とか思いながらがんばって結んで帰りました。
帰ってる途中で目が覚めた。
目が覚めて速攻トイレ行きました。
いつ終わるのかと思うくらいオシッコいっぱい出た。
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・・・人が見た夢の話ほど、つまらんものもない
という、人生の格言を踏みにじったコメントを
ありがとう。でも、私、その話を膨らませられるぞ。
さすが夢のみで小説を書いた文豪!
ほーほほほほほ ほーほほほほほほほほと、有頂天はこれぐらいにしといて
夢の中でトイレに行きたい時って
絶対に現実でも行きたいよね。・・・私、夢の中でおしっこするんだよ・・・。
でも現実に漏らしてはいない。
夢の中で気分良く、トイレに行ってるのに。ちなみに大小どっちの夢も経験済み。
特にババアになってからは、おしっこの夢ひんぱん。私、人生でおねしょした事が1度もないんだ。
えらいシモが固い子だ、っていうのが
かあちゃんの自慢だったんだよ。それもババアになった今、膀胱も衰えが顕著なはず。
気分良く夢の中で放尿しとるが
ある朝目覚めて、人生初の 「あっっっ!」 が
いつ来るか、恐怖だよーーー。てか、初おねしょがババアになってから、って
ものすごく悲劇じゃねえ?
いや、おねしょするとは限らない。
その前に予防的措置として、オムツがあるさ! -
女な~ら出っ張らなくちゃムキムキっとさせなくちゃ鍛え上げてご一緒に~括約筋♪
じゃあ次の小説はこの夢の話を膨らませたやつですね~♪♪
楽しみにしてます!!
イェ~イ♪
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・・・私はグロとかスカトロは
とても苦手でな・・・。意外に乙女。 ほほほほほ
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