昨今、“お客様満足度” とか、そういう事を企業が言っている。
日本は昔っから接客が上等なのに、今更何を言い出したんだろう?
と、不思議だったんだ、この言葉。
だけど、やっとわかったよ。
この企業理念の真の意味が。
とある器具を買った。
ところがそれがちと支障があって、使えない。
でもこれが仕様かも知れないし、という可能性もあったので
まずは保証書に載っているお客様相談センターの方に電話をした。
こうなるんですが、これは我慢すべきでしょうか?
と問うと、それは不具合だから修理に出してくれ、と言われる。
言われた通りに修理に出して、しばらくしたら
メーカーから電話が掛かってきた。
テストをしたけど異常はない、と。
そんなわけはないんだが、わからないらしい。
とりあえずAの部品を交換して返す、と言われたので
Aの部品じゃなく、Bの部品が問題なんだと思う。
だからAじゃなくBを交換してくれ、と頼んだ。
私の訴えを聞いていれば、Aの交換など言い出すのはおかしいんだよ。
素人でも、Bの部分がおかしいと考えるはずなのに
一体どういうこったい?
この電話では、相手がものすごく困っていたので
これで直らない場合は諦めますから、と申し出ると
そうしていただけますか、と、すがるように言われた。
で、器具が手元に返ってきた。
お願いした通り、Bの交換がされていた。
・・・・・直ってるんだよ、支障が!!!
メーカーは原因不明だと言っていたけど
やっぱりBに不具合が出ていたわけじゃん。
これは教えてあげないと、と再びお客様センターに電話をしたさ。
以前にメーカーの人が、事例報告はものすごく大事だ、と言っていたんだ。
で、一通り説明をしたら、担当部署に電話を回された。
もう一度最初から説明をした。
すると、「不愉快な想いをさせて申し訳ございませんでした。」 と言う。
いや、私は文句を言ってるんじゃなく
お礼を兼ねて、報告をしてるんで
おこがましいけど、今後の参考にしてもらえれば、と思って
原因不明だと修理の人が言ってたから
と、一生懸命に説明した。
「では修理部門に電話を回させていただきます。」 と言われ
違う、この不具合は製造段階で発生してるわけで
修理じゃなく、作る時に気をつけるべきものでしょう、と言うと
また、不愉快な想いをさせて申し訳ないと謝られる。
もう言葉が通じている気がせず、電話した事を後悔したよ。
私、クレーマー扱いですか? と直球で訊いてしまったさ。
「いいえ、とんでもございません!」 と、強く否定されたけど
人間同士の会話ではないんだ。
電話を切った後に、一体どういう事なのかと考えた。
で、わかった。
“マニュアル通りの受け答え”
その番号に掛かってくるのは、大抵苦情の電話であろう。
だから担当者はクレーマー対応を教えられているわけだ。
そこに種類の違う内容を言われてきても
個人の判断で応用を利かせた場合に
ヘタしてメーカーの責任を問われる事態になりたくない
だからマニュアルで習った以外の対応は出来ない
こういう事なんだと思う。
“謝ったら全責任を取らされる”
これは日本の社会にはない概念である。
しかし、“グローバル” とかいうやつになってきて
日本でもこの感覚が幅を利かせてくるようになった。
メーカーは一見、謝っているように見えて
実は決して非を認めてはいない。
自分とこの製品が悪いのではなく
“不愉快な想いをさせた” 事にのみ、謝っているのである。
見事な責任逃れである。
こうやって型通りのやり取りしかしてくれないので
メーカーとマトモな話をするのは難しくなってしまっているんだろう。
「私の場合、Bが悪かったみたいでしたよー。」
「ああ、そうだったんですかー
同じような事故がないよう、その事例を参考にしますね。」
こういう話をしたかっただけなのに
申し訳ない申し訳ない、と繰り返されて
私こそ、余計な電話をして申し訳なかったよーーーっ!
で、この経験でわかった、カスタマーサービスの真の意味。
カスタマーサービスとは、客への対応ではない。
“顧客になってもらわない方法” である。
「そんなんで文句を言うヤツなど、客にならなくて結構。」
という、取り引きしたくない性質のヤツが、文句を言ってきた時に
どんだけ穏便に追い返すか、という技術なんだと思う。
企業の担当者は、客へのサービスだと習っているんだろうけど
それはカスタマーサービスの専門家の嘘だと思うぞ。
企業がCS教育者に求めているのは
表向きは客大事に見える、クレイマーの門前払い。
まずはそれを、担当者に “サービス” だと思い込ませないと
長い事やってると、心が壊れてしまいかねんからな。
正当かつ美しい理由がないと、酷な業務だろうし。
“誠意” は、金銭物品サービス等の付加じゃなく
心のこもった 「ごめんなさい」 という態度で表してほしい客なら
「不愉快な想いをさせて申し訳ございません。」
この言葉にこそ不愉快になる。
こっちのどんな気持ちも、ひとくくりだから。
私は日本の企業を大事にしたいけど
向こうは私をいらないようで、悲しい。
そう思わせてくれる言葉である。
評価: カンロ
コメント:特別な私のための選民意識キャンディーの呪縛を解き放してくれたのが、これ。 何か塩気がある割に、キャラメルらしい味のキャンディー。 ヴェルタースよりバター風味がないんかな。 しかし、“サレ” ってのが、“塩” って意味だとはなあ・・・。 |
コメントを残す