ババア’s トーク 5 ヨネの裏稼業

(ピンポーン)
ヨネ 「何ね、それは。」
ウメ 「チヨさんが、『お茶会で余ったけん持って行け』 てたい。」
ヨネ 「おお、マカロンね。 意外に出番が早かったばいね。
    こげん、カルメ焼きもどきが1個500円とか、よお買うね。」
 
ヨネ 「チヨさん、“お茶会” も始めらしたとね?」
ウメ 「本人は “女子会” て言いよらしたけんど
    うちゃ、そこまで図太か事は、よお言いきらんたい。」
ヨネ 「あん人の時間は何歳で止まっとっとだろうね?」
ウメ 「さあね。 バブルん時には、もう止まっとらしたよ。」
ヨネ 「FFで言えば、ストップの呪文かね。」
ウメ 「なら、あん人は黒魔法使いね。」
ヨネ 「しかも、まさかの高LVじゃろ。」
 
 
ウメ 「ちょっと避けてくれんね、え、よっこいしょうのすけ、と。」
ヨネ 「新しいロングブーツじゃなかね。
    前に買うたサイハイブーツもあるとに、また買うたとね?」
ウメ 「サイハイ、邪魔だけん、折りたたんでしまっといたら
    貼りつき合うて剥がれんでよ。
    安物合皮は、うちらより年を越せんよね。」
ヨネ 「リアルな例えをせんでくれんね。
    サイハイはさすがに年齢的にキツかったけん
    神の裁きが下ったっちゃなかね?」
 
ウメ 「“神の采配” とか言うとなら、聞く耳持っとらんけんね。
    それはよかけど、こん家のなんちゃってバリアフリーは何ね?
    5mmの段差で、もう車椅子はひとりでは動かしきらんとに
    玄関の上がりがまちが3cmて、意味がわからんばい。
    靴を脱ぐにも廊下で転げ回らなんじゃなかねーーーっ。」
(ゴロゴロドタドタ)
 
ヨネ 「それは、おめえがブーツを履いて足をむくませとるせいたい。」
ウメ 「ブーツを履いとったら、店員に “おばあちゃん” じゃなく
    “奥さん” て呼ばれるけん、やめられんとたい。」
ヨネ 「歳に合わん格好を平気でしとると
    面倒くさそうなババア、て思われるとだろね。」
 
 
ウメ 「チヨさんが2丁目に行かんね、てたい。」
ヨネ 「どこの2丁目ね。」
ウメ 「いきなり “2丁目” という表現を、新宿以外にせんだろて。」
ヨネ 「何でうちらが2丁目ね?
    そこの方が、“いきなり” だろたい。」
ウメ 「マツコ・デラックスがいるところ、と思うとらすとよ。
    最近のチヨさんは、マツコの言う事なら何でも間に受けとらすけん
    本人を一度見てみたからしかよ。」
ヨネ 「部外者が行ってん、嫌がらるっだけじゃし
    今のハッテン場は2丁目じゃなかとにね。」
 
ウメ 「問題はそこじゃなく、うちらがいつもあん人に振り回されとるとこよ。」
ヨネ 「うちゃ、振り回されとらんばい。」
ウメ 「じゃけんど、おめえ、たいぎゃな悪口言われとるよ。」
ヨネ 「おめえ、かばってくれとらんとね。」
ウメ 「かばってん、よかばってん、派閥抗争になるばい?」
ヨネ 「何でババアになってからも、JKみたいな事をせなんとね?」
ウメ 「じゃろ? チヨごとき、ニラニラとウォッチしときゃよかったい。」
 
 
(ガタッ)
ウメ 「うわ、たまがったあ!」
孫 「あ、すんません。」
ヨネ 「こら、流風吹 (るふぃー)、ノックぐらいせんね!」
孫 「・・・ふすまを?」
ウメ 「入り口横に鐘でも付けたらどうね?」
ヨネ 「うちの部屋はサ店じゃなか!」
 
孫 「ばあちゃん、ちょっとパソコンば貸して。」
ヨネ 「よかよ、ちょっと待って。
    パスワード、Y・・・O・・・N・・・、Eはどこかいね?」
(ポチ・・・ポチ・・・)
孫 「あ、あとは自分でやるから。」
 
 
ウメ 「・・・寒うなったねえ。」
ヨネ 「ほんなこつねえ。」
ウメ 「お茶が美味しかねえ。」
ヨネ 「(ジロリ) ・・・ほんなこつねえ。」
ウメ 「寒うなったねえ。」
ヨネ 「(ジロリ) ・・・ほんなこつねえ。」
ウメ 「お茶が美味しかねえ。」
ヨネ 「・・・ほんなこつねえ。」
(以下 リピート)
 
孫 「ばあちゃん、ありがと。」
ヨネ 「おお、よかよか、そのまま置いときなっせ。」
 
 
ウメ ヨネ 「・・・・・・・・・」
(パタン ペタペタペタ・・・)
 
ヨネ 「ちょ、ボケババアのフリば、させんでくれんね!
    うちの溢れる活力感は、24時間身内に隠しきれんよ。」
ウメ 「活力あるババアがいつもふたりで喋っとったら
    何の暗躍かと疑われかねんばい。
    て言うか、ここんちは孫にパソコンも持たせとらんとね。」
ヨネ 「今の若い子はケータイでネットしよるけんね。」
ウメ 「・・・おめえのパスワード、YONEじゃなかろうも?」
ヨネ 「おめえに預けとるのは隠しユーザーのパスたい。
    このパソコンは、パスなしで開くオープンひとつと
    表向きメインのYONEだけじゃなく
    真のうちの活動場である、隠しユーザーの3層に分けとるとよ。
    時々ああやってパスを漏れさせる事で
    ガードが緩い、と安心させとるわけたい。」
 
ウメ 「ババアのパソコンの中身なんか、誰も気にせんと思うけんど
    自分ちのババアがハッカーだと知ったら
    家族は表を歩けんくなるよね。」
ヨネ 「そこまで悪らつな事はしとらんよ。」
ウメ 「おめえがどんな地下活動をしようがよかけど
    夜中の2時にメールでパスを訊かんでくれんね。」
ヨネ 「いやあ、歳のせいか時々ド忘れすっとよ。
    パスとか家に置いとくのが、盗まれる一番の原因たい。
    どうせ夜中に何度もトイレで起きるとだけん、よかろうもん。」
ウメ 「うちの頻尿を、夜間金庫のように利用せんでくれんね。」
 
ヨネ 「流風吹、何ばしよっとかと思うたら、アイドルの整形疑惑ね。
    だけん、大きか画面で見たかったわけね。」
ウメ 「おめえの孫、案外くだらんね。」
ヨネ 「せからしか。 あん年頃なら、しょんなかたい。」
 
(タタタタタタタン)
ウメ 「何ばしよっとね。」
ヨネ 「いや、せっかく立ち上げたけん、巡回たい。」
ウメ 「おめえ、『更年期ですかpgr』 て、あおられとるよ。」
ヨネ 「任せんね。」
 
(タタタタタタ タン!)
『自己紹介乙。 あっ、ごめんごめん、妖精サン一歩手前のDTクンだったね。
 右手のイカ臭がマウスに移ってるんじゃね?ゲラゲラ』
 
ウメ 「DTちゃ何ね?」
ヨネ 「童貞の事たい。
    30歳まで童貞だと、妖精になれる伝説がネット界にはあるとよ。」
ウメ 「うわ、ひどか・・・。
    おめえ、若いもん相手に何しよっとね。」
ヨネ 「今のクソガキは、言葉の暴力を知らんけんが
    うちが月に代わって、しばき倒しよっとたい。」
ウメ 「そん、“言葉の暴力” を知り尽くして
    一番活用しよっとは、おめえに見えるけんどん。」
ヨネ 「くだらん事で人を傷付ける言葉を吐く方が悪か。」
ウメ 「程々にしときなっせよ。
    暴力は暴力しか生まんけんね。」
ヨネ 「リアルで言葉の暴力を使いよるおめえに言われるとは・・・。」
ウメ 「うちが何したて言うとね?」
ヨネ 「あー、だけん “天然” は最強で、面倒かばいた。」
 
 
ヨネ 「そんなうちも、スマホはめんどかとよ。」
ウメ 「老眼にあの画面はつらかもんね。」
ヨネ 「なのに、今うちじゃスマホ切り替え計画が浮上しとって・・・。」
ウメ 「それ、ピリカラが言い出したっちゃなかね?」
ヨネ 「何でわかると?」
ウメ 「あの女は夫の携帯を盗み見するタイプたい。
    スマホの追跡アプリ狙いじゃなかね?」
ヨネ 「よおわかるね。
    でも我が息子ながら、モテる気配もなかよ。」
ウメ 「そういう男は出会い系たい。」
ヨネ 「我が子のそういう話にゃ首を突っ込もうごとなか。」
 
ウメ 「そうは言っても、おめえの息子がいらん事して離婚でもされたら
    おめえはこの、微妙ななんちゃってバリアフリーハウスで
    息子と二人暮らしの、老老介護まっしぐらだけんね。」
ヨネ 「うちゃ、施設にでも入るけん。」
 
ウメ 「おめえがバリキャリで、育児を親任せにして出来上がった
    三文安の脳なし息子の方が生きていけんと思うが。」
ヨネ 「おめえ、たいぎゃな言いたい放題じゃね。」
ウメ 「おめえんちの心配をしてやりよっとに。
    嫁さんば大事にしてやんなっせ。」
ヨネ 「・・・そう言われると、うちも平和なのが何よりだけんね・・・。」
 
 
嫁 「ただいまー」
ヨネ 「おお、愛美さん、おかえり。
    今日は寒かったけん、大変だったろ?」
嫁 「ええ、だから今夜はキムチ鍋にしようと思って。」
 
 
(タタタタタ)
『うちの嫁が毒を盛ってるかも知れない件
 1:名無し 2013/2/ 辛いものばかり食べさせられてます… 』
『2:名無し 2013/2/ トメトメしく2get』
『3:名無し 2013/2/  クソスレ立てんな 文句があるなら自分で作れ』
『4:名無し 2013/2/  削除依頼出しとけよ』
『5:名無し 2013/2/  クソトメ 糸 冬  了 』
 
ヨネ 「・・・・・・・・・・・」
 
 
 

評価:

志水 ゆき

新書館


¥ 2,100

(2010-05-24)

コメント:おめえ、ちょっとうち来いやあ! と叫びたくなる美少年ポーズ集。 文豪の私には構想用としてアリかも知れんが、現実を見て生きにゃならんので、画伯にお勧めするよ。 ポーズがわかりやすく、資料として1級品だってよ。

Comments

“ババア’s トーク 5 ヨネの裏稼業” への4件のフィードバック

  1. なかりのアバター
    なかり

    アフィのシリーズ…当方、まだ実は手に入れておりません。
    最初は、同出版社の「アタリ線のみのノッペラボウがポーズをとってる本」を
    購入しようかと思っています。
    ノッペラボウは色気はありませんが、その分扇情的なポーズも多いのです。
    それと写真の場合、被写体のイメージが脳内に焼付き、
    逆に筆が進まなくなりそうで。
    こちら経由で好きなアニメのサントラCDと一緒に買うつもりです。

    2丁目が新大久保同様、女性や旅人の観光スポットになってしまったのは
    いつ頃でしょう。
    その為、東京の発展場はあちらこちらに分布しておるようです。
    上野、新橋、浅草…
    また郊外の大きな公園なども利用されているとのことです。

    ウメさんの「暴力は暴力しか生まんけんね」名言だと思います。
    このシリーズのお二人の世情分析は、笑いの中に冷静さと厳しさが有り
    古き良き映画を観ているような気持ちになります。

  2. あしゅのアバター
    あしゅ

    なかりちゃん、この写真集、シチュエーションを変えて
    4まで出てるらしいけど
    その中では、これが一番参考になったって
    レビューが多かったよ。

    写真集を買う気になったなら
    今んとこ、これがお勧めっぽい。

    て言うか、エロに挑戦するんか?
    うーむ、私も殻を破って
    エロ描写も念入りに書くべきか・・・。

    30年前は、もう2丁目は有名だったよ。
    レゲエバーが乱立して、踊れたんで
    ノンケも踊りに行ってたし。

    “見物” に来られるとか、良い迷惑だろうね。
    ハッテンバが女性にとって安全かというと
    バイもいるから、そんな事もないんだよね。
    とりあえず、住み分けすべき場合もあると思う。

    褒めてくれて、ありがとうーーー。

    ヨネを2ちゃんねらーにしたのは
    嫌なやり取りしか出来ないヤツも多い場だけど
    実はこういう婆さんがやってたら
    ちょっとは、はいはい、と流せるかな、と思ってさ。

  3. あーみんZのアバター
    あーみんZ

    ン、)ジー

    愛美さんてピリカラのことですかぁ~?

    とうとう登場しましたね!

    むむむ。キムチ鍋

    ◯ちゃんっぽい掲示板の内容も笑えました。

  4. あしゅのアバター
    あしゅ

    あーみんZちゃん、そう、愛美 (えみ) さんは
    ヨネの息子の嫁、ウメのいう “ピリカラ” だ。

    ピリカラ (愛美) は1話目で既に出てるよ。
    良い嫁のようで、違うような?

    価値観の違いか、ジェネレーションギャップか。
    まあ、人の孫をくだらん扱いするウメと
    それを流すヨネも、かなりヘンなババアだしなー。

    でも、何でピリカラが人目を引くのか
    地味な脇キャラなのに、不思議すぎる・・・。
    ジェ、ジェネレーションギャップ?

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