隣に空き地がある。
ある日、その端っこに人が立っていて
一段下に立っている民家を見ていた。
その人は、業者みたいな営業マンっぽい男性だった。
上着が作業服で、下にワイシャツとネクタイ
スラックスに革靴だったので、そう感じたのだ。
空き地は、オヤジ、もしくはその息子と思われるヤツが
時々草刈りに来ている。
多分、土地の持ち主だと思う。
そう思う理由は、軽トラで来るのだが、自家用だし
電動草刈り機を使っているが、段取り手際が悪く
一日仕事で刈っているので、専門業者には見えないこと。
でも、軽トラと電動草刈り機を所有しているので、農業従事者だと思う。
違うなら、他に土地を1~2ヵ所所有しているのではないか。
1箇所だけ、もしくは何ヵ所も所有しているのなら
素人なら業者に委託するだろうし、と、勝手に推察している。
で、その土地に立っていたのは、草刈り親子ではなく
見知らぬヤツだった。
そいつが見ていたのは
その土地の高さに1階の屋根が来る立地の、2階建ての一軒家。
空き地側は家の裏手にあたり、玄関は反対側にあるつくりで
割にキレイな和風チックの家である。
何をしているんだろう? と、思ったが、数日後に気付いた。
その男性が見ていた家の、1階部分の瓦が割れているのである。
足跡のように、何枚も割れていて
それは2階の窓へと続いていた。
一瞬、あいつが泥棒に入ったのか? と、思ったが
そんな騒ぎが起きた様子はない。
窓は普通のサッシだが、何も破損の跡もない。
瓦の割れの修理を見積もりに来た業者なら納得なんだが
そいつを見かけた時に、既に瓦が割れていたのなら
怪訝に思って見ていた私が、こんな目立つ破損に気付かないわけがない。
こういう謎が大好きな私なので
どういうことだろう? と、しばらく瓦を見ていたが、ふと気付いた。
瓦は、窓の下が一番深く割れているのである。
これは、空き地から窓に行ったのではなく
窓から瓦の上に飛び降り、屋根を渡って空き地に飛び移ったという事。
普通の焼き瓦は、素人がヘタに乗ると、すぐ割れる。
にしても、あれだけ歩く度に割っているなら
よほどの肥満か、底の固い靴を履いていたんじゃないのか?
しかし、その家の住人が、それをする理由がわからない。
その窓は、私が知る限り、一度も開けた事がなく
しばらくは空き家かと思っていたほどである。
アンテナ取り付けだの、壁補修だの
不良息子or娘 (いるとしたらだが) の夜遊び抜け道だの
あらゆる可能性を考えてみたが
納得できる答が見つかっていない。
これは普通に考えて、空き巣だよなあ?
玄関から入って、2階窓から脱出としか思えない。
不思議なのは、私がその割れを見つけたのが、1月あたり。
いまだに瓦はそのまま。
うちから視認できるだけで23枚割れている。
小さいヒビなら、もっとあるかも。
住人は普通に生活しているようだ。
瓦の割れに気付いてないのか?
瓦に破損があると、そこから雨露ダダ入りで
すげえ家が傷むんだぞ。
ヒビの1本からでも、水分がジワジワと内部に入り込み
カビたり、柱や壁、家全体を腐らせる。
建築では、何より、まず一番に重視せねばならんのは
水をいかにブロックするかという事なのだ。
水も湿気も家には大敵!!!!!
だから瓦とトイは、家にとってすんげえ大切な最前線バリアなのだ。
まさに今、大雨なんで、見ててハラハラしてるぜ・・・。
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