東京にいた頃の話。
私のクラスの女子は弁当派が多く
いつも昼飯は、数少ない外食派の女子と食いに行ってたのだが
その子らは、彼氏とデートだの、バイトだので休みの事も多く
そういう時は、他のクラスの女の子たちに誘われるのだ。
何故、違うクラスの子と友達になったのかは、覚えていない。
ある日、その他クラスグループと飯を食いに行った時に
いつものメンバーがひとりいないのに気付いた。
「今日はAは?」 と聞くと、休んでいるとのこと。
Aはすげえ騒がしくて苦手だったので、ホッとした。
それが顔に出てたのか、「Aの事、嫌い?」 と、いきなり聞かれた。
「うーん、うるさくてちょっと苦手かな。」 と、正直に答えると
「あしゅらもそう? 私も実は好きじゃないんだよね!」
と、別の子が同意した。
それから、飯を食ってる間中
Aがどうした、Aがこうした、の話題で盛り上がった。
その数日後、再びそのグループと飯を食いに行く事になり
その時Aはいたのに、置き去りにしていた。
聞くと、グループ内では皆Aに嫌気が差し、無視しているらしい。
その時もAの悪口ばかりだった。
うるさいAがいなくてスッキリしていたので
最初は一緒になって、楽しくAの悪口を言ってたのだが
Aがどんだけうるさいかは力説したいけど
Aの容姿や金遣いやクセなどの非難は、正直どうでもいい。
数回そういう状況になり、何か面倒くさくなってきた矢先に
自分のクラスの昼飯友人が、真面目に学校に来るようになり
自然とそっちの友人と飯を食いに行くようになった。
その後も見かけた時は、相変わらずAは仲間外れにされていた。
ある日、図書室にいたら、知らない女の子に話しかけられた。
「あなた名前は何て言うの? 私はB。」
その子は、Aやくだんのグループと同じクラスだが
バイトで長期間通学していなかったと言う。
Aと特に仲が良いようで、ふと見ると向こうにAもいる。
Bが 「3人でお茶しに行こうよ。」 と、言い
Aが 「でも・・・」 と、渋ったが、Bが強引に引っ張り
私は何の気なしにボケーッと着いて行き
結局3人で何事もなかったかのように茶を飲んで、普通に喋った。
この私の行為は、どっちつかずの卑怯者なんじゃないかと
途中で気付き、モヤモヤしたものが胸に残ったが
悪い事にその日以降、Bは再び学校には来なくなったらしく
Aは私にくっついて回るようになった。
相変わらずキャンキャンうるさくて、イライラさせられ
とうとう 「おめえ、うるせえんだよ!」 と、ブチ切れた。
すると、Aは悪びれず 「ごっめーん。 でも、いいじゃん。」
と、あっさり笑って済ませた。
その時に初めて私はAを理解できた。
なるほど、こいつは根はサッパリしたヤツなんだな、と。
それ以来、Aを罵倒しながらも、一緒にいるのが苦痛じゃなくなり
そんな私たちを、例のグループは遠巻きに怪訝な表情で見ていたが
その子たちとも私はいつも通りに接し、何の質問もされなかった。
そうこうしてる内に、徐々にグループとAは口を利き始めたようで
Aとグループが一緒にいるところを時々見るようになったが
グループと仲直りした後でも、何故かAは私につきまとっていた。
しかし、私には罪悪感があった。
Aの悪口を最初に言ったのは
仲間外れにされるきっかけを作ったのは、私である。
このまま、なかった事にしたいが、自己嫌悪がたまらんし
他からAの耳に入る可能性もあり
そしたら黙っていた事で、私はもっと卑怯者に堕ちてしまう。
私がそういう事をしたヤツだとわかったら
それで絶交をされるかも知れんから、すげえ恐いけど
Aには、知った上でどうするかを決める権利があると、腹をくくった。
「おめえ、一時期無視されてたじゃん。
あれ、実は最初に悪口を言ったのは私。」 と言うと
Aは案の定、大騒ぎをした。
「ええええええええええ? 何でーーーーーっ?」
「おめえ、すげえうるせえじゃん、大嫌いだったんだ。」
と、ストレートに言うと、Aは悲しそうに
「今は・・・?」 と、聞いてきた。
「今は好き。 中身はサバサバしてるってわかったし。」 と、答えたら
「じゃ、別にいい。」 と、Aは言い、この話はこれで終わった。
えええ? と、拍子抜けだったが
Aは言わないだけで、私の何倍もあれこれ悩んだのだろう。
散々罵られた方が、かえってこっちはスッキリするんだが
被害者であるAが終わらせた以上
私のこのモヤモヤは、罰だと思って持ち続けるしかない、と諦めた。
この話は二度と出なかった。
この経験は、私にとって不可解な事だらけであった。
言い分としては 「まさか、あんな事になるとは」 だ。
だが、今になって思い返すと
もしかしてイジメというのは、何人が関わろうと
煽動してるのは、いつもひとりふたりではないのか?
常々、自分の周囲で不可解なトラブルが続発すると不思議だったが
もしかして私は無意識的煽動者ではないのか?
上の事例では、口火を切るだけ切って、あとは放置。
そういうつもりじゃなかった、という言い分で
「まさかあんな事になるとは」 だ。
これって、キャンプのたき火の不始末で山林大火災!!
と、何ら変わらん大迷惑だと思う。
どういう結果になるかを考えない言動は、それだけで重罪である。
“悪気がない” など、何の免罪符にもならんよ。
チャッカマンかい! っての。
これ以来、自分が関わった事を他人事にするのはやめた。
しょせん考えの足りないドバカなので
思った事をすぐ口に出してしまうのを直せる自信がない。
自分の気に入らない事に、文句をガンガン言うのも多分やめられない。
だったら、せめて悪を自覚して言おう。
とりあえず、自分の言動は、いくら自分では正しいと思えても
常に疑問を持っておこう、“万が一” を恐れよう。
で、間違ってるとわかったら、素直に詫びまくろう、と。
何か反省の方向性が違うような気もするが
何故かAとは、今でも付き合いが続いている。
いまだにうるせえ。
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