監禁目撃談

数年前に、とある観光地によく行ってた時の話。

駅前に露店があった。
行く度に、ちょこちょこ覗いていたのだが
その露店はいつも初老の女性と、20代ぐらいの男性と
その間に可愛い女の子が座っていた。
観光地の露店なのに、全員、無愛想。

ところがある日、思いがけずにTVでその一家を見て驚愕した。
関西ローカルニュースなので、全国的話題にはなっていないと思うが
事のあらましはこうである。

ある日の夕方、いつものように店じまいをし始めた時に
娘がスタスタと駅前の交番の方に歩いて行った。
交番は露店と、道を挟んで真向かいにあったのである。

娘は警察官に助けを求めた。
この女の子は一家の娘などではなく
確か出会い系だったと思うが
それで会った男性に長期間監禁されていたと訴えたのだ。

男性は30代、女の子は10代であった。
(確か、18歳か19歳)

警察官は、すぐさま女の子を保護した。
露店の男性は、女の子を追って交番に駆け込み
女の子に何かを叫びながら、警官たちに取り押さえられた。
男性は逮捕された。

1年ほどの期間だったか、月1ぐらいでそこへ行き
電車待ちや一休みの時など
結構、この一家を遠目にジロジロ見てたんだが
その理由が、見た目での年齢の違和感である。

初老の女性は60代に見え、男性も女の子も20代に見えた。
母親と息子と娘にしては、無理があるような・・・
と、それが引っ掛かってしょうがなかったのである。

男性と女の子を、いきなり兄妹断定して
夫婦か恋人じゃないかと、まったく疑わなかったのは
よくわからないが、あのお互いを無視する雰囲気が
まさに馴れ合った “家族” に感じたからだった。

いくら冷め切ってても、空気のような存在でも
一瞬でも色恋関係にあった夫婦と
それがない親兄弟の出す雰囲気って、何となく違いがあるだろ?

そして、露店の周囲のお店の人たちと同様に、私も
「ええっ!!! あれ、監禁されてたの?」 と、驚いたのは
とてもそうは見えなかったからである。

よく男性がいない時があり
それでも女の子は、初老の女性と一緒に普通に店番をしていて
通りすがる私にも 「いかがですかー?」 と、声を掛けた事もある。

端から見ていると、男性はグウタラに見えた。
お店の事は全部、女性ふたりでやってたからだ。

この事件、これ以外の事情もその後もわからないが
女の子が未成年だった事だけが敗因のような気がしたんだ。

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