目玉焼きに色んな種類がある事を知ったのは、小学生の時だった。
ホテルの朝飯で、オムレツとかスクランブルエッグとか選ぶじゃん。
あれで目玉焼きを指定したら、更に 「焼き方は?」 と訊かれ
脳の温暖なガキだった私は、目玉焼きは目玉焼きじゃん、とフリーズし
兄がそれを見かねて教えてくれたのである。
よく覚えていないが、片面焼きか両面焼きか固焼きか半熟かとか。
この後、ウィンナーかベーコンかハムかソーセージか
ジュースは何のフルーツにするか、コーヒーか紅茶か
朝っぱらから飯の事で、何でこんなに尋問されにゃならんのか
何てこったい、と疲れ果て、結局シリアルしか口にせず
余りは、食い残しを異様に嫌う兄が、ヒイヒイ言いながら食ってくれた。
今は、ちょっとだけ目玉焼きにもこだわりが出てきた。
朝に食うなら、両面焼きを醤油をかけて。
普段の料理に油を使わない私も、この両面焼きだけは油を多めに使う。
目玉焼きと言うより、目玉揚げ? ってぐらい。
両面焼きは、外はカリカリに焦げ、黄身は半熟が好きなのだ。
これをするには、油が多くないとひっくり返す時に黄身が破れてしまう。
うるせえ、テフロンのフライパン、すぐダメになるんだよ!
小さいのを、目玉焼き専用として常備してるのに
くっつかないのは、ほんと最初の数ヶ月のみだ。
テフロンってそういうものなのか、私の扱いがザツなのか
人生でこれほど買い換えをさせられてる物もないが
鉄のフライパンは、油を嫌う私には育てられないので無理。
夜に食うのは、片面焼きに塩コショウを振ったやつ。
油少なめに、片面だけ焼いてフタをして半熟に蒸す王道の目玉焼き。
何故これが夜限定かと言うと、自分でも不可解なんだが
これを朝食うと、ものすげえ胸焼けがするんだ。
私の胃だと、朝の目玉焼きは醤油に限る。
この目玉焼き、単純な卵調理だとナメていたら
人によって、かなり食い方に違いがあるようである。
かける調味料も、私にとっては意外に思えるものをかけてて
しかも、それじゃないと気持ち悪くて食えない、と言うんだよ。
今までに見たのは、ケチャップ派とウスターソース派が結構いて
ひとりだけだが、マヨネーズってのもいた。
これらの調味料って、オムレツにはアリだけど
目玉焼きに? と思う自分の固定観念も、ちょっと不思議だが
かける調味料って、個人のものすごい信念かも知れない。
そんで、自分のかけてるものが一般的だと思い込むんだよな。
必ず相手と、「ええー? それおかしくねえ?」 と言い合う。
中には毎回これで夫婦喧嘩をしている人もいた。
好き好きだとは思うが、意外なものをかけて食ってるって
横で見ているだけで気持ち悪い場合もあるもんな。
あと、食い方。
私は黄身を崩しつつ、白身に黄身を絡めて食うんだが
白身だけを先に食べて、黄身は最後にひと口で、ってヤツが多い。
言い分は、黄身を崩すと皿が汚れるから、だと。
私の食い方を 「汚い」 と罵られたぜ。
もう、これに関しては反論が山ほどあるけど
何となく面倒くさいので放置してしもうたが、絡め派の名折れか?
一番驚いたのが、白身だけ食って黄身は丸ごと残し。
白身は好きだけど、黄身が嫌いだそうだ。
でも卵焼きは食う、ってとこが、本当に謎だった。
目玉焼きを焼いてる最中に、黄身を破ってしまう事ほど
ムカつく事も、そうそうない。
てか、卵を割り入れた瞬間に黄身が崩れたら、ガス台返しをしたくなる。
アメリカの映画では、よくスクランブルエッグを作るシーンがあるが
フライパンに卵を何個か割りいれて
フォークでグジャグジャとかきまぜていて
それだから私はアメリカが嫌いなんだよ! と、怒りに満ちる。
何故ボウルで卵を溶く繊細さがない!
(こういう事を、“私” に言われる自体、終ってるよな)
そんなんだと、あの白身のとこのヘソの緒みたいなんがモロ出しだろう。
あれ、黄身固定のロープのような役目?
何なのかよくわからんが、気持ち悪くて嫌いなんだ。
卵の生い立ちやら意味やら仕組みやらといった素性って
深く考えると食えなくなるので、見て見ぬフリをしている。
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