誰が付けたんか、日本の医学用語ってほんと誤解を招きやすい。
分裂病は分裂してねえし、百日咳は二百日かかるし。
“劣性遺伝” ってのも、その響きからして
悪い方に解釈してしまうだろ?
現に、「劣性遺伝だから体が弱い」 みたいな事を言われる。
ハスキーと言えば、あの青い目がラブリーだが
あの目の色は、色んな犬種に出るのだそうだ。
ハスキーは、あえて青い目の遺伝が強く出るように
交配させて作った犬なんだと。
私はシェットランド・シープドッグを実際に目撃した。
犬の場合、白い色の毛と青い目は劣性遺伝で
体質的に弱い犬だとよく言われるが、これは俗説。
犬の場合は、望ましい形を定着させるために
近親交配を繰り返していたせいで、犬種固有の病気があるそうだ。
この話も、“劣勢” のイメージから来ていると思う。
以前、劣性遺伝を調べた事がある。
うちの家族の血液型は全員B型なのに、私だけがO型で
親戚中を凍りつかせた事件があった。
家族愛的には、親と血が繋がってようが繋がっていまいが
一向に構わんのだが、健康面が気掛かりだった。
B×BでOというのは、劣性遺伝じゃないか? と不安になったのだ。
そう。 “劣性” 遺伝という言葉で、勘違いをしていたのだ。
調べてみると、確かにこの遺伝は劣性だった。
ちなみにO型というのは、親のどっちかがAB型だと生まれないが
これも100%ない! という訳ではないそうなので
ドラマチックに揉めるのは、とりあえずDNA鑑定の後にした方が良い。
で、劣性遺伝も調べるハメになったのだが
事実は何かぜんぜん違うのな。
ちょい前の事なので、私がちゃんと覚えているはずもないのだが
おぼろげな記憶で簡単に説明する。(調べ直す気ゼロなのが・・・)
たとえば、子供に遺伝する髪の色の可能性が
夫婦合わせて4パターンあったとする。
黒髪になる確率 ・・・ 50%
茶髪になる確率 ・・・ 30%
金髪になる確率 ・・・ 15%
白髪になる確率 ・・・ 5%
この場合、黒髪が優性遺伝子、白髪が劣性遺伝子となる。
つまり、優先的に受け継ぐから、“優性” 遺伝子。
優性の反対語が劣性、というので、“劣性” 遺伝子。
優性劣性とは、遺伝の可能性の順番の事だったのだ。
確かに国語的には間違っちゃいないんだけどさ
人間の心理としては、もちっと言葉を選べよー、って感じだろ?
O型が劣性遺伝だと確認した時に、どんだけガックリきたか。
ハンデを背負って生まれでた気分になったぜ。
落ち込んだ瞬間を返品させろ!!!
上のたとえは単なる色分けの上での都合だが
実際に白人では、金髪碧眼が劣性遺伝だとされるように
劣性遺伝とは、かえって希少価値がある遺伝なのだが
血液型だとまったくありがたくも何ともないのが悲しい。
たかが血液型で希少運を使い果たすぐらいだったら
別の稀さを与えてもらいたかった。
世にも稀なる美貌! 聖人君子! 天才的頭脳! とかまでは望まんけど
もちっとマシな顔とか性格とか知能とかさー。
これを人に言ったら、体型を褒められて 「贅沢だ」 と言われたんだが
顔と性格と知能についてはノータッチだったのが
「キジも鳴かずば撃たれまい」 ということわざを思い出し
ひとり密かに沈み込んだよ・・・。
私の自爆はどうでもいいが、個人的にはまったくよくないんだが
劣性遺伝、これをしたからと言って
体が弱いだの何だのの不都合はないらしい。
結構な確率でしたな、みたいな話なだけなんで
安心したりガッカリしたり、気軽にしとけばよし。
コメントを残す