ジャンル・やかた 18

「さあ、ローズさんからものすごーーーく褒められて
 やる気が出たんで、ちゃっちゃと行きましょかねー。」

アッシュがイヤミっぽく冗談を言いつつ、廊下を歩いて行く。
ドアのひとつひとつをへっぴり腰で覗いていた時とは大違いである。
ほんの一日二日で・・・。 この変化は進歩なんだろうか?

アッシュの変わりようを、“成長” と喜びつつも
初めて出会ったようなこの人物を、どうしてもいぶかしんでしまうローズ。

「ちょっ、あんた、そんなにスタスタ行くと」
危ない、と言おうとしたその瞬間、案の定ドアが勢い良く開いた。
走り出て来た人影は、アッシュに向かって叫んだ。

「あたしが殺ってや」 ジャキッゴスッ
アッシュが素早く警棒を出し、女の首筋に振り下ろした。
先日のローズのように。

よろける女性に鋏を突き刺すローズの背後で、アッシュが騒いだ。
「いっっってええええええええええええええええ!
 ほんとに痛ええええええええええええええええええええ!」

警棒をはめた右腕を抱えながら、うずくまるアッシュ。
「警棒がね、こう、ね、骨に、ゴリッと、痛みがね、うううーーーーー」

ああああ・・・、もう本当に始末に終えないヤツだね
冷ややかな目ながらも、アッシュの警棒を外してあげるローズ。
「殴るのも殴られるのも、同じに痛いんだよ。」

そうだよね、人を本気で殴るなど、一生経験しない人も多いもんね
武器で殴っても、こんなに痛みが伝わってくるんだ・・・
映画なんか、平気で殴り合いしてるけど
あんなん、よっぽど鍛えてないと無理なんじゃん。

しばらくのたうち回っていたアッシュだったが
フラフラと立ち上がり、涙に濡れた瞳でローズを見つめた。
「ローズさん、1発で何なんですけど、私やっぱり戦闘ムリですー。
 すっげー痛いですー。
 骨にヒビぐらい入っとるかも知れませんー。
 よって、今後のバトルは全逃げに徹しますー。
 つまり、あとよろー、って事ですー。 良いですかー?」

「えらいあっさりと諦めるのもどうかとは思うんだけど
 その方があたしもやりやすいし、それで良いよ。」
「お互いに得意分野で勝負しましょう、って話ですよねー。」

あんたに得意分野ってあるんかい、と、ここで突っ込めば
アッシュの良いカモになれたんだが
ローズはアッシュの軽口はとことん無視に回っていた。
その態度は結構、正解だった。
アッシュをそれ以上、見下す事態にならないで済むからである。

「じゃ、この階をグルッと一周お願いしますー。
 私は後ろから付いて行きますんで。
 あ、ドア全部開けつつ、どうかなにとぞー。」

イラッとしながら歩き出したローズの背中に
倒れている女を見ないよう、アッシュがぴったりと張り付く。
「うっとうしいねえ、もちっと離れな。」
へへ、とアッシュが笑った。

可愛いと思えなくもないんだけど、何だろね、このカンに障る感じは。
その突拍子もない言動で、得体が知れない印象を与えるアッシュだが
ローズの感じる違和感は、アッシュの持つ闇を敏感に察知していた。
ローズは正に、常に生き残れる兵士の感覚を備えていたのである。

続く。

関連記事: ジャンル・やかた 17 09.10.15
      ジャンル・やかた 19 09.10.19

Comments

“ジャンル・やかた 18” への4件のフィードバック

  1. hanaのアバター
    hana

    アシュさん初めまして、hanaといいます。オンリーミネラルファンデからこちらに飛んで来て、わかりやすい&共感できる事がいっぱいで思わず初めてコメントしちゃいまいました。

    私も赤黒い肌が一番の悩みデス。
    自黒じゃなくてベースが赤黒で、その上に薄い白いお肌。
    一応色白にはなる?のですが、ブルーベースの透明感のある白じゃなく皮膚の下が透けた?ようなグレーに近い全く透明感のない白。もうこれは色白じゃない。。

    洗顔後以外はその赤黒さが前面に出る事が多く、
    色々試してきたけど有効な解決策はなくてお手上げデス、ペタリ。。

  2. あしゅのアバター
    あしゅ

    hana、ようこそーーーーーー!

    あっ、その肌、私と似てる。
    それで私も “色白” と言われるんかなあ。

    体はすっげえ白くないか?
    多分、皮膚の厚さだよね、顔と体の違い。

    んで、私の場合は顔はブルーベースなのに
    体はイエローベースっぽい。
    ブルーベース、イエローベースの定義って
    静脈の色とか言われるけど、皮の色じゃねえの?

    こういう肌だと、ファンデ以前に
    日焼け止めでめちゃくちゃ白浮きしねえかあ?
    その上に、肌の色に合わせたファンデを塗っても
    むちゃくちゃ白浮きせんかあ?
    んで、ファンデの暗めの色って赤色が強くねえ?

    そんで首は白くて、黄色めなんだよなー。
    首に合わせると、顔面上で白浮きするし
    白浮きしないと、顔、赤黒いしー。

    もう、どうせえっちゅうんだよーーー!!!
    と、私もお手上げ状態だ・・・。 ガックリ

  3. hanaのアバター
    hana

    私暗めのファンデは使ったことなかった、暗い色は最初から眼中なしデス(笑)
    今はヨーロッパに住んでて、オーガニックコスメがお手ごろ価格なので目的に合わせて使ったりしてます。

    私もぱっぱと買い換える身分じゃないから慎重に口コミ見たりとかしてるけど、
    オーガニックを評価してる方はケミバッシングの無添加崇拝者が多くて、
    「無添加だから」がだいぶ考慮された甘ーい評価であまり参考にならへんくて。。
    最初は信じて買ったりしたけど、特に日焼け止めの口コミはめっちゃあてにならん、プン!デス。

    私の場合重要視したいことにその成分が必要なら仕方ないって感じです。
    特に日焼け止めは、「成分の恐さ<紫外線の恐さ、焼けたくない」って感じなので
    無添加では無理ダス。。

    シャンプーとリップだけは無添加に近い方がいいかな。

  4. あしゅのアバター
    あしゅ

    ヨーロッパ、オーガニックの本場じゃん
    日本より安いのが羨ましいー。

    そうなんだ。
    ケミを嫌うと、日本ではオーガニックの分野になる。

    私の場合は、シリコンとポリマーを避けたいだけなんだが
    どうもこの2つ、化粧品を作るのにすげえ大事なようだ。

    オーガニックはな、甘い評価をしないと使い続けられないんだよ。
    臭えのもベタつくのも、妙に値段が高いのも
    “安全” と引き換えじゃないと、やってらんねえ!

    この甘評価は、エコになるにつれて
    生活のいたるところで必要になってくると思う。
    科学、ほんとすげえよ!
    心地良い生活をさせてくれるんだから。
    “自然” と違ってさー。

    そういや、ヨーロッパの日焼け止め
    基準に達してない、ってお咎めくらってたね。
    シアバターやホホバやオリーブオイルで紫外線が防げるなら
    何も苦労はねえわな。

    実はあまり “無添加” を気にしていなかったりするので
    日焼け止めは有名ブランドのケミで通してたよー。

    オーガニックの日焼け止め
    ありゃ揚げ油も同然のベタベタ加減だぜー。
    日焼けの前に油焼けするって。

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