投稿者: あしゅ

  • 緑内障 2

    ごめん、今日のは落ち込み記事・・・。
     
    慰めはいらんけど、緑内障治療や美容についての情報
    もしくは気持ちの持ちよう等のアドバイスは欲しいんで
    心当たりのある人は、聞きかじりで良いから教えてほしい。
     
    貰った情報は、ちゃんと自分で調べ直して参考にするんで
    無責任な話でも大丈夫だから。
     
     
    胸部レントゲン 11.3.22 の記事で
    何か胸がゼイゼイいう、とか言ってたじゃん。
    あれの原因が判明。
     
    緑内障の点眼液の副作用だった!
     
     
    私にはぜんそくはないし
    言われてもなお、自分でも気付かないんだけど
    ものすごいアレルギー体質らしいんだ。
     
    これさ、肝臓が悪いからアレルギー数値も上がるんじゃないか
    と思うんだけど、自覚がないんでどうでもいいや
    とか投げていたら、しっぺ返しがきた。
    ・・・わけでもないんだろうけど、そういう気分。
     
     
    主治医が言うに、ぜんそくじゃないけど
    ぜんそくのようなアレルギー反応が出ているんで
    出来るなら、点眼液を替えてくれ、と。
     
    それを眼科医に言ったら、快く替えてくれたよ。
    ・・・ものすごく私のライフスタイルに支障があるやつに・・・。
     
     
    緑内障の点眼液は、何度か替わったんだけど
    ミケランLAでぜんそくのような症状が出て
    今はタプロスってのになったけど、それ、最悪なんだ。
     
    それは、“夜寝る前に点眼して、顔を洗え” である。
    水洗いでも良いけど、より慎重を期すなら石鹸洗顔。
    それをしないと、まつ毛が増えたり太くなったり長くなったり
    (注: 私の緑内障発症は片目だけ)
    点眼液が付いた部分の皮膚が黒ずむ、と。
     
     
    これ、ここに来る皆には
    私にとっては、拷問も同然だとわかるよな?
     
    出来るだけ石鹸を使わず、いじくらない美容をやってるのに
    夜、寝る前に顔を洗えとな?
    しかも色素沈着の可能性がある目薬を点せ、とな?
     
     
    今ものすごく落ち込んでいる。
    美容に人生を捧げてきたのに
    何でそれを壊しかねない状況になるのか・・・。
     
    だけど、これは人に言っても理解してもらえないと思う。
    目と肌とどっちが大事だ? となるだろうし
    何より、私の眼科医、結構な無神経な人なんだ。
     
     
    緑内障ってさ、治療でくい止められる病気じゃん。
    でも、なった人はほぼ全員
    「何で自分が・・・」 と、落ち込むと思うんだ。
     
    現に私も、緑内障の発症と前後して
    目の調子が凄く悪くなったし、治療の甲斐なく進行したりして
    失明の恐怖が常に背後にあるんだよ。
     
    なのにマイ眼科医、ため息と共に言うんだよ。
    「眼圧、下がりませんねえ」「うーん・・・、良くないなあ」 等。
     
    だから、一度言ってみたんだよ。
    「緑内障が凄く不安なんですけど。」 って。
    そしたら、「は? 何で? 薬で止められるでしょ。」
     
    眼圧、下がってねえじゃん!
    薬で止められてねえじゃん!
    おめえの口調で、こっちは毎回の診察後に
    落ち込まされて帰宅してるのにーーー!!!
     
    (この人、名医という評判で
     私が通える範囲では多分、最高の眼科医なんで
     病院を替える選択肢はない。
     自信満々なんで、セカンドオピニオンも嫌うタイプ。)
     
     
    だからもう、この人は無神経なんだな、と思って
    あまり気にしないように心掛けつつも
    やっぱり落ち込むんだけど
    そういう人に、ライフスタイルに合わないとか
    美容が、とか言ってもムダっちゅうか、怒られるだろ。
     
    現に、薬の説明を受けて
    他のにしてほしい、って言ったんだけど、ダメだった。
     
    もう、だったらぜんそく副作用の方を使いたいよ
    とすら思うんだけど、肺も大事だから
    何とか美容の立て直しを図らねばならない。
     
     
    にしても、クマもないのに目の周囲の黒ずみ・・・ほんと不安。
    緑内障は美肌も諦めなくちゃいけないんかよ!!!
     
    美容には結構良い車が買えるレベルのお金をつぎ込んできたんだよ
    つまり、今までの私の人生すらもムダになるんだよ
    それでも、“目と肌” という名目の天秤になるんか?
     
     
    とか、えらく、やさぐれた気分になってるけど
    諦めたら本当にそこで終わっちゃうもんな。
     
    気持ち的には、今は何も考えたくない! だけど
    さっさと考えないと、手遅れるもんな。
    何とか、気力を出すよ。
     
     
    これで皮膚が黒ずんだら、私、グレる気がする・・・。
     
     
    関連記事: 緑内障  10.10.19
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    目ぐすりの木茶 2 11.10.25
     
     
     

    評価:

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    ¥ 417

    (2004-11-22)

    コメント:石油を精製して作られるクリーム。 つまり立派な “天然由来”。 アレルギーを持つ人が少ないので、医療用軟膏の基材にも使われるらしい。 肌に膜を張って保護する役目があるので、毛染めとか皮膚に染み込ませたくない場合にも良い。 ・・・もしや黒ずむ副作用の目薬前&

  • そしてみんなの苦難 12

    「はいー。
     わたくしの跡継ぎが欲しいからですー。」
    主がサラッと答える。
     
    「わたくし、欧米人はあまり好まないのですー。
     かと言って、日本に行くには遠すぎますしー
     何より日本は手続きが多すぎるので、面倒なんですー。」
     
    主は自分の言っている事の意味がわからないのか?
    身じろぎも出来ずに、タリスが心の中で叫ぶ叫ぶ。
     
     
    「ほお? それで我が国の子供を連れ去ろうと?」
    厳しい表情で、ズイッと大臣が身を乗り出すのを見て
    タリスは凍りつきそうになったが
    事もあろうにそれを受けるように、主もズイッと身を乗り出した。
     
    「貴国の流儀に則って手続きをしているものだと思っておりましたが
     何か手違いでも発生したのでしょうかー?
     でしたら即刻、善処させていただきたいと存じますがー。」
     
    ニコリともせずにヌケヌケと言う主に、大臣は呆気に取られている。
    タリスは後ろで、泡を吹いて倒れそうな心境だった。
     
     
    しばらく無言で見詰め合っていた大臣と主だったが
    やっと大臣が話を再開した。
    「いやいや、話に聞いていた通り、変わったお方だ。」
    「恐れ入りますー。」
     
    そこ、“恐れ入ります” 違ーーーーーう!
    タリスは心の小部屋でジタバタと、のたうち回る。
     
     
    「クリスタルシティの商工会会長の息子は、私の留学先の同級生でね。
     マナタは私の従兄弟の娘の婿なのですよ。」
     
    じゃあ、最初から目を付けられていたのか!
    その時ふたりは、それに初めて気が付いた。
     
    「特殊な館の主に、どうしてもひと目会いたくてね。」
    「その “特殊” とは、どこに掛かるんですかー?」
    「色んな部分にですよ。」
    大臣はふふっと笑った。
     
    「では、話は早いと思いますー。
     どうか貴国の子供をひとり、わたくしに譲ってくださいー。」
    主は頭を下げた。
     
    「その “日本式” も聞いておりますよ。 独特ですな。」
    大臣は椅子の背もたれにもたれた。
     
     
    「ある人間がいる。
     私に何でも許される事を知っている人間だ。
     ある日、そやつが私の宝石を借りようとした。
     私に黙ってだ。」
     
    大臣は、葉巻に火を点けた。
    一瞬で部屋中に甘い煙たい香りが漂う。
     
    「私に言えば、すぐに許可が出る事はわかりきっておったので
     そやつは私には、後で報告するつもりだったらしい。
     しかし私は、宝石を持ったそやつの従者の両手を切り落とした。
     私は間違っておるかな?」
     
    こ・・・これは・・・試されてる!
    タリスは青ざめた。
    大臣の気に食わない答をすれば、我々は手首どころか首が危ない。
     
     
    タリスの動揺も知らずに、主は即座に答えてしまった。
    「似たような話がたくさんある気がするんですが
     どこにでも増長するヤツはいる、って事なんですかねー。
     にしても、そのような質問をなさるとは
     恐れ知らずでいらっしゃるー。」
     
    「どういう意味だね?」
    いぶかしげに大臣が訊ねる。
     
     
    「閣下は “真実” の正体に、お気付きになっていらっしゃるはずー。
     真実なんて、人 × 場所 × 状況 の数だけあるものですー。
     つまり今この場での真実も、閣下がお決めになるんですー。」
    主が眉ひとつ動かさずに、恐ろしい事を言う。
     
    「ただ、ひとつだけ言えるのは、真実をもて遊んだらロクな事にならない
     と、歴史が証明している事ですー。
     だから真実を謎掛けにするなど、“恐れ知らず” って言ったんですー。
     閣下は先程の問いの答は
     もう、ご自分で持ってらっしゃいますよねー?」
     
    「何故そう思う?」
    「閣下が大臣だからですー。
     迷いがあったら勤まらない地位だと思うんですー。」
     
     
    大臣は、葉巻をもみ消した。
    「あなたには、迷いはないのですかな?」
     
    主は自分がしくじった事に気付く。
     
     
    続く。
     
     
    関連記事 : そしてみんなの苦難 11 11.6.13
           そしてみんなの苦難 13 11.6.17
                  
           そしてみんなの苦難 1 11.5.16
           
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           小説・目次 

  • バカにする

    読んでくれた人のコメントで、時々言われるこの言葉。
    私には本当に身に覚えがないんで、いつも不思議に思っている。
    でも結構な頻度で言われるんで、自分なりに考えたりしていた。
    それで 「もしかして?」 と思った事がふたつある。
     
     
    ひとつめは、色んな事を面白がる性格。
    “面白い” という感情の対象外な事も、私には面白く思える。
     
    これは、ほんと部外者の単なる好奇心なので
    リアルではあまり人には言えないのだが
    下世話にならないよう、気付かれないよう
    細心の注意を図りつつ、隠れて面白がっている。
     
    ブログでは、その気をつけるべき一線を低く設定しているので
    ピキッと引っ掛かる人もいるのではないだろうか。
     
    私の場合、リアルとネットで言う事はそう変わらないのだけど
    ネットではより一層、心のままに表現をしている。
    (それでも自重はしているぞ。)
     
    だけどネットでも、そういう無礼講は通用しないのかも知れない。
    でも、そしたらここでも本音が言いにくくなるよな。
    これは悩ましい問題だ。
     
     
    もうひとつは、何度かブログに書いたはずなんだが
    私の好き嫌いには、欠点はあまり関係ないんだ。
    もちろん支障が出るのは、とても困るんだけど
    それが自分の容認できる項目だと、ネタにはしても嫌う事はない。
     
    面白おかしく受け取って、笑い飛ばしているつもりなんだが
    その基準が、多くの人とはズレているのかも知れない。
    笑い事じゃねえだろ、って話のような?
     
     
    これ、他の人の感覚も訊いてみたい。
    好きなものに許せない欠陥があったら、嫌いになるのかな。
    嫌いになれないとして、その欠陥の存在はどうするんだ?
    無視か? 矯正の強制か? (上手い掛け言葉を言うたつもり!)
     
    私の場合は、まずは矯正を考える。
    相手の行為か、もしくは自分の受け取り方のどっちかを。
    それが無理っぽいなら、出来る限り笑いのネタにする。
     
    笑えなければ、きっとちょっとずつ嫌いになる。
    嫌いになりたくないから笑うんだと思う。
    これが “笑いどころのズレ” で
    「バカにしてる?」 と、なるんじゃないだろうか。
     
    今のところ、私のふざけた態度に対する考察は
    こういう答しか出ていないんだけど、思考の方向性がズレてるかな?
     
     
    ちなみに私は、他人も自分もさげすんだりしない。
    もちろん、バカにする事など一切ないわけではないけど
    自己評価が低いせいか、そんな心境にはあまりならないのだ。
     
    自分に自分の言い分があるように、他人には他人の事情がある。
    その法則に基づいて、理解できなくとも尊重するようにはしている。
     
    これがたまに悪の擁護になって、モラルに反する事もある。
    そこらへんのユルさが、違和感を感じさせるのかも知れない。
     
     
    て言うか、私がバカにしたり皮肉を言ってる時は、すぐわかると思う。
    普段の軽い言い草より、もっと最低でひどい言い方をするからだ。
    そりゃもう、いつもの軽口が優しく思えるぐらいに。
     
    ・・・今、書いてて気付いたけど
    つまり私は全体的に、暴言吐き野郎だと言う事か?
    うわ、やっぱり 悪いのは私 のいつもの結論なのか・・・。
     
     
    私のこの感覚に、不快感を感じた人がいたら
    そりゃもう、すいませんすいません、と謝るしかない。
    決して自分が “正義の人” ではない、と自覚があるからだ。
     
    今回、考えてみてわかったのは
    笑えない部分を茶化すのは、どうも私の一種の防御策みたいなんだ。
    そんなん一人で壁にでも向かってやっとれ、と言いたいだろうが
    それを実際にやってると、狂人じゃないか?
     
    えらいな迷惑だろうけど、私が狂わないためにも
    くだらん軽口に付き合ってくれ。
    話しかけられたら、必ず振り向くからさ。
     
     
    結局この長ったらしい、くどい文を要約してみたら
    「とにかく耐えて忍んで私に付き合ってくれ」 の1行だった。
    あら・・・。
     
     
     

    評価:

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    コメント:“矯正” で出たこれ。 歳を取ると腹筋背筋が弱って、猫背になる人が多いそうな。 猫背で脊椎が湾曲してしまいそうで恐いよな。 そこでこれで、大リーグボール養成ギプス飛馬しろ。 日本の未来を担う若者に希望を与えるためにも、年寄りには胸を張って生きて欲しいから。 

  • そしてみんなの苦難 11

    「えええええええええーーーーーー
     そういう面倒がないようにお願いします、って
     あんだけ念押ししたのにーーーーーっ!」
    携帯に向かって叫びながら、部屋をウロつく主。
     
    「もう、ほんと頼みますよー。
     私が出たら余計に国交に差し支える、とか思わないんですかー?
     ・・・・・・・・・・・・・・・
     あーもう、わかりましたよー、行くしかないんですねー?
     どうなっても知りませんよー、とは言わないけど、連帯責任ねー。
     はいー、はいー、わかってますからー、努力しますからー。
     はいー、じゃー、無事故無違反を祈っててくださいよー。」
     
     
    電話を切った主が、タリスに言った。
    「何か、この国のお偉いさんと茶ぁする事になっちゃいましたー。
     付いてきてくださいねー。」
    「誰とかあね?」
    マナタが横から口を挟んだ。
     
    「えーと、名前は忘れたけど、内務大臣みたいな人ー?」
    その言葉に、マナタは意味ありげな薄ら笑いを浮かべた。
     
    「ああー、あの人だべかー。
     酔狂なくせに気難しくて、すぐ首をはねちまうごわす。
     厄介なお方と会うんじゃなあ。」
     
    「あーあーあー、そーゆー逸話は聞きたくなーいーーー。」
    主は、両手で両耳をパフパフしてあーあー言いながら
    寝室の方へと去って行った。
     
    こいつ、本当に上流なんだな、と思ったが
    マナタは、柿の種をボロボロとこぼしながらむさぼり食う
    ・・・だけならまだしも、床に落ちたのまで拾って食うので
    尊敬も感心も出来ない、複雑な心中のタリスであった。
     
     
    「・・・えーと、生きて帰れなかったらごめんねー。」
    「・・・いえ、それも任務ですから・・・。」
    冗談のような口調の主と、それをとがめないタリス。
    ふたりの余裕のなさは、マナタから聞いた情報ゆえだった。
     
    この国の独裁政権は、国王一族によってかためられているが
    今から会う大臣も、国王の数多い親族のひとりで
    その中でも特に残忍な人物らしい。
    拷問部屋や人間狩りの噂など、ふたりを青ざめさせるには充分であった。
     
    「・・・マナタさんの事も、ムゲにしてたら
     彼の一族にどういう罰をくらったかわかりませんねー・・・。」
    主がつぶやいた言葉に、タリスも同意せざるを得なかった。
     
    この国での “権力” というものは
    他人の命を、空き缶でも蹴るように簡単に左右できるようだ。
    お通夜のような神妙な面持ちで、ふたりは迎えのリムジンに乗り込んだ。
     
     
    着いたのは、宮殿のような建物であった。
    「うわ、万が一のため、ドレスを持ってきといて心底良かったーーー!」
    主が目まいを起こしながら、リムジンから降りる。
     
    紺色の露出の少ないストレートラインのミニドレスは
    主の象牙色の肌に映えていた。
    確かに痩せすぎではあるが、きちんとすると品がないでもない。
    タリスの衣装は無難な黒スーツである。
     
    ボディーガードの役目だったはずなのに、まさかこんな目に遭うとは
    思ってもしょうがない後悔で、タリスの心は一杯であった。
     
     
    主の後ろを歩いていると、主が少し顔を傾けてうつむいて右後ろを見る。
    このお方が、自分が付いてきているか気になさるとは
    このような状況では、さすがに不安なんだろうけど・・・
     
    タリスは、そのひんぱんな主の “確認” が
    自分が信用されていないような気がして、少し不愉快であった。
     
     
    赤じゅうたんが敷かれた中央ホールを通り、通された部屋は
    “サロン” とでも呼ぶべき、ヨーロッパ調の装飾だった。
    勧められた長椅子には主が座り、タリスはその後ろに立つ。
     
    程なくして、ひとりの小太りの男性が目の前に現れた。
    胸には爬虫類のウロコのように勲章がぶら下がり
    男性の自己顕示欲を象徴している。
    いかにも、ロコツに美化された肖像画を残したがるタイプである。
     
     
    「よくぞ、いらっしゃった。
     さあ、おくつろぎください。」
    立ち上がった主に、微笑みながら手を差し伸べる。
    流暢な英語であった。
     
    「わたくし、クリスタルシティの保護施設の管理人ですー。
     今日はお招きいただきまして、光栄に存じますー。」
    主が微かに笑みの混じった硬い表情で、お辞儀をした。
     
     
    おいおい、そこは握手をするとこだろーーー!
    タリスは後ろでハラハラしたが、大臣ははっはと笑った。
     
    「そう言えば、ニッポンのご出身だったですな。」
    「はいー。 西洋式文化が中々身に付かず困っておりますー。」
    「まあ、何でもかんでも西洋式を真似るのも感心しませんな。」
     
    西洋風インテリアにしておきながら何をぬかす!
    タリスは、無表情で脳内突っ込みをした。
     
    そんなお遊びをしている場合じゃないのは、百も承知なのだが
    この初めて味わう重圧に、タリスの心が耐えかねて
    いつもよりも脳みそが饒舌になっているようである。
     
     
    「さて、早速本題に入りますが、今日おいでいただいたのは
     あなたが我が国の子供を連れ出したい、と耳にしたからです。」
    いきなりの核心を突いた言葉に、タリスの心臓が大きく上下に動く。
     
    「理由をお聞かせ願えますかな?」
    大臣は、にこやかだが冷酷な眼差しで主を見据えた。
     
     
    続く。
     
     
    関連記事 : そしてみんなの苦難 10 11.6.9
           そしてみんなの苦難 12 11.6.15
                  
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           小説・目次 

  • ババアのシワ隠しメイク

    これこそ不可能。
    無理無理無理無理ーーーーーーーーーーっっっ!
     
    メイクをしていてジワジワ出てくる乾燥ジワは、保湿をしっかりして
    メイクアイテムも粉系を避け、保湿力を重視して選べば出来にくいし
    表情ジワは、能面ヅラを死守すりゃ割に大丈夫だけど
    定着してしまっているシワは、どうにも出来ない。
     
     
    でも、シワに筋状にファンデが溜まる現象は軽減できる。
    シリコンタイプのシワカバーというのを薄く塗ると、かなり違う。
     
    シリコンは肌の上で滑りやすく、塗る量の微妙な調整が必要で
    多すぎるとヨレてしまって定着しないので、ごく薄く。
    ここの加減が難しいけど、適量なら効果はあるんだ。
    乾燥が原因のチリメンジワも現れにくい。
     
    難点は、シリコンってのは、どうも毛穴に詰まるようで
    ニキビが出来やすく、クレンジングが甘いと
    ニキビがあまり出来ない私でも、すぐポツッと出来てしまう。
     
     
    毛穴カバー用も、シリコンが入っているものが多いけど
    こっちは毛穴改善の機能もあるせいなのか
    ニキビの原因にはなりにくいようである。
     
    しかし乾燥させる要素も入っているので、シワは強調されるし
    毛穴も完璧には隠れないので
    脂浮き防止ぐらいに考えておく方が、失望せずに済む。
     
    シワ部分はパール入りコンシーラーで目立たなく出来るというが
    その効果を感じた事はない。
    パールが乾燥の元らしく、ちりめんシワが増える気がする。
    そもそもシワ部分にあれこれ重ねるのは、結局はヨレの元である。
     
     
    冬のシワにはパウダーも塗らない方がいい。
    大ジワの周囲に小ジワを発生させるだけだし
    パウダーも皮脂と混じればクリームファンデになる。
     
    粉は、練り物アイテムを定着させる役目があるが
    崩れやすい部分にそれをしても、焼け石に水なだけで
    悪い事に、塗り重ねるアイテムが多いほど
    崩れをキレイに直すのが困難になってしまう。
     
    と言うか、ババアの化粧の失敗や崩れは、直 せ な い !
     
    これ、老化初期の頃に、もんのすげえ驚愕したよ。
    若い頃のメイク崩れは、落ちてる消えてるから
    塗り足しでどうにかなるじゃん。
     
    でもババアの肌は、肌上でメイクが移動するんだ!
    乾燥で浮いたり、シワでヨレたりだから
    メイクは落ちてはいないんだよ。
     
    メイクしている最中にヨレたら、拭き取らない限り
    ヨレがヨレを生み、それがシワを生む。
    アリ地獄にはまったように、もがくほどに汚肌に・・・。
     
    ピチピチ肌時代なら、ちょっと指先でならせば良かったのに
    いや、そもそもピチ肌だったら化粧品のヨレもねえよな。
    老化ってのは、こういう事なのか・・・と、愕然とさせられたぜ。
     
     
    シワ部分を目立たなくさせるのは、結局、油光りが一番だと思う。
    テカテカした人のシワって、あまり気付かないと思わん?
     
    マット = 粉っぽい = 乾燥 というイメージがあり
    そういう人のシワは気の毒になるけど
    テラテラ油光りしていると、シワがあっても深刻そうに見えないという
    心理的なもののような気がする。
     
     
    だからシワの部分は、メイク前にワセリンタイプの
    濃い重いクリームを塗りこんでおき
    下地とファンデは薄く、コンシーラーと粉は塗らないようにする。
    メイクの最後に塗るツヤ出しクリームを持っているなら
    それをきっちり塗っておく。
     
    ただしオイル状の物は、凹部分に流れ込んで、そこで光を反射するので
    メイクには使わない方が良いと思う。
     
    ここが不思議なんだけど、固形タイプだとこれが少ないんだよ。
    最初から液体か、温度で液体化しやすいものは
    肌上で流れるみたいなんだ。
     
    オイルに流れられると、細かなキメまでクッキリするので
    肌表面に全体的に留まれる形状の物を選ぶべし。
     
    まあ、結局は、シワババアになるか、油ババアになるかの
    究極な選択なわけなんだがな・・・。
     
     
    シワ部分は、言わば雪崩の起きる原理と同じようなもんで
    皮膚の内部から折り目が入っているので
    動きやすく、地盤が安定していない。
     
    出来るだけ地層を重ねないに越した事はないのだが
    そうも言ってられないので、どれを捨ててどれを選ぶか
    そこがババアの腕の見せ所である。
     
     
    ちなみに私は、“ノーメイク” という全捨てをしたぞ。
    ナイスバディなので、遠方系美人の道に賭ける!
     
     
     

    評価:

    生活の木


    ¥ 800

    コメント:紫外線B波を防ぐシアバター。 日焼け止めの前に、日焼け止めを塗りたくない場所に、と意外に夏場に活躍する。 石鹸だけじゃ落ちにくいんで、メイク下地やメイクのツヤ出しにお勧め。 精製されてなくても私には支障はなかった。 匂いが強いぐらいかな。

  • そしてみんなの苦難 10

    主が子供の前で仁王立ちのまま、その子を睨みつける。
    子供はオドオドしながらも、逃げる事もせず主を見上げている。
     
    だから子供には、子供の目線まで体を低くして優しい眼差しでっ!
    タリスは、思いっきり上から見下ろす主に心の中で突っ込んだ。
     
     
    「あなた、お名前はー?」
    その上、ドスの利いた低音で主が訊ねる。
     
    もう、何もかも違ーーーーーーう!!!
    タリスは見ていてやきもきした。
     
    子供は何も喋らず、困ったようにソワソワしている。
    主はそんなか弱い子羊の鼻先に、ズイッと顔を寄せて
    執拗に、その目を覗き込んだ。
     
     
    もう、見るからに怪しい大人たちじゃないか、我々は。
    タリスも主の後ろで、ソワソワし始めた。
     
    「タリス?さんー、この子を連れて来てくださいー。」
    そうひとこと言うと、主はさっさと車のところへ戻って行った。
     
    初めて正しく名を読んでもらった事が、ちょっと嬉しいが
    え? どうしろと? と、ピンと来ずに焦っていると
    タリスが動くまでもなく、子供は主の後を追いかけて行った。
     
     
    「あれ、携帯、旗0本だー。 すっげー!」
    何の感動なのか、主がひとり言を言いながら電話を掛け始めた。
    後部座席の主の隣には、さっきの子供がちょこんと座っている。
     
    「あー、私ですー。
     見つけましたので、手続きよろー。」
    それだけ言うと、携帯を切った。
     
     
    「しっかし、無防備なガキですねー。
     あんなところにいて、こんな危機感なくてよく生き延びましたよねー。」
    子供をジロジロとぶしつけに見る主。
     
    「て言うか、くっさいですねー。
     ホテルに帰ったら、即シャワー2時間延長コースですねー、こいつはー。
     あー、下ネタじゃないですからねー。」
    主の言葉にマナタは爆笑したが、タリスはニコリともしない。
     
     
    「マナタさん、この子に名前と歳を訊いてくれますかー?
     どうも英語、話せないらしいんですよー。」
    「そりゃ貧乏人は読み書きもできねずら。」
    マナタは母国語で子供に話しかけた。
    運転しつつ、真後ろに振り向いて。
     
    「ちょっ・・・!」
    タリスが慌ててハンドルを支える。
     
     
    「歳はよくわからないだと。
     こりゃ生粋の貧民街生まれの貧民街育ちだのお。
     にしては、こんな肌色と髪の色はないじゃが、混血と思うぜよ?」
    子供は、真っ黒の肌と髪に濃いブラウンの瞳をしている。
     
    「名はグリスだそんだま。
     これもこの国風の名じゃねえじゃが。
     親が何人かもわからんがや、おおかた売春婦と観光客のタネじゃねか?」
     
    「グリス? タリスと似てますねー。 すごい偶然ですよねー。」
    はしゃぐ主に、似たくもない、と憮然としているタリス。
     
     
    「うーん、見た目4~5歳かのお?」
    運転中だと言うのに、更に身を乗り出して子供を確認するマナタに
    さすがにタリスの心臓が止まりかけた。
     
    「前! 前!」
    叫ぶタリスに、マナタが笑った。
    「大丈夫どっしゃ。
     このへんのヤツらの命は安いもんだすから。」
     
    その言葉にタリスの頭に血が上りかけたが
    「私ら、この車の修理代までは出しませんからねー。
     て言うか、私らの治療費はあなた持ちですよー?」
    の、主の冷徹な言葉に、マナタがググッと前を真剣に見たので
    何とか冷静さを保つ事ができた。
     
     
    まったく、何てヤツだ! 何て国だ!
    タリスの心の中は、ずっとこの叫びで埋め尽くされていた。
     
     
    続く。
     
     
    関連記事 : そしてみんなの苦難 9 11.6.7
           そしてみんなの苦難 11 11.6.13
                  
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  • ババアのアイライン

    アイラインは、まつ毛ギリギリに入れる、が基本中の基本だが
    これ、まつ毛の根元が邪魔になって難しいよな。
     
    きっちりアイラインの基本的な引き方は
    ペンシルタイプのアイライナーで、まつ毛を左右になぎ倒すように
    目のフチをなぞるという、えらいアクティブな下描きをしてから
    リキッドなりジェルなりのラインを、それに重ねるように塗って
    まつ毛上部のラインのガタガタを直す、という方法だそうだ。
     
    なぎ倒しつつ描くので、もちろんまつ毛にもライナーの色が着いている。
    だから絶対に、マスカラの前にするべきである。
    んで、マスカラの持ちが悪いのは、アイライナーのせいかも知れないんで
    アイラインを引いたら、マスカラ前にまつ毛をちょっと拭くように、だと。
     
    いやあ、長年生きてきて、誰よりもあれこれ塗ったくっているというのに
    これを知ったのはつい数年前だったよ。
    メイクって結構、ムチャをするんだなあ。
     
     
    最初に身も蓋もない事を宣言しておく。
     
    ババアは、遠目勝負はヘアとファッションでのみ頑張れ!
     
    顔は、身近に接する人用のメイクに徹するべき。
    頑張るあまりに、目のやり場に困るメイクをしている人がどれだけ多いか。
     
    特にアイラインとまつ毛は、ボンバーアイテム。
    ここでテロ・メイクになってしまっているババアがほとんどである。
     
    しんどいんじゃあ!
    毎日その顔を見つつ、お話をするのはしんどいんじゃあ!!
    良い人だから、なおさら指摘できずにしんどいんじゃあ!!!
    (全国の職場の人々の本音を代弁してみました。)
     
    というわけで、ババアにとってのアイラインは
    ゆるんだ目元の引き締め、これ1点に目的を絞る方が良い。
    と言うか、これぞアイラインの最大目的なんだがな。
     
    で、今回は、“ここに気をつけろ、ババアのアイライン”
    このテーマで考えてみた。
     
     
    正面から見て、上まぶたの内側の粘膜が見えている人は
    まつ毛内の粘膜側にも細くラインを入れないと、びっくり目になる。
    特に整形やアイプチ使用者に多い現象で
    ついうっかりなカミングアウトになっておるぞ、気をつけれ。
     
    ババアの場合は、リフトアップ手術や
    おでこのシワ修正をした時に、目元への影響が大きいようなので
    直したとこだけ隠すんじゃなく
    必ず目もメイクでカモフラージュするようにな。
     
     
    目尻は絶対に跳ね上げないように。
    アイシャドウのとこでも書いたが、イヒヒな魔女ババアになる。
     
    ババアの目元は、タルんで下がってきているので
    どう放物線を描いても、自然に目尻で上昇しないのだ。
    絶対に角度付き折れラインになる。
     
    錯覚を起こさせるには、やってる事を悟られないのが大前提。
    しかしババアの目尻跳ね上げラインに、そんな奥ゆかしさは無理。
    私の考えでは、いっそ目尻0.5cmを残して
    ラインを自然消滅させるように引き終えるべきだと思う。
     
    どうせ、タルんだまぶた肉がかぶさって見えにくい部分だし
    若い頃のようにきっちり律儀にラインを引いて
    逆にタルミ目尻を強調している人が多い気がするんでな。
     
    タレ目メイクとタルミ目メイクは、似てるようでまったく違う。
    ババアは、タレ目メイクをしたら
    より一層タルミが強調されるだけになってしまう。
    まぶたのタルミ、結構どうしようもない。
     
     
    下まぶたのアイラインに、リキッドタイプはご法度。
    粘膜に引くなら、リキッドタイプが良いだろうけど
    下まぶたの粘膜ラインを引いていて
    感じ良くなっている人をあまり見ないんだよな。
    下まぶたは、マスカラを頑張る方が効果が大きい気がする。
     
    下まぶたのまつ毛の外側には、長さ太さは個人差があるけど
    ボカシの利くペンシルライナーの方が、デカ目効果も自然に作れる。
     
    その場合も、タルミが出てきた目には若い時とはまったく逆で
    目頭側が太く濃いラインになる方が良いような気がするんだ。
     
    目尻がタルんで下がるだろ?
    それをせめて、水平に持っていきたいよな。
    とすると、目頭を下げれば目尻はあまり上げずに済む。
     
    自然 + すげえ不自然 じゃなく、ちょい不自然 + ちょい不自然
    このコンボでいってみようー!
     
     
    目頭くの字のホワイトラインは
    ババアはベースの段階だけでやっておかないと、すげえヘン。
    川島なお美 (だっけ?) を見てみい。
     
    この目頭ハイライトも、目の間が離れて見えて意味がわからん。
    ウルウル瞳になるなら半魚人風情になっても悔いなし、なんだろうか?
     
     
    上も下もそうだが、ラインを入れた後は
    アイシャドウを重ねておくと、にじみ予防になる。
    粉は定着剤の役割りをするのだ。
     
    そしてライン自体の太さは、絶対に0.5mm以内。
    0.8mmあったら “極太” で、見苦しい。
    引き締め効果を欲張るために、ライン幅を出したいのなら
    アイシャドウを重ね塗りして、深みを出した方がいい。
    ラインより1段軽い色を、グラデを付けつつ塗る方が上品である。
     
    大昔のカラーレス目元に太ラインは
    素人ババアがやると、単なる古臭い顔になるだけである。
     
     
    粘膜にラインを入れるのは、白でも濃い色でもお勧めしない。
    絶対ににじむし、不自然かつ不潔っぽい。
     
    特にババアは、緑内障白内障更年期障害老人性うつ等
    心身ともに涙目になりやすいので
    もう、アイライン自体を禁止したいぐらいである。
     
    しかし、上記のビックリ目、お直しひずみ その他で
    下まぶたがタルんでしまったマダームは
    まつ毛沿いラインが、タレパンダになっている恐れもある。
    この場合は仕方がないので、粘膜にも引くしかない。
     
    粘膜ラインは、目尻から目頭まで全部引く必要がある。
    途中ぶった切りは、不自然そのものだからである。
     
    上まぶたのラインの崩れは、下まぶたにスタンプされるし
    下まぶたは下まぶたで、土砂崩れがひどいので
    普通のアイラインの3倍は頻繁に、鏡でチェックする必要がある。
     
     
    あ、そうそう、目周りの化粧品にはラメ入りは避けた方が良いぞ。
    眼科医が雑誌で言ってたけど、まぶたの裏に
    化粧品のラメが入り込んで、眼球を傷つけるケースが多いんだと。
    パールも大きい粒子のは危険だってよ。
     
    コンタクトをしてるなら、余計に目周辺のアイテムは
    注意して選ばないと、目もコンタクトも傷むってさ。
     
    実際、ラメやパール自体が、肌を乾燥させるそうなので
    ババアの肌には、あまり向いてないとも言える。
     
     
    何度も繰り返すが、化粧品に頼りすぎてはいけない。
    メイクは改造ではないのだから
    ほんのちょっとアップデート、みたいな気持ちでやってくれ。
    自分の崩壊を化粧品だけでどうにかしよう、などという無茶はするな。
     
     

    評価:

    ボビイ ブラウン


    ¥ 4,498

    コメント:なあ、ここのコメント、150字以内という制限を設けているなら、150字を超えたら何かひとことあっても良いんじゃねえ? 私が使ってもいないのに口八丁で懇親のレビューを何百字と書き散らしているのに無言で容赦なく途中でブチ切りやがってこのレビューもきっと途中で切れているに違いなくて私の労力は一体どうしてくれるんだよ、というボビィまったく関係ない話でどうもすみません。

  • そしてみんなの苦難 9

    「今日でとっとと終わらせますー。
     何かもう、さっさと帰りたいですしー。」
    主がウイダーインゼリーを飲みながら、宣言した3日目の朝。
     
    「えー、もっと遊ぼうぞなもしー。」
    異議を唱えたのは、主に貰ったカロリーメイトを頬張るマナタ。
    おまえ、やっぱり遊んでたのか! と、はらわたが煮えたぎったタリス。
     
     
    「いえ、攻略本を忘れてきたんで、先に進めないんですよー。」
    「なんぞね? それは?」
    「今やってるゲームの指南書みたいなもんですよー。」
    「ほお、ゲームで人生を左右させるんきゃ?」
    「趣味って、そういうもんでしょー?」
    「ん、まあ確かにそうじゃだな。」
     
    主とマナタは、空笑いをし合った。
    それがタリスには、タヌキとキツネの化かし合いに見えたのは
    夕べの主との会話の影響である。
     
     
    「んだば、今日はどうするだがよ?」
    マナタがコーヒーを意地汚くおかわりしながら訊く。
     
    「昨日の地区にある教会に連れてってくださいー。
     この国にも貧しい人々に奉仕している教会があるでしょうー?」
    「ああ、あるだべ。」
    昨日のように、レニアを残して3人はホテルを後にした。
     
    タリスはひとことも口を利かなかった。
    何もかもが釈然としないからで、そんなタリスを主は意に介さなかった。
     
     
    ボロ車が前のめりに教会のまん前に停まる。
    車から出ようとする主に、タリスが初めて口を開いた。
     
    「お出になるんですか?」
    「出ないと、いつまで経っても見つからないでしょうー?」
    「しかし・・・。」
    「大丈夫じゃあけえ。 わしがついとるわ。」
     
    そのおまえが頼りないから俺が苦悩しているんだろーが!
    タリスは心の中で、マナタを罵倒しまくった。
     
    「ささ、お嬢様どうぞ。」
    マナタが主側のドアを、うやうやしく開ける。
    「慇懃無礼にありがとうー。 おーほほほ」
    主とマナタの寸劇にも、タリスはイライラさせられる。
     
     
    主は教会には入らずに、周囲を歩き始めた。
    「ど、どこへいらっしゃるんですか!」
    慌てて止めるタリスに、主が事もなげに答える。
     
    「教会の中には用事はないんですよー。
     周囲をウロついている子供をチェックしたいんですー。」
    「いや、しかし・・・」
     
    狼狽するタリスに、主がきっぱりと言った。
    「あなたの役目は、私を止める事じゃないですよねー?」
     
     
    グッ・・・ と言葉に詰まるタリスに容赦なく背を向けて
    主は再び歩き始めた。
    マナタは車の横に立ったままである。
     
    「何をやってるんだ、来い!」
    タリスの怒声に、マナタはヘラヘラと答える。
     
    「誰か残っておらんと、帰ってきた時にゃ
     ボルトの1個も残ってないだろうけんども、それでもええのんかー?」
     
     
    ほんっっっとに、何てところだ!
    タリスはいつもの沈着冷静な自分を見失って
    カリカリピリピリしながら、主の後ろを付いていく。
     
    主が少しうつむいて、右後方を確認する。
    タリスも住人たちの遠巻きの視線を感じていた。
     
     
    しばらく教会周辺をウロウロした主が、突然立ち止まり
    タリスの方にグルリと振り向いた。
    しかしその視線は、タリスを突き抜け
    更に後方にいる子供へと向かっていた。
     
    ああ・・・、最初から付いて来ていた子供だな
    タリスが確認していると、主がその子の方へ歩み寄っていく。
     
     
    止めたいところだが、さっきのような一刺しが恐くて
    タリスは周囲に気を配りつつも、その様子をただ見守った。
     
     
    続く。
     
     
    関連記事 : そしてみんなの苦難 8 11.6.3
           そしてみんなの苦難 10 11.6.9
                  
           そしてみんなの苦難 1 11.5.16
           
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  • ノーメイクのファンデ浮き

    美容マニアのわたくしのお肌が、汚いわけがありませんわ
    ファンデ? あんなもの、肌のアラを隠すためのものでしてよ
    ほほほほほほほほほ。
     
    という天狗境地に至ったので、普段はノーメイク
    もしくは日焼け止めと粉、程度の装備で1年ほどやってきた。
    とてもラクである。
     
     
    だが、しかし!
    社会人として、どうしてもファンデが必要な時がある。
    冠婚葬祭等のあらたまった席だと
    ドレスアップに合わせて、髪も肌も盛らないとバランスが悪くなる。
     
    そして撮影がある時。
    ノーメイクだと、ドス黒く沈んだ肌色になる
    ・・・ような気がする。
     
    ここらへん、ザツな感性の私にはちょっとわからないけど
    ファンデありなしは、写真映りに割に影響される気がするんだな。
     
     
    ここで、ひとつ不可思議な現象があるんだけど
     
    普段ファンデを塗っていない肌は
    いくらキレイでも、ファンデが浮く
     
    これ、経験した人も多いと思う。
    1ヶ月ぐらいノーメイクだと
    もうそれで肌がファンデとなじまなくなると思わんか?
     
     ・ 塗り始めた端から、ファンデがヨレて安定しない
     ・ ノーメイク時には見えない毛穴にファンデが溜まる
     ・ 軽く塗っているのに、皮がめくれていく
     ・ 塗った後、顔の皮膚だけが浮いた感じに見える
     ・ 塗って1時間もしたら、皮脂浮きが始まる
     ・ 皮脂浮きが始まったら、顔色がドス黒くなる
     ・ メイク崩れが直せない
     ・ 帰宅する頃には、肌が疲れてシオシオにしぼんでいる気がする
     ・ 電車の窓に映る自分が老婆
     ・ メイクを落としても、肌が萎えているのがわかる
     ・ 翌朝、ニキビやプツプツが発生している
     
    これらの現象は、日常的にメイクをしていてもなりがちだけど
    ノーメイクの人が久々にメイクをすると
    ボヤ → 大火事 ぐらいの差で、被害が大きくなるんだ。
     
    疑うなら、1ヶ月ぐらい粉のみで過ごしてみい。
    肌の調子がとても良くなって、ファンデの必要性を感じなくなるぞ。
    そこに突然ファンデを塗ってみい
     
    「えっっっっ???」
     
    その日一日、鏡を見る度にこの
    悪い意味での感動詞が脳内に響き渡るはず。
     
     
    どうもファンデというものは
    普段から肌に慣らしておかないと、ダメな仕様っぽい。
     
    ファンデはキレイな肌にしかキレイに着かない、と思うんだけど
    キレイな肌だと思っていたのに、ファンデを塗ると汚くなる理由が
    いまいち、いや、さっぱりまったくわからない。
     
    私がメイクがヘタなだけだろうか・・・?
    と、自業自得で収めても良いんだけど
    それだけじゃ解決しない事柄がいくつもあるんだよな。
     
    もしかして、“ファンデ乗りに都合の良いように傷んだ肌”
    ってのが存在するのかも知れなく
    普通の化粧品メーカーは、それを目的としている、とか?
     
     
    私、免許更新の写真撮影があるんで
    肌をファンデに慣らそうと、厚化粧を再開したんだよ。
     
    もう、この1年かけて立て直した肌の
    どこのお手入れが悪かったか、はっきりわかったよー。
     
     
    まず、泡洗顔を2日に1度に減らしていたんだけど
    (つまり、1日2回の洗顔 × 2日
     4回に1回だけ石鹸を使って泡洗顔をする。)
    鼻だけは皮脂が出るんで、毎回の洗顔時に
    泡で出る洗顔剤で、軽く洗ってたんだよ。
     
    その毎回、泡洗顔をしていた部分が
    ファンデを塗ると、皮剥けのあげくファンデの毛穴落ち。
     
    うわ、泡洗顔、肌を傷めるーーー!
    と、わかったけど、そこの皮脂を放っとくとカブレるんだよなあ。
     
    脂っぽい部分だけ石鹸洗顔したいけど
    泡を乗せるだけじゃ皮脂が落ちないんで
    ちょっと指でクルクルしたいけど
    これ、皮膚的にダメかも知れない・・・。
     
    皮膚科の先生に大昔に言われたのが
    「栄養が足りないから皮脂が出る」 みたいな事だったんだけど
    この鼻周囲を、洗わずに保湿せえと・・・?
     
    この問題は、写真撮影が終わったら試行錯誤するけど
    ちょっと難問だよな、皮脂多い部分を石鹸で洗わず保湿、って。
     
     
    その他は、ちょっとチリメンジワがある程度だけど
    私の年齢で、このチリメンジワなんて何の問題でもない。
    私のサボリ美容、結構な正解かも知れない。
     
    残る問題は、肌をどれだけ傷めればファンデが乗るようになるか、だが
    正直、挫折しようかと・・・。
    ノーメイクで免許証写真、いっちゃおうかな・・・。
    だって、せっかくの健康肌、もったいなくねえ?
     
     
    ニュースの犯罪者の写真で、ノーメイクババアが出たら
    それが私かも知れない。
     
     
     

    評価:

    キュレル


    ¥ 802

    コメント:水洗いのみ洗顔美容でも、小鼻とかの脂っぽい部分だけは泡でスッキリさせたいじゃん。 そういう時にいちいち石鹸を泡立てるのは面倒なんで、これを愛用。 キメが粗く、すぐ消える泡なんで全顔へのキッチリ洗顔には不向き。 あくまで部分用で刺激を少なくしかも安価で、と�

  • そしてみんなの苦難 8

    「そんなこの国で、英語が話せて車の運転が出来て
     VIPの護衛が出来るマナタさんの家って
     どんだけの権力があるのか、考えたくもないですよー。
     そんな権力者に、民主国家育ちの我々の常識を押し付けて
     わざわざ怒らせる事はないでしょうー?」
     
    「いや、しかし、命が掛かってるんですし・・・。」
    「あのですねえー、そこいらの一般人の強盗より
     権力者の気分を損ねる事の方が、命、直に危ないですよー?」
     
    うっ、と黙り込むタリス。
    確かにその通りである。
     
     
    「何より、私のしようとしている事だって、違法行為なのだし
     たかがガイドぐらいで、計画をフイにしたくないんですー。
     それに、マナタさん、ああ見えて学ぶべきとこ多いですよー?」
     
    「・・・どこがですか・・・。」
    反抗的な気分になるタリスに、主が一撃を加えた。
    「道端に転がっている石に美を感じれば、芸術家なんですよー。
     学びは自分の感性次第、ってわけですよー。」
     
    「・・・あなたは学べる、ってわけですか?」
    感情的になって、上官に利くべきじゃない口調になってしまう。
     
    「自分の学ぶべき事って、自分じゃわからない場合が多いですよねー。
     でも見聞きしたものは、必ずどっかに残りますから
     それを思い出して価値を見い出せた時が、学んだ瞬間じゃないですかー?」
     
     
    タリスは主の言葉に違和感を覚えて、急に頭が冷えた。
    館の管理人だと聞いていたのに
    主の言葉には、どこか人を操る響きがある。
    こんな人物が統べているなど、館というのは
    単なるボランティア施設ではないのではないか?
     
    主に根掘り葉掘り訊ねてみたい、という好奇心が
    湧き上がってくる。
     
    しかし、それは決してやってはならない事。
    軍人に質問は禁忌だというのに、それを破ってしまっているどころか
    反論までしてしまった。
     
     
    これじゃあ、兵として最低じゃないか!
    自分はこんな、出来ないヤツじゃなかった
    ちゃんと実戦にも行ったのに
    いや、“護衛” というのが初めてだから
    とまどってるだけで、いつもの自分を取り戻せたら
     
    ・・・・・違う・・・・・
    我々の仕事は、どんな “初めて” でも
    失敗をしたら、取り返す事は困難なんだ
    自分は失敗した・・・。
     
     
    タリスの顔色を見て、主が言う。
    「あなたには、“護衛” として来てもらってるんですー。
     護衛は守る相手に指示を出す場合もあるー。
     言い合いなんて、当たり前ですよー。」
     
    ・・・慰めか・・・?
    貧民街を見て、「汚いー」 とか平気で言い放つお方が
    果たして他人を慰める事をするのか?
     
    いや、そんな事は問題ではない
    問題は、護衛相手としてはならない口論をして
    あげくが言い負けて慰められた、という部分である。
     
     
    タリスが混乱していると、レニアたちが戻ってきた。
    ワゴンには、美味しそうな料理が並んでいる。
     
    「今日はこんなものしか出来ないですけど、我慢なさってくださいな。
     明日の早朝に市場に行ってみますから・・・
     あらっ、まだゲームをやってらっしゃったんですか!
     いい加減になさってください!」
     
    ゲーム機を取り上げようとするレニアに、主が追いすがる。
    「ちょ、待って待ってー、せめてセーブだけでもーーーーーっ!!!」
     
     
    その日の夕食は、レニアのネチネチと続くお小言に
    主のゲーム擁護が交錯して、騒がしい食卓となった。
     
    「まったく、ちょっと目を離すとゲームばかり・・・」
    「それはすいませんが、次のダンジョンでラクしたいから
     今の内にレベルを上げたいんですよー。」
    「いいお歳だというのに、まったく子供みたいに・・・」
    「日本のゲームは大人のするものなんですよーっ!」
    「やめろと申し上げても、中々おやめにならないし・・・」
    「セーブしとかないと、それまでの苦労が水の泡なんですよー。」
    「夜も寝ずにゲームなさってらっしゃるし・・・」
    「ゲームって1時間で終われるものじゃないんでー。」
     
     
    レニアの顔色が真っ赤になった途端、怒声が響く。
    「口答えばかり、なさいますな!!!」
     
    「ひいいいいいいーっ、すすすすみませんーーーっっっ!」
    主が椅子ごと後ずさりながら、悲鳴を上げた。
     
     
    とりあえず、初日の夜中に
    主が何故起きていたのかだけは、理解したタリスであった。
     
     
    続く。
     
     
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