投稿者: あしゅ

  • 白髪

    白髪が出始めたのは、以前の結婚時代だけど
    根元から切るぐらいで、気にはしていなかった。
    その後も、ヘアマニキュアでしのげる程度だったが
    ここ数年で、急に白髪が増えたようである。
     
    えらいあいまいな言い方なのは
    髪にツヤが出るから、ヘナをしていたんで
    自髪の色など、ここ数年見た事がないからである。
     
    しかしヘナの赤金色がイヤで、インディゴ混ぜをやっているが
    色が落ちてくると、ほぼ全体の根元が赤いのである。
    えーと、コーヒーアイスのラズベリーソースかけ、みたいな?
    あっ、プッチンプリンのいちご味、あれ似。
    (プッチンプリンいちご味、見た目が難だが結構食えたぞ)
     
     
    と言う事は、自髪はほぼ白髪じゃないか? と思うんだが
    人に見てもらっても、まだ白髪はチョボチョボだと言われるし
    自髪の色がヘナの色に負けているだけなのかも知れない。
     
    別に自髪が何色だろうが構わんのだが
    悪い事に、どうもインディゴが合わないっぽい。
    たまにブツブツが出来るのだ。
     
    でも普通の白髪染めは、もっとダイレクトにかぶれる気がする。
    他の草木染めを何か探すか、とも思うが
    私の中では、白髪、敵じゃないんだよ。
     
     
    だから、納得できないんだ。
    「♪ 悪いのは白髪じゃなくて白髪を放っておくその心 ♪」 だっけ?
    子供が歌う、あのCM。
     
    学生時代にさ、パーマやカラーリング禁止だったろ?
    でも天然で茶髪やクセ毛の子って、すごい言われてたじゃん。
    ヘタすると、天然茶髪を黒に染めろだの
    クセ毛をストレートパーマで真っ直ぐにしろだの
    それ、大間違いじゃないか?
     
    いや、学校側の言いたい事はわかるよ。
    天然を人工と誤解して、「私も」 が出てくるのが面倒なんだろ。
    だけどそういう指導って、天然茶髪、クセ毛の子が
    持って生まれたものを否定されてるも同然だろ。
    泣いてた子もいたぜ、生まれつきなのに、って。

    それと似たような気持ちになるんだ。 
    白髪を放っておくと悪いんかい?
    白髪、望んでなってるんじゃないんだぜ?
    老化現象なんだぜ?
    老化、悪なんかよ?
     
     
    私は “ナチュラル” とか、そういうほっこり?が大っ嫌いだけどさ
    天然も人工もどっちも悪じゃねえのはわかるよ。
    好き嫌いと善悪を一緒くたにするな!
    ヘンな信仰を植えつけるな!!!
     
    ほんと、あのCMには耳に入る度にビキビキきてたよ。
    白髪を出そうが隠そうが、人の自由だろ。
    個人的にどうこう語るのも自由だけど
    洗脳される視聴者が多いTVで、そういう事を平気で言うなよ。
    だからTV、信頼できねえんだよ!!!
     
     
    ・・・はあ・・・、かなりエキサイトしたんで
    ちょっと頭を冷やす。
    最近、暑いのお。
     
     
    で、マイ白髪をどうするかな、と今、思案中である。
    私の意見は、白髪があっても良い、だ。
    自分にどういうのが似合うのか、それが大事なだけじゃないか?
     
    「別に白髪があっても、染めなくても良いんじゃないかと思う。」
    こう言ったら、私担当の美容師のおねえさんが猛反対した。
     
    「まだ、あしゅさんにはそうなって欲しくない!」
     
    “まだ”“そうなって” という言い方を聞いて
    ああ、世間の人の白髪への認識はそうなのか、とわかった。
     
     
    白髪のデメリットは、老けて見える可能性が高い事だ。
    あと、素の白髪は汚らしいそうだ。
    傷んでなく、真っ白ならキレイなのだが
    白髪を放置するヤツは、髪の手入れも放置してるようで
    だから余計に白髪が悪者になってるんかもな。
    でも髪が汚くなるのも、老化でしょうがないと思うんだがなあ。
     
    そんで、紫のカラーリング。
    日本人の白髪は黄色がかっているから
    補色の紫をブチ当てているんだろうけど
    あれ、おかしいと思う。
    何でこう、妙なとこに色彩学を取り入れるんだか。
    黄色 + 紫 = 無色 じゃないと思う。
     
    白髪が多くなったら、他の黒い髪も
    色を抜いて、全体を真っ白にすりゃ良いと言ったら
    それは髪がむっちゃくちゃ傷むんだと。
    白髪はキレイな髪じゃないと痛々しいから、この案は無理らしい。
     
     
    それでも私的には、まだら白髪だろうが総白髪だろうが
    放置で一向に構わん、というか
    髪色がどうであれ、“私” でいられるのだが
    美容師のおねえさんがイヤがるので、当分はヘナろうと思う。
     
    とりあえず、ヘナの色を一度完全に落としてみたいが
    それ、ものすごく時間が掛かるんだよ。
     
    その間、美容師のおねえさんの説教に耐えられる自信もない。
    説教を無視する事は、愛を無視する事だと思っているからだ。
    自分の感覚を大事にするために、人がくれる愛を無視できるかあ?
     
     
    こういう具合に、白髪の話がえらいな方向に飛び火してしもうとる。
    人はひとりじゃないんだなあ。
    そりゃもう、色んな意味でシミジミと。

  • イキテレラ 15

    王がイキテレラの部屋へと入ってきた。
    窓から外を眺め、ニヤニヤしている。
    いつになく上機嫌であった。
     
    イキテレラには、王のすべてが理解不能でうっとうしかった。
    「私はあなたの笑顔を一度も見た事がない。」
    この状況で王がそう言いだした時にも、少しも反応しなかった。
     
    王は座っているイキテレラの前にひざまずき、その靴に口付けた。
    そしてイキテレラの手に剣を握らせた。
    「あなたはいつでもこの私を殺せるのですよ。」
     
     
    一生懸命に笑いかける王の背後で、ドアがけたたましく開いた。
    とうとう民衆たちが城内へとなだれ込んできたのだ。
     
    「我が妃よ、愛する我が妃よ!!!
     はははははははははははははは」
     
    叫びながら王は連行されていった。
    イキテレラは無表情で、それを無視した。
     
     
    侍女たちは解放された。
    逃げ出した大臣たちの何人かは捕えられ
    王とともに、処刑を待つ身となった。
     
    イキテレラは、侍女たちの証言により
    “囚われの姫” として認識された。
     
     
    民衆たちが見守る中、広場に作られた斬首台の前に立たされた王は
    司祭に “最後の望み” を訊かれた。
     
    王は堂々と高らかに答えた。
    「我が妃の微笑み。」
     
    かつては好青年であった、その名残りが見られる王のこの答は
    街の女性たちのハートにキュンッ絵文字略ときた。
     
     
    イキテレラが連れて来られた。
    王は後ろ手に縛られたまま、イキテレラの前へとひざまずく。
     
    王が見上げているイキテレラの反応を
    街中の者たちも注目している。
     
     
    しかしイキテレラは眉ひとつ動かさなかった。
    まなざしは宙に固定されている。
    その態度は、期待に満ちた子供のような王の表情と対比すると
    呆けているというよりは、冷酷に映った。
     
    王は一瞬うつむいたが、立ち上がり少し微笑みながら
    イキテレラに口付けをした。
    「永遠の愛をあなたに。 我が妃よ。」
     
    王は、斬首台に自ら首を乗せた。
    王の首が転がっても、イキテレラは身動きすらしなかった。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : イキテレラ 14 10.6.16
           イキテレラ 16 10.6.22
           
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  • ひかりTVの二ヶ国語放送

    さあ、今回は私に死ぬほど感謝してもらうぞ!
     
    あの、“繋がらない” で有名なカスタマーセンターに電話して
    リダイヤルリダイヤルで何十分も粘って、やっとこさ繋いで
    二ヶ国語の切り替えを質問して、それをここで解説するんだからな。
     
    しかも機械物の設定など、とにかくその時連絡が付くヤツに
    無差別に押し付けるんで、自分の契約状況すら知らない私がだ!
     
    これは奇跡を起こした、と言っても過言ではないと自負する。
    褒め称えよ!!!
     
     
    注: 単語の使い方や解釈が間違っている可能性が大なので
       現認した人は速やかに、優しい表現を用いて訂正するように。
       わかっているだろうが、私はひかりTV初心者である。
     
     
    ひかりTVの二ヶ国語って、困ってる人が多いと思う。
    だってHPにも載ってないんだから。
     
    そういう迷える人々よ
    ひかりTV 二ヶ国語 切り替え 設定 等でここに来い!
     
     
    トップページ?の音声設定で、第一音声、第二音声って選べるよな。
    でもそれをどう設定しても、ドラマの音声は英語のままだろ。
    たとえそのチャンネルの解説に ↓ の 二 のマークが出てても。
     
     
     
    私はどうしても日本語音声にしたいんだよ。
    他の事をしながら映画やドラマを観たいから。
     
    という事で、どうにか音声切り替えをしたくて
    ひかりのHPや他のサイトで調べに調べたけど、答が出ない。
    もう、しょうがなくカスタマーに電話したさ。
     
    とても初歩的な質問で申し訳ないんですけど・・・
    と、すいませんすいません言いながらな。
     
     
    センターの人とえれえ話し合った結果
    どうやら、こうじゃないか? と出してもらった結論が
     
     ・ (吹) のマークがない限り、音声は英語のみ
     
     ・ タイトルのところに (字) とついている場合は
        もう絶対に英語音声の日本語字幕
     
     ・ 通常は第一音声が日本語、第二音声が英語の場合が多いが
        ひかりTVの場合、そうとは限らない
     
     ・ てか、画面に出る 二 のマークは、ひかりの場合
        英語音声と日本語字幕ですよ、の意味っぽい 
     
     ・ でもたまに、真の二ヶ国語切り替えが出来る場合もあるかも?
     
     
    どうだ?
    ふざけんな、ひかり!!! と怒鳴りたくならんか?
    英語音声と日本語字幕という、普遍のコンビを
    わざわざ偉そうに 二 で表記するかあー?
     
    で、真の二ヶ国語切り替えって、どのチャンネルで出来るんだよ?
    まだそういう番組に出会った事がねえぞ。
     
     
    私のいたらん脳みそと、つたない日本語で
    それはそれは必死!!!に訴えて
    センターの人も、何とか理解しようと頑張ってくれ
    長時間掛かって出た “予想” なんで
    これが正確な情報かどうかはわからない。
     
    でもな、ひかりTVよ、この結論に文句があるなら
    自分とこのHPに “二” の意味を明記せえ!
    そんでここのコメントで、善意の第三者のフリをしていいから
    訂正して正解を書いてくれ。
     
     
    だがな、私もセンターの人も、持てる限りの力を出し切ったぞ。
    間違っていようと、責められる筋合いはないな!

  • イキテレラ 14

    目覚めたのは、自室のベッドの中だった。
    体調と周囲の雰囲気で、すぐに自分に何が起きたのかわかった。
     
    王が入ってくると、侍女たちは慌てて部屋を出て行った。
    「我が妃よ、やっと目覚めましたか。
     あなたは3日も眠っていたのですよ。」
     
    王は、イキテレラを抱きしめた。
    「意識のないあなたはつまらない。」
     
     
    イキテレラは、部屋から出なくなった。
    自分のせいで、王に誰かが殺されるのが恐いからだ。
    イキテレラの周囲には、最低限の人数の侍女だけが残った。
     
    「部屋に閉じこもっていると、体に悪いですよ。」
    王は時々イキテレラを抱きかかえて、庭を散歩した。
     
     
    イキテレラの瞳は、何も映さない。
    ついうっかり誰かと視線を交わしただけでも
    王が激怒するかも知れないのだ。
     
    「あなたの瞳は淡い空の色なのですね。」
    王がイキテレラの瞳を覗き込む。
    「あなたの髪が風をはらんで、まるで黄金の滝のようですよ。」
    王がイキテレラを抱いて、笑いながらクルクルと回る。
     
    うつろな表情の女性を撫ぜ回しながら、しきりに話しかけるその様子は
    まるで人形遊びをしている変態男のようであった。
     
    「あれがこの国の王の姿か・・・。」
    大臣たちは、遠目にその様子を覗き見て嘆いた。
     
     
    街では、王の乱心の噂が広まっていた。
    天候不順で、農作物が不作だったからである。
    不自由なく生活できていれば、他人の動向は気にはならない。
     
    国を統べる王が不徳だから天が怒るのだ
    いつの世も、民衆たちはそう結論付ける。
    非科学的な理屈だが、王家の存在もまた科学ではない。
     
    そしてある朝、パン屋の軒先で黒猫が死んでいた。
    猫嫌いのパン屋のおかみは絶叫し、服屋のお針子は呪いだと恐れ
    肉屋の主人は神の怒りに震え、酒場のマスターは時がきたと告げた。
     
     
    民衆たちは憎悪の渦となって、城へと集まってきた。
    王を捕えよ、処刑しろ、と怒声が響く。
    門が壊されるのも時間の問題であった。
     
    大臣たちは我先にと遁走した。
    侍女たちは、どうしたら良いのかわからず
    イキテレラの元へと集まってきている。
     
    イキテレラは長椅子に座って
    ボンヤリと外の喧騒を聴いていた。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : イキテレラ 13 10.6.14
           イキテレラ 15 10.6.18
           
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  • 家屋の設備

    私はそう潔癖症でもない。
    皮膚に何かついた、とかいうのでもない限り。
     ↑ こういう事を思う自体、ちょっと危ないが。
     
    掃除も週一で、掃除機掛けと水周りだけはやっている。
    壁とかは、年末の大掃除月間以外は気にしない。
     
     
    何で水周りを気にするか、っちゅうと
    水気は腐るからである。
     
    まだバカ娘だった頃に、食器の水切り?のトレイに溜まった水を
    放置に放置していたら、赤い糸みたいなんが発生して
    しかもそれが生きているのだ!
     
    もう、それを見た時の私は、楳図かずおの世界再現だったよ・・・。
    水辺はキレイにしなきゃいけない、と身をもって知った。
     
    ・・・何を気色の悪い事をカミングアウトしとんのか、と
    呆れられている事だろう。
    高校の時には、ベッド下にシメジみたいなんを生やすし
    基本の私は不潔なのかも知れない。
     
    人間、ここまで変わるもんかのお、と
    掃除をしながら、今でも我ながら不思議に思う。
     
    そんで水周りの設備、これがとても腹が立つ!
    トイレ、洗面台、風呂の排水溝、洗濯パンの排水溝
    何であんなに掃除しにくいんだ?
     
     
    大昔の結婚時代に、システムキッチンや洗面台を買った時
    この分野は、デザイン重視の合理性二の次だと思った。
    ショールームで疑問の嵐だったよ。
     
    90cm幅の流しなのに、何で蛇口が固定なの?
    掃除して洗い流す時は桶でしろと?
    洗髪できるシャワー洗面台なのに
    蛇口の開閉が上下ワンタッチじゃなく、左右にひねるタイプなのは何故?
    等々、ものすげえ質問した。
     
    それでも、売ってる物を買うしかなく
    しかも実際に使ったら、意外なところに支障ってあるもんで
    洗面台の蛇口と壁の間が狭くて、掃除できなかったり
    システムキッチンの下の収納の不具合やら
    普段家事をしているヤツなら、こんな仕様にはせん!
    と、とてもイラ立った。
     
    そこに、「使用後のご意見を聞かせろ」 と
    メーカーから手紙が来たので
    飛んで火に入ったか! と、そりゃもう事細かくダメ出しをし
    「オシャレな設備も掃除がしにくいと汚くなる。
     掃除をする事も考えて作れ!
     家事をせずに済むヤツがデザインすな!!!」
    と、それはまあ、きっつい意見を出しておいた。
     
    メーカー本社に出したはずなのに、何故かショールームのお姉さんから
    「率直な意見をありがとうございました。」
    みたいな電話がきて、少々慌てさせられた。
     
    そんで数年後に新製品が出て
    私が突っ込んだ部分が、結構改良されてたのを発見した時には
    安堵した反面、腹立たしかったがな。
    私が買う前に気付いて、それを売っていてくれたら、と。
     
     
    汚れにくく掃除しやすいのは、平らな面である。
    余計な凹凸や切り替え、突起物など
    汚れは溜まりやすいは、ゴミは引っ掛かるは、拭きにくいは
    清潔の邪魔にしかならない。
     
    もちろん形状には、強度や耐性などの理由があるだろうが
    デザイン性を重視しただけのものや
    これ絶対に業者が取り付けやすいためだけだろ
    という、掃除する者にとっては、余計な形状もあり
    掃除をする度に
     
    本当に家事をやってる人がデザインしてください!!!
     
    と、はらわたが煮える煮える。
    便器なんか、トイレ用洗剤のCMで
    ツルンとしたシンプルなデザインの便器が映った時に
    だろ? あの旧便器の複雑な流線型はいらんよな!!!
    と、ひとりでエキサイトしたさ。
     
     
    まあ、色々と素人にはわからん事情があるんだろうが
    そのわからん素人が日常に使う物なんだよな。
     
    うちのトイレとか、作った人に訊いてみたい。
    どういう理由でこことこことここはこの形なんだ? って。

  • イキテレラ 13

    このところ、王が寝室にやってこない。
    皇太后が去った後、新しい女官が城にやってきたのだ。
     
    新王妃のお話相手に、という名目であったが
    皇太后が寄越した王の妾候補であった。
    多分、彼女は王のお眼鏡に適ったのであろう。
     
     
    しかしイキテレラに降りかかるのは、決まって不運。
    幼い王子が流行り風邪で急逝したのである。
     
    王がイキテレラの目の前に、満面の笑みで現われた。
    「我が妃よ、私に世継ぎを!」
     
    「どうか側室のお方にお願いいたします。
     わたくしの実家よりも、身分が高いお家の出だと伺っております。
     彼女の方が、お世継ぎを産むにふさわしい血筋かと・・・。」
    イキテレラが必死で懇願すると、王は無言で部屋を出て行った。
     
     
    ホッとしたのもつかの間、王はすぐ戻ってきた。
    件の女官を連れている。
     
    イキテレラも驚いたが、女官も同様の様子である。
    「あの、王さま・・・?」
    女官が問いかけようと口を開いたその瞬間
    王が剣を抜き、女官に向かって振った。
     
    女官の首が床に落ちる音が鈍く響いた。
    地鳴りのようだった。
    イキテレラには、何が起こったのかわからなかった。
    女官の体がゆっくりと倒れ、振動で側の花瓶が転がり、床に落ちて割れた。
     
     
    相次ぐ物音を不審に思った侍女たちが、部屋をノックする。
    イキテレラは、女官から目を逸らせる事が出来なかった。
    床に転がった “彼女” と目が合ってしまっていたのだ。
     
    入って来い、と王の許可を得た侍女たちが悲鳴を上げた。
    王は剣の血をはらいながら、平然と命令した。
    「この女は我が妃に無礼を働いた。
     片付けておけ。」
     
    王は、放心状態のイキテレラを引きずって寝室へと向かった。
    「私が愛する妃より、身分の高い女がいてはならぬ。」
    王の言葉で、女官を死へと追いやったのは自分だ、とイキテレラは悟った。
     
     
    イキテレラは、すぐに身ごもった。
    しかし王の通いは止まらない。
     
    「王さま、お腹のお子に障りますゆえ
     何とぞしばらくの間はお控えくださいませ。」
    イキテレラから相談を受けた侍医が、王に進言に行った。
     
    王は、造作もなく答えた。
    「ダメだったら、また作れば良い事ではないか。」
     
    この返事を聞いた侍医は、口をつぐんだ。
    まともな感覚の答ではないからである。
     
    「王さまには、決してお逆らいなさいますな。」
    侍医はイキテレラにそれだけを助言すると、職を辞した。
     
     
    イキテレラの体調は日に日に悪くなっていった。
    気分転換にと、侍女がピクニックに連れ出してくれた。
     
    こんな事ではいけないわ
    絶対に世継ぎを作っておかないと。
    でも、あの男の血を引く子・・・?
     
    自分の腹の中にいる子が、果たして人間なのか
    それすら疑いそうになる。
    どこにいても、何をしていても、すべてが恐怖へと繋がっていく。
     
    馬車に乗っていて、城が見えてくると胸が苦しくなってきた。
    あそこに帰りたくない!
    イキテレラは泣き出した。
     
    「王妃さま、しっかりなさってください。」
    侍女が一生懸命に慰めるが、イキテレラの涙は止まらない。
     
     
    馬車が城に着き、イキテレラが降りようとしてフラついた。
    「大丈夫ですか?」
    支えてくれたのは、馬番の少年であった。
    「・・・ありがとう・・・。」
     
    イキテレラが城へ入ろうとした時にすれ違ったのは、王だった。
    え? と振り返ると、王は少年を切り殺していた。
     
    返り血に染まった王が、イキテレラに向かって微笑んだ。
    「こやつ、事もあろうに我が妃に触れおった。」
     
    イキテレラは悲鳴を上げ、気を失った。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : イキテレラ 12 10.6.10
           イキテレラ 14 10.6.16
           
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  • 人生相談 20 うんこネタ

     <質問>
     
    唐突でぶしつけでごめんなさいで、聞いてくださーいなのですが
     
    職場で同年代の女の子AとBが下らないうんこネタの話をしてて
    目上の上品そうな女性に対して
    Aが「○○さんの前でこんな話したらあかんやろ」とふざけ半分で言ってて
    私が「私もイヤやけど」と言ったら
    A「あんたは、別にいいやろ」って
    そんな話聞きたくない(お菓子食べてたし)って言ったら
    B「だったら聞かんとけば?」だって
    「耳閉じればいいじゃん」 だって
     
    どう思います!?
    人がイヤだって言ってるのに 開き直り?
     
    その場を離れたらよかったかもしれないけど、
    やっと仕事終えて 休憩に入った所だったし なんなんだろうな
     
    ちなみに彼女たちは下ネタを仕事中もしてたり
    気分次第でだらだら仕事をしてたりという態度が目立つ人です。
     
     
     <回答>
     
    : このメールは、実は “人生相談” とは書いてなかったんだ。
    : でも返事を出しても、何故か届かずに戻ってくるんだよ。
    : 
    : 相手の許可なく載せるのはどうかと思ったんだけど
    : こっちから連絡の取りようがないんで
    : 最終手段として、このような方法を取った次第なんだ。
    : 
    : 心当たりがある人、もし都合が悪かったら言ってくれ。
    : 非公開にするから。
     
     
    私はこう見えても、下ネタはしない。
    お上品ぶってるのではなく、本当に上品だからだ。
     
    と言うか、スカトロが病的に大っっっ嫌いなので
    うんこの話もしっこの話もゲロの話も
    たとえ真面目な内容であっても、聞きたくもない。
     
     
    そんな私にはまったく理解できないんだけど
    うんこネタって、万国共通の外さない笑い話だよな。
    特に子供は、“うんこ” という単語自体が好きらしい。
     
    何でだ?
    汚物だぞ?
    精神病の中には、うんこに執着する症状もあるらしいけど
    人の心理の奥底に、うんこを愛するプログラムが組み込まれているんかのお。
    ほんっと、わからんぜ。
     
     
    ああ、すまん
    ネタがネタだったので、つい怒りに己を忘れて
    相談者の事を放置してしもうとった。
     
    「どう思います?」 って、私なら暴れるわ!
    て言うか、常日頃から、こいつの嫌な事をすると反撃される
    と、周囲に印象付けておくよ。
     
    こういうやり方は、敵も作るけど
    嫌な味方がいるのが、一番しんどいと思う。
    敵らしい敵の方が、ずっとやりやすいだろ。
     
     
    だけど多分そのAとBは、職場の中心っぽいな。
    じゃないと、そんな仕事ぶりは許されない。
    逆らうと、ハブられたり面倒な事になりそう。
     
    相談者に対する口ぶりも、良く言えば仲間意識があるので
    ひとり抜けすると、恨まれるような気がする。
     
    それでバトって、空気を変える努力をするのも良いけど
    改革はものすごく大変で、成功の保証もない。
    よって一番安全な方法は、穏便に済ませる事で
    さりげなく席を立つ等しかないな。
    追求されたら、「ほんと、そういう話、嫌いなのよ。」 と言え。
     
    どうも汚物好きの女たちのようだから
    自分がどのラインまでならオッケーか譲歩して
    それを伝えておけばどうだろう?
    「飲食中じゃないなら良いけど。」 とか。
     
     
    うーん、すまん、良い答じゃないなあ。
    ケンカの売買で頭がいっぱいなんで
    円満解決って、私にとってはほんと難題なんだよー。
     
    もっとスマートに回避できる方法を、誰か提案してくれ。
    最近、通りすがる人頼みのクセが付いているけど
    その一方的な助けがとてもありがたい、と気付いてな。 えへへ
     
     
    にしても、「耳を閉じておけば?」 って
    私がそれを言われたら
    「あんたの耳、そんな機能が付いとんのかっ!!!」
    と、驚愕するぞ。
    プールに入っても、中耳炎にならずに済んで羨ましいよなー。
    (もう、ここで既にケンカ腰か?)
     
     
    はあ・・・、まさか自分がここまで
    うんこ連呼する時が来ようとは思わなかったな・・・。
    人生、ほんと予想が付かんな。
     
     
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
     
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  • イキテレラ 12

    王の葬儀は厳かに行われた。
    国中に弔いの鐘が鳴り響く中、王妃はずっとすすり泣いていた。
     
    イキテレラは、泣ける心境ではなかった。
    実の父親を殺すほどの嫉妬、というものが存在するなど信じられない。
     
    だが、現実に “それ” を目の当たりにしてしまったのだ。
    人の所業とは思えない。
    恐くて恐くて体の震えが止まらない。
     
    その隣で、王子はただ静かに参列している。
    その落ち着きが、より一層にイキテレラの恐怖心をかきたてる。
     
     
    王の葬儀の7日後には、王子の戴冠式である。
    世代交代は速やかに行われなければ、国政が乱れる。
     
    今回は “王の暗殺” という大事件であったが
    現場にいたのが全員身内であり、誰にも王を殺す動機もない事から
    王妃の証言通りに、従者の犯行だと判断された。
    従者は、王妃の愛人であった。
     
     
    「わたくしは戴冠式が終わって落ち着いたら
     歴代の王の墓所のある北の寺院に参ります。」
    王妃の言葉に、イキテレラは不安を感じた。
    「いつまでですの?」
     
    「王を亡くした王妃、つまり皇太后は、寺院にこもって
     夫の魂の安息を祈りながら、余生を過ごすのですよ。
     もうここには戻って来ませんの。」
    「そんな・・・。」
     
     
    イキテレラの手が震えだし、それを鎮めるかのように
    自分の手を重ねながら、王妃が低い声で言った。
     
    「わたくしだけ逃げ出すような形になって、ごめんなさいね。
     出来れば、あなたも連れて行きたいのですけれど
     それは国政上、許されない事なのです。
     戴冠式の後は、あなたが王妃になるのですよ。」
     
    「わたくしには無理です・・・。」
    「だけど、するのです。」
     
     
    王妃は、イキテレラの両頬を手で包みながらささやいた。
    「王子には気をつけなさいね。
     実の母親が言う言葉ではないけれど、あの子は狂っています。
     万が一の時には頼みますよ。
     王国には、もう次の世継ぎはいるのですから。」
     
    何が “万が一” なのか、何を “頼む” のか
    イキテレラには考えたくもない事であった。
     
     
    王妃、いや皇太后を乗せた馬車が城門を出て行くのを
    イキテレラは涙ながらに見送った。
     
    「我が妃は、いつ見ても泣いているなあ。 はっはっは」
    王子、いや王の王妃に対する心無い言葉に
    その場にいた者全員が、ギョッとした。
     
    イキテレラは、無言で部屋へと急いだ。
    王の言動のひとつひとつがすべて
    自分への脅迫に思えて恐ろしくてならない。
     
     
    戴冠式の時に、イキテレラが勺杖を王に渡す儀式があった。
    王は杖を受け取れば良いだけなのに、杖を持ったイキテレラの手を握った。
     
    強く握り締めた手を離さず、自分を睨む王に
    イキテレラはどうして良いのかわからず、思わず王の目を見た。
    その時が初めて、夫と目を合わせた瞬間だった。
    暗く深い茶色の瞳だった。
     
    王は空いている方の手で、勺杖を取りながら
    ゆっくりとイキテレラに顔を近づけた。
     
    「それでも私はあなたを愛しているのですよ。」
     
    王は薄ら笑いを浮かべて、イキテレラに口付けをした。
    端から見ると、単なる夫婦のキスなのだが
    イキテレラにとっては、死刑執行書へのサインにも等しかった。
     
    この時のイキテレラの恐怖を察する事が出来たのは、皇太后だけである。
    皇太后は戴冠式が終わった途端、荷造りを始めた。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : イキテレラ 11 10.6.8
           イキテレラ 13 10.6.14
           
           カテゴリー パロディー小説

  • 誘わない人

    こっちから声を掛けると、ホイホイ付き合ってくれるのに
    自分からは絶対に誘って来ないヤツっているだろ。
     
    いっつもいっつも自分からばかり誘っている状態だと
    え? 本当は私と遊ぶのイヤなの? と、ふと不安にさせられるよな。
     
    私、結構これ。 誘わないタイプ。
    だから多分、誘わないヤツの気持ちを代弁できると思う。
     
     
    私は自分からはあまり人を誘わない。
    メールもしない。
    これは誰に対しても、こうである。
    用がある時を除いて。
     
    何故そうしてるのか? という理由、
    私の場合は、ある日ふと思ったんだ。
    他人と自分の事情って違うんじゃないか? と。
     
    私が話したい時に、相手が話したいとは限らない。
    もちろん、こんな事を言ってたら友達付き合いなど出来ないわけで
    融通を利かせたり、我がままを聞いてもらったり、は当たり前の事である。
    現にこの私でさえ、少々都合が悪くても相手を優先させる。
     
     
    だけどな、長年生きてきて今更になって思ったのがな
    自分のペースは他の人と違い過ぎるんじゃないか? って事。
     
    ここらへん、どういう事になっとんのか
    空気が読めないんで、ほんとわからないんだけど
    全体的に見ると、いつもいつも世話になっとる側なんで
    いつ面倒を見てもらうかは、相手の都合で良いよ、みたいな。
     
    こいつと付き合うとロクでもねえ事しかねえだろうな
    みたいな事を書き連ねながら、何なんだが
    私の気持ちとしては、なるべく相手に負担を掛けたくないんだよ。
     
    いつ相手が都合が良いか、とか
    そういう全体像も、ほんと読めないんで
    せめて始まりの合図ぐらいは相手に合わせよう、みたいな。
     
     
    メールでもそうなんだ。
    相手がどういう状況かわからないから
    用事でもない限り、遠慮してしまう。
     
    でも、それぞれにそれぞれの対応法があるだろうから
    ここまで気を遣う必要もなく、もっと気楽に連絡しても良いんだろうな
    とは、わかっている。
     
    でも、天然だのマイペースだの変わってるだの、散々言われてるとな
    よくわからんけど、何となく私、多分絶対におかしい気がする!
    と思い込んで (その思い込み方まで自信なさげに)
    どうしても他人を巻き込む事柄には、臆病になってしまうんだよ。
     
     
    だから人付き合いに関しては、私は
    来るもの拒まず、去るもの追わずで
    自分に主導権はない、と決めている。
     
    この決心が、えらく冷酷に映る時もあるようだけど
    相手が私を思い出すよりも、私が相手を思い出す回数の方が
    絶対に多い! と、ここだけは自信がある。
     
    根拠は、私は一日中脳内の隅で記憶が勝手に巡っているんで
    コンスタントに、友人知人ネット仲間も出てきているからである。
    だから、ちゃんと愛はあるんだよ
    いつも想っているんだよ、と言いたい。
     
    そんなん、ちゃんと言葉で伝えなきゃ相手は気付かんわけで
    こっちの勝手な言い訳なのはわかっているけど
    この、“伝える” っちゅうのも、重くねえか?
    と、ちゅうちょするんで、もうどうすりゃ良いのか
    自分でもワヤクチャなんだ。
     
     
    自分から誘わないヤツって、このように
    人との距離感に自信がないんだと思う。
    本心は、決して付き合いがイヤなわけじゃなく
    むしろどんどん誘って! って感じ。
     
    誘わない人の、全員がこうではないだろうけど
    私はこうで、私と似たような理由の人もいると思う。
     
    あー、もうそれを言われたらねえ・・・、という
    卑怯な言葉を、最後に発射させてもらうが
     
     悪 気 は な い ん だ
     
     
    まあ、私はそこまで頑なに誘わないわけじゃないけど
    それ系のトラブルが1度あって、その時に気付いたよ。
    相手によっては、“誘われる” って段取りも重要なんだな、と。
     
    だから誘わない人は、気をつけた方が良い。
    相手を疑心暗鬼に陥らせているかも知れないから。
    3度に1度は誘う側に回るべきだな。
     
    考えてみれば、こっちが遠慮して出来ない事を
    相手に押し付けている形になってる、って場合もあるし
    付き合いもバランスが大事だと思う。
     
    まあ、相手の都合おかまいなしの若者時代を過ごし
    年を取ってからやっと、世界は自分基準じゃない、と気付いて
    いきなり極端に遠慮し始めた私には言われたくないだろうがな。

  • イキテレラ 11

    「王子はまた、毎晩あなたの寝室に通ってらっしゃるようね。」
    お茶を飲むイキテレラの隣で、王妃がほほほと笑った。
    「この分じゃ、2人目もすぐ出来るでしょうね。」
     
    わたくし、ちゃんと世継ぎを産みましたわ
    これでもう役目は終わった、と思っていたのに・・・
    気落ちしているイキテレラの頬に、王妃が手を伸ばした。
     
    「わたくしには王子の気持ちがわかるわ。
     可愛いイキテレラ。」
     
     
    王妃の指が、イキテレラのまぶたを撫ぜ
    まつげをかすめ、唇をなぞった。
     
    「わたくしの事も恐い・・・?」
    王妃の唇が、イキテレラの右の頬を這う。
    イキテレラに返事は出来なかった。
    王妃の唇がイキテレラの唇をふさいだからである。
     
    イキテレラの倫理観では、ありえない出来事だったが
    王妃の繊細な動作は、王子との行為よりはよっぽどマシに思えた。
     
    「王子の事は、もうしばらく我慢なさい。
     あの子にはわたくしが適当な妾を見繕ってあげますわ。」
    王妃はイキテレラの耳元でささやいた。
     
     
    昼間は母親、夜は息子、と、とんだ変則的な親子どんぶりだが
    この腐敗した性生活は、早々に終わりを告げた。
     
    王妃とイキテレラの目の前には
    血に染まった胸で息絶えた王と
    血に染まった剣を持ち、立ち尽くす王子が
    月光に照らされて浮かび上がっていた。
     
    「王子、あなた、何をしているの?」
    王妃が震える声で訊く。
     
    「父上は、我が妃と密通しておりました。
     ですから斬りました。」
     
     
    王妃とイキテレラが、思わず顔を見合う。
    確かに王子以外にイキテレラに近付ける男性は、王しかいない。
    だがイキテレラと密通していたのは、王妃であって王ではない。
     
    「わたくし、王さまとそのような事はいたしておりません!」
    イキテレラの叫びを、王子が迷いもなく否定した。
    「・・・嘘ですね!」
     
     
    「何故そう思うのですか? 王子よ。」
    王妃の問いに、王子が答えた。
     
    「最近、妃の体が柔らかくなりました。
     我が妃は、他の者に抱かれている。
     私にはわかるのです。」
     
    イキテレラには、その言葉の意味はわからなかったが
    激しい嫌悪感に襲われた。
    「何て汚らわしい・・・。」
     
    吐き捨てるように言い、部屋を出て行こうとするイキテレラを王妃が留める。
    「お待ちなさい、このままにしておくわけにはいきません。
     たとえ王子と言えども、王殺しは重罪なのです。
     王国を混乱させてはなりません。」
     
     
    王妃が部屋を出て行き、ひとりの従者を連れて戻った。
    「こ、これは何が起きたんですか?」
    倒れている王を見て狼狽する従者を、王妃が斬った。
     
    「この者が王を殺したので、王子が成敗したのです。」
    王妃は、剣を床に投げ捨てた。
    「さあ、人を呼びなさい。」
     
    そう王子に命じると、王妃は王にとりすがって泣き始めた。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : イキテレラ 10 10.6.4
           イキテレラ 12 10.6.10
           
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