投稿者: あしゅ

  • ジャンル・やかた 58

    「死んだヤツは皆あんたが殺した、って噂が出ているけど
     それは本当なのかい?」
     
    ローズは単刀直入に訊いてきた。
    ローズのこういう、話が早いところが好きなんだよな・・・
    と、微笑みつつ正直に答えた。
     
    「正確には、私が命じたのは1件だけだけど
     他の2人はたまたま死んでくれたんですー。
     でもそれがなくても、確実に殺すつもりだったですー。
     バ・・・リーダーは、私が追い詰めたら自殺しちゃいましたー。」
     
     
    アッシュの話の内容に、ローズは落胆した。
    と同時に、アッシュの態度には思いがけない喜びを感じていた。
    この子は主の地位に就いて長く経ったというのに、相変わらずなんだね
    そんな安心感を打ち消すように、溜め息を無理に付いた。
     
    「あんたに最初に会った日に言った事があるね。
     『何もしないヤツがキレイ事を言うな』 って。
     ・・・あたしは、・・・・・情けない話だけど
     バイオラが死んで初めて、人間の命の重さを知ったんだ。
     それまで何人も殺したのが、罪だとわかったよ。
     あんたもそうだと信じていたんだけど・・・。」
     
    アッシュは、ローズの言葉のひとことひとことを
    すべて記憶したいかのように、味わって聞いた。
     
    「そりゃ、この館の管理をするのは大変だとわかっているさ。
     でもそれにしても、殺すんじゃなく他に方法もあるだろ?
     あんたはこの館を戦いのない場所にしたいんだろ?
     なのに何故こういう事になってるんだい?」
     
     
    アッシュは、ずっとローズの声を聴いていたかったが
    ローズが口を閉じて、自分が答えるのを待っているので
    仕方なく喋る事にした。
     
    「ローズさん、本当に申し訳ありませんでしたー。
     今回の事、いえ今までの事はすべて私の力不足ですー。
     でも、バイオラさんの死で私が学んだ事は
     あなたとは正反対なんですー。」
     
    つい、そこまで言ってしまったアッシュだったが
    次の言葉は決して口にしはいけない、と
    わかっていたので、どうしようかと迷って目を泳がせた。
     
    その心理状態を何となく察したのか、ローズが優しく促した。
    「あたしに言ってみてごらん?」
    その声を聴いたアッシュは、意を決して包み隠さずに言った。
     
     
    「今まで、人を殺して平気な人の気持ちが理解できなかったんですー。
     人が傷付き死ぬのを間近に見て、それはもうショックでしたー。
     人の命は等しく尊いのに、と罪悪感で苦しみましたー。」
    うんうん、と、うなずきながらローズは聞いた。
     
    「・・・だけどバイオラさんの死を目撃した時に
     その考えがくつがえったんですー。
     仲良くしていたバイオラさんの死は私にとって
     想像以上の “特別” だったんですー。
     それは、他のよく知らない人の死とは比べ物にならなかったー。」
    アッシュの口元が、感情を抑えるかのようにかすかに歪んだ。
     
    「大事な人以外の命なんて、自分には何の価値もないんですー。
     生きようが死のうが自分に関係ないんなら、どうでも良いんですー。
     その差は、ゴミと宝石ぐらい違うんですー。」
     
    少しうつむき加減に、しかしローズの目を見据えて言うアッシュに
    ローズは思わず涙が出そうになった。
     
    あたしたちは、あんたのお陰で平穏に暮らせるようになったけど
    あんたはこの館に、ううん、あたしにそんな風にさせられたんだね。
    あたしたちはあんたに諭されて、正義を学んでいったけど
    あんたは自分の心を刻んで皆に配っていたんだね。
     
     
    そう考えたら、無意識にアッシュを抱きしめていた。
    可哀想に・・・、何て重い荷物を背負わせちゃったんだろう。
     
    アッシュは久々に触れたローズの温もりに
    安らぎを感じて、目を閉じた。
     
     
    しばらくそうしていたふたりだったが
    ローズがアッシュの顔を見て、微笑みながら穏やかに言う。
    「着いておいで。」
     
    そうひとこと言うと、ローズがドアを開けて部屋を出て行く。
    どこへ行くとも言わなかったが
    アッシュは何も訊かずに、ローズの後をついて行った。
     
     
    ローズはエレベーターに行き、屋上のボタンを押す。
    アッシュはそれを見て、ああ、突き落とされるんだな、と察したが
    ローズが殺してくれるんなら、それも嬉しい事だ、と思った。
     
    こんな気持ちになるなど、自分は狂っているのかも。
    そういう気がしたけど、久しぶりの高揚感に
    そんな事すら、もうどうでも良くなっていた。
     
     
    アッシュはローズの顔を見つめて、目が合うと楽しそうに微笑み
    ローズもまた、笑みを返してくれた。
    まるで楽しいピクニックに出掛けるかのようなふたりであった。
     
     
    エレベーターが屋上に着いた。
     
     
    続く。
     
     
    関連記事: ジャンル・やかた 57 10.2.25
          ジャンル・やかた 59 10.3.10
          
          ジャンル・やかた 1 09.6.15

  • 記事形態変更のお知らせ

    私がパソコンをイてこましている間に
    管理人ぷらちッが、役に立つ記事を書いてくれていた。
     
    こういう知識があるなら、何で早く教えてくれないんだよ? と憤ったが
    その知識のレベルは えっ、こんな事も知らなかったの? という
    初歩の初歩なのかも知れないので、ぷらちッも教えどころが難しいのだろう。
     
    とにかく、こんな金の卵を逃す私ではない。
    (言っとくが、上品なわたくしは下ネタは好きではない)
    早速ぷらちッに恫喝をして、記事の連載を強要した。
     
     
    ここで問題なのが、どっちがその日の記事を書くか、である。
    ぷらちッはハードな仕事なので、更新の義務付けは酷である。
    いつ書けるかもわからない。
     
    そこで、書くなら私が書く前にアップせえ
    そしたら私はその日は書かないから、と提案した。
     
     
    これで話がまとまりそうになった時に、ふと思い出した。
    そういや芸能人とかのブログって
    短文を一日に何度もアップしてるという話を聞いた事がある。
    という事は、一日に何度も更新出来るって事じゃねえ?
     
    これをぷらちッに確認したら、出来ると言う。
    編集じゃなくて更新だよ?
    新規記事のアップだよ?
    と、しつこく聞いて、それが可能だとわかった。
     
    いやな、以前の日記だかブログだかは
    新規記事は一日一記事しか出来なかったんだよ。
    ブログとか、そういうものだと思い込んでいた。
    それで昨日も、パソコンは直っていたけど
    ぷらちッが記事をアップしてたから、私は書かなかったんだ。
    ラッキー! とか思ってサボったわけじゃねえぞ?
     
     
    一日一記事の概念があったので、2人の記事をどう融合させるか
    ものすごく悩んでいたんだが、これで解決である。
     
    私は通常通り (パソコンや私が壊れない限り)、平日更新を続ける。
    ぷらちッは書ける時に、私に役立つ (← !) 記事を書く。
    このブログはその方針で行こうと企んで
    ぷらちッをそそのかしている最中である。
     
    今後の私の洗脳次第だが、ぷらちッのカテゴリーも増やしていきたい。
    “ぷらちッのババア用PC講座” “ぷらちッの対ババア携帯講座”
    “ぷらちッの旅行記” “ぷらちッの食べ物日記”
    など、私の記事とひとめで区別が付くようにする予定である。
     
    私のドス黒い記事の合間合間に、ぷらちッの爽やかな記事が載る。
    ここは正に、タイトル通りの
    “天使 (ぷらちッ) か 悪魔 (誰だよ?) か” になるわけだ。
     
     
    とは言っても、ハードワークのヤツにあまりせっついても
    プレッシャーになるだけで、楽しく書けないだろうから
    ぷらちッの更新は、のんびりと待ってくれ。
     
    私の予想じゃ、月一更新すりゃマシなペースになると思うが
    ぷらちッがご無沙汰の間は、私のドロドロな記事でも読むがいい!
     
     
    あ、そうそう、ひとつ明記しとくが
    私はぷらちッの記事には、あまりコメントはしない事にする。
    内輪受けなんて、端から見たら気色悪いだけだもんな。
     
    ぷらちッの記事にコメントを書いたら、私の方にも
    とかいう気遣いも無用だから
    好きな方に書きたい時だけコメントをしてくれ。
     
    私の記事は、コメントしづらい内容が多いのは自覚してるし
    私には、ブログの記事を書くのは
    とにかく “脳の調整” という目的がはっきりとあるので
    自分のペースでやっていくから、何も気を遣わなくて良いからな。
     
     
    という事で、ここは時々新規記事2本立てになるという
    お得 (?) な仕様になるので、“最新記事” という項目にも注目なー。

  • ブルーストップ

    パソコン、直りました。 ブラボー。(棒読み)
     
    直ったのに、何でこんなに気分低迷なのかっちゅうと
    短期間内での2度目なんで、嫌気が差しているからである。
     
    そもそも、いつ行っても更新されてるからこそ
    (内容は同じ事しか言ってないにしても)
    皆、何となくブラリと立ち寄ってくれるであろうに
    それが休みなんかしてたら、私のブログ、価値ゼロじゃんよ!
    弁当しょっちゅう売り切れのコンビニのようなもんだぜ。
    ほんと皆、すいませんすいません。
     
    にしても、うちのパソコン、何でいつも月曜日に壊れるんだ?
    やっぱり土日に一切触らないのが原因か?
    かあーーーっ、新婚ホヤホヤのメルヘン新妻じゃあるまいし
    毎日触ってやらないと機嫌を損ねるってかー?
     
    土日はなあ、買出しに行ったり、ロングブーツバトルに行ったり
    くだらん映画を観たり、ゲームをしたり、屁ぇこいて寝たり
    色々と忙しいんだよ! ネットをやってる時間はねえんだよ。
    ああー、クソ面倒くせえ仕様だな、うちのパソコンはよお。
     
     
    さて、八つ当たりはこれぐらいにして
    ブルーストップとは、管理人ぷらちッが説明してたように
    パソコンの何だっけ?機械的なトラブル?が起こった時に
    突如画面が高貴なロイヤルブルーになり
    英語で何かを書かれている (しかも長文で) 状態になる事である。
     
    こうなると、電源ブチ切りしかなく
    こっからどうやって修理するんだろう? と素人は思うのだ。
     
     
    うちのパソコン、この頃かなりご機嫌が悪く
    またブルーストップ攻撃を繰り出してきよった。
    2度目なので、慌てず騒がず専サポにメールを入れ
    (今度は) きっちり指示通りに対処した。
     
    その過程で目撃したのが、無地のログイン画面。
    こんなん初めて見たよーーーーーーーー。
    ああー、写真撮っておくんだったー。
    あまりの衝撃に、とてつもなく動揺させられたんだよー。
     
    これを専サポにメールで説明するも、理解してもらえない。
    ユーザー切り替えの画面が無地なんだよ、と必死で訴え
    しばらくやり取りした後、専サポが
    「ああ! ユーザー選択コマンド?が出ない、って事ですね?」
    そう、何かよくわからんが多分それだと思う。
     
    しかしそんな画面説明も、感性が合わないとまったく伝わらない。
    専サポに言わせれば、私の表現の方がヘンなんだそうだが
    プロなら、その知識を元に応用を利かせてほしい
    というのが素人の言い分である。
     
    結局、この現象は別に問題でもなく
    電源を落として触るな、という命令を下されただけだった。
     
     
    今回は専サポは割に神妙な雰囲気だった。
    年度末で大変だろうに、その文句も言われなかった。
    前回の修理で直せなかった事に、責任を感じているようなのだ。
     
    いつもまず最初にする、「何をしたんですか?」 の尋問も
    妙に穏やかで、そういう態度を取られると逆に恐いって事を
    わかっててやってるんだろうか? とすら疑うほどだった。
    この静けさも、修理に掛かってから豹変するのだが・・・。
     
     
    さて、うちのパソコンは、何故専サポが触るとブルーストップしないのか?
    後ろで覗き見ていて、その反応の違いにムカつくが
    機械だって差別をするんだから、人間界で差別問題がなくならないのも
    無理はねえわな、という結論に落ち着いた。
     
    見ててもわけわからんので、すぐ飽きてゲームを始めたが
    チャラララッチャチャー チャラララッチャチャー という
    私にとっては喜ばしいレベルアップ音が、専サポの癇に障ったようで
    「うるさいですね!」 と、キッと言われる。
     
    すんません、魔法戦士に転職したんで、レベルがすぐ上がるんだ。
    でもこのドラクエ9は、敵接近音が大事なんで無音に出来ないんだよ。
    ほんと、すいませんすいません、と言いつつもゲームをやめないわたくし。
     
    て言うか、専サポ、かなりイライラしているようで
    作業をしながら、ブツブツひとり言を言ったり
    キーボードをパンパン打ったり、聞いてて胃が炎症を起こしそうなんだよ。
     
    すいませんが、気持ちはわかりますが、私的にとても辛いんで
    出来れば無言でやってくれませんか、とお願いしたら
    「ああ、すいませんねえ。
     これ、もうダメかも知れませんねえ。
     私の手に負えるかわかりませんよ。」
    と、より一層、胃がねじれるような事を言ってくれた。
     
    その言葉で、脳内では修理代捻出後の生活費の計算が始まったが
    暗算できる脳みそを持っていないので、さっさと諦めてゲームに集中した。
     
     
    これを書いているという事は、専サポが直せた、という事である。
    「あなたのこの写し取った英文、この単語が間違ってるんですよ。
     ??? (忘れた) と書いてありますけど
     これは ??? (もっと忘れた) の事でですね
     今回のトラブルは・・・」
     
    専サポの長い説明は、何語を喋ってるのかすらわからなかったので
    忘れたわけじゃない。
     
    一応、うんうんと聞いてはいたんだが
    内心、何でこんなに長々と説明するんだろう? と思っていたら
    「あなたに説明してもわからないでしょうけど
     今回は本当に難しい作業だったんで、直せたのが不思議なぐらいですよ。
     さすがに自分を誇りたいんですよ。」
     
    専サポはスーパーハイテンションになっていたのだった!
     
     
    もうほんと、とことん感覚が合わないヤツなんだが
    ちょっと興味を持って訊いてみた。
    何でそんなにパソコンが好きなのか?
     
    「機械は良いですよー。
     こっちがやっただけの反応しかしませんから
     言う事をよく聞いてくれるんですよ。」
     
    それ、人間だってそうじゃん、と思ったが
    これを言うと、とても深い墓穴を掘りそうな予感がしたので
    へえー、と流しておいた。
     
     
    2台目パソコンを買おうかどうしようか、という相談には
    どうせくだらんサイトしか見ていないくせに、ムダでしょう
    と、やたらマイネットライフを軽んじられた発言をされたが
    まさか 「ブログでおめえの悪口をコソコソ書いてんだよ!」
    と、カミングアウトするわけにもいかず
    言葉に詰まり、何の相談にもならなかった。
     
    皆さん、今後もパソコンのトラブルで
    更新を休む事があるかも知れませんが
    素人は壊れかけのパソコンを騙し騙し使え、という結論のようなので
    どうかご理解とご協力をお願いいたします。
     
    本当に申し訳ありません。

  • 老人の心得・身体編

    去年、実家に帰省した時の事。
    ダイニングテーブルに見苦しく山積みになっていたチラシ類が
    地すべりを起こし、ドサドサドサドサと崩れていく真っ只中
    兄がそれを、ただボーッと眺めていた。
     
    一部始終をテーブルの向かいに座って目撃していて
    兄のその呆けっぷりを見て、こいつ何か悩みでもあるんかいな
    と思ったんだが、なだれが終わると兄がグルリとこっちを向いて言った。
     
    「俺はもう、ゆっくり動く事にしたんだ!」
     
    この前衛的とも思える、突拍子もない宣言に
    一体どうしたんだ? 何があったんだ? と、若人は驚くであろう。
     
    しかし私には、兄のこのひとことですべてが理解できたので
    「そうだね」 で済ませて、チラシ拾いを手伝う事もせず ← !!!
    苦い高級緑茶を嫌々すすっていた。
     
    いや、高級っちゅうのは知らんよ
    兄が茶を淹れながら、これはどこどこの何とか地方でとれた
    こういう素性のどうした茶なんだ、と能書きをたれていたんで
    ああ、要するに高級なんだな、この兄の事だし、と思ったんだ。
    兄の淹れる茶、とにかく苦いんだよ。
    もんのすげえ手順をかけて、丁寧に淹れるんだけど
    私には良さがさっぱりわからないんだよ。
    どうせ安物食いのジャンク味覚さ。
     
     
    と、茶に対しての恨みはどうでも良い。
    兄の何が私にわかったのか、というと
     
    年寄りはキビキビ動いてはいけない!!!
     
    この鉄則を、ここ数年私も感じているのだ。
    元々段取り重視の私は、とても素早く動く。
    速度戦を掲げていた某国の将軍様に気に入られるほどに。
     
    何度も行き来したり、これをやってからあれを とか
    モタモタするのがイラつくので
    一度の移動で揃えるだけ揃え、持てるだけ持ち
    これをしつつもあれをする、と千手観音のような事をやっとった。
     
    そりゃもう、使える部分は全部使っていた。
    右手も左手も足もケツもコシも肩も。
     
    端から見てると、行儀の悪さは否めないので
    我が親の顔に泥を塗っちゃいけない、と人前では封印しているが
    おめえ、次はこれもしなきゃならないんだろ?
    だったら今、ついでにそれも持って来ればいいじゃないか
    とか、他人の段取りの悪さに内心ピキピキさせられたもんだ。
     
    しかしそこは、年を重ねて腹も程よく黒くなってきたんで
    「あ、そこのそれ、ついでに持ってきてくださいー。」
    と、自分の利益のために人をこき使うようになり
    マイ気分的には安定してきた。
     
    私のために動く事に不満があるなら
    おめえのために、おめえの段取り力を鍛えてやっても良いんだぞ?
    と、自分を正当化しつつ。
     
     
    さて、私がいかに有能かを熱く語ったところで本題に入る。
    ひとつの記事の中に、どれだけ自画自賛を混ぜるかを命題にしとるので
    本題が後回しになるのは、いた仕方のない事である。
    文句があるなら、全文私ブラボーでいっても良いんだぞ、ああー?
     
    この私の千手が、年老いてきたら自傷行為になってきたのである。
    ガーッと通り過ぎながら、後ろ手に物を取るとグキッ
    洗い物をしながら、足でガスコンロを調節するとメキッ
    肩で邪魔物を支えながら作業をするとバキッ
    ヘタすると、廊下を歩きながら電灯のスイッチを押しただけでビキッ。
     
    ここ数年、特に冬場の寒い時期は、体のどっかが筋違いを起こしていた。
    気を付けてはいるんだが、どうも基本せっかちな性格だったらしく
    ついつい以前のクセが出てしまうんだ。
    んで、必ずグキメキバキビキだ・・・。
     
    きっと兄も同じ経験をして、それに気付いたに違いない。
    あいつは私に輪をかけてマルチタスクなのだ。
     
     
    自分の短気な性格は、ボケとともに緩まると信じつつも
    出来るだけゆっくり動くように心掛けている。
     
    ゆっくり振り向く、ゆっくり立つ、ゆっくり座る
    そうやってたら、筋肉がちょびっと鍛えられている気がするし
    何より意外だったのが、お上品に見られる事である。
     
    えっ? 元々上品なのに何を今更? と思わんでもないが
    褒められるので、思う存分気を良くしている。
    上品な老婦人への道を着々と歩んでいるようだ。
     
     
    それプラス、去年の夏頃に始めたストレッチ
    冬は寒いので、1秒たりともしたくないが
    とりあえず朝目覚めたら、布団の中で
    両手を頭の上に伸ばして、足先も伸ばし、全身で伸びをする。
    次に両手そのままで、かかとを曲げてアキレス腱を伸ばすように
    もう一度、ウーーーーーーーーン と全身を伸ばす。
     
    その後、布団の中で正座をして、顔はうつむいたまま
    両手を前方に出して、ウーーーーーン と土下座をする。
    (土下座は得意なんだ。 よくするハメになるし。)
    そんで、その格好のまま、布団の中にしばらくいる。
    寒いんで布団から出たくないだけなんだが
    ほれ、何せ急に動くとマズいだろ?
     
     
    こんぐらいでも気休めにはなるかな、と軽んじていたら
    これをやって起きると、例のグキメキバキビキをしないんだよ!
    今年はまだやっとらんのだ。
     
    もんのすごーく上品になったか、ストレッチが効いてるかのどっちかだな。
    ストレッチ、ほんとバカに出来んぞ!
     
     
    若者にはまだ関係のない情報だが、覚えておいてくれ。
    年を取るとな、普段の生活態度が己への凶器になるんだよ。
     
    途中でそれに気付いても、いきなり運動を始めたりしちゃダメだ。
    打ち身捻挫筋違い神経痛、果ては腱を切ったりするからな。
    まずは緩いストレッチなどで、徐々にリハビリしつつ
    自分の反射神経と別れ話を始めるんだよ。
     
    私のこの言葉が現実にならないよう
    普段から適度な運動をしとくのが、一番のお勧めなんだが
    自分がしたくもねえ事を勧められんしな。
     
    んじゃ、ちょっくら出掛けるわ。 へい、タクシー!

  • ジャンル・やかた 57

    立て続けに死人が出て、さすがに館内では動揺も起こっていた。
    特に反乱グループの残りがザワついている。
     
    アッシュはジジイに相談した。
    「もうこの際だから、残りのヤバ組ふたり
     一気に殺っちゃって良いですかー?」
     
    切羽詰った声に、ジジイもテンパってそのムチャを支持してしまった。
    「もうこの際じゃ、ひとりもふたりも一緒だろ。
     さっさと殺ってしまえ。」
     
    ひとりふたりどころか、今回の件の総合死者人数は
    4人5人、いや最終的には5人6人にもなる計算なんだが
    いい大人がガン首揃えて、足し算も出来ないぐらいに
    うろたえてしまっていた。
     
     
    2日後、男が転落死をした。
    実際に手を下したのは、警備部である。

    一応、現場には酒瓶を転がしておいたのだが
    今更そんな小細工が通用するとは思ってはいない。
     
    とりあえず、うるさそうなのを殺っておいて
    あとは口八丁手八丁、人の噂も75日、に頼ろうと
    大雑把な作戦を決行してしまったのである。
     
    ところが最後のターゲットを探したが、どこにもいない。
    アッシュ、ジジイ、リリー、そして監視部一同全員が青ざめた。
    いつからいないのかすら、わからない。
    忽然と姿を消していたのである。
     
     
    「もしかして・・・」
    消えた男の書類を探っていたリリーがつぶやいた。
    「牧場の一番端は、鉱山に掛かっているんです。
     閉鎖された鉱山のところにはカメラがありません。」
    男の仕事場は牧場だった。
     
    アッシュは住人たちに捜索を呼び掛けた。
    住人たちは、相次ぐ不審死にビクつきながらも
    事実を究明したい一心で、鉱山一帯の捜索を手伝ってくれた。
     
    結果、リリーの読み通り、閉鎖された鉱山へと続く穴が発見された。
    どうやら穴は長年に渡って、コツコツ掘られたもので
    現在の行方不明者が掘ったものかはわからないが
    ここから逃げ出した可能性は高い。
     
     
    館管理側は愕然としたが、住人たちはもっと衝撃を受けていた。
     
    この館から脱走者が出るなんて。
    いや、そんなはずはない、出たければ堂々と出られるのだ。
    なのに、こんな逃亡をするなんて
    やっぱり主様が殺戮を繰り返しているのか?
     
    あの主様がそんな事をするわけがない。
    穴は昔から掘られていたものだし、そこから出た証拠もない。
    もし仮に主様の仕業だとしても、この館の事を考えた上でのはず。
    主様が住人たちに理由なく危害を加えるわけがない。
     
    館内は主擁護派と主非難派とに、真っ二つに分かれた。
    アッシュは変わらない態度で、演説の習慣を続けたが
    講堂に来る人数が増えたにも関わらず
    さすがの愚鈍なアッシュにも感じ取れるぐらいに
    荒れた雰囲気が流れるようになった。
     
     
    しまった・・・。
    とんでもない愚策を講じてしまった。
    そもそも、バ・・・もあんな弱腰だったし
    デ何とかも逃げるつもりだったんだから
    いくじなし揃いの集団と認識して、しばらく放置で良かったんかも。
     
    でも放っといたら、ヤケクソで襲撃をされてたかもだし
    反乱グループを再構築されたら厄介だし
    これはこれでアリな策なわけだし・・・。
     
    いや、やってしまった事は変えられない。
    反省は後でも出来る。
    今はとにかく、後始末にだけ思考のすべてを持っていかないと。
     
     
    住人たちの動揺を抑える手を模索していたアッシュだが
    有効な方法が見つからない。
     
    心配するデイジーや、その他の身近な者の不安をあおらないよう
    出来るだけ普段通りに振舞うようにはしていたが
    体の中に硬く重い石が積み上げられていくようで
    いつそれに押し潰されるか、そういう秒読みのような心理の日々が続いた。
     
     
    そんなアッシュに追い討ちを掛けるように、長老会から連絡が入った。
     
    クリスタル州の外れで、車にはねられて死んだ男性が
    どうやらここの住人らしい、と。
     
     
    この不祥事はどういうわけだ、詳しい説明を、と立て続けに連絡が来るのは
    ジジイにも本部を抑えられなくなっている、という事で
    今までの事を長老会に隠蔽していたのも加えて
    アッシュにとっては、これ以上にない都合の悪い展開であった。
     
    いや、私だけじゃない
    ジジイにもリリーにも、側にいる本部所属の者全員の信用にも関わる。
     
    自分ひとりの責任では済まないであろう事が
    アッシュの重圧になっていた。
     
     
    既にアッシュは、地位の保全よりも身の引き方を模索していた。
    どうやったら私ひとりで責任を取れるか
    どうやったら私ひとりに全部の罪が掛けられるか
     
    こんな事は誰にも相談できない。
    他の者に望む事は、口をつぐんで罪悪感を持たずにいてくれる事だけ。
    だけど、それが一番難しい・・・。
     
     
    いつもと変わらない様子を心掛けているのに
    アッシュの顔はやつれ、頬はこけ、目は落ちくぼみ、クマができ
    光の加減によっては、老婆に見える瞬間さえあった。
     
    いっそ私が死んですべてが解決できるのなら、いくらでも死ぬのに!
    爽快に晴れた春の午後の日差しを背に受けていながら
    執務室の椅子に座っていながら
    アッシュは、今にも体のあちこちが崩れ落ちそうな気分になっていた。
     
     
    と、その時、ドアがいきなり開いた。
    ローズだった。
    バイオラが死んでから、これが初めての訪問である。
     
    アッシュはその姿を見た瞬間、不思議な安堵感に包まれた。
    ああ・・・、私に引導を渡すのは彼女なのか
     
    もう何もかもが、それで良かった。
     
     
    続く。
     
     
    関連記事: ジャンル・やかた 56 10.2.18
          ジャンル・やかた 58 10.3.8
          
          ジャンル・やかた 1 09.6.15

  • パソコン、ダウン

    注: この記事に出てくるパソコン用語?は
       “私” の記憶に基づいたものなので
       多分色々と大間違いをしていると思います。
       真に受けないでください。
       
       なお、専サポは関西人なのですが
       フレンドリーな関西弁なのに、慇懃無礼な印象を与える言い方は
       高度過ぎて再現できないので、あえて標準語表記にしております。
     
     
    さて、どうやら何かをやっちまったようだ。
     
    ブログの記事を書いていたら、急にマウスが利かなくなり
    画面が真っ暗になってしまった。
     
    こんな事は初めてだったので、どどどどうしようーーーーー、と
    専サポに慌ててメールをした。
    専サポからの返事は、電源を落として、しばらく注意深く扱って
    様子見をしましょう、というものだった。
     
    ででで電源が落ちないんだけどーーーーーーーーー! と、訴えたら
    慌てないでください、電源は5秒ぐらい長押しするんですよ、と。
    あ、そうだった、私どこまでパニくってるんやら・・・。
     
     
    再起動して、メールチェックをしようとしたら、また画面が真っ暗に。
    しょうがなく、また電源を落とす。
     
    それを2度繰り返したら、画面が見た事もない鮮やかなブルーになった。
    英語で何やら文章が書いてある。
     
    爽やかなんだけど、何となくおどろおどろしい雰囲気にビビり
    それを撮って専サポに送信したら、電話が掛かってきた。
    「何て書いてあるんですか? 読んでみてください。」
     
    「えーと、あ、ぷ、ぷ、ぷろぶ・・・れむ? はず びーん
     ・・・でぃ? で? でてくてっど? あんど・・・」
    「もう良いです。 その文章、書き写しておいてください。
     パソコンは電源を落として、もう触らないように。
     それ、最悪2~3週間ぐらい掛かるかも知れませんよ!
     この前買ったマウスが悪いんじゃないんですか?
     そのモニターカバーやキーボードカバーとかねえ。」
     
    私渾身の秘策であるモニターカバーやキーボードカバーを
    専サポが毛嫌いしているのは知ってるが
    それでパソコンがおかしくなるわけもなく
    単なる八つ当たりだとは思うんだが
    専サポのピリピリした様子が伝わってきて、ものすごく不安にさせられた。
    2~3週間? それ、クラッシュ?とかいうやつ?
     
     
    夜遅くに鬼のような形相で専サポ登場。
    開口一番、「何をしたんですか!」。
     
    えーと、えーと、こうこうこういう状況で
    と、マゴマゴと要領の得ない説明をすると
    「では、あなたは電源ブチ切りを繰り返したんですね?」
     
    「うん、言われた通りに用心深くソーーーッと電源を切ったよ。」
    と答えると、専サポがいきなり ははは と爆笑した。
    次の瞬間、真顔になって 「それがダメなんです!!!」 と怒鳴る。
     
    人間の豹変する瞬間って、初めて見たけど
    恐えええええええええええええええええええええええええ!!!
    こんなに恐いものだとは思わなかったよーーーーー。
     
     
    勝手にそういう事をして! と、怒られたので
    え?え? 様子見しろって言ったじゃん、とドギマギすると
    「様子見というのは、連絡を怠るな、という事です!!!」
     
    そ、そんなあああ・・・、とガックリしたら
    専サポはもっとガックリきていたようで
    「そこまでバカだったんですか・・・。」 と言われた・・・。
     
     
    すいません、お仕事中に悪いと思って、と言い訳をすると
    「そうやって、何倍にも面倒を膨らませないでください!
     年度末のこの忙しい時期に、壊すんならせめて休日にしてください!」
    と、ムチャクチャな方向で更に怒られる。
     
    「休日はパソコンを触らないもんで・・・」 と、うっかり口答えをすると
    「普通は逆なんです!!!」 と、火に油で激怒されまくり
    そして1度目の説教が始まった。
     
     
    「きったない字ですねえ。 読めませんよ。」 とか言いながら
    私のメモを見つつ、携帯をいじくっている専サポの後ろで
    殊勝に正座していたが、何かもう、怒られ過ぎてものすごい落ち込んで
    気持ちの持っていきようがなく、狂いそうである。
     
    「あのー、すいませんー、後ろで荒れ狂っているのと
     大人しくゲームをしているのと、どっちが良いでしょうかー?」
    と訊くと、専サポがチラッとこっちを睨んでひとこと
    「・・・役に立たない人はゲームでもしておいてください。」
     
    買っておいたドラクエⅨの包装をベリベリ破っていると
    「あなた、それ、確か予約販売で入手した、と言ってましたよねえ?
     今頃封を開けているんですか?」 と、呆れられる。
     
    「うん、どうしようもなく現実逃避をしたい時用に取っておいたんだー。
     正に今がその時だと思う・・・。」 と、ショボンと答えると
    「はあ・・・、定価購入の意味がないですねえ。」 と責められ
    ほんとすいません、と、何故かそこでも謝るハメに。
     
     
    普段からドラクエの音楽を聴くと、ちょっとウルッとくるのだが
    天使界のBGMが特に物悲しく、今の心情にピタリときて泣けてくる。
    どうやら私の心も相当クラッシュしているらしい。
     
    「うう・・・、すぎやま天才・・・」 と
    グシッグシッとすすり泣いていると、専サポが振り向きもせずに言い放つ。
    「うっとうしいので、やめてくれませんかねえ。
     まったく、泣きたいのはこっちの方ですよ!」
     
    うっ・・・、そこまで邪険にされるんか、と大ショーーーック!
    泣いてこんなに冷たくあしらわれたのなんか、初めてだよー。
    ああ・・・、名実ともにババアになった証拠なんか・・・。
    (理由は明らかに他のところにあると思うが)
     
     
    結果は、えーと、単語をメモっといたんだが説明は忘れた。
    いや、あまりの説教量に、脳のキャパが超えてな・・・。
     
    今回の青画面は、ブルーストップ画面?とかいうやつで
    メモには、フローリング?ファイル、グラボ?のASUS?ドライバ
    ウィンドウズのアップデート
    と、書いた本人の私でもちょっと読みにくい字で書いてある。
    わかる人にはわかると思う。・・・はず?
     
     
    今回慌てたのは、バックアップを取ってなかった事なんだ。
    “ジャンル・やかた” なんか、もう書き終わっているんだよ。
    これが消えたら、もう二度と書く気が起きねえ。
    専サポに、ヘタするとデータ全消えする、と言われて青ざめたさ。
     
    ハード?を復旧させる事って出来るよね? と、恐る恐る訊いたが
    「あなたのひと月の生活費より高く付くと思いますがねえ。」
    と言われて、完全に諦めざるを得なかった。
     
     
    でもデータも消さずに解決してくれて、どんだけ感謝してもし足りない。
    ほんとありがとう、ほんとありがとう、と涙ながらにお礼を言い
    「そんで、バックアップの仕方をもう一度教えてください・・・。」
    と、土下座していた床から見上げて媚びたら
    「何度も教えたでしょうが!
     どうして毎回毎回忘れるんですかーーーーーーーー!!!!!!!」
    と、えらい剣幕で今年最高の絶叫をされた。
     
    でも、激昂しながらも 「とにかくあなたは今後何もしないでください!」
    と、怒りつつ、結局バックアップも取ってくれて
    ほんとに良いヤツだよ、おめえは。
    バックアップの最中ずっと、あらゆる事全般に渡って説教されたがな。
     
    おかげで、混乱動揺しまくって
    一番基本と思われる、“何もするな” ってのが
    どの範囲だか、まったく把握できてないんだが良いんだろうか?
     
     
    まさかこの歳で説教されて泣くなど、思ってもみなかったが
    電源ブチ切りは、どう切っても同じ事で
    (いつもは、キイイイイイイッと苛立ちつつ、ブチーーーッと切ってたので
     ソーッと優しく切れば大丈夫だと思い込んでいた。)
    ハード?のクラッシュ?の可能性がある?
    という事がわかって、これでまたPCスキルが上がった気がする。
     
    と言うか、そんな事も知らなかったのか、と専サポにも罵られたが
    皆、危険だ危険だ言うだけで、具体的にピンとこなかったんだよ。
     
    初心者に教える人は、ここらへんの具体性に気をつけてください。
    (教える側に責任転嫁かよ!)
     
     
    昨日、ブログを休んだ理由はこれでした。
    サボって遊んでいたわけではなく、追い詰められて泣かされていたんで
    どうか許してください。
     
    無知のところも、きっちりバチは当たりましたから。
     
     
    と、ここまで昨日書いておいたんだけど
    やっぱりPCの調子が悪い。
     
    専サポにメールをすると、ウィンドウズのアップデートが関係してるかも
    とか言われ、しばらく様子見 (この意味がほんとわからん) なんで
    今後どうなるかわからんで、不安定な状態なんだ。
     
    また突然ブログの更新が止まったら、それはPCの不調なんで
    慌てず騒がず、二次災害を防いでくれ。 何のこっちゃ。

  • 一時おやすみのお知らせ

    毎日楽しみに来てくださっているみなさんへ

    昨日は更新できなかったことをお詫びします。
    あしゅのPCがぶっ壊れ、ブログの更新ができない状態&みなさんに連絡が取れない状態になってしまいました。自分専用サポセンに問い合わせ、大急ぎで復旧作業をしている、復旧めどがたち次第、お知らせしますと連絡を受けました。ですので、みなさん、しばしお待ちください。

    壊れたPCに向かって、「年度末に向かって、どんどん忙しくなるこの時期に、空気がよめないPCだ!」と怒っていることでしょう。壊れているのに怒られているあしゅのPCちゃんが目に浮かびます。


    ちなみに、PC起動するとこんな感じになるそうです。
    これはブルースクリーンといいまして、機械的な問題があると出てくる画面で、素人に毛が生えた程度ではまったく太刀打ちでません。病院送り確定でございます・・・

  • アロマキャンドルの疑問

    ちょい前は、アロマキャンドルを手作りしていた。
    1度もアロマキャンドルを買った事がないのにだ。
     
    この手作りアロマキャンドル、まっっっっったく匂わない。
    材料を全部100均で揃えたのが敗因だか
    ザツな作り方をしていたのが悪かったのか、よくわからんが
    手間が掛かる割に、単なる照明道具しか作れないので
    半年ぐらいあれやこれややってたのも、すっかり飽きてしまった。
     
     
    そして今では100均でアロマキャンドルを買っている。
    そのジャンルはいい加減100均から離れんか! と言いたいだろうが
    “ちゃんとした” アロマキャンドル、すんげえ高いんだよー。
    50mlぐらいで3000円、とか。
     
    たまにホラー映画とかで見る、呪術師の部屋なんか
    アロマキャンドルが何十個も灯っていたりして
    おめえ貧乏そうだが実は大金持ちだろ? と、邪推してしまうぜ。
    アロマキャンドルどころか、仏壇ロウソクでも
    あんなに一度に燃やす財力は私にはねえよ。
     
    そう、燃やすだけのもの。
    アロマキャンドルの位置づけは、私にとっては花火と同じなのだ。
    飛び散る火花がそんなに楽しいなら、溶接でもしとけ!
    (ヘビ花火が一番好きなバカババアのたわごとだ。 気にすんな。)
     
    そういうものに漱石を何枚も出動させたくない。
    そんな殺伐とした感覚なので、100均なのである。
     
     
    ところが、この100均アロマキャンドル、当たり外れが大きい。
    何の匂いもしないなら、まだマシ。
    何かイヤンな油の匂いとか、薬品臭いのまである。
    もう、目に沁みる喉にくる、ご近所に異臭騒ぎを起こしかねん勢いだ。
     
    しょうがねえので、アロマオイルを買って
    ・・・これも当然100均だが・・・
    無臭アロマキャンドルに振りかけてみたところ
    ものすげえスパークで、テーブルが汚れる汚れる。
     
    今書いてて気付いたが、アロマオイルってオイルだよな
    正に火に油な事をしてたんじゃん・・・。
    しかもアロマオイル、燃えても匂いしねえし。
    花火好きの人、ロウソクにアロマオイルはどうだ?
    (花火に何の恨みがあるんやら)
     
    薄々わかってはいたけど、アロマ系、100均じゃ無理だよなー
    と、アロマ屋さんでボンヤリ “ちゃんとした” アロマキャンドルを
    眺めたりして、ハーモニカが欲しい貧乏ガキのマネをしていた。
     
     
    そんな中、100均でようやく、ちょっとは匂うのを見つけた。
    それ、600円するんだ。
    100均なのに600円・・・、と思わん事もないが
    それでもサイズもデカいので、まだお値打ちである。
     
    直径7cmの高さ10cmぐらいで、ガラス容器に入っている。
    これ、放っとくとロウが燃え残る。
    もったいないので、燃えてる最中に爪楊枝でロウをほじくったりして
    平らにならすんだが、それが今の最大の趣味であるのがまた情けない。
     
    燃えるロウをいじくってる時間って、至福の時なんだ。
    癒されてるよーーー、私ーーー!
    (本来の癒され方じゃないのが疑問ではあるんだが)
     
     
    そこで不思議に思ったのが、ロウ。
    市販のアロマキャンドル、燃やすと蒸発してるよな?
    だよな? ロウ、なくなるもん。
     
    手作りのアロマキャンドルは、ほとんど丸ごと燃え残るんで
    再利用に再利用を重ねて、しまいにゃ
    呪術ババアんちの大ガメの中身色になっとたんだが
    それって燃えても蒸発していない、って事だよな?
     
    やっぱビーワックスとか混ぜないとダメだったんか?
    他の手作りサイトじゃ、ロウソク流用アリだと書いていたんだが。
    それにしても何でだ? ちゃんと仏壇用ロウソクを使用してたぞ?
    仏壇用ロウソクって、そんな溶けて下に丸ごと山積みになるっけ?
     
     
    毎回、消えてなくなる600円アロマキャンドルを見ては
    自分の手作りキャンドルへの疑問が湧き出て、モヤモヤするんだが
    またもや何か大間違いをしていたんだろうか???

  • ジャンル・やかた 56

    「バスカムが部屋で死んでます!」
    その一報を受けたアッシュは、驚愕した。
     
    アッシュの攻撃以来、バスカムは数日部屋に閉じこもっていたのだが
    不審に思った住人によって、今朝死体が発見されたという。
    薬の空き瓶と、落ちていた錠剤、腕の傷といった現場の様子は
    自殺だとすぐわかる状況であった。
     
    「遺書は?」
    「残っていません。」
    「接触した人物は?」
    「今のところ、見当たりません。」
     
    監視部の人間とリリーがやり取りをしている横で
    どうしよう、とアッシュは悩んだ。
     
    こんな事になるんなら、反乱軍の部屋全部に盗聴器を仕掛ければ良かった
    私のせい・・・、だよね、そりゃもう明らかに!
    にしても、人格の全面否定は洗脳の第一歩なのに
    まさか自殺するとは・・・、やりすぎたか?
    てゆーか、人を殺そうと企んでいたくせに
    何でそんなに打たれ弱いんだよ?
    ここを乗っ取っても、そんなんじゃやっていけるわけがないだろ
    まったくあいつは、とことん身の程知らずとゆーか
    後先考えずっちゅーか、まあ、それは私も同じだけどよー
     
     
    脳内でグルグルと余計な事までごちゃ混ぜに思考が空転し
    両手を机についてうつむいて立つアッシュに、リリーが言った。
    「元様からお電話です。」
     
    ジジイのCラインだ、あいつ相変わらず耳が早い。
    「書斎で取りますからー。」
    事務部の人間が慌ただしく出入りする執務室では
    さすがに今回の事は詳しく話せない。
     
     
    もしもーし、と出たアッシュに、ジジイがいきなり叫んだ。
    「あんたのせいじゃない!」
    その大声に、ビクッとして受話器を落としかけるアッシュ。
     
    改めて受話器を持ち直し、気も取り直して言った。
    「いや、私のせいですー。
     館で起きるすべての事は全部、現場トップである私の責任で
     それを覚悟しなくちゃいけないのは、当然ですからー。
     そんなんを抜きにしても、この自殺は私の責任ですー。
     あんだけ、めったくそにケナしちゃったんですからー。
     こうなる可能性も考慮して動くべきだったんですー。」
     
    「ふむ、それもそうじゃな。」
    あっさりと意見をひるがえしたジジイに、アッシュは逆切れした。
    「ええーっ、結構ショックなんで、もちっと慰めてくださいよーっ。」
     
    「慰労パーティーを開いてやっても良いんじゃが、コトは急を要せんか?」
    「あっ、そうでしたー!
     残党がヤバいですよねー、どうしましょうー?
     こっち、まだ計画を立ててないんですよー。」
    「そうか・・・、だったらな・・・」
     
     
    アッシュとジジイがあれこれと話し合っている時に
    館の隅っこでも、数人の男たちがボソボソと話し合っていた。
    「バスカムは自殺なんかじゃねえ。」
    「おかしいぜ、突然。」
    「きっと主が自殺に見せかけて殺したのさ。」
    「どうする・・・?」
    「やるしかねえだろ!」
     
    「俺はイヤだぜ!」
    ひとりの男が立ち上がった。
    「あの用心深いバスカムが殺られたんだぜ?
     適うわけがねえじゃねえかよ。 俺は逃げる!」
    立ち上がった男は、制止を振り切って足早に立ち去った。
     
     
    翌日、男がまたしても池に浮かんでいるのが見つかった。
    検死は泥酔しての溺死だったが、その死体はディモルであった。
    その事をリリーに告げられたアッシュは、益々激しく動揺した。
    “主の意思” ではなかったからである。
     
    確かにディモルは、抹殺対象の3人の内のひとりであった。
    しかしその実行は、月日を空けてするつもりで
    こんなに短期間での連続殺人など、予定していなかったのだ。
     
    アッシュは、お茶を頼んだ。
    いつもアッシュのお茶を持ってくるのはデイジーである。
     
     
    デイジーがお茶を運んでくると、アッシュが訊ねた。
    「話す時間・・・、ありますよねー?」
    「ご想像通り、ディモルを殺したのはあたしです。」
    デイジーはケロリとした顔で白状した。
     
    「夕べ、ディモルに突然呼び出されたんです。
     ピンと来ました。
     ディモルは、バスカムの死であたしを疑っている、と。
     そこで館内はヤバいから、と池で待ち合わせたんです。」
    「それでー・・・?」
     
    デイジーは淡々と続けた。
    「ところが違いました。
     ディモルは、あたしと一緒に逃げるつもりだったんです。
     バスカムが主様に殺られて、あたしたちもヤバいから、と。」
     
    「言っときますけど、バスカムは本当に自殺なんですよー?」
    アッシュが念を押すと、デイジーはサラッと言った。
    「そんな事はどうでも良いんです。
     あんなヤツ、死んで良い気味です。
     むしろ主様に殺されていてほしいぐらいです!」
     
    ついつい語気が荒くなっているのに気付いたデイジーは
    少しちゅうちょした後、落ち着き直して話を再開した。
    「・・・ディモルもそう。
     あたしをここから連れ出そうなんて、何様なんだか!
     本当に腹が立ちました。」
     
    「それで殺したんですかー?」
    「はい。 どうせ、殺すつもりでしたから。
     あいつだけは主様が何と言おうと許せません!
     あんなヤツ、死んで当然です!」
     
     
    目を吊り上げて怒るデイジーに、アッシュは内心恐怖を感じたが
    少し考えるそぶりをして、間を置いてからなだめるように語りかけた。
    「そう・・・、わかりましたー。
     私には、あなたを責められませんー。
     あなたの気持ちがわかるからですー。」
    「主様・・・。」
     
    ちょっと感動しかけるデイジーに、水を差すかのように悲しそうに言う。
    「だけど、何故まず私に相談してくれなかったのですかー?
     ・・・いえ、それも私が頼りないせいなんですねー・・・。
     あなたにそんな重荷を負わせるなど、私は主失格ですー・・・。」
     
    意外な言葉に、デイジーは慌てた。
    「主様、それは違います! 違うんです!
     あたし、今回の事は前から決めてて、それが突然だったから・・・」
    必死で言うデイジーに、アッシュは目を伏せたまま無言だ。
    その様子を見て、デイジーは言い訳を止めた。
     
    「・・・主様・・・、すみませんでした。
     今後は決して主様の指示なしには動きません。
     必ずご相談しますから、どうかお許しください。」
     
    とりすがるデイジーを見据えて、アッシュが言った。
    「絶対にそうしてくださいねー?」
     
    口調は優しかったが、目が冷たい光を放つ。
    デイジーは一瞬ゾッとしたが、その冷淡さに魅了された。
    ああ・・・、このお方はやはり “主” なのだ・・・。
     
     
    デイジーが部屋を退出するのを見送りもせず
    アッシュは窓際に立ち、外を眺めていた。
     
    勝手な事をすんじゃねえよ、ボケ!
    お陰で今後の予定がダダ狂いじゃねえかい、どーしてくれんだよ
    てゆーか、今回の事って、最初っからおめえの暴走が原因だろ
    おめえ実は私の足を引っ張りたいんじゃねえのか?
    私、やたらめったら大ピーンチ!!!!!
     
    冷静な態度とは裏腹に、腹の中でそう叫ぶアッシュは
    窮地に立たされた、と思っていたが、それはまだ序章に過ぎなかった。
     
     
    続く。
     
     
    関連記事: ジャンル・やかた 55 10.2.16
          ジャンル・やかた 57 10.2.25
          
          ジャンル・やかた 1 09.6.15

  • 政治家の最期

    久々に政治関係ネタかと思うた人、すまん。
    単なる推測の世間話なんだ。
     
    世界政府・民主党に敗れた私は、まだ今の政治から目を背けているんだ。
    できるだけ情報を入れないようにしているんで
    かなり疎くなっていて、とても語れたものではないんだよ。
     
    まあ、勉強しても、ロクでもねえ意見しか言わんが
    それは突っ込まないお約束、と。
     
    ただ、それでもニュースを点けてると、必ず政治の話題があるもので
    どうしても、ちょぼちょぼ情報が入ってくる。
     
     
    埋蔵金、なかったようだな。
    政策が最初の話とはえらい違う方向に行ってるようで
    民主党を信じて投票した人は、裏切られた気分になってるかも知れない。
     
    良い気味だ、自業自得だろ、とは思えないよ。
    裏切られる悲しさは経験してるからわかる。
     
    と、国民には言うけど、政治家どもには言わんぞ。
    おめえら、しっかりせえよ!
    あれ? 思ってたのと何か違うー、って時は、素直にごめんなさい、だ。
    同じ事を呼び名を替えてやったり、誤魔化したりしてんじゃねえよ。
     
    自分の信念を後生大事にしとらんと
    己を捨ててでも、信じてくれた国民に尽くせ!
     
     
    ああ・・・、ちょっと吐き出してしまった。
    もうしばらくは負け犬として泣き暮らすつもりだったのに
    修行が足らんな、いかんいかん。
    では、本題に入ろう。
     
     
    小沢一郎を見ていて、ふと思い出したのが
    田中角栄や金丸信。
    これで名前、合ってるっけ?
    彼らの時代は国政に興味がなかったんで、知識もあまりないんだ。
     
    今も変わらず無知だが、それは良いとして、いや良くはねえが
    もしかして政治家生命って、そのまま命に関わるんかな? と、思った。
    政治家生命 = 健康 という意味だ。
     
     
    健康に問題がない時は、自分の事務所の全体を
    とりあえずは自分でチェックする馬力があったけれど
    病気にかかって体がしんどくなったら、そのチェックも軽くなり
    病状が重くなったら、秘書任せ、になるんじゃないだろうか。
     
    そんで、チェックが軽くなったり、秘書全任せにした時に
    アリの穴に始まったダム決壊、みたいに
    ダーティー部分が漏えいしてしまい “事件” になる、と。
     
    元気満々で自分で動けるなら、根回しして押さえられたものも
    病気のせいで、気力体力知力が削がれて無理で
    政治生命が断たれる、という推理である。
     
     
    田中とか金丸とか、このパターンじゃなかったんだろうか。
    小沢も年なんだから、持病の1個もあるだろう。
    という事は、小沢は今、結構病状が悪化しているんじゃなかろうか。
     
    TVに映っている小沢を見ても、健康そうなんで
    小沢は今回の政治資金問題は、すり抜けると思う。
    この推理自体が、外れているのかも知れんが。
    何となく小沢の政治家としての最期は、体調が理由のような気がする。
     
     
    政治家なんて、大なり小なり汚い事はやってると思う。
    というか、私腹を肥やす野望を持ったヤツじゃないと
    地球政府とか人権とかのキレイ事を言い出すんで、厄介だと思う。
     
    国のために頑張るんなら、少々は儲けてもらわないと
    逆にロクでもない方向に国を持っていかれる気がして、恐いんだよな。