投稿者: あしゅ

  • ジャンル・やかた 45

    「もー、パス27までしちゃいましたよー。」
    アッシュの話を聞いて、リリーは固まってしまっていた。
     
    「ね? 凍るでしょー? 私のあん時の気持ち、すんげえわかるでしょー?」
    アッシュのお仲間の誘いには乗らず、リリーは青ざめた顔で訊ねた。
    「それで、どうなさるんですか?」
     
    「反乱グループに情報なんて渡せませんよねー。
     とりあえず、今夜の事はそっち方向で言い含めておきましたから
     デイジーがそれを上手くやってくれれば、当分はしのげますー。」
    アッシュが机に片手を置いて、格好をつけた。 別に意味はないが。
     
     
    「にしても、反乱グループとは・・・。」
    「監視部は掴めてなかったんですかー?」
    「長老会所属は、住人たちとは一線を引いていますからね。
     しょせん機械頼りでは限界がありますね・・・。」
     
    「と言う事は、今回の問題発覚は、私の人徳が功を奏したわけだー。」
    「・・・問題が大きくなってますけどね・・・。」
    威張るアッシュを睨みながら、リリーが責めるように嘆いた。
     
     
    リリーが腕時計を見る。
    「・・・そろそろ時間ですね。」
    アッシュとリリーは、書斎から地下に降り
    薄暗い通路を通って、モニタールームへのはしごを上る。
     
    改築のおり、アッシュの特殊な趣味を取り入れたお陰で
    書斎、寝室、モニタールームは、誰にも知られずに行き来できる。
    「ニンジャ屋敷仕様、役に立つよねー。」
    得意げなアッシュに反応する余裕は、リリーにはない。
     
     
    「様子はどう?」
    「夕方から約1時間ごとに人が入っています。
     今、部屋の中には6人いるはずです。」
    モニター監視員が画面を見つめながら答える。
     
    「リリー様、先月の記録でそれらしきものを見つけました。」
    背後の予備画面で、それが早送り再生される。
    「8人集まってるわね。
     これは誰も気付かなかったの?」
    「はあ・・・、これだけの数の画面ですから・・・。
     カメラの数が多すぎるのが仇になりましたかね・・・。」
     
     
    「カメラは多いに越した事はないに決まってますよー。」
    アッシュが明るく能天気に言う。
    「何かあれば、こうやってチェックできるー。
     後手に回ったのは、私側実働隊のミスですからー。
     ちゃんと連動できれば、これほど強力な武器はないですよー。」
     
    「主様・・・」
    振り向いた監視員たちの目に入ったのは、腕組み仁王立ちのアッシュだった。
     
    反乱グループがいるらしい、という話を聞いた監視員たちは
    自分たちの目は無力だった、と落胆していたのだが
    アッシュの言葉に救われる想いであった。
     
    「はい、モニターをしっかり見ていて!
     どこから出た誰が、どこに入って行くのか、確認しないと!」
    リリーが手をパンパンと叩き、監視員たちは慌てて画面に向き直った。
     
    まったく、隙があれば主様モードを出したがるんだから・・・
    リリーは呆れたが、アッシュのこの言動はまごう事なき性格だった。
     
     
    「モニター42、南館405号室から男性退室、南方面へ廊下を移動。」
    「モニター38、北館312号室から男性退室、北方面へ廊下を移動。」
    報告が相次ぐ中、ひとりの監視員の報告にアッシュとリリーが注目した。
     
    「モニター9、南館328号室から女性退室、北方面へ廊下を移動。」
     
    デイジーである。
     
     
    続く。
     
     
    関連記事: ジャンル・やかた 44 10.1.14
          ジャンル・やかた 46 10.1.20

  • 見た目年齢

    どっかで同じタイトルの記事を書いた記憶もあるが
    それだけ美容マニアにとっては、見た目年齢ってのが重要なんだ。
    若さをいかに保つか、がお手入れの命題になるんでな。
     
    しかし、ここんところ見た目年齢がどうでもよくなってきた。
    若く見える事を誇ってきた私であるが
    何か最近、自分の見た目年齢に自信がなくなってきてな。
     
    もちろん初めて会う人に年齢を知られると
    「若く見えるね」 と驚かれるのは変わらない。
    だけど “若く見える”、この言葉があまり嬉しくなくなってきたのである。
     
    そりゃ、「老けて見える」 よりは何ぼも良いよ。
    でも客観的に自分のツラを見ると、“がな” しかないんだよ。
    (解説しよう。 この “がな” と言うのは
     九州のどこかの方言で、“程度”“それだけ” みたいな意味である。
     例文:「安いけど、値段だけの価値しかない」
        → 「安いけど、がなよ、がな!」)
     
    実年齢と見た目年齢の差が、せいぜいマイナス4~5歳で
    疲れている時や、化粧崩れをしている時なら
    ヘタすりゃ実年齢通りに見える、と自分では思うんだ。
     
     
    何を投げ出しとんのか、と言われそうだが、そうではない。
    最近、こういう事についてグチャグチャ考えてて
    それでふと思い出したのが、何だったか、かなり前に観たTV番組。
     
    若く見える女性特集みたいなんをやっていて
    あっ、魔女とか言ってたやつ? それを観ていて
    若く見える、ってのは、必ずしも良い事じゃないんじゃないか?
    と、恐くなった記憶がよみがえったんだ。
     
    40代が20代に見えるとか、50代が30代に見えるって
    もしそれが自分だったら、逆にちょっと悩むかも。
    私は自然が大嫌いだけど、不自然なのはもっとイヤなんだ。
     
    こういう事を言う自分は、どこのナチュラリストか? と
    こっ恥ずかしくて、言いたくないんだが
    せっかくコツコツ生きてきたんだから
    その年齢その年齢を大切にした方が良いんじゃないか?
    その歳ならではの美しさや魅力ってあるんじゃないか?
    ガラにもなく、そう思ってしまったんだよなあ。
     
     
    て言うか、そもそも自分の年齢もすぐ忘れる私が
    いちいち、2010年 - 19××年 の計算をせんと
    自分の年もわからん私が
     
    ・・・今、試しに暗算をしたら意外な数値になって
    電卓まで持ち出してきて計算したら、やっぱり意外な答になった。
    え? この前しっかりと実年齢を記憶したはずなのに何で?
    と、しばし悩んだが、そうだった、年が明けてたんだよー。
    にしても、記憶していた実年齢も3歳間違っとったのが不思議だ・・・。
     
    と、実年齢も思い違いしまくりの私が
    何で見た目年齢の若さにこだわっていたのか。
    どうやら美容雑誌やマスコミに踊らされていたようだ。
     
     
    若く見られようと頑張るのも、整形をするのも
    個人の自由だと思うんで、否定もしないし
    見てる分には楽しいので、興味深く観察するけど
    自分に置き換えると、私の感覚とは違ったわけだ。
     
    それに気付いたら、見た目年齢の若さという縛りから開放されて
    ものすごく自由な気分になれた気がするんだが
    まさか、これが女捨ての第一歩、とかないよな?
     
     
    ちなみに、お手入れのモチベーションはどうかと言うと
    我ながら意外なんだけど、まったく変わらないんだ。
    私は、単に化粧品とお手入れ行為そのものが好きなんかな?
     
    いずれにしても、これはラッキーだった。
    数年後にまた考えが変わったりしたら
    その時になって、ロスタイムを取り戻せないかも知れないだろ。
     
    どう考えが変わろうが、その時に思ったようにすれば良いんだろうけど
    移り気なんで、とりあえず保険だけは掛けとこう、と
    より一層、気合いを入れてお手入れしたりしている。
     
    楽しいんで良いんだけど、・・・呪縛健在・・・?
    そこらへんの自分の心理がわからんのだよなあ。

  • ジャンル・やかた 44

    周囲の人々に助けられて、何事もなく日々が過ぎ
    一時期の超多忙ぶりも落ち着いたある日
    お茶を運んできたデイジーが、神妙な面持ちで訊いてきた。
     
    「あの・・・、ご相談があるんですけど・・・
     お話できる時間は、ありますでしょうか?」
     
    そういや、ここ数日ソワソワしたり、沈み込んでいたり
    何かと彼女の様子がおかしかった。
    「ええ、もちろんー。
     さ、そこに座ってー。
     あなたも一緒にお茶を飲みましょうー。」
     
    アッシュがポットを取ると、デイジーが慌てた。
    「いえ、そんな、とんでもない。」
    「いいから、いいからー。」
     
    アッシュがお茶をカップに注ごうとしたら
    ポットの蓋が外れ落ちて、カップを直撃して割ってしまった。
    「だからーーーっ!」
     
    デイジーの叫びを聞き、あ、畏れ多いって事じゃなく、“だから” なのね
    と、アッシュはご主人様ぶった自分を恥じた。
     
    デイジーが “きちん” と淹れてくれたお茶を飲みながら
    アッシュは混乱していた。
    デイジーはソファーには座らず
    自分の真横に両膝を付いて、話そうとしているのである。
    尊敬されてんだか、遊ばれてんだか、一体どっちなんだろう?
     
     
    そんなどうでもいい混乱は、デイジーの話でふっ飛んだ。
    「あたし、少しでも主様のお役に立ちたくて、ずっと調べていたんです。」
    こういう事を言うヤツの行動が大抵ロクでもないのは、歴史が証明している。
    ドキドキしながら続きを聞く。
     
    「反乱者グループの事を。」
    その単語に、アッシュはティーカップを落としそうなぐらいに驚いたが
    その動揺を何とか最小限に押しとどめて、素早くすり替えた。
    館内を把握し管理しているはずの “主様” に
    知らない事があってはならないからだ。
     
    「調べるって、あなた、そんな危険な事をー!」
    いかにもデイジー本人の事を心配するそぶりをする。
     
    「でも、主様、お命を狙われたじゃないですか!
     それだけでも心配なのに、あの事件以来、更にお忙しくなられて
     食欲も落ちてしまわれて、あたし心配なんです!
     あんなヤツらがこの館にいるから・・・。」
     
     
    デイジーの目に浮かんだ激しい怒りの色を見て
    アッシュはそっちの方が不安になった。
    ヤバい、これは狂信者というやつか?
     
    「それでアリッサに頼んで、情報を集めていたんです。
     リハビリ部には大勢の人がやってきますから。」
    ああ・・・、アリッサもかい・・・、アッシュは目まいがした。
     
    「それで、あたし、ディモルと付き合い始めたんです。」
    へっ? アッシュはいきなりの展開に付いていけず
    「そ、それはおめでとう・・・ なのー?」
    と、妙な言い方で返事をしてしまった。
     
    「めでたくなんかないです!
     あたしには、一生マティスだけです。
     あの人を忘れる事など、出来るわけがありません。
     だけどこの館を守ろうとする主様のためなら
     きっとマティスも許してくれるでしょう。
     あたしは恥じてはいません。」
     
     
    デイジーは、相続戦で死んだ男性、マティスと結婚したかったけど
    ふたりともこの館を出て生きていく自信がなかったので
    一生ここでふたりで暮らすつもりだった
    と、以前アッシュに語った事があった。
     
    それだけに、マティスの死で、一層この館への執着が強くなり
    その想いがすべて、“主様” に向けられているんだな
    と、アッシュはその話を聞いて感じた。
    だからデイジーの前では、なるべく彼女の “主様” 像を壊さないように
    努めたつもりである。(それでもこの体たらくなんだが)
     
     
    「デイジー、まさか・・・、えーと、その何とかとかいう人はー・・・。」
    「ディモルは、反乱グループのひとりです。」
    何てこったい・・・、アッシュは脳がグラグラした。
     
    「主様、この話を今日したのは、時間がないからなんです!
     本当なら主様にはご迷惑をお掛けしたくなかったんですけど
     もうあたし、どうしたら良いかわからなくて・・・。
     主様の助けになるつもりが、逆に頼る事になるなんて・・・」
     
    デイジーの狼狽を見て、ただ事じゃないと悟ったアッシュは
    「落ち着いてー。
     とにかく最初からすべて話してくださいー。
     大丈夫、私が絶対にあなたを守りますからー。
     そのために私はここにいるんですよー。」
    と、優しくかつ頼もしく微笑んだが、デイジーの話が進むにつれて
    想像を超えたあまりの衝撃に、そのショックを表にこそ出さなかったが
    心の中では、大声で叫んでいた。
     
    パス1ー! パス2ー! パス3ー!
     
     
    続く。
     
     
    関連記事: ジャンル・やかた 43 10.1.12
          ジャンル・やかた 45 10.1.18

  • 座布団

    ここで以前に書いたケンミンショーが、またやってくれた。
    年末に掃除をしつつ、何となくTVを点けていたのだが
    ふと気付くと、ケンミンショーの再放送をやっていた。
     
    どうも正月に放送をしたやつの再放送みたいなので
    約1年前の番組という事になり、やたら古い情報なのだが
    そこでも恒例の大阪コーナーをやっている。
     
     
    トランプゲームで、“ダウト” というのがあるだろ。
    何人かで手持ちのカードから、中央に伏せて置いていくのだが
    それをエースから順番に置いていくのだ。
     
    一人目が1を置いたら、2人目は2を置く。
    一応、「1」「2」 と自己申告をしなきゃならないのだが
    カードは伏せているから、本当にその数字を置いているかは怪しい。
    手持ちにそんなに都合の良いカードが揃っているとも言えんしな。
     
    そんで他のヤツが、そりゃウソだ、と判断したら
    「ダウト (それはウソだろ)」 と、言う。
    指摘通り間違った数字だったら
    ダウトされたヤツが、場のカードを全部引き取らなければならない。
    逆に数字が正しかったら、場のカードはダウト指摘したヤツが引き取る。
     
    こういうトランプゲームなのだが
    各々の想像通り、私はこの手の遊びがとてもヘタで嫌いなのだが
    この “ダウト”、大阪では “座布団” と言うのだそうだ。
     
     
    番組では、道行く大阪の人々にインタビューをしていて
    皆 「えー、“座布団” やろ。」「ダウト? 何それ」
    「“座布団” と言わないと、遊ぶ気ぃせえへん。」 などと答えている。
     
    加えてご丁寧に、道端で大阪人と他地方人でダウトをさせ
    大阪人が 「座布団!」 とコールすると
    他地方人が、「え?」「何?それ」 と笑うシーンまで撮っていた。
     
    そんで学者か何かの人が分析していて
    「どうも大阪人は、“ダウト” を “座布団” と
     聞き間違えたのが最初のようですね。」 とか言っていた。
     
    番組のゲストとして来ていた大阪出身の芸能人も
    「“座布団” が本当ですよ!」 と言い張り
    兵庫や京都や奈良の、周辺地域出身の芸能人も
    「うちでも “座布団” と言う!」 と同調していた。
     
     
    関西人はそれで他地方人たちに、良い笑いものにされていて
    私も ええーーーーーっ? と、ついつい笑ってしまったが
    いや、待て待て、なんせ “ケンミンショー” だし
    と、念のため、関西人に訊いてみた。
     
    「関西では “ダウト” の事を、“座布団” って言うんだって?」
     
    関西人はこの問いに、おめえは何を言うとんのじゃ? という表情で
    「何? そんなん聞いた事もないわ。
     ダウトはダウトやで。 座布団って何?」 と答えた。
     
    そこでケンミンショーの内容を教えたら
    “座布団” なんて言う人は見た事も聞いた事もない、と言う。
    じゃ、言わないのか? と、念押ししたら
    「当たり前やろ! ダウトを座布団なんて言うとったら
     そりゃバカにされるに決まっとるがな!!!」(注: 関西弁、当社比)
    と、もんのすげえ怒りだした。
     
    相手が本気で怒っているというのに
    そのセリフが私のツボにはまってしまい、耐えられずに大爆笑してしまった。
     
    あまりに私が、腹を抱えて大笑いするので
    怒っていた関西人も、「何がそんなにおかしいの?」 とか言いながら
    つられて笑ってしまっていて、それを見て何となく思った。
     
     
    ケンミンショーでの大阪コーナーに出る関西人は
    仕込みじゃなければ、“ネタ” として合わせてやっているんじゃないか?
    面白がってくれれば、笑ってくれればいいや、みたいな善意で。
     
    あのコーナーは私からしたら
    観て、関西人に確認して、ウソ大げさまぎらわしい とわかる度に
    何でそんな事を捏造するんだか、悪意としか思えず腹が立つんだが
    インタビューされてる通りすがりの大阪人たちは
    軽いノリのサービス精神でやってるのかも知れない。
     
     
    そりゃ笑いは笑いだけど、バカにされる系の笑いは良くないと思う。
    他の地域に妙な風に誤解されてたら、後々困った事になるかも知れんし。
     
    一応、私が目にした関西関連の捏造話は
    調べた後に、ここで訂正、擁護のいらん世話をするけど
    関西人、ムチャノリもほどほどにしてくれよ?
     
     
    今回の件については、私周囲の結論として
    ダウトを座布団と言うのは、大阪で一般的ではないようだ。
    ごく一部の地域の人は言ってるかも知れないけど
    番組でやってたような、“大阪の常識” ではないらしい。

  • ジャンル・やかた 43

    「・・・さま、主様」
    呼び声にふと目覚めると、枕はヨダレだらけだった。
     
    「よくねてらっしゃっただよ、ほんとおつかれなんだね。」
    アリッサがアッシュの顔のヨダレを拭く。
     
    「ああ・・・ごめん、寝てた・・・?」
    寝ぼけ眼でアッシュがヨタヨタと体を起こす。
    「ねてたなんてものじゃないだよ、はぎしりしてらっしゃっただよ。
     はぎしりはほねにもんのすげえわるいから、やめたほうがいいだよ。
     といっても、じぶんじゃどうにもできんしなあ
     ストレスがげんいんなんだ。」
     
    「ストレスねえ・・・。」
    アッシュが溜め息を付く。
     
    「わしになんかできることがあったら、いつでもいってくだせえ。」
    アリッサの言葉に、不覚にもジーンとさせられたアッシュ。
     
    「アリッサには、こうやってマッサージをしてもらって
     いつも助かってるんですよー。
     本当にありがとうー。
     お陰でずいぶんとラクに体が動くようになりましたー。」
    「そ、そんな、わしなんかにおれいなんかもったいないだよ・・・。」
     
     
    アリッサがドギマギしながら言うのを見て
    アッシュは、もうちょっと主らしく振舞わねば、と反省させられた。
    この人たちは、本来の私ではなく “主様” を私に要求しているのだから
    その期待に応えるのが、自分の役目なのだ。
     
    リリーは聞く耳を持たず、クールに無視をしてくれるし
    ジジイはここぞとばかりに罵倒をしてくれるのから
    このふたりだけには、遠慮なくグチグチ言えるのだが
    住人たちに、自分の心情を知られるのはマズい。

    “主様” に私心があってはならないのだ。
    “主様” の中身が人間なのは、明確な事ではあるだが
    住人たちには、そんな事情は必要ないどころか、邪魔である。
     
    最近、忙しさにかまけて、どんどん地が出てたからなあ
    こりゃ、威厳もへったくれもねえわ
    アッシュは自分のだらしなさに渇を入れるように、勢いよく立ち上がった。
    「よし! マッサージで元気をもらったから、頑張りますよー!」
     
     
    アリッサが一日の後片付けをしていると、デイジーが入ってきた。
    ふたりでボソボソと密談をするその様子は
    明らかに何かが進行している事をうかがわせていたが
    何事もなく、月日は流れていった。
     
    これからもこのままが続くかのように。
     
     
    続く。
     
     
    関連記事: ジャンル・やかた 42 10.1.7
          ジャンル・やかた 44 10.1.14

  • 超音波加湿器

    09.1.16 の記事で、ペットボトルをぶっ差す加湿器を買った
    と書いたけど、・・・・・・・・・壊れた・・・・・・・。
     
    今回は、安物はワンシーズンで壊れる の法則ではない。
    ・・・・・・・暴行が原因である・・・・・・・。
     
    いや、故意じゃないんだ。
    あの加湿器は、何故かいつも私の邪魔をするんだよー。
     
    押し倒すは、殴り倒すは、もたれ倒すは、はたき倒すは
    何かもう週に1度は倒して、床をビショビショにして
    反省もせずに苦々しく思っていて
    懲りずについうっかり、蹴り倒してしもうたら
    底のとこが割れて、水漏れしてしまうようになったぜ・・・。
     
    テーブルの上に置くには、中途半端な大きさなんで
    床の上にトレイを置いて、そこに鎮座させておいたら
    横切る度に、自分でも不思議なぐらいに視野の死角になるんだ。
     
    小さいのは邪魔にならずに便利、と思っていたんだけど
    己の粗忽さの事まで計算していなかった。
    透明で突出した物体が、こんなにも気を引かないとは。
    まったく、とんだDV野郎になってしもうた気分だぜ。
    ほんと返す返すも口惜しい・・・。
     
     
    そこで、今度は多少大きくても存在を主張するヤツを、と買ったのがこれ。
     
     
     
    あれ? えーと、何故かメーカー名がわからないんだが
    アロマ超音波式加湿器 ミズ・ミスト ブルー って商品名。
    値段は大安売りになってて、14500円が4480円だった。
     
    何か加湿器、買い換える度に1000円ずつ高額になっていってるんだが。
    これはどういう罠だ?
     
    てか、気が付けば毎年買ってねえ?
    安く上げてるつもりが、すげえ積み重ねてるじゃん。
    まさに安物買いの銭失いか?
     
     
    で、何でこれを選んだか、っちゅうと
    超音波が一番汚れが付きにくい、と聞いたからだ。
    過去に加湿器の掃除で、何度となく手をザックリ切ったから
    掃除する気など毛頭なしの安物使い捨てにしてるわけなんだが
    それでも汚れにくい方が良いわな。
     
    それプラス、これはアロマオイルも使用できるから。
    とか思ったら、内蓋のスポンジにオイルを直垂らしする
    とてつもないザツ設計だった。
     
     
     
    そもそも超音波の加湿器って、冷たい水煙が出るだけなんだけで
    熱さずにアロマが香るんかな、と疑わしかったんだが
    試しに喉鼻に良いとされるユーカリオイルを
    私らしくドボドボぶっ掛けたら、ムセくり返すほど臭った。
    超音波でもアロマ、ちゃんと香ると身を持って証明。
     
    いや、正味な話、5滴ぐらいで充分だぞ。
    15滴ぐらい大盤振る舞いしちゃったぜ。
    10mlで2000円ぐらいするオイルなのにー。
    自分のこの、いきなり極端な事をする性格をどうにかしたいよ・・・。
     
     
    さて、今回の加湿器は一体どれだけの期間耐えてくれるか。
    今のところ、まだ加害はしていない。
     
    あっ、肝心の加湿機能を書き忘れた。
    私の場合は空気が乾燥すると、鼻の粘膜が痛くなるんだけど
    鼻、痛えな、と思って加湿器を見たら
    水がなくなって自動スイッチオフになっていた。
     
    その一件があって、点けてる時は痛くならないのに気付いたんで
    きっちり加湿しているのは間違いない。
     
    蒸気の出方も無制限調整が出来るし
    ユーカリ、鼻喉だけじゃなく頭までもがスッキリするんで
    良い買い物をしたと思っている。
     
    あとは耐久性の問題だけだ。
    2シーズン持ってくれたら、とても嬉しい。
    私の加害次第だろうが・・・。

  • ジャンル・やかた 42

    「ナポレオンが3時間しか寝ない、っていうのがわかったわー。」
    長老会会議に出席するための、移動の車の中で
    アッシュがリリーに、突然まくし立て始めた。
     
    「ナポはね、寝ないんじゃなくて、寝る時間がなかったんだよー。
     私、今ナポ並に寝てねえのよー。
     不眠症気味だから良いかあ、と、あなどってたら
     寝る時間がないのは、寝られないより辛かったんだよー。
     ピンクレディーが絶頂期の記憶がない、とか言ってたけど
     私も最近、記憶がねえのよー!
     痴呆じゃなくて、ほんと記憶がねえのよー!
     酒飲んで翌日の記憶がない、って経験した事ないけど
     あれって、こういう感覚ー?
     こんな記憶飛び飛びで、大丈夫なわけー?
     私ちゃんとやってるー?」
     
    リリーが冷静な眼差しをアッシュの方に向け、事務的に言った。
    「主様はちゃんとお仕事をやってらっしゃいます。
     かなりお疲れのようですね。
     と言っても、休みが取れるわけじゃないですから
     わたくしには同情しか出来ませんが。」
     
    「同情するなら休みくれーーー!
     とか言っても、外人のあなたにはわからないだろうけどねーっ。」
    「・・・ここでは外人はあなたの方ですが。」
     
    リリーの冷静な返答に、アッシュは叫んだ。
    「ああああああああああ、愛が欲ちーーーーーーーーーーーっ!」
     
     
    運転手の不安そうな目が、ルームミラー越しにリリーの目と合う。
    「こんなお方でも、やる時はやりますので心配無用。」
    リリーの言葉に、運転手は慌てて前を向き直した。
     
    「助けてーーーーーーーー! 拉致されるーーーーーーーーー!」
    車の窓に両手を押し付けて、アッシュが叫ぶ。
    「こらっ! その冗談はダメです!」
    リリーが、アッシュの首根っこを引っ張ってシートに押さえ付けた。
     
     
    「いっその事、長老たち、殺っちゃおうかー・・・
     いや、そんな一瞬で終わらせてあげるなんて、ナマぬるいー。
     そうだ、長老たちも館に住まわせれば良いんだよー。
     あいつら遠くからグダグダ言うだけで、ほんと気楽で良いよなー。
     私なんか毎日、監視の目に晒されて、秒ごとに神経がすり減って
     ついでに寿命もすり減って
     ああー・・・、主になっても結局、生死の境には変わりねえんかよー。」
     
    アッシュはしばらく、ウダウダとグチを言っていたが
    やっと静かになったと思ったら、代わりにギリギリという轟音が車に響いた。
    見ると、爆睡して歯軋りをしている。
    歯軋りの音というのは、結構デカい。 しかも癇に障る。
     
    まったく、起きてても寝ててもうるさい・・・
    リリーと運転手は、また目が合った。
     
     
    その日の長老会会議では、より一層発奮したアッシュが
    狂乱にも近い演説をブチ上げた。
     
    ジジイがリリーにコソッと訊ねる。
    「どうしたんじゃね? 今日は。」
    「ナポレオン様のうっ憤晴らしですわ。」
    クールに答えるリリーの顔を、ジジイが???と見つめた。
     
    まあ、あの妙な迫力が人心を惑わせるんだから、主様も大したお方よね
    リリーは、これっぽっちも心配をしていなかった。
     
     
    帰りの車の中では、行きとうって変わって落ち込んだアッシュがいた。
    「何か言い過ぎた気がするーーー・・・。」
    そしてノートパソコンを打っているリリーにすがりつく。
    「ね、私、マズかったかなー?」
     
    リリーはモニターを見たまま、答える。
    「あれで良いと思います。」
    「ほんとー? ほんとーーーの事言ってー! お願いー!」
    しつこいアッシュに、リリーは同じ口調を繰り返した。
    「あれで良いと思います。」
     
    これ以上食い下がると、リリーが激怒し始める予感がしたので
    アッシュは反対側の窓に顔をくっ付けて、無言で景色を眺め始めた。
     
     
    数分後には、またキリキリキリキリ・・・と軋りだした。
    リリーと運転手は、またまた目が合った。
     
     
    続く。
     
     
    関連記事: ジャンル・やかた 41 10.1.5
          ジャンル・やかた 43 10.1.12

  • ニーハイブーツ

    通常、流行ものには興味がない、元パンク崩れの私だが
    おととしからの流行は、かなり気になっている。
     
    ライダースジャケットや、ニーハイブーツ、サイハイブーツなんか
    私のためにある! と言っても過言じゃない、など明らかに過言なんだが
    とにかく私好みなんだ。
     
    (ニーハイブーツは膝上丈のロングブーツ
     サイハイブーツは太ももまでカバーするロングブーツ)
     
     
    しかし私には大きな障害がある。
    それは年齢。
    この年でそんなロックテイストなファッションをするのは
    アメリカンチョッパーに乗るマニアおやじ並にキツいんじゃなかろうか。
     
    知人とそう話していたら、「全然いけるよー。」 と言う。
    これは他人事の無責任な相づちじゃないか? と疑っていたら
    その知人は既にライダースジャケットを買っていた。
     
     
    そこで、その気になって靴屋をウロついたんだが
    ニーハイブーツを見た瞬間、思った。
     
    これを家のどこに置けと?
     
    うちの靴箱は、もう靴が入りきらず、靴棚の上にも箱が積み重ねてある始末。
    こんなトールな物体を置くスペースなどない。
     
    それに思ったよりは軽かったが、欲しいデザインの靴底は厚く
    ガッコンガッコン鳴らさずに歩くのは難しそう。
    そんで、膝上まで全部一体化させているので
    ヨロケたりしたら、絶対に足首をグキッとイわすと思う。
    何かやっぱり足腰の衰えたババアには、無理な仕様のような気がする。
     
     
    と言う事で、諦めて帰宅した。
    試着もしなかった、と、後日知人に言ったら
    履いてみるだけ履いたら良かったのに、と嘆かれたので
    だって履いたら最後、むっちゃくちゃ似合って
    買わなきゃ気が済まなくなるじゃん、と正直に答えた。
     
    知人に、そこまで言うか、みたいに呆れられたので
    じゃあ、似合わんと思うか? いや似合うと思う
    だろー? 冷静な分析だよ。 と、更に追い討ちを掛けて
    買い物が出来なかったウサを晴らした。
    人間性と引き換えに。
     
     
    いや、正直、ババアにはニーハイ、サイハイは見た目に厳しいと思う。
    ライダースも無理だと思う。
    似合えば良い、ってもんじゃないと思う。
    「何者?」 と思われたくないなら、避けるべきだと思う。
     
    関西は自由な街なので、皆、調子こいて好きな格好をしているが
    ニーハイサイハイライダースのババア着用は、調子こき過ぎだと思う。
     
    足元を全部皮でカバー出来たら、防寒にすごくありがたいんだが
    ババアの足元は、ハーフブーツまでだな。
    ブーティー (サンダルみたいにつま先が開いているブーツ)は
    見た目にはオッケーだが、冬場に裸足は健康的にタブーだしな。
     
     
    ほんとババアになると、ファッションが限られてくる。
    人は好きな格好をして良い、と思うんだが
    “先駆者” にはなりたくないので、私は諦めるよ。
     
    今年の冬は暖冬っぽいので、あの “アンダーワールド” は
    出さなくて済みそうで、ちょっとホッとしている。
    これも着たら、めちゃくちゃ似合ってしまって
    店員さんのお世辞攻撃にも後押しされて、買っちゃったんだよな・・・。
     
    ほんと似合うんだよ、客観的に見ても。
    でも、どことなく異様なんだよーーー。
     
    これが、年齢の壁だと思うんだ。
    しかも私の場合、ババアにはきついハード系ファッションがムダに似合うんで
    試着したら最後、その気になっちゃって危ないんだよな。
     
    靴屋は今年の冬は、私にとっては鬼門だ。
    避けて通らねば!
     
     
    ちなみに、防寒を真剣に考えていて
    もしかしたら登山用とか凄いんじゃないか? と、ちょっと調べてみたら
    スキーとかのスポーツ用のジャンパーとか、えらい良い機能が付いていた。
    しかし、やたら値段もよろしい。
     
    でも最後には、ババアの防寒はこういう系統に頼るべきなんだろうな
    と、あれこれ探していたら
    安くて防寒対策バッチリのファッションを見つけた。
     
    野外作業用防寒着・・・。
     
    ババアに作業服、アリだろうか?

  • ジャンル・やかた 41

    「痛いのダメー! 痛いの絶対にダメよー?」
    アッシュがベッドに横たわりながら、怯えて叫ぶ。

    「はいはい、わかってるだよ、主様。
     わしにまかせてくだせえな。」
    指をバキボキ鳴らす巨体の女性に、アッシュが後ずさりをする。

    数十分後、アッシュはベッドの上で溶けていた。
    「うあーーー、気持ち良かったーーー、最高ーーーーー!」

    「でしょう? アリッサはちゃんと免許も持ってるんですよ。」
    デイジーがアッシュに靴を履かせながら、自慢げに言う。
    「うんうん、もう久々に極楽な気分になれたよー、ありがとうー。」

    何のエロ話の始まりか? という出だしだが
    毎日のデスクワークに音を上げたアッシュが、わめいたのだ。
    「誰かマッサージとか出来ないですかあー?
     もう、肩とか首とか腰とか、痛くて痛くてー。」

    「あ、私の友人に整体師がいます!」
    と名乗りを上げたのがデイジーであった。

    「主様、かなりからだがゆがんでいるだよ。
     これからちょっとでもいいから、まいにちマッサージをつづけるだよ。」
    アリッサが言うと、デイジーが強い口調で後押しした。
    「そうですよ! 健康管理もちゃんとしてください!
     主様に何かあると、皆が悲しみます。
     おひとりの体じゃないんですよ!」

    デイジーの熱意にゲンナリしつつも、アッシュも肩の軽さに負けて同意した。
    「じゃあ、これから毎日お願いしますー。」

    アッシュが整体室を出て行った後
    デイジーとアリッサは手を取り合って喜んだ。
    「良かったわね、主様に気に入られたわよ。」
    「主様にはじめてあえて、わしドキドキしただよー。」

    アリッサもデイジーと同様に、アッシュの信奉者だった。
    アッシュは皆に公平に接する代わりに、誰とも親密にならなかった。
    秘書のリリーと護衛のローズは、職務上例外であった。

    「だけどほんとにやせていらっしゃったで、わしビックリしただよ。
     ここんとこは、とくにいそがしそうにしてらっしゃるとうわさだんが
     あんなほそいおからだでだいじょうぶだかねえ。」
    「そうなのよ・・・。
     前々からお忙しく動いていらっしゃってたんだけど
     あの銃撃事件以来、益々大変そうになったのに
     この頃は食欲まで落ちちゃって、もう心配で・・・。」

    「あのバカモノのせいで、ストレスになっているだね!
     主様がやかたをすみやすくしようと、がんばってらっしゃるだに
     なんのもんくがあるんやら、まったくめいわくだよ。
     主様がいなくなったら、またもとのゴロツキぐらしになるじゃないか。
     まったく、へいわなくらしがイヤならここをでてきゃいいだよ!」
    アリッサが憤慨すると、デイジーが更に追い討ちをかける事を言った。

    「ほんと、そう思うわ!
     襲撃したヤツは死んだらしいけど
     同じような事を考えてるヤツらは、まだいるらしいのよ。」
    それを聞いて、益々頭に血が上るアリッサ。

    「あの主様に、ゆるせないだね!」
     そんなヤツら、わしがせいばいしてやるだ!」
    デイジーはアリッサの両手を握った。
    「あたしたちも館のために頑張らないとね。」

    悪気のない自己流正義感というものほど、厄介なものはないわけで。
    このふたりの館への想いが、アッシュの運命を変えるものになるとは
    誰ひとり気付く者はいなかった。

    続く。

    関連記事: ジャンル・やかた 40 09.12.25
             ジャンル・やかた 42 10.1.7

  • 貳霰籌蠕

    鐚繼蹊鋕鎚飫嘛豸爍嫗冱褪隶雜泝
    虍攝孖牡馮慮汜龜唹蚋罫

    ・・・すんません、やめます。

    いや、新しいブログになって文字化けした、っていう
    今日しか出来ない冗談をかまそうとしたんだけど
    正月休みを返上して大変な移転をしてくれた
    管理人ぷらちッの苦労を無にする諸行だし
    何より、予想外に面倒くさかったので挫折したんだ。

    上の文字は、一応文章になってるんだよ。

    2010年
    あけましておめでとうございます
    ことしもよろしくおねが

    これを難文字にいちいち変換してるんだ。
    そしたら変換候補の一番上に、この読めない文字が並ぶし
    コツコツやってて、一体何が面白いのか疑問になってくるし
    ぷらちッの私に対する信頼は失われるし
    良い事が何ひとつないのに途中で気付いてな・・・。

    でも、やたら時間が掛かったんで、消すのもしのびなくてな
    薄ら寒い笑えん冗談での幕開け、ほんとすいませんほんとすいません。

    年末年始の私が何をしていたかっちゅうと
    まず、年末にすき焼きを食って腹を壊した事から始まる。

    生卵に少々難があったと思うんだが
    腹を壊した後って、妙に腸にガスがたまる事ってあるだろ。
    腹がキリキリするの。
    真っ直ぐ座ってたらキリキリ痛いーーー
    横になると痛みが治まる、って具合に。

    それになっちゃって、それは一晩で治ったんだけどさ
    翌朝の朝食に半熟目玉焼きを作ったら
    それが予想外の超半熟で、また腹を壊してさ。
    うちの卵、そんな古くねえのに、何でこうしつこく危害を及ぼすんだよ?

    そんなにひどい症状でもなかったんだけど
    腹下しの後って、心も体もむっちゃくちゃ放心状態にならねえ?
    もう動きたくねえっちゅうか
    ずっと同じ姿勢でいないと、とても不安っちゅうか。

    そんで正月は、ゲームゲ-ムゲームTV番組ゲームゲームTV番組・・・。
    ビデオは借りに行ったんだけど、不況のせいかほぼ全貸し出しされてて
    恒例のホラー祭は出来んだった。

    何か毎年毎年、まったく充実してない元旦を過ごしているんだけど
    私ってもしかして底辺? とか、ちょっぴり心配になっちゃったな。 てへ

    さて、そんなボンヤリした新年を迎えた私であるが
    襟を正すためにも、今年の抱負でも考えてみた。

    真の願いは、もちっと金銭的に余裕のある生活になりたいという事だが
    新年早々、そんなとことんリアルな殺伐さをかもしだしたくないので
    それは置いといて全然違う話をするが、アロマキャンドル、あるじゃん。
    あれ、燃えるだけのくせして何千円もしてクソ高いよな。

    そんな札束を燃やすような気分になりたくねえので
    うちでは庶民の味方ショップの100均で買ってるんだが
    ほんと何の匂いもせず、単なる照明? みたいなのもあるんだよ。

    いや、そういう品質に対する文句はおいといて
    あのキャンドル、形によってはロウが燃え残るだろ。
    100均で買っててそれ以上何を惜しむんか、と思われそうだが
    その燃え残ったロウをほじくって、容器に溜めておいて
    爪楊枝でロウにブスブス穴を空けて、以前手作り時に集めておいた
    仏壇用ロウソクの芯を突き刺して、再利用として燃やしていたんだ。

    掃除も終わり、風呂にも入って、あとは寝るだけ、という
    落ち着いた年末をやっと過ごせるリラックスタイムに
    そのカスロウを寄せ集めたお焚き上げをやっとったんだよ。
    DSをカツカツカツカツカツカツカツカツカツ叩きながらさ。

    そしたら、バシーン!!! って、ものすごい爆音がして
    キャンドル用のガラス容器が破裂したんだ!
    もう、ゲームに熱中しすぎて無意識に念波でも出したんか?
    と、己の潜在超能力に心底ビビったよー。

    そこで思い出したのが、ガラス灰皿伝説。
    ガラス灰皿って、鈍器として殺人にも使われるほどブ厚いくせに
    吸殻が溜まって、そこで消し損ねとかあって火が出たら割れるらしいんだ。

    その時欲張って、ロウの山に6本ぐらい芯を差して
    ゴウゴウ燃やしていたんだよー。
    ロウが溶けて、燃えてる芯が容器にくっついていたんだ・・・。

    それは良いんだけど、いや良くもないけど、その後始末が大変だった。
    割れた部分から放射状にガラスのカケラが飛び散っててさ
    テーブルの上は見えないガラスの粉で一面ザラザラしてさ
    掃除しまくって、せっかくいつも以上にキレイになってたのに
    1年の最後に一体何の天罰だよ??? と、ものすげえ悲しかったよー。

    その後、カケラを拾い忘れているんじゃないかとビクビクさせられたし
    今年の目標は、“何かをする時はちっと考えてからしよう” にしたぜ。

    ああ、一発目の記事は、ちゃんとオチを付けられて良かった良かった。