投稿者: あしゅ

  • 作業完了報告

    無事、移転作業が完了しました。

    大変ご迷惑をおかけしました。
    これからもよろしくお願いします。
  • 2009年 〆

    今年も早いもので、もう年末となってしまった。
    自分に悪いとこなど何ひとつない! と、思ってはいるのだが
    そういう事を言っていると、ドえらくデカいバチが当たりそうなので
    しおらしく、1年の反省などをしてみる。

    思い返すと今年は、インフルエンザ級の大風邪で寝込み
    老人性なのか更年期なのかわからんウツにさいなまれ
    心身ともに病苦な1年であった。
    お陰で弱気に次ぐ弱気で、このブログも泣き言主体になって
    もう、いたるところにババア臭が漂ってしもうた。

    キレる年寄りになれる自信があったのだが
    どうもここにきて、まさかの菩薩風味が出てきてるんで
    もしかしたら私は、上品で知的で穏やかな老婦人になるかも知れん。
    なんたる大どんでん返し!

    そうなると、罵詈雑言を売りにしてきたこのブログは
    とてもつまらないものになるであろうが
    どんなに変貌しようと、それもこれもまごう事なく私。

    その変化もまた、私の記録である事には間違いないので
    来年からは、上品で知的でナイスバディで穏やかな淑女のブログとして
    お花畑の中を舞い踊るように、たわごとを書き続けたい。

    目に入るもの全てに噛み付く狂犬のような記事を期待する方々
    本当に申し訳ございません。
    出来れば今後は、上品で知的でナイスバディで心優しい穏やかな私の
    ナチュラルエコ地球政府ほっこりファンシー人類皆平等な記事を
    読んでいだたきたいと願っております。

    年末の忙しさにとうとうネジが飛んだか、という寝言は寝てから言うとして
    今年は、小説もどきの楽しさに目覚めてしまった年でもある。
    読む方には、ほんと人の楽しみなんてうぜえだけだ、という気分を
    存分に味わってもらえた事であろう。

    だがしかし、この小説もどき、私が飽きるまで続く予定である。
    石鹸で置き物を作ったり、包装紙で貼り絵をしたり
    空き缶で家を建てたりし始めるのは、老人の基本性能である。
    それと同様に捉えて、ヒトとしての使命感でナマ温かく見守ってもらいたい。

    置き所に困る妙な手作り人形を、現実に持って来られるよりマシだろ?
    ほんとジジババが物づくりに凝り始めると、周囲が迷惑なんだよな。
    微妙な気色悪さを漂わせる端切れぬいぐるみとか
    部屋に置いておくと、怨念パワーで動き出しそうでマジで恐いんだよ。
    小説もどきなど、形に残らないだけありがたいと思え!

    さて、今年最後の悪態も、続きは鏡に向かって言え、というわけで
    年末年始のブログ予定のお知らせを。

    私の今年のブログは、今日でお終いです。
    来年は、1月4日から再開する予定です。
    が、ここで注意。

    このブログは引越しをします。

    URLは変わらないんだけど、引越し作業があるので
    12月29日から1月3日の間は、バグるとか繋がらないとか
    色々と不都合な事態になるかも知れません。

    が、それは、管理人ぷらちッがまさにその時、裏で頑張ってる証拠。
    そういう状況に遭遇した人は、己の善行を積むラッキーチャンスです。
    モニターに向かって励ましの言葉をつぶやく、危ない人になってください。
    情けは人のためならず、と言うもんです。
    天国の扉が開かれる事でしょう。 そりゃもうパカッと。

    一応、新ブログのテストアップでは
    さすが天才の私は、一発で使いこなして管理人ぷらちッを平伏させました。
    が、本番になると、何が起こるやも知れません。

    休みになると、ハメを外し過ぎて病気になるバカモノも風物詩である事だし
    いつ自分がそういう目に遭わないとも限りません。

    よって、1月4日に新ブログにて記事アップをされていない時は
    や ら か し た な  と、お思いください。

    今年1年、お付き合いくださいまして、ありがとうございました。
    私にとって、今年はあまり良い年ではありませんでしたが
    皆様のコメントに、どれだけ救われたかわかりません。
    本当に感謝しております。
    重ねて、厚く御礼を申し上げます。

    管理人ぷらちッには、ただひとこと、ありがとう を。
    いつもこれ以外の言葉が思いつきません。

    来年が皆様にとって、実り多き良い年になりますよう
    お祈り申し上げつつ、キーボードを置きます。

    皆、どうもありがとうーーー!
    また来年、何気ない時間を一緒に過ごそうねー。

      感謝をこめて
                    あしゅ

  • メンテナンスのお知らせ

    12/28~1/3の間メンテナンスを行います。
    繋がりにくいこともあるかもしれませんが、
    ご協力よろしくお願いします。

    メンテナンスに伴う変更点
    ・見た目の変更
    ・携帯対応(今まで以上に使いやすくなる予定)

    そんな私は今日からお休みです。
    皆様よいお正月を

    ぷらちッ

  • ジャンル・やかた 40

    銃撃事件から、後始末に追われる日々が続いた。
    事件の方は、以前のように 内々に “処理” された。

    親しい者が身代わりになったと言う事で
    長老会は比較的アッシュに同情的ではあったが
    やはり館の住人は、一旦切れると何をするかわからない
    という不信感が、上の方で広がってしまったのである。

    アッシュは、反抗的な住人を早くどうにかしろ
    と長老会会議で度々突き上げられていた。
    その方法を長老会のお歴々のメンバーと話し合うも
    メンバーは何ひとつ知恵が出せない、という有り様である。

    会議に出れば吊るし上げられ、館に戻れば周囲が暗殺を警戒する
    ピリピリする空気の中、バイオラの死に責任を感じ
    一時たりとも気の休まる事がない日々が続いた。

    ジジイは長老会とアッシュとのパイプ役を、見事にこなしていたが
    自分が長く務めすぎたせいもあって
    今の長老会には、主経験者がジジイ以外にいないのが難点であった。

    あそこは経験しなきゃわからん事も多いんじゃ
    データや報告書だけでは判断など出来ぬぞ
    ジジイは常々メンバーを、そうたしなめていた。

    それは長老会の面々も自覚していたので
    ジジイの言葉には信頼が置かれていたが
    やはり想像以上の現実が、長老会を混乱させていた。

    そもそも、“コト” が起きた時の隠蔽にだけ動いてきた長老会が
    館の運営にこれほどまでに首を突っ込むのも、初めての事だったのだ。

    リリーは会議の準備に奔走する中、情報集めをしていた。
    館の電気関係に勤務する住人たちは、長老会所属であり
    同じく “外から来た住人” であるリリーとは、同胞である。

    モニタールームに詰めている職員に、住人たちの動きを探らせ
    誰が反抗的な意識を持っているのか、不穏な動きはないか
    つぶさにチェックさせていた。

    ローズは “護衛” の肩書きを、名実ともに不動のものにしていた。
    相続達成サポートの見返りに好きな地位を、のお達しに
    「これまでと同じでいいよ。」 と、答えたのは
    リリーと一緒に秘書をやるには、頭がない自分が
    自然にアッシュの側にいられる唯一の職だからである。

    その肩書きは、ローズの腕からしても誰もが納得するものだったが
    戦いのない館になるのだから、閑職も同然のはずだった。

    あたしも平和ボケしちゃってたね・・・
    自分が気を緩めずに役目を果たしていたら、バイオラも死なずに済んだのだ
    と、ローズもアッシュと同様に自分を責めていたのだ。

    アッシュの書斎の隣にある護衛控え室には、アッシュのタイムテーブルや
    住人たちの顔写真つき履歴リストを用意した。
    ホルダーにハンドガンを入れつつも
    やっぱりあたしにゃこれだよね、と大鋏をベルトに差し込んだ。

    デイジーはアッシュの食器を下げながら、憂うつな気分だった。
    アッシュの食欲が落ちているのである。
    あんなに痩せてらっしゃるのに、これ以上食欲が落ちていったら
    お体が心配でたまらないわ・・・。 ただでさえ激務なのに・・・
    デイジーは重い足取りで厨房に向かう。

    「あれ、また主様はこんなに残しなさって・・・。」
    厨房の女性が声を上げる。
    「そうなのよ・・・、もう心配で心配で・・・。」
    キレイに残っている皿の上の料理を見て、デイジーは溜め息を付いた。

    「以前は食堂に来てくださってたのに、あの事件以来止められてるらしいし
     主様のお姿が見えないと、皆も寂しいよねえ。」
    厨房の女性の言う通り、襲撃事件からの警備の強化のせいで
    アッシュは以前ほど自由にウロつけなくなっていた。

    皆で仲良く平和にやれ始めていたのに、一部の人のせいで!
    デイジーは、激しい怒りを覚えた。

    そんな中、アッシュは館にいる間のほとんどの時間を勉強に費やしていた。
    これまで以上に、演説に力を入れなければ!
    そう考えたアッシュがネットで調べていたのは
    「小論文の書き方」 であった。

    おいおい、アッシュ、大丈夫かその方向性で???

    続く。

    関連記事: ジャンル・やかた 39 09.12.22
          ジャンル・やかた 41 10.1.5

  • 線引き

    どっかの政治家が、法律で決まってるわけじゃないでしょ?
    などと、ほざいていたが、ほんと苛立たしい。

    法律は社会生活上、絶対的存在である。
    しかし、この法律で決められていないとこに、人間性が出るのだ。

    法に定められていない日常の何でもない事、それをどう考えるか
    それがモラル、倫理、道徳なのである。

    これは、絶対に正しい、という答がなく各々の裁量で決められる。
    人は皆、生きていく上で自分なりのルールを持つ。
    ここまでは良いけどこうなったらダメ、と、どっかで線引きをしないと
    人生がグチャグチャになってしまう。

    この自分ルールは重大な事から些少な事まで
    身の回りのあらゆる事に適用される。
    この線引きがあいまいな人が、“だらしない” のだ。

    ものすごく小さいたとえをしよう。
    部屋の中に、普段は使わないけど寒い時にはおるひざ掛けを置くとする。
    そのひざ掛けを、畳むかグチャグチャに放置するか
    ここで既にその人の線引きの感覚が問われる。

    グチャグチャに投げやっていて気にならない人は
    もう1枚グチャグチャの布があっても気にならないはず。
    そうやって、どんどん部屋が散らかっていくのである。

    大げさな、と思われるかも知れないが
    通りのラクガキ1個を放置していると
    しまいにゃ犯罪多発に繋がる、という話もある。

    ここで 「大げさな」 と思う人は
    線引きがあいまいになっていないか、自問自答すべきである。

    生活習慣だけでなく、人間関係でも線引きは重要である。
    人と人の間に線引きなど、冷たいように聞こえるかも知れないが
    悪い意味ではなく、自分をわきまえる、という事なのだ。

    ここまでは甘えても良いけど、こっから先は図々しいな、とか
    押し付けになるな、とか、相手と自分の感覚や立場の違いを考慮して
    お互いにとって負担にならないよう、付き合う。

    こう書くと、やたら難しい事に思えるが
    ほとんどの人が、大なり小なりこういう事をやってるはず。
    社会では当たり前の礼儀だから、見過ごされているだけであろう。

    現に線引きがあいまいな人は、“距離なし” と嫌われる。
    自分も他人も一緒くたにされると、迷惑するのは大抵が相手側なのである。
    またこういうヤツに限って、迷惑顔をされると
    「冷たい」「情がない」 など、相手を一方的に責めて
    その被害者ヅラには、腹立たしさが倍増だ。

    このように、線引きは人生のすべての部分で必要不可欠である。
    どう線引きをするか、の部分が似ていると、倫理観が同じなわけだ。

    価値観の違いは、付き合いにはそう支障はないけど
    倫理観の面が違うと、ダイレクトに色んな状況に影響し
    かなりの困難が生じるので、付き合う上で注意した方が良いと思う。

    「法律で決まってるのか」 この言葉を使うヤツは
    大抵、薄ぼんやりと自分の非を認めている。
    他に返す言葉がないから、こんな妙な事を言い出すので
    かなり追い詰められているわけだ。

    もし本気でこの言葉を言っているのなら
    そいつは線引きのないヤツで、かなり危ない。

    線引きのあいまいな人、逆に極端な人は、モラルに欠けるので
    関わらない方が、無難な人生を送れる。

    私のように、自分を律する線引きで手一杯で
    外では全部あとよろー、で他人任せなヤツも
    良い迷惑なので、論外なんだがな。

    線引き、とても大事だと思う。

  • ジャンル・やかた 39

    すべての関係者が想像していたのと違って
    ゆっくりだけど、順調にきていた館の改革だが
    やはり悲劇は起こってしまった。

    不穏分子のひとりが、行動に出たのである。
    数m前に立ちはだかった男が握った銃を見て
    アッシュはそれが何か、すぐにはわからなかった。
    本物の銃など、触るどころか見た事すらなかったからだ。 日本人だもの

    「おまえさえいなければ」
    歪んだ表情で怒鳴りながら、男がアッシュに真っ直ぐと銃を向けた瞬間
    パンと爆竹のような軽い音が鳴り、アッシュは左肩に衝撃を感じた。

    う、撃たれた? と、恐怖に目を上げると
    ローズが男に駆け寄って殴り倒し、周囲の人間が男に蹴りかかり
    それがすべてスローモーションで展開されていた。

    女性たちが叫びながら、アッシュの元に駆け寄る。
    デイジーが泣き喚きながら、アッシュを抱き起こす。
    アッシュは花壇に倒れ込み、ブロックで左肩を強打していたのだった。
    そしてアッシュの傍らには、顔面を血に染めたバイオラが倒れていた。

    葬儀はしめやかに行われた。
    館の敷地内にある墓地の明るい一角に、バイオラは埋葬された。
    アッシュがこの館に来て、4年目が過ぎたという頃で
    墓地は色とりどりの花々が咲き誇り、蝶が舞っている。
    気持ちの良い風が吹く5月の正午の光が、バイオラの墓標を輝かせていた。

    葬儀の帰りに、初めてグレーの墓にも寄った。
    異国の相続失敗者なのに、こんな立派な墓石まで立ててもらって・・・。
    目を閉じて両手を合わせて祈り
    顔を上げると、隣にジジイとリリーが立っていた。

    「わたくしは、この隣に眠らせてくださいね。」
    当初リリーは、アッシュの地位が安定したら辞めるつもりだった。
    それをジジイには言っていたので、この言葉にジジイは驚いた。
    そうか、こやつもここに骨を埋める決意をしたんじゃな。

    涙の跡が残るアッシュの横顔を見つめて、ジジイは心の中で励ました。
    アッシュよ、あんたはひとりじゃないぞ
    背中を優しくポンポンと叩いてくれたジジイの意を
    アッシュは珍しく敏感にくみ取っていた。

    その日の演説で、アッシュは怒鳴り狂った。
    何故こんな悲劇が繰り返されるのか
    それを止めるにはどうすればいいのか
    これはひとりの罪じゃなく、皆の罪なのだ
    涙を流しながら、心を絞るように叫ぶアッシュのその姿は
    まるで鬼神のようで、見ていた者は恐怖すら感じた。

    最後にアッシュは、静かに語りかけた。
    「私に異がある時は、どうか言葉で表わしてくださいー。
     意見が違うというのは、決して悪い関係ではないのですー。
     色々な感覚がないと、この世界は止まってしまいますー。
     どうか皆さん、自分の気持ちを大切にし
     それを私にも伝えてくださいー。」

    講堂はようやく安堵に包まれたが、アッシュの腹の中は煮えたぎっていた。
    何が意見だよ! 無法者の自分勝手な言い草だろうが!
    言いたい事があるなら来てみろよ、全力で洗脳したるよ!!!

    罵詈雑言を脳内で叫ぶも、アッシュは楚々と涙を拭いつつ
    弱々しげな被害者ヅラを演出しながら、壇上を降りた。

    その夜、アッシュは眠れなかった。
    こういう時は、いつもローズの部屋に行く。
    護衛のローズの寝室は、アッシュの寝室とドア続きになっている。

    ドアを開けると、目の前にローズが立っていて
    お互いに驚いて、うわっと悲鳴を上げた。
    「前にもこういう事があったよね。」
    アッシュも丁度それを思い出したところだったので、ふたりで笑った。

    「お茶とクッキーはどうだい?」
    「食べちゃいけない時間ほど、美味いと思えるんですよねー。」
    キャッキャとふたりではしゃいで、ベッドの上でお茶をする。
    「まったく、行儀が悪いったらないねえ。」
    「たまには良いじゃないですかー。」
    ふたりで肩を寄せ合い、クスクスと笑う。

    「でね、その時にバイオラが言ったのさ。
     『あたしゃ鍋は作れてもパイは作れないんだよ』 ってね。」
    真夜中なので大声は出せず、ふたりで腹を抱えて息を殺して笑う。
    かと言えば、急にしんみりした気分になり、抱き合って忍び泣く。
    妙なハイテンションで、爆笑と号泣を繰り返し、一晩中語り合った。

    こういう時の月は、何故いつも丸くて美しいのか。
    月明かりに浮かび上がるベッドの上のふたりの影は
    まるで月にいるうさぎのようであった。

    しばらくその月を見上げていたふたりだったが
    長い沈黙の後、月を見つめたままローズがつぶやくように言った。
    「これでもう、あたしの家族はあんただけになっちゃったよ・・・。」

    アッシュも同じ気持ちだった。
    ふたりの最後の血縁は、墓地に眠っている。

    「あんたは、もうあたしの部屋に来ちゃいけないよ。
     これからは、ふたりだけではいないようにしよう。
     あんたは、皆の主にならなければいけない。」
    「うん・・・。」

    アッシュが素直に同意したのは、自信があったからである。
    ふたりの関係は、今後何があっても揺らがない。

    罪悪感に押し潰されそうになり、不安で眠れない夜は
    いつもローズの部屋に夜中に行っては泣いていた。
    ローズは起きているのか寝ているのか
    何を言うでもなく、ただそこにいてくれた。
    この時間があったからこそ、アッシュは人前で平静を保てていた。

    だけどローズが生きてくれてるだけで良い
    アッシュは、それだけでやっていける、と確信していた。

    風に散る桜の花びらのように、光の粒が舞い降りる
    そんな幻のようなきらめきの月の夜だった。

    ふたりが最後に一緒に過ごしたのは、永遠を知った一瞬であった。

    続く。

    関連記事: ジャンル・やかた 38 09.12.18
          ジャンル・やかた 40 09.12.25

  • 数字が苦手

    何か初手から情けない事を言い始めるが
    皆、コメント認証の数字、一発で正しく打てているんか?

    このブログの認証システムは、迷惑広告対策でやってるものなんだが
    これに一番引っ掛かってるのが、業者でもなんでもなく
    記事を書いている当の本人なんじゃなかろうか、と思うんだ。

    もしかして私封じシステムなんだろうか、とすら勘ぐるぐらい
    毎回毎回、あっっっ! てな状況を繰り返してるんだよー。

    日常生活でも、どうも自分は記憶障害みたいなものじゃないか?
    と疑ってしまう事が多々あるんだが
    ネットを始めてから、その疑いは日増しに濃くなってきている。

    URLやアドレスの手動入力など
    4ケタの数字ですらヒイヒイ言う私にとって、どんだけ難関なものか・・・。
    おかげで、単語登録が膨大なものに膨れ上がっているが
    この単語登録が使えない書式のとこもあるんだよな。

    数字と言えば、結婚時代に簡単な経理をしていた事があって
    それがえれえな数の足し算で、電卓を使わにゃならんかった。
    その時に、「必ず3回やれ」 と言われていた。
    3回やって答が同じなら、間違ってはいないからなんだと。

    それが、3回とも全部違う答になるんだよ・・・。
    そんなん、人に言えるわけがねえだろ。
    3回やってそれなら5回、5回やってダメなら7回、と
    黙々としかも密かに、同じ計算を10回ぐらいやってたさ。
    自分どんだけ能無しなんだ、と悲しかったぜ。

    それで自分は数字関係が苦手なんだ、と思い込み
    苦手扱いしていたら、それ関係を避けて通るようになって
    余計にイヤになり、しまいにゃ諦めてしまったんだよな。
    これが “苦手意識” というやつなんだろう。

    数学はともかくも算数は得意分野だったのに、数字パズルも大好きなのに
    何故か単なる数字に、ものすごく苦手意識を持つようになってしまった。

    このように得意不得意は、己の心が作り出すもののような気がする。
    それを裏付けたのが、DSの脳トレ。
    心にブレーキが掛かる瞬間を、はっきりと体験できた。

    無心でやれば、100点を出せるんだ。
    でも途中でちゅうちょすると、後はガタ崩れになる。
    やってて上手く行ってるのに、急に不安になるんだ。
    何で出来るんだ? って。
    いや、出来るのが当然なんだよ、簡単な計算なんかさ。
    なのに “出来ない自分” の方が、自然に思えるみたいなんだ。

    これって、ものすごい負の暗示のような感じ。
    自分で自分を、悪く演出しようとしているような気がする。

    そんな、誰の得にもならんようなマネを
    何でわざわざせにゃならんのか、自分でもわからない。
    たかが電卓キーの押し間違い連続の、あの日々のせいで
    かなりの挫折感を引きずっているような気がする。

    という事で、電卓計算が上手くできない、という1点のみで文系ぶっていたが
    よく考えると、日本語と英語が出来ない時点で文系ヅラもアウトじゃん。
    そうだよ、私の本質は理系だったはず!

    ・・・え? 理系・・・?
    何かこれも、かなりのムチャを言うとる気もするんだが
    ここで弱気になっていたら、更生の道は閉ざされてしまう。

    とにかく私はパーフェクトな人間だったはず。 顔と性格以外は。
    だけどそれだと可愛げがないだろ? もちろん顔自体が可愛くないが。
    だから、ちょっと抜けてて可愛いあ・た・し という
    ドジッ子属性におさまろうとしてたんだよ。 普通にしてても充分粗雑だが。
    うん、絶対そうだ!

    (己のちょっとしたつまづきをも正当化したいがために
     この論理展開もえらいな破綻をしているがな。)

    何たる不覚!
    自分にないものへの恐怖で、無意識の内に他のものに成りすまそうとして
    その結果、自分の首を絞めるハメに陥っていたとは。

    今後はナチュラルに、自分の才能を発揮していけば良いんだよ。
    目指せ、本来の完璧な私!!!

    もう、こういう結論を出してる時点で
    性格どころか頭の中身も、完璧でも何でもないんだが
    苦手意識を克服するには、多少の犠牲はやむを得んよな。
    私はこれから、天才の道を堂々と歩むぜ。 人間性と引き換えに。

    苦手意識を失くしたいヤツ、この考えをマネするのも手だぞ。
    ただし、あくまでも脳内ワールドのみ、でだが。

    よし! これで明日からのコメント認証は楽勝なはず!
    (人格崩壊させたのに、やたら小さい野望で
     割に合わん気がせんでもないが。)

  • ジャンル・やかた 38

    「主様、お疲れ様でした。」
    壇上から降りるアッシュに駆け寄ったのは、デイジー。
    恋人を殺され、食堂でアッシュに抗議したあの女性。
    アッシュが今の改革法を選んだきっかけである。

    あの食堂での一件以来、泣き暮らしていたデイジーだったが
    アッシュの就任演説を聞いて、面会を申し出てきた。
    会いに来る相手が誰だか知らされたアッシュは、沈痛な面持ちで出迎えたが
    デイジーはアッシュの顔を見るなり、駆け寄った。

    「あたし、わかったんです、このままじゃいけないって!
     あの人が死んだのは、この館のくだらない因習のせいでした。
     それをあなたは本当に変えようとしてくださっている。
     あの人のためにも、あたしもあなたに協力させてください!」

    アッシュの両手を握り締め、涙を流しながら切々と想いを伝えるデイジーに
    これから、この館中のヤツがこんなんなるかも知れない・・・
    と、アッシュは内心ドン引きして、くじけそうになったが
    それに耐えられなければ、この計画の成功はない。

    「これからも大変な想いをさせるかも知れないけど
     一緒に頑張りましょうねー。」
    と、口先だけのキレイ事を言って、デイジーの手を強く握り返した。

    無表情なのは、この上つくり笑いまでせにゃならんとなったら、ほんと無理!
    と、思ったので、諦めて無表情をウリにする事にしたからである。
    出来ん事は、論点をずらして正当化すれば何とかなるもんだ
    アッシュは、そこらへんの悪巧みだけには長けていた。

    デイジーはその時以来、アッシュの “お世話係” になった。
    食事や洗濯、掃除など、身の回りの世話を甲斐甲斐しく焼いてくれるのだ。
    リリーは秘書だし、ローズは相変わらず護衛だし
    アッシュの周囲は、女だらけの大運動会であった。

    「現主、頑張っとるか?」
    講堂の椅子から立ち上がったのは、元主のジジイである。

    「ジジイ、また来たんかいー。
     徘徊するようになったらヤバいぞー。
     いい加減何もかも諦めて、さっさと死にさらせー!」
    真顔でサラッと言うアッシュに、周囲がドッと笑う。
    良い人キャラも、初手からあっさり放棄しているアッシュであった。

    「やれやれ、相変わらずじゃのお・・・。
     どれ、茶でも飲みながら、近況を語り合おうじゃないかい。」
    アッシュはデイジーに言った。
    「ごめんけど、ジジイに粗茶の出がらしをー。
     私はカフェオレをお願いできますかー?」
    「はい、かしこまりました。」
    「あっ、デイジーちゃん、わしにはスコーンもー。」
    「スコーン、おとといのがあったよねー?」
    追い討ちをかけるアッシュをジジイが睨み、周囲はまた笑いに包まれた。

    アッシュの書斎で、ソファーにどっかり座るジジイ。
    「はー、ええのおー、こんなキレイで広々とした部屋で。」
    アッシュは突っ込みたくて口の端がムズムズしたが、こらえた。
    ジジイいじりはキリがないからだ。

    「順調なようじゃな、長老会でも評価が高いぞ。」
    「いえ、そうでもないんですよー。
     不穏分子が何人かいますし、まだまだ安定はしていませんねー。」
    「そういう輩は、風通しに使えば良いんじゃないのかい?」
    「問題は、私がまだ確固たる立ち位置を築けていない事なんですよー。」

    ノックの音がしたので、ジジイが 待て、と手を立てる。
    アッシュがうなずいて 「どうぞ」 と声を掛けると
    デイジーがお茶と茶菓子を持って入ってきた。
    「あれ? ジジイの紅茶、ちゃんと色が着いてるじゃんー。」
    「あんたはっ!」
    アッシュにジジイが、ゴスッとゲンコツをかました。

    デイジーが出て行った後、再び真面目な顔で話し合うふたり。
    「どこに不安があるんじゃ?」
    「反感を持っている者たちは、グループではないんですけど
     ひとりリーダー格のヤツがいて、それがまた若いはイケメンだは
     しかも私より人格者で頭が切れるっぽいんですよねー。」
    はあー、と溜め息を付くアッシュ。

    「あんた、割と自分を客観的に分析しとるんじゃなあ。」
    「・・・あんたが私なら、自分の事を
     ピチピチ娘で絶世の美女で天使のような性格で天才だと思えますかー?」
    「・・・・・・・・・」
    「ただ、それだけの事ですよー。 分析するまでもないー。」

    「いいいいいいや、わし的にはあんたはとても可愛いと思うぞ東洋人は若く見えるしそれにあんたはそこまで悪人じゃないし割に良い性格いやイイ性格ってわけじゃなく付き合いやすくて良いという意味でそんで天才じゃないとか言うが確かにアホじゃが紙一重的な面もいやアホというのは愛情を持って言ってるわけで本当にそう思ってはいないとも言えんがわしはとにかく」
    「いい加減、黙れ、クソジジイー!」

    ジジイはビクッとして黙り込んだ。
    「どうしても、ご自分の墓穴を掘りたいようですねえー。
     喜んでお手伝いいたしますよー? そりゃもう深ーく深くザックリとー。」
    「い、いや、すまんじゃった。」

    ほんに、こやつには適わんわい
    ジジイはそう嘆きつつも、このやり取りを楽しんでいた。
    “監視” の名目で、ちょくちょく館に来るのは
    この罵り合いをしたくて、という理由もあったのである。

    「で、どうするんじゃ?」
    「結局、静観しか思いつかないんですよー。
     私がもっと頑張って、支持を得るしかないですよねー。」
    「そうか。
     長老会の方は相変わらず日和見じゃが、あんたへの信頼は増しているぞ。
     この館がここまで何事もない日々が続くのも初めてじゃしな。」

    「相続者システムはどうなりましたー?」
    「誰も言い出さん。 募集も止まっておる。」
    「今来られても困りますしねー。」
    「そうじゃ。 炎が再燃する事は避けたい、というのは全員が一致しとる。
     おそらくこのまま、あんたが永代主になるじゃろう。」

    その言葉にアッシュは慌てた。
    「ちょちょちょっと待ってくださいよー、私、隠居なしですかー?」
    「このまま行けば、この館にとってはそれが一番好ましい事じゃろ。」

    「はあ・・・、そうですよねー。」
    アッシュは背もたれにドカッともたれて、溜め息を付いた。

    「私もあなたみたいな余生を送りたかったんですけど
     今死ぬか、来月死ぬか、みたいな時期に比べたらマシですもんねー。
     ちょっと安定が見えてきて、気が緩んでいたみたいですねー。」
    天井を仰ぐアッシュに、ジジイが感心するように言った。
    「あんた、見かけによらずストイックなとこがあるんじゃよな。」

    アッシュがニタリと笑う。
    「じゃなかったら、教祖様なんてやってられませんよー。」
    「おぬしも悪よのお。」
    「そなたもなー。」

    ふたりでいかにも悪人ヅラをして、フォッフォッフォと笑った。
    本気か冗談かわからない、ふたりの掛け合いである。

    続く。

    関連記事: ジャンル・やかた 37 09.12.16
          ジャンル・やかた 39 09.12.22

  • 子ども手当て

    少子化に歯止めをかけよう、という政策らしいが
    日本と事情の異なる外国で、これが上手くいったから
    うちも取り入れよう、という安易な考えにしか思えない。

    少子化の一番の鍵は誰だ?
    産めるけど産まない女性だろう。
    この産まない女性たちの中でも、更に一部の
    “経済的理由” で産まない女性たちにしか、これは有効ではないよな。

    それも、扶養者税控除などをやめて、月2万5千円の至急
    しかも中学生以下の子供に限っている。

    国家に必要なのは誰だ?
    マトモな納税者だろう?
    子供をマトモに育て上げるマトモな親なら
    この政策に危機感を抱くと思うんだが。

    今の日本に一番必要なのは、安心感である。
    国家に対して個人が望むのは、生活の保証だと思う。

    中途半端に欧米の個人主義が入ってきて
    日本特有の “家” 制度が崩れてきた今
    老後を子供に頼る事も出来なさそう
    と言うか、今の自分たちも親の面倒などみられない
    そんな自分たちが、我が子に老後の面倒を押し付けられるはずがない。

    このように、老人に対する尊敬の念がなくなったと同時に
    子供を持つ価値も薄れてきてしまったのが現状である。
    少子化問題は、裏を返せば高齢化社会への政府の対応のまずさに
    端を発しているような気がする。

    政府が今すべきは、老人の保護だと思う。
    人の本音は、未来の自分が苦労する事は避けたいからだ。
    自分が産む子供を優遇されても、自分が無碍にされるのでは意味がない。
    特にこういう狭間にいる人々は
    自分が何のために生きているのか、という結果にしたくない。
    その不安を取り除いてやらないと、子供を産む気にならないと思う。

    どうしても子ども手当てを出したいのなら
    それは現在の親に現金を支給するのではなく
    老後の年金を、子供の数に応じて増やす制度にするべきだと思う。

    子供に正しいしつけをしたり、教育を施すのは
    未来を見ているマトモな感覚の親である。
    その場しのぎしか考えない親が、ロクでもない育児をして
    育った子供が、ちゃんとした納税者になるとは思えない。
    先を読む知恵を持った親こそ、優遇すべきなのだ。

    子供がどう育つのか、など予想は出来ないけど
    そこを突っ込むのは、キレイ事だと思う。
    私の周囲では、トンビは鷹を産んではいない。
    そんな奇跡の特例話を一般に当てはめないでもらいたい。
    やはり蛙の子は蛙でしかない。

    一番良いのは、安心して迎えられる老後を保証する事だ。
    そのためだったら、今苦労する甲斐があるというもの。
    だから年金に加算する方法が良いと思う。
    これなら受け取れない人もいるだろうし、国庫にも優しいんじゃないのか?

    この子ども手当て、何でこうゴリ押しするんかな、と不思議だったが
    どうやら総支給額の3分の1ぐらいは
    パチンコに使われる算段だ、という話もある。
    某民族団体と深い関係の民主党にとっては
    どう転んでも痛みがない良い方法だという事か、なるほど。

    じゃあ、どうしても今、現金を支給しないと気が済まないのなら
    せめて日本国籍を持つ子供に限定してもらいたい。
    所得制限も、きちんと働いて納税している親に絞ってもらいたい。
    それが “平等” ってものだ。

  • ジャンル・やかた 37

    「皆さん、こんにちはー。
     今日は雨が降っていますねー。」

    アッシュは講堂で、習慣になった昼の演説をしていた。
    住人の前で初めてシュプレッヒコールを上げたのは
    2年前の主交代の式典の時で、玄関ホールに急遽作られた壇上だった。

    あの時住人たちは、疑問を投げつけられた気分になって
    全員が神妙な面持ちで、式典は終わった。

    その時から毎日昼1時になると、こうやって壇上に立って話す。
    夜勤の仕事の人もいるので、一番無難なこの時間を選んだ。
    アッシュの話はスピーカーで館敷地内全域に流れるのだが
    講堂に来て聞く者も多い。

    有名な逸話や自分の経験談を、面白おかしく語りつつも
    倫理観を練り込んでいるので、毎日聞いていると
    自然にその方向に思考が流れるようになる。
    地味で気長な洗脳である。

    2年前のあの日から、館の大改革が始まった。
    まずは、館の大掃除を命じた。
    “清潔な環境が清らかな心を育む” というスローガンでだが
    単にアッシュが潔癖症なだけだった。

    館を覆い尽くしていたガラクタは、分別され
    売れる物はすべてネットオークションに出した。
    骨董的価値があるものも多かったので、意外な収入になり
    その売り上げで、館の改修工事の費用の一部を捻出できた。

    この作業はゆうに1年以上掛かったが
    ヒマがあったら掃除に明け暮れた住人たちは
    美しくなっていく館に自分を投影し、味わった事のない達成感を得た。
    アッシュは、それを褒めて褒めて褒めまくった。

    同時にリリーの香水使いも終わった。
    「ゴミの臭いが移ったまま、外を出歩きたくなかったんです。」
    リリーは、ゴミ臭より香害を選んでいたのだった。

    情報は制限しても入ってくるものだし、自分で選んだつもりになってもらおう
    そう思って、パソコンルームも完備した。
    携帯のアンテナも設置し、電話線も引いた。
    門もドアも図書室も開放した。
    住人全員を収容できる講堂も館の西側に新たに作った。
    玄関ホールの奥から渡り廊下を通って行ける。

    自分がどこに所属しているのか、自覚を持たせるために
    全員にキレイな色の制服を支給した。
    農業は緑、工業は青、食系は黄色、清掃はオレンジ、事務は黒
    といったように、各職、色を取り揃えた。

    外装と玄関ホールは伝統を守るために、古いつくりのままにしたが
    公共の部屋は幸福感を感じるように、ポップなインテリアにし
    植物をいたるところに配置し、館の周囲にも花壇を作った。

    これらの設計や配置は、住人たちの希望を取り上げ作業をさせた。
    自分たちで作り上げた、という錯覚によって
    館の維持に、義務と責任を持たせるためである。

    あー、妙な宗教や詐欺の本を読みまくっといて良かったー
    まさかそのいらん好奇心が役立つ日がこようとは
    ほんと知識にムダは何ひとつないよな。

    アッシュは自分の言動に正義など、ひとつも感じてはいなかった。
    平和 = 正義 だと思えるヤツは、最初から平和の中にいるんだよ
    平和を目指そうとしたら、どっかで手を汚さなきゃならない。
    そういう汚れた環境だからこそ、平和を目指そうと思うんだし。

    相続の最中から、この考えにブレはなかった。
    揺らいで迷って自分を責めて生きてきたアッシュが
    ブレないなど、そこがもう本来の自分ではないのだが
    そんな事に目を向けると、感情ですべてが崩れ落ちるので、しない。
    アッシュの “腹をくくる” とは、そういう事を意味していたのである。

    この強気がいつまで続くかわからんけど、とにかく出来るだけ突っ走らねば
    アッシュには、脳内チキンレース真っ最中な日々だった。

    続く。

    関連記事: ジャンル・やかた 36 09.12.14
          ジャンル・やかた 38 09.12.18