投稿者: あしゅ

  • 浮上方法

    夕べさ、グラスを割ったんだ。
    10年ぐらい愛用してたやつで、すんげえ気に入ってたやつを。
    多分、探しても同じのはないと思うし
    あったとしても値段が高いんで、今の身分じゃ買えないんだな。

    ほんと、何でこう気に入ったやつ
    しかも高価なのばかり、率先して割れるんだよ?

    それが割れた時に、何かもう気分は暗転後
    バッハのあの有名な、チャララ~~~ン♪ って曲だったんだけど
    とりあえず飯が冷めるんで、そういう表現をしとる暇はない。
    さっさと食わんと、と事務的に行動した。

    ところが飯を食ってる内に、どんどん悲しくなってきてさ。
    動揺した時って、動いたらいかんな。
    普段ショックな事があった時は
    ひたすらゲームをするか、雑誌を読むかで
    それが上の空だったとしても、刺激にはならんから
    表向きだけでも、何とか平常心を保てる。

    でも、“飯を食う” ってのは、生きるための行為だから
    頑張ってる気分になるんかも知れんのか
    もう、飯を食いながら号泣。

    泣くか食うか、どっちかにした方が良いんだろうけど
    そういう余裕すらないんだ。
    グラス破壊瞬間に、いきなり食欲が落ちてしもうたが
    腹は空っぽだし、病後なんで体力もつけにゃいかん。
    感情より栄養優先だろうー。
    まあ、こういう心理状態で食ったものが消化されるんかわからんけど。

    にしても、たかがグラス1個だぜ?
    私、何をしとるんやら、と号泣食いしながらも
    冷静に呆れている、もうひとりの自分がいたぞ。

    そんで今日、夕べの己の見苦しい所業を思い出すと
    普通なら失笑もんなのに、またもや泣けてくるんだ。
    泣いてた自分が可哀想に思えてさ。

    ああ、そうか、病後ウツだな、と思った。
    グラス1個で泣くのも、それを思い出して泣くのも
    私的には、普通ならありえん。

    これはヤバい。
    今の私なら、歯磨きがなくなっても号泣しかねん。
    (まだ出るまだ出る、とチューブを絞りまくってる最中でさ。)
    ちょっとした事で、心をグリグリえぐられる状況に陥っているようだ。
    これを書いててもウルウルしてるし。

    こういう時はどうすれば良いのか、長年の経験上わかっている。
    私のパターンとしては、通常時はかなりのローテンションだけど
    ちゃんと喜怒哀楽は感じる事ができる。
    普段はその波が、えらい低いところで上下しとるんだが
    それが一定ラインを超えると、その感情が癖になるんだ。

    今は、悲しいモードに突入しとる。
    これを打ち消すには、別のモードに切り替えれば良い。

    一番手っ取り早くて激しいのは、怒りモードなんで
    政治ニュースでも見れば済むんだが
    悲しいモードで、胃も調子が悪くなってるんで
    これ以上、体に障る事はしたくない。

    よって、楽しい系にしようと思う。
    笑いが理想的なのだが、私の笑いのツボは自分でもよくわからんので
    ホラー映画を観よう。 そして恐いモードに入るわけだ。

    いつもいつも恐い系に頼っていて、アホかと思われそうだが
    これ、ものすげえ便利なんだぞ。
    自宅の風呂場に長い髪の女性がいるかも知れん、と思ってみい
    食器の1個や2個どころか10個20個でも、どうでも良くなるだろ。

    恐怖で眠れない、恐くて家に帰りたくない等
    もっと他の弊害が出るかも知れんが
    本当に切羽詰って恐くなった時は
    出るんなら出て来い、こらあ! 出てきたら家賃請求したる!
    と、逆切れすれば良いわけで、それで怒りモードに移行できるし
    この方法なら、どう転んでも目出度い、と思うんだがな。

    何か、色んな事をナメてるようで申し訳ない気もするが
    自分の人生もナメていられないんで、どっちかをナメにゃならん場合
    迷わず、我が人生以外のものをナメてかかる事を選ぶぜ。

    これでどうにかやり過ごせているのも、我ながら不思議で
    もっと良い方法があるなら、と探しているんだが
    今のところ私には、これが人様に迷惑をかけない最良の手段なのだ。

  • 東国原知事の追い込み

    自民党の古賀議員が、宮崎県の東国原知事をスカウトに行った。
    返ってきた答は、「総裁候補という事なら」。

    「どうした天狗になってるんだ!」 と、非難の嵐だが
    私には、これは当然の答だと思える。

    正味な話、知事など誰がやったって、そう変わりはない。
    知事の知り合いの業者が優遇されるだけの話である。
    市井の民には、ゴミを収集する会社がA社だろうがB社だろうが
    何の影響もないのである。

    しかし東国原知事は、その知名度と話術と情熱で
    “他に代わりがいない” 知事になってしまった。
    タレント政治家だと言うが、ある日突然議員になる人も多い中
    政治学を勉強した東国原知事の方が、よっぽどプロである。

    誰もが失笑して見ていたはずの “素人” 知事が
    あれだけの実績を積んだのだから、認めざるを得ない。
    東国原知事は、結果を出せた政治家なのだ。

    不満を持つ者もいるだろうが
    かつての宮崎県知事は、権力集中にばかり熱心だった。
    そのツケのひとつが、県北部の交通網の不具合である。
    あの陸の孤島っぷりは、その後に誰が知事になろうが似たようなものだ。

    他の何を改善、解決できていなくても
    県の名と特産品を、全国レベルに押し上げたセールスをしたのだから
    それだけで現知事には、ものすごい賞賛を与えるべきだと思う。
    過去知事たちは、改善もせんは、宣伝もせんは、だったんだから。

    その政治家を、国政の場に “普通” に迎えたいと言う。
    結果を出せずに苦しんでいる歳だけ取ってるヤツらに
    結果を出した若造を仲間に入れる、って事は
    年功序列の輪に組み込むだけの話。

    しがらみ、慣習から抜け出せないからこその
    “今まで通り” であって、それを壊して実績を作った者を
    自分たちの流儀で迎え入れよう、など笑止千万。
    名前と人気だけ取り込もう、というのが見え見えである。

    政治改革にやる気がある者なら、旧態依然の自民党に
    通常の手順を踏んで入る事はしない。
    東国原知事が成功できたのも、いきなりトップとしてやったからで
    組織の一員としての立場だったら、無理だっただろう。
    何かを変えようとするなら、トップにならないと出来ないのである。

    東国原知事は、自分の価値をわかっている。
    だからこその総裁候補要請である。
    地方政治が、国政に阻まれて挫折してきた事を
    総理になれば実現できる、という目論見もある。
    本当にこんなチャンスは他にないのである。

    まあ、日本人の感情としては、自分の価値をわかってて口にするヤツは
    それが事実であっても嫌われるので、この場合、側近たちが
    「知事を国に出すのであれば、長としてお迎えいただきたい」
    ぐらい言って、知事本人は 「いやいや私なんて、まだまだで」
    と謙遜しつつ、ちゃっかりのさばる、というのがベストではあったが
    そんな回りくどいやり取りもまた、慣習なので省いたのかもな。

    オバマ大統領ぐらいの話題性のある党首がいないと、政権交代は無理
    と、以前に民主党に対して書いたが、それは今の自民党も同じである。
    誰かに頼らないと倒れる恐れがあるのに
    プライドだけは守ろうとするのが、一番タチが悪い。

    民主党に取られない内に、さっさとあっちこっちの有望人材を
    破格の待遇でスカウトした方が良いと思うがな。
    今のおめえらじゃダメだ、と結論が出ているのを直視してさ。

  • もう今回の病気は、ほんと死にたくなった。
    高熱とリンパの激痛が2週間も続けば
    そりゃ気力も削がれて、死にたくもなるさ。

    ちなみに、死にたくなるほどの病状はどんなだったかっちゅうと
    辛さの大きさより、時間がダメージだった。
    ものすげえ辛いのは数日ならば、何とか耐えられる。
    だけど微妙な辛さでも、10日ぐらい続くと精神的にキツくなる。

    今回の病気は、命に別状がない事はわかっているし、慣れてもいる程度。
    ただ長期戦になったんで、途中で嫌気が刺しただけの話だ。
    あの状態で公園で野宿してても、死なないと思う。

    自分の価値やら、生きてる意味やら、見えない未来やら
    そんな事をグルグル考えてしまい
    おまけに、もんのすごくマイナス思考になっただけの話。

    体が元気になってきたら、「くだらん!」 のひとことで
    済ませられる、この落差も、とても不思議である。

    結局、精神にまでダメージが行くと
    自分でもありえない考えをしてしまうんだろうな。
    病気中はメンタルケアが必須だ、と改めて知った闘病だった。

    で、真剣に死にたいなんて、滅多にない良い機会なんで
    うなされながら、命について冷静に考察してみた。

    死にたいとは思うものの、死のうとは思わない。
    これは何故か?
    何かよくわからんけど、本能的に自殺はヤバい、という気がする。

    こうやって病気をした時にわかるんだが
    自分の心は自分のものだと思えるんだけど
    自分の体は、どうしても自分のものだと思えないんだよな。
    自分の意思でどうこう出来ない、っちゅうか。

    何故、自殺がヤバいと思うのかと言うと
    その “自分のものでない体” を破損するからだと思う。
    ファンタジーな話になってくるが
    この世に生まれる前に、何かを契約してる気がするんだ。
    それを脳にインプットされているから
    契約破棄になるような事はヤバい、と感じるんじゃないだろうか。

    ボーリング場に行くと、無条件でシューズをレンタルせにゃならん。
    あれと同じで、「地球で生きるなら、この体ね。」 と
    どっかからレンタルしたんじゃないか?

    そんで、その “どっか” は、十一、十三よりやっかいなとこで
    借りたものに傷を付けようものなら、どんな目に遭わされる事やら
    どんなに辛くても、契約終了まで耐えた方がマシ、みたいな。
    中にはマイシューズ持参もいるだろうけど
    そういう人々は、“恵まれた” 属性に入ってるんじゃないだろうか。

    私が死なないのは、契約であって
    やっかいなところに白紙委任状を出したも同然な気がしてならない。

    こう考えると、命ってのは体に心が入った時点で
    発生するものなのかも知れない。

  • ジャンル・やかた 3

    「あんたはここで寝泊りしな。 グレーもここにいたんだよ。」
    ローズは天井のライトを点けた。
    「こっちがバストイレ、お茶はこのコンロで。 飯は食堂で。」

    部屋はイメージ的には、こげ茶色の書斎、って感じ。
    天井まで5mぐらいの高さがあり
    その中ほどぐらいまで、荷物が積み上げられている。
    机、椅子、テーブル、ソファー、ベッド、タンス大小4つ
    と、一通りの家具は揃っていた。
    机の上にはパソコンも置かれている。

    リュックとボストンバッグに、ショルダーバッグを
    ベッドの上に置いた時に、ふと気付いた。
    よくこの荷物を持っていたな、と。
    忘れてきても無理ない状況だったのに
    やっぱ私ってしっかりしてるよな、とフフッと笑った。

    それをしっかり目撃したローズは、ゾッとした。
    アッシュの言葉や仕草、反応、そのことごとくが
    ローズには理解できなかったからである。
    最初に見た時には、いかにも頭の弱そうなお嬢ちゃんだと感じたのに
    外国人だからだろうか? と、ローズは首をひねった。

    ソファーにどっかりと腰を下ろしたアッシュが
    いかにも知的そうなそぶりで訊ねる。
    「で、鎌・・・ローズさん
     私はどういう立場に置かれているんでしょうー?」

    「あんた、さっきっから、鎌って言ってるよね? 鎌って何なの?」
    「・・・鎌・・・」
    アッシュはローズの右手に握られた鎌を指差した。

    「あ? ああ、これは草刈り用だよ、失礼だね!
     私の武器はこっちだよ。」
    ローズはスカートの背にはさんであった大鋏を取り出した。
    アッシュは果てしなく引き潮に乗った。

    「クロックタワーのハサミ男ー?
     もしかしてこっちが悪役とか言う設定なんですかー?」
    「あんたの言う事がほとんどわかんないんだけど?」
    イラ立つローズに、アッシュは謝った。
    「今のはゲームの話なんですー。
     すいません、いつもはこうじゃないんですけど
     何かもう、パニくっちゃってー。」

    「まあ、それなら無理もないよ。
     いいさ、ちょっとぐらいわけのわからない言動をしたって。
     泣き喚かれ続けられるより、よっぽどマシだしね。」
    ローズはちょっと安心した。
    ホラーだのゲームだの、こいつは多分フリークというやつなんだろう。

    「あんたの訊きたい事はわかる。
     あんたは兄から、この館の相続権を譲り受けようとしてるんだ。
     それを受けるには、この館のどっかの部屋に行って
     館の主に会わなきゃいけない。」
    「アドベンチャーだったんですかー・・・。
     さっきの通り魔は何なんですかー?」
    「この館に何人の人がいるのか、正確にはわからない。
     でも、いるのは、あんたにとって3種類。
     敵、味方、どっちでもないヤツ。
     さっきのは通り魔じゃなくて、敵。 はっきり目的を持った敵。
     あんたを阻止しようとしてるのさ。」

    ありがちだな、とアッシュは思った。
    おそらく、ローズは自分の守護者なのであろう。
    「で、あなたは味方なんですねー?」
    「よくわかってるじゃないか。
     私は本来なら今回は違うはずだけど、あんたの兄さんに頼まれてね。
     しょうがないから、あんたを守って手助けしてやるよ。」

    「でも、その “阻止” とか、“手助け” とか、殺人ですよねー?
     さっきひとり死んでましたよねー?
     それ、普通なら罰せられると思うんですがー。」
    「あんた、ホラー好きならわかるだろ。 ここは治外法権なのさ。
     誰が死のうと、逮捕も裁判もないよ。」
    鼻で笑うローズに、アッシュがつぶやいた。
    「でも、罪悪感はー・・・?」

    ローズはいきり立った。
    「そういうセリフは、生きてここを出られた時にぬかすんだね!
     罪悪感がイヤなら、無抵抗で死ぬがいいさ。
     あんたが死ねば、私もこの役目から解放されるってもんだ。
     代わりに戦ってやろうと言ってる人間に対して
     何もしないあんたが何を責められるっていうんだよ
     そういうのを口先だけのキレイ事って言うんだよ
     私を怒らせたら困るのはあんただよ! わきまえな!!」

    うわっ、自称世界の警察国家理論!
    アッシュはそう思ったが、これ以上逆らうのは確かに得策ではない。
    多分、クリアせずにこの館を出る事は出来ない。
    何かもう、この上なく理不尽な巻き込まれ方をしているようだが
    明らかに自分の道は、生き残るか死ぬかの2つしかないのだ。
    ・・・緊急避難・・・に、適用されるよね・・・?
    プラス、脅迫、強要、この両方でいけるかも知れない。

    生と死の狭間にあっても、法的処遇がまず頭に浮かぶ自分は
    近代国家に暮らす真っ当な国民だな、と誇らしくもあって
    再び知らず知らずに口元が緩んでいた。
    やはり、あまりの出来事にちょっとどっかが壊れたのかも知れない。

    こっちが激怒したっていうのに、よそを向いてニタニタ笑うアッシュに
    嫌悪感を感じ、一刻も早くその場を立ち去りたくなったローズは言った。
    「とにかく今日はもう、休むんだね。
     飯は食堂にあるよ、ここに居住区の見取り図が貼ってあるから。
     私は食堂か自分の部屋にいる。 用が出来たら声を掛けな。」

    「あ、はい、どうもお世話になりましたー。」
    アッシュは深々と頭を下げたが、それを見てローズは
    益々、ヘンなヤツだとしか思えなかった。

    ローズが部屋を出て行った後、アッシュはバッグを開けた。
    携帯電話を取り出し電波を確かめたが、やはり圏外である。
    ボストンバッグの方から充電器を出し、コンセントを探したら
    机の下にタコ足気味なのが転がっていたので、それに差し込んだ。

    次に、タンスの扉と引き出しを全部開ける。
    こういのは下から下から、と、どこまでも遊び半分に見えるが
    アッシュはアッシュなりに真面目なのだ。

    タンスには、多数の男物の衣類が入っていた。
    その中に、見覚えのあるセーターが入っていた。
    これ、多分お兄ちゃんのだ・・・。

    何かというと、ウンチクをたれるヤツで
    このセーターの時は、確かアルパカの産地について何か言っていた。
    聞き流したので、キレイさっぱり覚えていないのが
    兄不孝をしたような気がして、ちょっと落ち込む。

    その兄が死んだという知らせは、今でも信じられずにいた。
    両親が他界してから、しばらく連絡が取れてはいたのだが
    いつの間にか音信不通になり、気が付くと連絡不能になってしまい
    元々地に足のついていないヤツだったし
    どっかで浮浪者でもやっているんだろう、と諦めてはいたのに
    まさか訃報が届くとは、そこまで想像はしていなかったのだ。

    それが本当なら、私は天涯孤独になっちゃったんだよな・・・
    ちょっとウルウルときそうになり、慌ててその感情を打ち消す。
    いや、死ぬのを見ていないのなら、死んだと認識しなくて良い!
    今も兄はどっかでフラフラやっている、と思おう。

    今はとにかく、感情より現実!
    少しでも多くの情報を集めなければ。
    アッシュは、パソコンの電源を入れた。

    続く。

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          ジャンル・やかた 4 09.7.2

  • 病後の後遺症

    やっと体の調子が戻った。
    1ヶ月ほど寝込んでしまうなど、何年ぶりだっただろうか。

    さすがに体力がゴッソリ落ちてしもうて
    それは当然の事なんで、別に驚きはしないんだが
    参るのが、やる気が出ない事。

    普通さ、病気が治ってくると、ソワソワと片付けとか
    意味もなく動きたくなってくるじゃん。
    まだ寝てなければいけないのに。
    それが今回はなくて、体調が元に戻っても動きたくないのだ。
    もう、どこまで心身ともにやられてんだよ、って感じで
    ちょいウツ気味なのである。

    誤解を避けるために、説明するが
    ウツと言っても、私が言うのは本当のウツではなく
    気分が沈んで落ち込みが続く、程度のものである。
    何もやる気が出ない、ってだけの、たまにある状態。

    まあ、これもウツの初期症状なのかも知れないので
    この状態が1ヶ月ぐらい続いている人は
    速やかに病院に行って治療をする事をお勧めする。
    ちょっと時間は掛かるだろうけど、必ず治るから心配すな。

    ウツは誰でもなる病気だと言われているけど、そうじゃない。
    真面目できちんとした良いヤツほど、なりやすいと思う。
    (何故か私はウツ診断は下されなかったが・・・)

    私の場合のウツ (偽) 状態の判断基準は、メイクである。
     絶好調  → マニキュアまできっちりと全身スキなし
     好調   → 気合入れまくり厚化粧
     普通   → 普通の化粧 (実は一番バランスが良い)
     やや不調 → 最低限の身だしなみ程度
     不調   → 日焼け止めとベビーパウダーのみ
     絶不調  → すっぴん帽子マスクにサングラスの犯罪者コスプレ
     ウツ(偽)→ すっぴん もう隠す気にもならない
    実践では、こういう分類である。

    絶好調から絶不調の通常の日々の習慣では
    美容雑誌を読んでは、メイク法の脳内シミュレーションをしたり
    欲しいコスメをリストアップしては、財布といがみ合ったりするのだが
    ウツ (偽) ゾーンに入ると、美容雑誌すら読む気がしなくなる。

    化粧品に萌えない私は、生ける屍も同然なので
    もちろん他の趣味もやる気がせず
    何だか時間が経つのが妙に遅く感じ、余計に辛い。

    これをどうやって打破するかというと
    今までの経験上は、裕福なら買い物に走り
    貧乏なら、TVゲームに助けてもらっていた。

    よって貧乏真っ最中な今回は、ゲーム頼りで
    めぼしいソフトをネットで注文してみたが
    これが中々来なくてイライラ、というストレスまで追加された。
    攻略本は購入済みで、インデックスまで貼って
    マーカー引いて予習までしとるっちゅうに
    何でさっさと送ってこないんだよーーーーーーーー!!!!!

    それはさておき、ここでひとつ大きな不安がある。
    若かりし頃はそりゃもう、徹夜続きでゲームに熱中していて
    始めたら、どのゲームも絶対にクリアする!
    という義務を己に課していたのだが
    歳を取って、何を根気をなくしとんのか
    途中で投げ出して積み上げてしまったゲームが多数あるのだ。

    もうゲームいっちょマトモにハマれないんじゃないだろうか
    そうなったら私の人生、砂を噛むような空しいものじゃん
    と、恐れているのだが、ゲームにそこまで支えられた人生っちゅうのも
    何かヒトとして大間違いじゃないかという気もしてならない。

    まあ、ウツ (偽) 期なんで、何をどう考察しても
    ロクでもねえマイナス思考にしかならないのだが
    このマイナス思考、ほんっと役立たずでしかない。

    同じマイナス呼ばわりとして、マイナスイオンでも出してくれりゃ
    お部屋の空気も清浄になるというに。
    マイナス思考って、何かものすげえエネルギーのムダ使いだと思う。

    エコじゃねえよな。
    エコじゃなくても良いんだけど、エコじゃないと罪悪感があるよな。
    時代に洗脳されてしまってるよな。

  • 胃と、“噛む”

    去年の食中毒以来、胃薬を処方され続けている。
    胃の調子が良いから、と飲むのを勝手に止めると
    しばらくしたら、また胃の調子が悪くなる。

    どういう症状なのかというと、多分、胸焼け?
    膨満感って言うんか?
    空気が詰まったように胃が張って、食後に吐き気がするんだ。
    これを放置すると、食物が喉を通らなくなる。
    食欲がないのではなく、飲み込めない、という感じ。

    過去に、吐き気には苦労させられたんで
    一生こうなんだろうか? と、割と絶望して
    主治医に 「胃薬が一生手放せないんですか?」 と泣きついた。

    普通、こういう泣きを入れられても困るだろうけど
    マイ主治医は、常に笑顔でとても人当たりが良いけど
    決して自分の意見は、人に否と言わせない圧迫感を持つ
    海千山千ジジイなので、そこは上手くあしらってくれるのである。

    主治医曰く、胃酸過多になっているから
    調子が良くても薬は飲め、と。
    老化でその内、胃も衰えて酸も出さんようになるから
    あと “数年” だけ我慢せえ、と。

    ・・・まあ、それならば良かった・・・。

    って、このクソジジイーーーーーーーーーっっっ!
    私が更年期更年期訴えても、「まだ早い」 と
    笑って取り合ってくれないくせに
    関係ないとこで何気にババア扱いしとるじゃねえかい。

    って感じだが、ヤリ手ジジイに逆らうスキルは持ち合わせてないので
    大人しくしておくよ。

    で、“噛む”。

    私はものすごく噛んで食うタイプであった。
    噛まないと唾液が出ず、胃に負担が掛かるそうな。

    なのによく噛んで食う習慣にも関わらず、胃は悪いままだったし
    よく噛んで食うと満腹感が出る、というダイエットの鉄則を聞いて
    確かにゆっくり食うより、急いで食った方が量が食える
    こりゃ太りたい私は、噛んでる場合じゃないかな、と思ったが
    これって、アホウ過ぎる考えだと自分でもわかったから
    実践しようとは思わなかった。

    ところが最近歳のせいか、あまり噛めなくなった。
    何を短気になっとんのか、悠長に飯を食う余裕がなくなったのだ。
    食っててイライラしてくる。
    ただでさえ義務で食っとんのに、それに余分な時間を取られたくない。

    その上に、喉や食道のどこがどう老化してるのかわからんが
    ガッつくと、ムセるは、飲み込めないは、食いこぼすは
    とても見苦しい事になってしまっている。

    こんなこっちゃ、上品な老婦人への道は険しく
    私の死因は絶対に、“喉にモチを詰まらせて” になるであろうから
    意識して、粛々と飲食に勤しんでいるのだが
    食事時間が苦痛でしょうがない。

    何でこうなったのか、さっぱりわからんが
    たまに一緒に食事をしたくないレベルの
    マナーの悪いお年寄りがいるだろ。
    このままじゃ私の未来形は、正にあれだと予想されるので
    狼に育てられた少女が、初めてフォークを持って食事をした時のごとく
    むっちゃくちゃ気を遣いながら
    ひとりテーブルマナー教室を繰り広げているので
    残念な味付けの飯が、より一層不味くてしょうがない。

    結論として、よく噛もうがガッつこうが
    胃の状態も体重の状態も、何ら変わらんので
    よく言われるこの2つの関連性は、私の体質には都市伝説で決定。

    というか、この2つはごく当然の事実だろう、とは思うが
    私的にはこれ以前に、もっと重要事項があるような気がする。
    だけど体調の足を引っ張らないように
    よく噛むのは、やはり大事であろう。

    余談だけど、てか、このブログ全部が余談でしかないんだけど
    そんな的確な突っ込みは聞きたくないんで受け流すけど
    歳を取ると、距離感とかが狂い始めるのがよくわかる。

    以前からコップを取ろうと突いてしまい
    キーボードをコーヒー牛乳まみれにしたりはしていたけど
    それがどんどんグレードアップしてくるんだよな。

    お皿を取ろうとチョップしたり、箸でお椀を引っ掛けたり
    もう食事風景が、どういう大惨事の真っ最中なんだ? って感じだよ。
    若けりゃ、これもドジっ子扱いで済んでいたろうにのお。

    出来る限り外食は避けているさ・・・。

  • 日本擁護

    私的怒りのツボというのが、何となくわかった。
    そんなに国のためにはなっていない、単なる平民だけど
    日本の事を悪く言われると、腹が立つようである。
    あまり愛国心などなかったはずなのに、自分でも不思議だが
    他の国にガタガタ言われるのに、いい加減嫌気が刺しているのだろう。

    特に経済大国とかの面で非難をされるのが、一番ピキッとくる。
    何故ならば、私の身近な人々で
    “適度” に仕事を出来ている人など、皆無だからである。

    「9時から5時 (17時) まで」 なんて、見た事がない。
    9時から20時21時、ヘタすると朝も8時から働く。
    毎日帰宅したら、風呂、飯、寝る、の繰り返し。
    日曜はグッタリで、余暇を楽しむ余裕がない。
    子供と遊ぶ時間が取れないから離婚、など、どこの世界の話だよ?
    うちの父親が私と遊んだ事など、数度しかないぞ。

    これは貧乏人も金持ちも変わらない。
    誰に言われずとも、空気を読んで歩き続ける。
    それをしないと、振い落とされる恐怖があるのである。

    こんなに自らにムチ打って働いている国民が多いのに
    何をしても、笑われる国ニッポン。
    ほんと日々のニュースにイライラする。
    ので、うっぷん晴らし。

    発展途上国とやらに言いたい。
    特に始まりの大地の西や中央や南にある国、
    おめえらんち、資源が豊富なのに
    その利を受け取っているのは、ほんの数人だろう。
    独裁を許してんじゃねえよ。

    そんなおめえらの国の富豪は、とんでもない大富豪だろう?
    国政がきちんとしてないから、表に出ないだけで
    おめえらんちの金持ち、日本にもいないケタ外れクラスなはずだぞ。

    日本は独裁だった時代はない。
    中央集権というのはあっても、必ず権力は複数あった。
    自我が未熟で、トップでも “みんな一緒” 意識が必ずあるから
    逆に言えば、突出した人物が育たず
    ひとりふたりが権力を握れる状況が作れないのだ。

    そして日本は税の徴収がしっかりしているから、あまり逃げられず
    だからこそ富の分配もなされている。
    資本主義とか言われるけど、福祉もロクにやっていないのに
    ここまで利益を分かちあっている国など、他にない。
    地球上で一番の共産国は、実は日本かも知れない。

    だからうちにあれこれ望む前に、自分ちのトップをどうにかせえ。
    ビル (ゲイツ) 以上の大金持ちが何人も隠れていると思うぞ。

    それからどこぞの伝統的特権階級意識国家、
    北斎返せ! 歌麿呂返せ! ついでにミイラも返してやれ!
    元首相が、日本人は働きアリとかぬかしやがったが
    移民を労働させといて、自分らは1ヶ月バカンスに行って
    働くヤツをあざ笑うって、しかも昆虫呼ばわりって、それ正義なのか?

    その口でどんな芸術を語ろうが、愛を歌おうが
    「名誉白人」 などと言ってる時点で、選民主義丸出しだろう。
    日本人は金で地位を買ってるわけじゃない。
    突進プログラムが組み込まれているだけなんだ。
    カラーズで結構、そんな評価などいらねえよ!

    最後に自称超大国。
    まず、そのムダにデカい車をどうにかせえ。
    “メガ” がつく食事量もちっと減らせ。
    日本の職場にドーナツは飛びかっとらん。

    この2つをしない内は、どんな話も聞く気にならねえ。
    “先進国としての責任” が同様にあるとしても
    どう見ても、この2つだけでも既におめえらの方が罪は重いぞ。
    何を地球の代表者ぶって、世界各国に首を突っ込んでるんだか。
    まず我が身を正せよ。

    そもそも “先進国” って何なんだよ? と思う。
    日本人は、ただきちんとしたいだけなんだ。
    毎日風呂に入れる環境になっても、多分おめえら入らんだろう?
    カツカツ掃除せんだろう?
    骨身を削ってまで、清潔で便利な暮らしを追求せんだろう?

    日本人は、全員一丸となって死の行進をする国民性なのだ。
    ペース配分を出来ずに、歩きながら倒れていくけど
    これを道化だと笑われたくない。
    エコノミックアニマルだと罵られたくない。
    それを否定されるのは、日本人のDNAの否定と同じだからである。

    私の知ってる日本人は、こうなんだ。
    これが正しいとは思わない。
    だけど、しょうがない。 それが自然体なのだから。

    あまり日本を追い詰めんでくれ。

  • 親子関係

    通常の状態なら、犬は犬の子を猫は猫の子を育てるわけだが
    人間だけは、自分と同種族の子を育てていないような気がする。

    トンビの親が鷹の子を育てながら
    うちの子は本当に良い子で、と喜ぶのは目出度いだけなのだが
    カバの親が豚の子に、何故おまえは泳げない?
    と言うようなのは悲劇である。
    この子は何でこれが出来ないのか、こういう風に育たないのか
    これを言い出すと、親も子も悩み苦しむだけになる。

    中には、白鳥の親が亀の子に向かって
    “私たち皆” には出来るんだから、あなたも出来るはず
    と、空を飛ばせようとして、転落死させるような事もある。

    比喩だらけで何が言いたいのか、わかりにくくなっとるが
    いくら自分の実の子でも、同種族という保証はない、って話。

    美しい親から産まれた醜い子供、賢い親から産まれた愚鈍な子供
    親は自分の子なのだから、自分の血を受け継いでいるはず
    美しいはず賢いはず器用なはず優しいはず強いはず
    そうやって、血の繋がりに呪いをかけてしまう。

    ここで一番恐ろしいのは、これに真の愛情が含まれるとこである。
    信じられないであろうが、どんな親にも無条件の愛が存在する。
    親の愛は、自己愛が混ざっていようが、歪んでいようが、本物なのだ。

    何が足りなくても何が出来なくても、親の愛に揺らぎはない。
    だからこそ、思い通りにならない子供を見て親は苦しむ。
    その姿を見て、子供も苦しむ。

    実は、愛とはそんなに正しい事でもないんだろうな。
    世の親を見ていて、そう思う。

    すべての親子関係がこうではないだろうが
    賢い父親と美しい母親の間に産まれた、バカでブサイクな子供は
    親の愛に縛られ続けるのである。

    真にバカだったんで、親の言う事を聞きはするけど
    理解出来なかったのが逆に幸いして
    愛のみで育ったつもりになっていたけど
    今になって思い返すと、親は悩んだんだろうな、と、とても申し訳ない。

    もし子供の頃に、この関係に気付いていたら
    違った性格になっていたかも知れない。
    良い方にか悪い方にかもわからんけど。

    親の存在は、一生消える事はない。
    たとえ親が死んでもだ。
    というか、死ねば死ぬほど強くなったりする。
    いや、何度も死ぬって意味じゃないが。

    いくら自立しても、親の呪縛に苦しみ続ける人もいる。
    親の思惑に気付いていた、賢くも愚かな子供である。
    そういう子供に、重要な事はほぼすっ飛ばして生きてきて
    最後のそのまた後になって、ようやくふと気付いた私が言いたい。

    親の期待はごく自然なものなのだ。
    親は我が子を同種族にしか見られない。
    愛で目が曇っているからだ。
    親の目は、ある意味腐っとるのさ。

    だから親の希望を気にする必要はない。
    親と同種族だったら、おめえにその望みは叶える事が出来ただろう。
    獅子に 「飛べ」 言っても無理だろ。
    気にせず、狩りでもしとけ。

    親の目は覚めない。
    覚める事が出来るのなら、託卵は不可能だから。
    子供を “神様の贈り物” とか言うのは、案外的を射てるかも。

     ミニ知識: 託卵 (たくらん)
    カッコウが有名。(てか、私はカッコウぐらいしか知らない。)

    カッコウは、他の種類の鳥の巣に卵を産む。
    親鳥がいない隙を狙って産みつけるのだ。

    こっから、ちょっと怪しい記憶なんで断言は出来ないけど
    カッコウのヒナは、よそんちの巣で孵化した後
    他のヒナたちを巣から蹴り落としたりして、次々に殺していくのだ。
    ちょっとしたホラーである。

    何故こういう事をするのかっちゅうと
    エサを独り占めして、自分だけ成長したいからで
    血縁もねえ他のヒナなど、知ったこっちゃないらしい。
    親が親なら、子も子である。

    その間、親鳥はカッコウの子が我が子ではないと気付かず
    しかもその他人の子に、実子たちが惨殺されてるのも知らず
    この不法侵入の連続殺人鬼に、せっせとエサを運び続けるのである。

    気付かないからこそ、幸せだという話かも。

    私たちはカッコウなのか?

  • ジャンル・やかた 2

    いきなりの “コレ” で、どう説明しようかねえ。

    振り向いたローズの目に映ったのは
    体育座りをして、うつむくアッシュだった。
    驚くローズにアッシュがつぶやく。
    「自分の殻に閉じこもって良いですかあー?」

    「えっと、あんたの反応、よくわかんないんだけど・・・。」
    どう扱っていいか困り果てたローズに、アッシュが畳み掛ける。

    「だって私、ホラーファンですもんー。
     何かもうよくわかりますもんー。
     ありがちですもんー、先、読めますもんー。
     何これ?何これ?言ってる間に、次々に周りが殺されていって
     運良くラスボスを倒せても、最後の最後に大どんでん返しになって
     『キャアアア』 とかなって、エンドロールでしょうよー。」

    言いながら、自分がとても不憫に思えてきて
    涙が溢れてくるのみならず、鼻水まで滝落ちし始め
    “涙ながらに訴える” にしては、同情しかねる汚い事になりつつも
    気持ちがどんどんエスカレートしていき、しゃくり上げながら続けた。

    「私が主人公って限らないじゃないですかー
     脇役だったら、シャワーを浴びただけで殺されるじゃないですかー
     風呂にも入れず、わけもわからんと、ただ殺されるなんて
     リアルであって良いんですかあー?」

    もう、ここでローズの方こそ、意味がわからなくなっていたが
    エキサイトしたアッシュは構わず叫び続ける。
    「大体、あなただって味方だとは限らないじゃないですかあー?
     安心させといて、ラストで鬼のような顔で振り向く、とか
     すげー危なくないですかー?」

    こういう時の女性は、自分でも何を言ってるのかわかっていない。
    アッシュもそのせいで、後のフォローが大変な人生なのだが
    今回はさすがに自分を全解放しても、しょうがない事態ではある。

    ローズがアッシュを、異質なものでも見るような目をして見つめていて
    アッシュもそれを感じ取っていた時に、声がした。

    「おいおい、ローズ、大変そうだな。
     今回はキチガイのお守りかい。」

    その言葉が耳に入り、脳がその意味を理解できた時
    アッシュはこめかみあたりで、ピチッと音が鳴った気がした。

    「ああああああああああああああああああああああーーーーーーーーー」
    叫びながら、アッシュは声の元に突進して行った。
    いつ手にしたかわからない棒状のものを相手に振り下ろす。

    手の平と肘に、衝撃とともに鈍い痛みが走ったが
    叫び声を上げながら、何度も何度も棒を振り下ろした。
    「あーっ! あーっ! あーっ! あーっ!」

    それは正に、人が狂気の底に陥った瞬間で
    見ている人には身震いするほどのおぞましさがあった。

    だがそんな状態になりながらも、自力で我に返る事が出来るアッシュは
    ある意味、冷静さを失わない種類の人間である。

    しかし、目の前に横たわる小柄な男性の血まみれの顔面を見て
    再びパニックを起こした。
    「やってもたーーー! やってもたーーー!」

    今まで交通違反も犯さず、真面目に生きてきて
    むしろ善人系統だったのに、いきなり殺人者に転落かよ!

    抱えた頭を前後に激しく振るアッシュの姿は
    どっかの部族の儀式の踊りのように見えて
    ローズは言葉すら出ないほど、呆気に取られた。

    が、アッシュの脳内では、そんな事はお構いなしに
    グルグルと計算が働いていた。

    いや、これは突発的な危機回避であって
    凶器もそこらへんにあった物だし、殺意はなかったと
    凶器、凶器、あっ、何かあるはず!
    アッシュは倒れている男を見る。
    手には、釘が何本も貫かれた角材が握られている。

    これ! これは死ぬよね! 計画的な殺意ありとかだよね!
    正当防衛だよね! でも殺しちゃったら過剰防衛になるわけ?
    でもこの状況じゃしょうがないよね! 茫然自失だよね!
    あっ、あっ、あれ! あれ! あれだよね!

    ガッと立ち上がって、ローズの方をグルッと見て叫ぶ。
    「心神喪失だよね!!!」

    よしっ、これで過失致死可能!
    前科もないし、もしかしたら執行猶予が付くかも知れんし
    最高で責任能力なし無罪、もしくは精神の治療か何かで済むかも!!!

    ローズの方が、遥かに動揺していた。
    通常とはかけ離れた言動をするこいつに、どう対応すれば良いのか?
    今すぐにでも白旗を揚げたかったっが、それは出来ない決まりで
    何より失態が続けば評価が落ち、ここで生きにくくなる。

    「と、とにかく、住居フロアに行くよ、あそこなら安全だし。
     とりあえず、ここは人目が多すぎるからマズい。」
    「はあ? 人目ーーーーーーー? 何だよそれ
     私には人の視線なんてわからないんだよっ!」
    「視線じゃなくて、実際に見てるから!」

    アッシュが吹き抜け上部を見回すと
    2階や3階のフロアの手摺りから、男女合わせて20人ぐらいが
    こっちを見下ろしている姿があった。
    「ああっ! マズい、目撃者があんなにーーーーーーっっっ!」
    「だから、さっさと行くよ!」

    アッシュの腕を掴んで、ズンズン歩くローズにアッシュが叫ぶ。
    「死体はー? 死体遺棄まで付いたら困るーーーーーっ!」
    「向こうの死体は片付け屋が来るし
     あんたのやった方は誰かが手当てするから!」
    吐き捨てるようなローズの答に、アッシュが腕を振りほどき
    倒れた男の元に駆け寄って、手の脈を取った。
    が、どこが脈かよくわからないので、口に手をあてたら呼吸をしている。

    「やったー! ラッキー! 生きてる! 生きてるよ!
     過失傷害ゲーーーーーーット!!!」
    いいから! と、ローズが再びアッシュの腕を掴む。

    見物していた人々の反応は様々だった。
    「ヘンなヤツが来ちゃったねえ。」
    「特例だしな。 にしては異質だがな。」
    「ありゃあ大変だー、ローズも苦労続きで気の毒に。」
    「ローズ、良い気味さ。」
    「なあに、すぐ終わる。」

    小走りに急ぐローズに手を引かれ、階段を上り廊下を行く内に
    過失傷害に浮かれた頭もだんだん冷め、周囲がよく見えてきた。

    長い廊下は、各部屋のドア部分と窓、それに中央に出来た獣道以外は
    まるで雪国の道路の雪かきのように、ゴミが脇に積み上げられている。
    家具や調度品、布、箱、紙、何だろう、金属の部品のようなもの。

    玄関ホールも、階段もそうだった。 この館全部がこうなのか。
    これだけの荷物を、一体どこから集めてきたのか。
    恐らく臭いも、ものすごいはずだが
    パニックが続いてる時に鼻が慣れてしまったのか、よくわからない。

    と言うか、私は一体何をしているんだろう?
    そう気付いた途端、アッシュの心は急速冷凍された。

    「あの、鎌・・・ローズさん、今どういう状況なんでしょうー?」
    「? 今、安全な場所に急いでいる最中さ。」
    「私は何も教えてもらえず犬死にですかー?」
    「犬死に・・・、あんた結構、把握できてるんだね。
     それだけでも随分安心できるよ。
     心配しなくても、あたしの知っている事は教えるから
     とにかく今は居住区域に急ごう。
     あそこは安全だから襲われる事はない。」

    ローズの言葉の端々から、ここでは規律が存在するんだ
    と、アッシュにはわかった。
    無秩序ほど恐いものはない、という事をアッシュが知っているのは
    ひとえにホラー好きだからである。

    奥が深いようで浅いアッシュ、どうなる?

    続く。

    関連記事: ジャンル・やかた 1 09.6.15
          ジャンル・やかた 3 09.6.25    

  • 爪が伸びる速度

    爪が弱い私だが、伸びる速度は普通だと思う。
    爪が伸びる速度って、時々変わらんか?

    何故これに気付くか、というと
    “爪が弱い人は、爪切りを使ってはいけない”
    という美容の鉄則があって、それに従って爪ヤスリを使っているからだ。

    この爪ヤスリっちゅうのがな、すんげえ面倒くせえんだ。
    ガラス製にしてからは、削りが良いので時間短縮になったんだけど
    それでも両手の10個の爪をカシカシカシカシ削って、形を整えて
    というのは、とてつもなく根気のいる作業なのだ。

    足の爪ももちろん弱いのだが
    足にまでそんな事をやっとられるかい!
    と、爪切りでバシバシ切っている。
    一瞬で終わる爪切り、とても爽快である。

    そもそも手の爪も、爪ヤスリで削って10年以上だが
    弱さに何の変化もない。
    爪ヤスリ、また美容の嘘じゃねえのか?

    それほど面倒くせえので、爪チェックをしきりにするのだが
    時々、爪の伸びがやたら早い時がある。
    どういう状況でそうなるのかがわからなかったのだが
    病気をして判明した。

    リンパ腫らし、百日咳、風邪の類、と患って
    1ヶ月ぐらい、in布団生活だった。
    微熱続きの時など、寝てても眠れず、かと言って起きれず
    もう、一日一日がやたら長く感じて辛かった。
    こういう刑罰ってアリだと思う。

    だけど、爪の伸びだけは異常に早いのである。
    もしかして体感時間に比例してるんか? とも思ったが
    そんなわけはないよな。

    通常時なら、爪削りは10日おきぐらいで済む。
    それが、5日 ~ 6日ぐらいで
    削らなきゃいけない長さにまで伸びているのである。

    ちょ、何で闘病中に爪削りに追われなきゃならんのだ?
    と、座っているのは辛いので、寝て胸の上にティッシュを敷いて
    爪を削っていたのだが、粉塵を吸い込んだかも知れない。
    百日咳なのに。

    何故こうなるんだろうか?
    あれこれ推理して、思いつくのは
    “ずっと寝てたから、体の他の部分の運動量が落ちてて
     本来ならそこに消費されるエネルギーが、爪に回った”
    こんなもんぐらいしかない。

    爪って、栄養をいつもより多く摂ると
    伸びた時に横に段差が出来るよな。
    栄養を摂った時期に作られた爪は、ちょっと厚いんだ。

    爪の生成には、カルシウムじゃなく何だったっけ?
    よく覚えてないけど、他の栄養素が必要らしく
    その手のサプリを飲んだ事もあるけど、何の違いも感じられずやめた。

    どうも私の場合、肉を食うと爪が厚くなる気がする。
    これに気付いたのは、兄が連続で牛肉を送ってくれた時である。
    もう必死こいて、その牛肉を食いまくったのだが
    その時に爪が横線でボコボコになった。

    何で線でしか表示されないのか、もっとキレイに生えないのか
    ほんとムカついて、バッファーで削ってしまったが
    毎日肉を大量に食わないと、爪が全体的に厚くならないのなら
    総合的に私の人生では無理! と、諦めたさ。

    爪の状態には何の変化もない。
    栄養が余分に行ってる気配はなく、伸びる速度が早いだけ。
    これは一体どういう事なんだろうなあ。

    ちなみに、手と足の爪は連動していないようだ。
    手の爪よりも足の爪の方が、異様に早く伸びる事が多いのだが
    それも理由はわからない。
    今回の病気中は、足の爪の伸びは普通だった。

    爪が伸びる速度に影響を与えているものが
    手と足では違うような気がする。

    ・・・と、ここまで書いて、ふと思い立って昔の記事を探してみた。
    どっかで爪のグチを書いた気がしてな。
    あったよ、08.8.29の “爪”

    この時点で、爪に必要な栄養を知ってるんじゃん、私。
    アミノ酸と亜鉛? 爪はたんぱく質で出来てる?
    すったり忘れていたなあ。

    そんで、肉を食うと爪の伸びが早くなる、って書いてあるけど
    兄の牛肉攻撃は、去年かおととしの冬だったはず。
    何で去年の夏なのに、爪の横線の事を忘れているんだろ?

    自分の思考の持っていき方が、自分でもわからん。
    爪には常々悩まされているんで
    その試行錯誤をしている様子が表われているんだろうけど
    勘違いや物忘れが多すぎる!!!

    過去記事との矛盾は、思想系は考えが変わったからなんだけど
    データや知識系は、どっちが正しいのか怪しいので
    真に受けずに、自分で調べてください。
    ほんとすいませんほんとすいません。