ウメ 「今日の手土産はひと味違うけんねー。」
ヨネ 「スタバのコーヒーに見えるけんどん・・・。」
ウメ 「チヨさん御用達のトッピングコーヒーたい!」
ヨネ 「・・・おめえ、そういう事に異様に喜びよるよね。」
ウメ 「まあ、そう言わんと、聞いてくれんね。」
ウメ 「いやあ、さっきイオンモールのスタバの前を通りかかったら
我が目を疑う光景を見たとよ。」
ヨネ 「チヨさんがi-Padでもしよらしたね?」
ウメ 「そこまでいけば、うちも認めんでもなかけど
こん、寒の戻りの真っ最中に、オープンテラスで
ELLEのしかも英語版を広げとらしたとよ!」
ヨネ 「何ね、その変化球は?」
ウメ 「そぎゃん思うど?
もう、うち、居ても立ってもおられんで、写メ撮ったたい。」
ヨネ 「うわあ・・・、美魔女目指しとらすのが
ジョワジョワにじみ出とらすね・・・。」
ウメ 「イオンモールにシャネルスーツて、思うた以上に浮いとったよ。」
ウメ 「で、何を飲みよんのか訊いたばい。
えー、ちょっと待ってはいよ。」
(ガサガサ・・・)
ヨネ 「スタバのナプキンに走り書きね。
おめえ、よお、しきったなあ、こぎゃん失礼か事。」
ウメ 「チヨさんお勧め注文を飲んでみたかー、でホイホイたい。」
ヨネ 「・・・おめえの書いた、その文字、日本語ね?」
ウメ 「えーと、カプチーノのホット熱めグランデをショット追加
チョコソース追加バニラ多めのソイラテ低脂肪乳で。」
ヨネ 「・・・営業妨害ね・・・?」
ウメ 「よくわからんよね、ショットとバニラで濃い味にするとしても
チョコソースを入れたら、モカになるんじゃなかと?
その後、更に “ラテ” 言うとるし、カプチーノ台無したい。」
ヨネ 「スタバで豆乳と低脂肪は両立せんかったと思うけんど・・・。」
ウメ 「とりあえず、このメモを持って注文してみたたい。」
ヨネ 「おめえ、よお、しきったねPART2。」
ウメ 「もちろん、『あそこの婆さんのお勧めなんですけど』 の
前置きはきっちり言うたたい。
店員さん、ちょっとゲンナリしとらしたよ。」
ヨネ 「そりゃ、店内でアダナが付いとるとみたね。」
ウメ 「“突飛ingババア” とかね。」
ヨネ 「ツイッターで盛り上がっとるかもね。」
ウメ 「写メ付きで 『突飛ingババアご来店なう~』 ね?
何か腹が立つがね、それ。
チヨさんをいじくってよかとは、うちだけたい!」
ヨネ 「何ね? 歪んだ愛を更に裏返しとったとね?」
ウメ 「せからしか! (うるさい、の意味)
そこに愛はなか!」
ウメ 「で、出てきたのが、これたい。」
ヨネ 「・・・何か、えらい複雑な味じゃね。
おめえのは何ね?」
ウメ 「コーヒーフラペチーノのホイップなしショット追加たい。
この注文をする事で、うちはボケてなか、一緒にせんで!
て、店員さんに無言の証明をしておいたたい。」
ヨネ 「おめえ、愛する人と一緒にせんでて、割にクズじゃね。」
ウメ 「だけん、別に愛してなかて!」
ヨネ 「あー、妙に複雑な味の飲料で気分が悪か。
チヨさん、味覚細胞が死に絶えとらっさんね?」
ウメ 「辛い料理ばかり食わされとるおめえより絶滅ね?」
ヨネ 「それで思い出したけんどん、うち、人間ドックに入ってみるべきだろか?」
ウメ 「人間なんか犬なんか、よくわからん検査名じゃね。」
ヨネ 「冗談のつもりかん知れんけど、年寄りが言うと半笑いされるけんね、それ。
念のために言うとくけんどん、“ドッグ” じゃなくて」
ウメ 「わかっとるたい!
船の修理場とかをいう “ドック”だろたい?
いくら英語ん偏差値が40台でん、そんぐらいは知っとるけん!」
ヨネ 「そういうつまらん冗談しか言えんくせに
国語の偏差値が70台て、学校の教育に疑問を持たざるを得んね。」
ウメ 「うちの通信簿の話はいい加減やめんね!」
ヨネ 「そうだったたい、うちの死活問題の話たい。
年寄りに辛い料理は酷でたい。
ただでさえ胃液がよお出らんくなっとるとこに
唐辛子やら胡椒やらをドッサリ入れられたら、天空闘技場たい。
うち、嫁に殺されかけとるかも知れん。」
ウメ 「おめえがHUNTER×HUNTER派なのはわかった。
人間ドックでんホットドッグでん、行ってみるたい。
多分、何の悪いとこもなか気がする。」
ヨネ 「何を根拠に言いよっとね?」
ウメ 「死臭たい。」
ヨネ 「・・・一緒に心療内科に付いてってやろうか?
大丈夫、今は心の病は普通に認識されとるし
精神病院にも入ったら出て来れんとかなかけん。」
ウメ 「いや、心の病を疑ってくれてん、よかけど
ほら、時々おらんね? 影が薄くなってきとる人とか。」
ヨネ 「ああー、あそこん爺さんとか、確かにそうだったわん。」
ウメ 「うちの父親は死ぬ前に死臭がしよったとよ。
そんで、うちが本気で 『パパ、大丈夫ね? 死臭がしよっよ』 て
言うたばってん、相手にされんで、間もなく死んでしもうたたい。」
ヨネ 「・・・おめえ、実の父親に死刑宣告ね?」
ウメ 「しかも中年になっても 『パパ、ママ』 だったけんね。」
ヨネ 「どっかで呼び方を修正すべきだったたいね。」
ウメ 「うちの兄は 『おとうちゃま、おかあちゃま』 だったとよ。
中学で 『おやじ、おふくろ』 に自力矯正しよらしたが。」
ヨネ 「おとうちゃまおかあちゃま、て花畑かあちゃんの夢たいね。
おめえの兄貴、立ち直れて良かったたい。」
ウメ 「でん、娘のうちは呼び方を替えられんとよ。
うちん場合、母親の産後の肥立ちが悪くて、よそに預けられて
そこんちに “おとうさん、おかあさん” がいたけん。」
ヨネ 「気の毒か話に聞こえるけど、おめえは気にするタイプじゃなかろ?」
ウメ 「ふたりずつ親がおると、色々便利かよー。」
ヨネ 「これ以上にない予想通りの答がキターーーッ絵文字略たい。」
ヨネ 「で、人間ドック・・・」
ウメ 「あ、もういっちょ語らせて!
父親が死臭がし始めたけん、お願いしたたい。
もし霊になったら合図して! て。
葬式で位牌を倒すとか、遺影が笑うとか。」
ヨネ 「おめえの父親、よりによって死に前に育て方に悩んだろね。
死因は精神的苦痛によるものじゃね?」
ウメ 「で、すっげえ葬式会場を見回しとったけど
何の合図もなかったたい。」
ヨネ 「おめえが式の間中、キョロキョロしよった理由が今判明したたい。」
ウメ 「死んでも使えん父親だったたい。」
ヨネ 「おめえにバチが当たらんで、誰に当たるとかねえ・・・。」
ヨネ 「ああ、もう人間ドックはよか。」
ウメ 「うんうん、大人しくピリカラに殺されときなっせ。」
ヨネ 「・・・・・・・・・・・・・・」
ウメ 「あ、今度ピリカラに助言してやっとくね。
年寄りに一番悪かとはササニシキてよ、て。」
ヨネ 「それ、うちの大好物だけんどん?」
ウメ 「どうせピリカラはコシヒカリ派だろ?」
ヨネ 「いいや、最近は米を研ぐのもサボり始めて無洗米たい。」
ウメ 「・・・・・・・・・・・」
ヨネ 「おめえもね?」
ウメ 「あれに手を出したら、もう止められんとよ・・・。
でん、おめえにはササニシキを食うてほしかけん
“饅頭恐い” 作戦たい。」
ヨネ 「でん、嫁があぎゃん高か米を買うかねえ?」
ウメ 「それで殺意も量れる、一石二鳥のミッションじゃね。」
ヨネ 「やっぱ、いらん事はせんでよか。」
ウメ 「うん、遺恨を残す死に方はしたくなかもんね・・・。
でも、うちゃ化けて出るおめえも見たかとよね。」
ヨネ 「やっぱ、おめえは鬼じゃね。」
(“饅頭恐い” とは、落語のひとつで、簡単に言うと
嫌われてる相手んちに言って、饅頭が恐い、と言って
相手がそれを信じ、嫌がらせのために饅頭を出すのを
内心喜んで恐がりながら美味しく食う、という話だったかな?)
評価: スライブ
コメント:今狙っているのがこれ。 家電店であれこれ試して、腰にも応用が利いて “叩く” があるから。 ただし、ちょっと重い。 けど自分じゃ器具を持つ必要もないから、そのぐらい我慢せえ、っちゅう話だよね! |