カテゴリー: 飲食物

  • 米 到着

    アメリカに到着ではない。
    兄から米が届いたのである。

    「ネギ?で育てたネギ?米とかどうかな」 と
    やたら、人の胃袋で何かの勝負したがる兄に
    「普通の米にして」 と、懇願し続けて1年
    念願の宮城産ササニシキが届き、しかもこれが美味い!!!!!

    ここ数年、あらゆるところのあらゆる米を貰ったが
    美味いと思うのは、必ず宮城産ササニシキで
    あとのは 「まあまあ」 1割 「普通」 6割
    「イマイチ」 2割 「不味い」 が1割であった。

    何というか、宮城産ササニシキは昔の米の味がするのだ。
    不思議にも、他のところのササニシキは 「まあまあ」。
    コシヒカリの美味さは、私には認識できない。

    で、兄にお礼の電話をしたら
    「あれ? 今TVのチカラをやってるぞ?
     電話なんかしてていいのか?」 だ・・・。

    「TVのチカラは月曜だよ」
    「今TVで公開捜査をやってるぞ?」
    「それは特別番組で、ちゃんと見てるから」

    親兄弟に自分の特殊な趣味の心配などしてほしくねえよ・・・。

    てか、そういうのを親戚に言ってねえだろうな?
    益々私がヘンな目で見られるんだぞ?
    ただでさえ、新聞登場を恐れられてるというに。

    お礼を言った後に
    「米に白ネギがついてきたんだけど?」 と、聞くと
    「ああ、注文したら “おまけ” がつくそうだ。
     白いとこしかなかっただろ、東日本の人間は
     ネギの青いところは食わないからな。
     東京では白ネギしか売ってなかっただろ?」

    ・・・・・・・・・・え?・・・・・・・・・・・・

    ・・・・・東京にいた頃どころか、今の今まで
    ネギの青いところは食えないと思っていたんだが・・・・。
    しかも “食わない” じゃなく、“食えない” ・・・・。

    熊本のマーケットで、青ネギが売ってた時にゃ
    最初は 「不良品ばっかり・・・」 と、思っていたし
    その後、白ネギと青ネギは、まったくの別物だと思っていたし
    細い青ネギ (万能ネギという) は
    味噌汁用の特殊なものだと思っていたよ。

    料理を覚えた頃に、店に白ネギしか売ってなかったら
    そう勘違いしても無理はないだろ?
    しかし、これをカミングアウトすると、また罵倒されそうなので
    ネギの秘密を知った驚愕とともに、心の奥底にしまいこんだ。

    そういや以前、誰かとネギの話題になった時に
    違和感を覚えた記憶があるんだが
    勘違いだったら、これまた罵倒されると思って
    あいまいに流したような・・・・・?

    とりあえず、その白ネギを焼いて食ってみた。
    美味ーーーーーーーーい!
    何て甘いネギなんだ!
    宮城の農家の皆さん、色んな農作物でグッジョブ!

    食い物で、兄と私の珍しく一致した見解は
    「農家が自分が食うために作った」 というものは
    それほど特別に美味くもない、だ。

    流通に出すものは、農薬をガンガン使うので
    自分たちが食うものは別に作っている、という話があるが
    よっぽど安定している農家じゃない限り
    不作は必ず出るわけで、それを食ってるという話もある。

    てか、自分ちで食う分だけなら
    売り物になるほどの量は作らんのじゃないのか?
    一体どれだけ食うつもりだったんだよ。

    まあ、この話はどれが正解かはわからんが
    とりあえず、「自分ち用」 より 「販売用」 の方が
    美味いのが多いと思うぞ。
    この有機栽培流行りの昨今、それが当たり前のような気がするがな。

  • しつけ・食い方編

    ご想像通り、私はしつけがなっていない。
    それは食い方にも表れている。

    いや、テーブルマナーとかじゃなく
    もっと根本的な、食い物を大事にするという
    感謝の心がない食い方をするのである。

    一体、親は何をしていたのかというと
    すべてを凝縮した逸話がある。

    私が中学生の頃のある晩、珍しく魚が夕食に出た。
    私は魚というのは、白身だけを食うものだと思っていたので
    皮を剥ぎ、白い部分だけをつついていた。

    すると父親が母親に
    「おまえは飯の食い方もしつけてないのか」 と、怒った。
    母親はどうしたか?
    それ以来、ややこしい食い方をする料理は
    一切、食卓に並べなくなったのだ。

    私の子供時代の食事は毎晩 “ご飯とたくあん” で
    治療を要するほどの栄養失調になって
    「うちは子供に飯も食わせられんほど貧乏か!」 と
    父親が怒鳴ってからは、毎晩、焼肉かステーキとご飯。
    他に一切付け合せはなし。

    私は小学校から中学校卒業まで、毎晩牛肉と白米のみを食い
    他の栄養は給食で、かろうじて補給していたのである。

    子供の事は母親にまかせきりの父親と
    事なかれ主義の母親の元に育つと、こういう人間になる。
    牛肉の味見には自信があるがな。

    と、すべてを親のせいにしている私だが
    自己責任っちゅう単語もちゃんと知っている。
    箸の握り方は苦労して苦労して、指をつらせつつ直した。
    (いまだに正しい握り方ができていないが)

    テーブルマナーは、本で学んでいたので知っている。
    (その本がえれえ古い本で、フランス料理の食い方に
     「バナナ1本丸ごと食う方法」 とか
     「リンゴ1個丸ごと出てきたら」 とか書いてあって
     こんなザツな食い物を出す料理なんて絶対食わねえ!
     と、子供心に決心した次第だが
     あれはどういう状況でも対応できるように
     という例だったのだろう。)

    マナーはまだいいのだが、問題は料理である。
    魚の顔とか皮とか気持ち悪いし
    身の茶色い部分も一体何なんだか恐くて食えねえ。

    ケンタッキーフライドチキンも、血管みたいなんとかあって
    すげえ解体をしつつ、オドオドと食い
    食いたくない部分を積み上げて残すので
    一緒に食っている友人からは
    「おまえの、食う前より量が増えてねえか?
     どこを食ってるんだ?」 と、非難されるし
    とにかく、生き物丸ごとっぽいのがダメなのである。

    と、書いててふと思ったが、それはちょっと違うかも。
    カップヌードルの食い方もおかしい。

    私の理想は、ぬるま湯を入れてボリボリ食いたいのだが
    お湯の温度の調整が難しいので、とりあえず熱湯をいれてすぐに食う。
    硬い麺が好きなのだ。

    で、食いながら、具を全部捨てる。
    どうせ食わないのだからと、一度具を全部最初に捨てたら
    味がえれえ薄くなったので、具はダシだと理解してる。

    何故、具を食わないのかというと、何なのかわからないからだ。
    肉とか言い張ってても、真っ当な肉に見えんぞ。

    つまり私は、何なのかが丸わかりな食い物と
    何なのかがわからない食い物はダメみたいである。

    ○ク○ナ○ドも、そういう意味ではビクビクしつつ食う。
    牛肉のエキスパートの私から言わせると
    今でこそ牛肉の味がするが、昔はほんと、何なんだかわからなかったんだぞ。
    少なくとも牛はほとんど入ってなかったと断言できる。
    あれじゃあ、ミミズの肉だという噂が出ても不思議ではねえぞ。

    またまた余談だが、友人の旦那さんが昔、○ク○ナ○ドの工場に
    食材を配送する仕事をしていた。
    その時に冷凍車で運んでいたのが、デカい馬肉の塊だったそうで
    「何に使うんだ???」 と、不思議がっていた。

    その時の○ク○ナ○ドも 「牛100%」 をうたっていたし
    てか、牛より馬肉の方が高いので、代用する意味がないんだよなあ。
    何かのダシ用か? これは今でも謎な話である。
    心当たりのあるヤツいるか?

  • 飲食物の温度

    うちには氷がない。
    それは使わないからである。
    私は飲食物の味はぬるいのが一番よくわかる、という信念がある。
    というか、熱いとか冷たいのが嫌いなのだ。

    熱い物を出されると 「おめえは私を殺す気かあ!」 と
    ちゃぶ台返しをしたくなる。
    すんげえ腹が減って、テーブルにかじりつきたいぐらいなのに
    あっつあつの飯を出されると、暴れたくなる。
    私は猫舌なのだ。
    注意しているのに、いつの間にか口内にやけどをしてたりして
    これがまた不愉快な事この上ない。

    冷たい物だと 「知覚過敏きたきたあーーー」 と
    ちゃぶ台返しをしたくなる。
    大体、冷えた飲み物など、腹に悪かろう。
    アイスコーヒーなんか、氷がみるみる解けるんで
    ボケッとしてる間がねえよ。
    だけど氷満タンの飲料水なんかガブガブ飲むと、頭がキーン。
    そんでその後、おなか急降下さ。
    ま、そこまで胃腸は弱くはないが、冷たい物は冷え性には大敵。

    上記のは単なるインネン付けだが
    熱いと味が濃くなり、冷たいと薄くなる。
    味を見るには、ぬるいのが一番というのは真理。
    風情がないなど、存在自体が無粋な私に指摘しちゃいけないな。
    物を一番美味しく食べる温度というのがあるのもわかるが
    それが熱かったり冷たかったりするのが頭にくる。
    支障なく飲み食いできる温度で、全能力を発揮せんかい!

    私の嘆きはともかく、もういっちょ真理がある。
    薬をより効かせたい時は、熱い湯で飲め、だそうな。
    栄養ドリンクの類も、美容ドリンクも
    冷やして飲むより、ぬるい~熱い で飲む方が効くらしい。
    V.Cなど、熱くすると壊れる成分もあるので
    そこは臨機応変だが、基本は熱く、だってよ。

    これ、やってみたがなあ、食道までただれたんじゃねえか?
    というほどで、確かにあの苦しみは他の苦痛を凌駕するぜ。
    ある意味、効いたと言えるが、それでも言う。
    熱湯で薬は飲むな。 普通に飲める温度の湯で飲め。

    しかし、しょうが湯とかは、すんげえ熱くないと効かないよな。
    死にもの狂いで熱々のを飲むと、体は温もるんだが
    風邪できつい時に、何でこんな苦行をせにゃならんのか・・・。

    熱い冷たいを憎む私だが、麺類だけはどうしようもない。
    こいつら伸びやがるんで、急いで食わにゃならん。
    フウフウし過ぎて貧血を起こしそうになるが
    風邪気味の時には、うどんは欠かせんし。

    あと、鍋のネギ! ありゃ何かの武器か?
    ガシッと噛んだら、ネギの中央部がノドの方に飛び出てきて
    それがまた熱くて熱くて、のた打ち回ったぞ。
    ノドにネギの焼き印が押されたんじゃないかと思たよー。

    熱い物が美味い季節になってきたが
    (もう、うちは既に鍋頼りの日々だが)
    冬の食卓は危険がいっぱい・・・。

  • かあちゃんが死んでから、うちの兄妹関係に
    変化が生じて、正直とまどっている。

    毎月、どこかの米を送ってきては
    感想を求められるのである。
    それもネットで探した“幻の米”だとか
    真空パックまでされた高級米だとか
    全国津々浦々の名産米。

    あのな、米はとてもありがたい。
    私は米大好きだから、ひじょうに嬉しい。
    だがな、よおく考えてみい?
    この私が! 安い炊飯器で! ゲロ不味い関西の水道水で炊くんだぞ?
    「美味い」か「不味い」しか味覚の幅がないこの私がだぞ?
    大体、まともに米を研げているのかも怪しいぞ?

    毎月毎月、ワインのテイスティングのように
    その米が“どう”美味いのかを表現しなければならなくなり
    かなり切羽詰って、米を炊く水をも
    ミネラルウォーターにせざるを得なくなったのが財布に痛い!
    米代は浮いたが、水代が生活費を圧迫しとるんだぞーーーーーっ。

    かあちゃんは「どうだった?」「うん、美味かった」で
    話が終わる簡単なヤツだったが、さすが兄、甘くはない。
    数ヶ月前の米との比較まで求められても覚えてねえよ・・・。
    しかも、米の産地のウンチクを延々とされ
    話は水や地酒にまで及び、毎月の糧を得るのはラクじゃねえ!と
    生きてくことの厳しさを、つくづく思い知らされている。

    「これで米を買え」と、お米券でもくださいーーー。
    てか、何度も何度も問うているが、何で米?
    米さえあれば、とりあえずは飢えないからか?

    グルメの身内を持つと、とても辛い。
    これで私が博学になるかっちゅうと
    聞いた端から忘れているので、ほぼ意味はない。
    私も身内からすると迷惑なヤツと評判だが
    兄も相当にやっかいだよなあ・・・。

    でも、米は全部美味かったぞ。
    「どう違う?」とか聞かれても、さっぱりわからんが
    とにかく、そこらで買う米より美味い。
    多分、私以外のヤツが炊いたら、もっと美味かろうて
    ちょっと米が気の毒になる。