パイプ椅子状の脚立に座ろうとして、指を挟んだ。
反射神経に優れている私は、とっさに腰を浮かし空気イスをしたが
やはり私の美しい指は、かなりダメージを負ってしまった。
反射神経の天才なのに避けられていないのは、年のせい。
しばらくその場で指を抱きしめて、うずくまった。
そして少しでも腫れを抑えるために、保冷剤でちょっと冷やす。
こういう場合、神経が刺激されるせいかわからんけど
手がガタガタ震えるのである。
むっりゃ痛いけど、大した事でも骨にも異常がない事もわかるのは
私がこのような痛みに慣れているからである。
そう、あの悪魔の犬、アフガンハウンドで。
アフガンに噛まれた時には、1日ずっと手が震えていた。
椅子に挟んだ痛みの震えは、十数分ぐらいで治まった。
・・・・・・アフガン、どんだけ強く噛んでたんだよ!!!
手を冷やしながら、アフガンを思いだしつつイライラしまくる。
そういや、最近よくアフガンが夢に出てくるんだ。
離婚して元夫のところに残して来たアフガンは
私がいなくなって食欲が出た、と元夫が活き活きと報告してくれるし
死んでからも、枕元に立つとかお盆に来るとか、まったく音沙汰がないから
私が死んでも虹の橋の向こうには誰もいねえな、と思っていたんだけど
こりゃ大穴でアフガン、あるかもな。
さて、季節の挨拶も終わったんで、こっから本題。
・・・私さ、虹の始まりを見た事があるんだ。
車で走っていた時の事。
雨がポツポツ降ってて、遠くに虹が見えた。
その虹が、何だかダブって見えたので
ああ、老眼が・・・、とか思っていたら
近付くにつれ、虹がくっきりと2重に見え始めた。
おお、神のような人 (注: 私) が通るから、美しいアーチが
と、感動していたら、何とその内側に3つ目の虹が出現!
2重の虹は何度か見た覚えがあるけど、3重は初めてだった。
普通はここで、信号待ちの時とかに写メとか撮るんだろうけど
面倒くせえので、心のシャッターを切る。
その後、どんどん薄れる虹とは反対方向に曲がって
1時間ぐらい走ったかな。
雨は降ってる場所もあれば、晴れてる地域もあって
天気予報なんて絶対に当たらない地形だな、と思ったさ。
すると突然雨がザーッと降り始め、虹が現れる。
全体的に “雨!” って感じの薄暗さだったので
太陽、どこに出てんの? と、見回してもどこにも出ていない。
その日1日で4個の虹を見るなんて凄え事なんだけど
それも、今、考えると、で
その時の私は、あれ? 虹って7色じゃなくねえ? と
虹の色数を数えるのに必死だったよ。
どうも、5色か6色にしか見えないんだけど
絵の先生に色盲扱いされるほどの
前衛的な色彩感覚の持ち主の私なので
色の見分けなど付くわけがねえな。
ま、7色にしといてやろう、と虹に恩赦を与えていたら
虹、すっげえ太いんだよ下ネタじゃなく。
まあ! こんなに太いの初めて!下ネタじゃなく
と驚いていたら、更に驚く事にその虹の根元が見えるんだ!!!
なあ、虹ってさ、根元が見えないから
メルヘン話とかになってんじゃねえの?
私、初めての事だから驚いたけど
虹の根元、普通に見られるものなんか?
とりあえず、その虹は集落の外れの
失礼だけどあまりキレイとは言えない、道沿いの民家から出ていた。
その時に私は虹をくぐった。
振り返ると、虹はそこにまだあった。
一応、理科も習った事があるので、虹が出来る理由は知っている。
だから虹はくぐれるはずがない、と思うんだが
そういう事もあるんかな?
それにな、もう私の義務教育、木っ端微塵な事揃いなんだけど
3本の虹を見た時には私は東に向かって走っていて
虹の根元を見た時には、西に向かって走っていたんだ。
時間は正確じゃないけど、とにかく昼過ぎで
それも14時か15時から日暮れまでの時間帯の出来事。
季節は覚えていない。
寒かったような・・・、ああ、でもこれも確かじゃない。
もういっちょ、そこ、私が通る度にいつも天候がヘンなんだ。
いきなり豪雨、ってのが多い。
どこかっちゅうと、伊賀。
伊賀醤油 12.4.20 の “はさめず” を買いに、時々通るんだよ。
はさめず、アルコール臭が凄くて、餅には激しく合わなかった。
お陰で餅を食って喉に詰まらせて死ななくて良かった。
そういう命の恩人だからじゃなく、値段と味のバランスで買っているんだ。
あの値段であの味は上出来だと思うんだ。
私は海腹雄山か。
とにかく、ただひとつ言えるのは
私にはとても不思議な体験だった、って事だけなんだ。
吉兆か凶兆かわからんけど、知ると気にするんで言わないで!
まあ、私の現状から考えると、明らかに凶・・・。
ああいうきたな・・・いや、えーと、こじんまりとした
年季の入った民家に、アフガンは待っているんだろうか。
・・・とか、アフガンの事をメルヘンに考えてたら
絶対に痛い目に遭うのも、もう学習済みなので
きっと、あいつが来るとしたら
地獄の釜のフタを、前足でパカッと開けて
ささ、どうぞ、てなもんだろう、ヘルハウンドめ!
評価: 木月 けいこ 新書館
(2013-03-06) コメント:★5なのは、知り合いだから。 Theえこひいき! あ、じゃなくて、本当に面白いってよ。 アマゾンレビューの絶賛を見れ。(ここの存在価値なし) 入手がしにくくてまだ買えてないんで、星1つ引く。(え? ここ星6つ?)(注:5つです) |