いつの頃からか、オリンピック代表選手とかが
意気込みを聞かれて 「楽しんできたい」 と
いったような事を言うようになった。
選手は楽しむな、とは言わん。
だが、何でそれをわざわざ言う?
おめえら国内で戦いまくって、勝ち上がり
夢破れて泣いている何千人もの代表として
世界大会に出場するんだろ?
そういう想いを背負っているのに
“楽しむ” とかいう表現は無神経じゃねえのか?
「リラックスして力を出したい」 という意味なら
言葉足らず、ってか、表現ミス。
ヘンな比喩などせずに、最初からちゃんとそう言え。
ガツガツ必死なのが格好悪いって感覚で
余裕を見せようとしているのなら
そんなんだから世界で勝てねえんだよ!
オリンピックや世界大会で、本当に楽しいのはただ一瞬。
優勝した時だけだ。
優勝確実と言われている選手でも
実際に優勝を手にするまで
どんだけプレッシャーに怯えている事やら。
それを、表彰台にも上れんヤツが
行く前から 「楽しみたい」 など
どうせ勝てないだろう、という言い訳にしか聞こえん。
じゃ、行くな! 単なる頭数揃えだ。
どうせ行くのなら、必死こいてあがいてこい!
ガクガク震えながら、それで精一杯やって
大負けして、泣き喚きながら帰ってきても
そんなんで誰も、格好悪いとか情けないとか思わんよ。
ボロ負けして帰ってきて 「楽しめた」 とか言うから
皆、ガックリくるんだぞ。
日本代表になるぐらいなんだから
普段の努力も涙も、真面目にやってる事も、見ずともわかる。
普通の人の何倍も大変なんだろうな
命かけてやってるんだろうな、って思う。
そんだけで充分、格好いいんだよ。
苦労話満載のお涙ちょうだいも、うっとうしいが
最近やたらCOOLぶったり、ビッグマウスだったり
日本の代表にしたくねえ好感度の低いヤツばかりだ。
それで弱いときたら、もう踏んだり蹴ったりだぜ。
普段死に物狂いでやって、代表の座を勝ち取って
世界の晴れ舞台で、自分の力を全部出し切りたいのなら
そこでも普段通り、なりふり構わずやった方が
いつもの自分が出るんじゃねえ?
妙に虚勢を張って、いらん事に気を回すから
普段以下の結果しか出せないんだろう。
「努力? 別にー?」 って
天才ぶりたいんなら、優勝してからやれ。
(いくら強くても、何様すぎると嫌われるだろうが)
“ハングリー精神” ってのは
「これに負けたら、生活ができない」 ではない。
完璧に思えても、まだ努力できる部分はないか?
まだ自分に足りない部分はないか?
まだ改善できる事はないか?
いくら食っても満足しない飢餓感のように
自分を疑って、追い詰めて、精進しようとする精神だ。
日本が食うに困らない豊かな国になったおかげで
空腹感がなくなってしまったからじゃない。
おごり高ぶってしまったからだよ!
「楽しみたい」 という表現が、そのいい証しだね。
スポーツってのは人格は鍛えられんのだな、と、思ってしまうぜ。