• 継母伝説・二番目の恋 46

    ベイエル伯爵の次男の死の一報が、城を駆け巡った時には
    政略結婚の可能性が消えて、公爵家の娘は内心安堵した。
     
    同時にノーラン伯爵の死が、またしても脳裏に甦る。
    しかし、その疑念もすぐに消えた。
     
    ベイエル伯爵の突然の帰還は、次男の病気が真の理由で
    その事は周囲には隠しておきたかったらしい。
     
    それを聞き、公爵家の娘は少し同情をした。
    あの時の憤怒は、息子の病気で気が立っていたのね
    身内に死が続いて、お気の毒に・・・。
     
     
    だが、人に同情しているヒマはなかった。
    王妃の体調が悪くなったのである。
     
    王妃は少しずつ少しずつ動かなくなり
    眠っている時間が長くなっていった。
     
    これはどういう事か、と侍医に問うても
    わからない、という言葉しか返ってこない。
     
     
    「あたくしの料理が悪かったのかしら?」
    心配も頂点になった公爵家の娘を、王が慰める。
    「いや、それは断じてない。
     何者であろうと、王妃には何の手出しも出来る隙は与えておらぬ。
     これは、“病” だ。」
     
    「でも、侍医ですらわからないと言っているではないですか。」
    「東国人の医師には東国人の体しか・・・」
    言い合いながら、ふたりは顔を見合わせた。
     
    次の瞬間、慌てて王妃の寝室から飛び出し
    互いに互いのルートで、南国の医師探しを命じる。
    「とにかく急いで!」
    「何人でも構わぬ!」
     
    本来なら、身篭った王妃の急病など隠さねばならない。
    しかし、なりふり構っている状況ではない事は
    誰もが何となく察していた。
    あの王と姫が、あれだけ慌てているのである。
     
     
    王妃の病を知った貴族たちが、続々と見舞いにやってくる。
    あれだけ王妃をさげすんでいたくせに・・・
    それでも、その形ばかりの見舞いも受けねばならない。
     
    どんなに辛くても、余裕がなくても
    きちんと対応をして礼を述べる、それが社交なのである。
    それを避けたいから、ベイエル伯爵も次男の病気を隠したのであろう。
     
     
    その表面だけの見舞い客の中に、南国からの使者がいた。
    その使者は、王ではなく公爵家の娘に謁見を申し出た。
     
    あのバカ娘のせいで、忙しくて目が回りそうなのに
    南国人は、使者までうっとうしい。
    謁見は王に任せて、女のあたくしが側に付いていないといけないのに・・・。
     
    公爵家の娘は、内心イライラしながらも
    落ち着いて威厳ある風情で、南国からの使者の前に立った。
    「遠くからのお見舞い、痛み入ります。
     貴国からお迎えした王妃さまのお具合が悪くなり
     どうお詫びをしたら良いのか・・・。」
     
     
    南国からの使者は、意外な言葉を告げた。
    「我が王は、嫁に出した娘の事は
     すべてそちらにお任せする、と申しております。
     今日は、今まで良くしてくださった公爵家の姫さまに
     心ばかりのお礼を届けるよう、言い付かってまいりました。」
     
    その言葉に、公爵家の娘は頭から血の気が引いた。
    王妃は生きてるのに、この者は何を言っているの?
     
     
    公爵家の娘は、ベッドの上で目を覚ました。
    ああ・・・、王妃が病気になるなど
    何て悪い夢を見てしまったのかしら・・・。
     
    痛む頭を抱えながらグラスの水を飲んでいるところに、王が入って来た。
    公爵家の娘は、その王の姿を見た瞬間、すべてを理解した。
     
     
    これからまた、その悪夢の続きが始まるのだ。
    終わらない夢が。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事: 継母伝説・二番目の恋 45 12.10.11 
          継母伝説・二番目の恋 47 12.10.17 
          
          継母伝説・二番目の恋 1 12.6.4 
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  • ディアナチュラ コンドロイチン

    日々、関節の痛みを訴える、傷んだヤツらに
    コンドロイチン教を説いて回っている私は
    アサヒフードアンドヘルスケア株式会社社名が長えよから
    粗品のいっちょも贈答されても良いと思う。
     
     
    私が右膝が痛くなったのは、30歳か31歳か32歳か
    とにかくそこらへんの年齢で
    まだ “老朽化による関節のガタ” など辞書にも載っていない
    ピッチピチのお年頃と言うには、ジャロが怒るじゃろう。
     
    面白くもなんともない事を得意がって言うようになったら、立派な老害!
     
    この痛みというのが、ジッとしてたら何ともないのに
    立とう歩こうとしたらズキッとくるのだ。
    そんでそれが何の前触れもなしに、ある日突然今日から!
    まるで嫌な生まれ変わりのように、痛みが出現したんだよー。
     
    たまに痛いな、とかだと、まだ納得できるだろ?
    それもなしにいきなりだから、え? 何で? と
    パニックを起こす事は間違いなし。
    いや、私の場合は、な。
     
     
    病院に行ったら 「水が溜まってた」 とか言われて
    ぶっとい注射器を刺されて、チューーーッと吸われた、とか
    ロクでもねえ体験談しか耳にしなかったので
    とりあえず、“受診” はなしにする。
     
    代わりに薬屋さんに行って、薬剤師さんにどうしよう? と訊いてみた。
    すると、これなんかどうでしょう? と
    ゼリア新薬のコンドロイチン錠を勧められる。
     
     
    そう、あの石原良純がCMをしているあれである。
    私が買った時は、1ヵ月分で5800円で
    その時に消費税が導入されてたか、定かではないけど
    サイトを見てみると
     
    ゼリア新薬 コンドロイチンZS錠 1回2錠 1日3回
    税込み価格 60錠(PTP) 2.520円
    108錠 3.880円  180錠 5.880円 270錠 7.880円
     
    と書いてあるので、180錠のやつだろうけど
    私が飲んでたやつはアルファベットは2個も付いてなかったような気がするので
    多分、今のやつは成分が違うと思う。
     
     
    これがな、ほんと2~3日で劇的に効いたんだよ!
    歩くのがやっとだった痛みが、きれいさっぱり消え失せたんで
    治った! と思って、薬を飲むのを止めると、また数日で痛くなる。
    飲むと治る。
     
    これを数ヶ月繰り返して、思ったよ。
    コンドロイチンは、もう一生止められない・・・、って。
    だって飲むのを止めると、3日で痛みが出てくるんだ。
     
    となると、問題は値段だろ?
    1ヵ月で5800円、キツくねえ?
     
     
    よって、あんだけ助けられたゼリアのコンドロイチンに別れを告げ
    安いサプリを探す旅に。
     
    安いサプリはすぐ見つかった。
    それもゼリアとまったく同じく、抜群に効く。
     
    私が名を明かさないのは、悪口が始まるから。
    そのバカメーカーな、新成分を配合しやがったんだよ。
    「関節痛に本当に効くのはこれ。
     コンドロイチンは、この成分の補佐的役割でしかない。」
    みたいな事を言うので、おお、そりゃ凄い、と思うだろ?
     
    ・・・それが、まったく効かず・・・。
    期待満々の時の私のプラシーボは凄まじい自己暗示力があるのに
    効かなかったんで、そのメーカー自体に見切りをつける。
     
     
    次に話題になったのが、グルコサミン。
    これも期待値MAXで挑むも、まったく効かず。
    ヒアルロン酸はもう試しもせず。
     
    だって、膝の傷み、切実なんだよ。
    私だけかも知れないけど、コンドロイチンが一番効くんだ。
    他の成分を混ぜて、コンドロイチンの量を減らさないでくれよー。
     
     
    もう一生飲むものだから、そんで安物で見事に効くから
    出来るだけ安いものを、と探して、今は買いやすいこれにしている。
     
    ディアナチュラ コンドロイチン 90錠 1.575円 1日3錠 
     
    <原材料 丸写し>
    コンドロイチン含有サメ軟骨抽出物、ヒアルロン酸、セルロース、
    グルコサミン(エビ・カニ由来)、ビタミンB1、デンプングリコール酸ナトリウム、ビタミンB6、ビタミンB2、ステアリン酸Ca、セラック
     
    <栄養成分表示も丸写し>
    1日3粒(993mg)あたり
    エネルギー 3.33kcal、たんぱく質 0.29g、脂質 0.0050g、炭水化物 0.53g、
    ナトリウム 31.48mg、V.B1 25mg、V.B2 12mg、V.B6 10mg、
    コンドロイチン(サメ軟骨抽出物由来) 455mg、グルコサミン 100mg、
    ヒアルロン酸 1mg
     
     
     
     
    一生飲む、と言ってもさ、栄養の一種なわけだから
    自分の痛みに合わせて、1日3錠を2錠や1錠にして良いんだよ。
    そんで痛みが出たら、量を増やしながら調整する、と。
     
    ただ漫然と飲んでも良いけど、ムダはしたくないじゃん。
    サプリは適量以下なら、勝手に増減できるから気楽。
     
     
    こうやってリアルで私が勧めた人で、治らなかった人はまだ0人。
    他にも合う成分があるかも知れないけど
    とりあえずコンドロイチンは万人受けすると思う。
     
    これに関しては、すっげー感謝されてるけど
    やっぱり飲むのを止めたら、痛みがブリ返す人が多いんで
    一生のお供が、割と重荷だよな。
     
     
    なお、私は運が良くて何十年もコンドロイチンでしのげているけど
    痛みが起きたらまず病院、は常識な。
     
    私が言っても説得力に欠けるだろうけどさ。
     
     
     

    評価:

    アサヒフード&ヘルスケア


    ¥ 1,062

    (2011-03-07)

    コメント:ちょ! 1400円台で買ってた私、涙目!!! ああ・・・、もう何の提灯記事 (提灯は持ち上げるもの = 褒める事の比喩。 勉強になるだろ? ババアの知恵袋は。) も1行たりとも書きたくないね! 皆、ここで買って得せえ、バカ野郎ーーー!

  • 継母伝説・二番目の恋 45

    ベイエル伯爵は適当な都合を付けて、領地へと帰って行った。
    余程、腹に据えかねたのであろう。
     
    職務放棄ではあるが、しばらくはあの顔を見なくて済む。
    公爵家の娘はホッとした。
    にこやかにしていれば、繊細で美しい顔立ちなのにね。
     
     
    ベイエル伯爵には3人の息子たちがいて、いずれも美男だという噂である。
    長男はもう結婚をしているが、公爵家の娘とつりあう年齢の次男がいる。
     
    まさか、その次男とあたくしの婚姻で
    色んなしがらみを流そう、とは・・・
    いえ、内戦をするぐらいなら、その方法を取るはず。
     
     
    公爵家の娘は、不安に駆られた。
    王はベイエル伯爵とは不仲だけど
    ノーラン伯爵の死をどう思ってらっしゃるのかしら?
     
    ノーラン伯爵・・・。
    たった3回会っただけの、この男性が
    公爵家の娘の人生に、大きな影響を及ぼすとは
    当のノーラン伯爵でさえ、予想してはいなかった事であろう。
     
     
    公爵家の娘と同じ不安を、王も抱いたのか
    城の警備が厳しくなった。
    理由は、“王妃が出産間近ゆえ” であった。
     
    王妃の居室の周囲には兵士がいつもの倍、配置され
    王妃が口にするものすべてに、毒見係が付いた。
     
    厨房にも大量の見張りが置かれたので
    公爵家の娘は、余計に料理をしたくなくなった。
    あたくしのこのような姿を見られるなんて、嫌だわ・・・
     
    しかし、その姿は意外にも兵士たちの受けが良く
    公爵家の娘には密かなファンが増えた。
     
     
    王妃が公爵家の娘に再び心を開いたからといって、何も変わらなかった。
    公爵家の娘は、相変わらず仏頂面で業務的な事しか喋らないし
    王妃は困ったように微笑んで、公爵家の娘の背中を盗み見るだけだった。
     
    侍医が体力をつけるのも大事だと言うので
    公爵家の娘が中庭を一緒に歩いた。
     
    王妃が妊娠中だからといって
    公爵家の娘の公務がなくなるわけではないのだが
    他の者が供だと、部屋から出るのですら嫌がるからである。
     
    はあ・・・、この子はあたくしを忙しくさせるために存在しているのかしらね
    公爵家の娘は、王妃の依存にウンザリしていたが
    跡継ぎが産まれるまでの事、と耐え忍んだ。
     
     
    すべての出入り口を兵士が塞いだ中庭は、それでも充分に広く
    物陰に控えた数名の召使い以外には
    人目がまったくない、緑あふれる空間。
     
    ふたりは、手を伸ばせば触れられる距離を保ちながら
    言葉も交わさず、ただゆっくりゆっくりと歩いた。
    時折、立ち止まっては雲の流れを仰ぎ見て。
     
     
    その光景は、時間の存在すら感じない
    ふたりの少女の絵画のようであった。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事: 継母伝説・二番目の恋 44 12.10.9 
          継母伝説・二番目の恋 46 12.10.15 
          
          継母伝説・二番目の恋 1 12.6.4 
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  • 依存

    何に関しても、そうだと思うけど
    “依存” には、2つの側面があると思う。
     
    2つの側面・・・、板か?
    いや、板にも一応、断面というのが最低1つはあるから
    2つの側面の物体はこの世にはない、って事だよな。
     
     
    そういう、2次元ブラボー! は、どうでも良いとして
    この “どうでも良いとして” って、私の定番の前フリだよな。
    それも置いといて
     
    依存の2つの側面というのは
    “必要” と “危険”。
     
     
    たとえば恋愛の話とかで、私が常に気になるのは
    人に依存するのが悪い、という感覚。
     
    私は古い人間なので、女性が男性に依存をするのは当然と思うんだ。
    むしろ、アメリカのウーマンリブがヘンな形で日本に輸入されて
    “女性の自立” を促したからこその、今の少子化だとも思っている。
     
    島国日本では、親族も依存し合うなら
    ご近所も依存する、正に “村社会” だったのに
    自立をする = 人に頼らない → 自分だけでどうにかする
    で、核家族社会の出来上がり。
    老人の行き場がない社会に。
     
     
    もうひとつ、親の経済力への依存。
    これは “先祖代々” なら、当たり前の事。
     
    とうちゃんかあちゃんが美男美女だったんで、美しく生まれるのと
    何も変わらない気がする。
    良い物を受け継ぐ、という点では。
     
    親に経済的に助けてもらうのを、ものすごくさげすむ人がいるけど
    親からむしり取るなら、そりゃいかんが
    してあげたい親もいるもので、その家にはその家の流儀があるのだ。
     
    そして、この “親の経済力” というのも
    良し悪しあって、本家だったら守らねばならないものがあって
    何代も続いてきたものを、自分の代で終わらせるわけにはいかない
    という重責が付きまとう。
    皇族が良い例だろ。
     
     
    “男”“女” の違いって、歴然とあるんで
    私に文句を言われても、あらあらまあまあで困るだけだぞ。
     
    て言うか、日本は昔から比較的女性の権利を認めてた国だと思う。
    奴隷だの付属品だのやってたのは、外国人。
    そういう違う意識の国の常識を、日本に持ち込むのが間違っている。
     
    日本の男性は、武士道に代表される “責任感” があったのに
    それを台無しにしたのは、頼らなくなった女性のせいだと思う。
     
    女性は密かに逃げ道 (特に経済的な事) は用意しといて
    男性に依存するのが、お互いの幸せだという気がするなあ。
     
    ここらへんの私説は、カテゴリー 世情分析や政治で語ってるんで
    そっちを読んでほしいのは、自分の言った事を忘れとるからだ。
    今のところ、大筋では変わってないはず。
     
     
    依存のもうひとつの面。
    中毒性があるものって、世の中に色々ある。
     
    酒、タバコ、ギャンブル、麻薬、もろもろ。
    そういう代表的なものの他に、私が経験して怪しい、と思うのは
    コーラ、ガム、ミント、砂糖、コーヒー。
     
    禁煙をして気付いたんだけど、タバコを止めるには
    私の場合、代替行為が必要だった。
    ニコチンの中毒は3日で抜けたからである。
     
    一般に出回ってるもので、中毒性のある事柄の毒の強さはそうでもなくて
    問題は、それに対する “依存” なんじゃないか?
     
     
    私が脱した中毒と見なされる事は
    タバコ、ガム、ミント、コーラだった。
     
    これらは中毒性は決して強くないと思う。
    て言うか、タバコ以外は中毒性すら認められてない。
     
    でも、これらの行為に共通点があるよな。
    それは、“口” を使う行為。
     
    普通の人なら、まずこっから一気に下ネタにいくところだが
    高潔な私は、それをしない。
    てか、“ろ” じゃねえぞ、“くち” だぞ。
     
     
    私が禁煙で苦労したのは、間が持たない事だった。
    それを特別な私ヴェルタース略で、禁煙太りになったんだがな。
     
    この体験から、中毒は治せるけど
    依存は治らないんじゃないか? と思ったのだ。
    だって今でもタバコの代わりに、何か食ってるもん。
     
     
    そして、多くの依存は口によるもの。
    それが母親のおっぱいを吸う代替行為だとしたら
    もし生きるための栄養は全部、注射とかで済ませられる時代がきても
    人間は、一生口を使う事を止められないような気がする。
     
    食う、飲む、吸う、喋る、歌う
    人には何よりも口が必要なのかも知れない。
     
     
    依存は割に大事かもよ。
     
     
     

    評価:

    カンロ


    ¥ 1,200

    コメント:濃厚な甘みと塩けで、特別なヴェルタースをも押しのけ、キャラメルキャンディーのトップに君臨した! と私比で思う。 その分、カロリーもものすごいので用法用量には充分に留意するようにな。 ヘンな味を増やさんと、これを大事にせえよ、カンロ。 

  • 継母伝説・二番目の恋 44

    王妃が完食するほどに、公爵家の娘の料理の腕前は上がった。
    ほほほ、あたくしは何をしても天才なのよ
     
    悦に入る公爵家の娘の手の傷は消えていた。
    またひとつ、特技を手に入れた高貴なる姫君。
     
     
    公爵家の娘の手料理と、春になって暖かくなってきたお陰で
    王妃の体調は、すっかり良くなっていた。
     
    王妃の膨らんだお腹の中で、元気そうに動き回る子供に
    王も公爵家の娘も、出産が待ち遠しくてならなかった。
     
    「だけど、王妃さまにプレッシャーを与えてはなりませんわ。」
    「うむ、そうだな。」
     
    ふたりは打ち合わせて、“いつも通り” を意識した。
    こういう時は、ふたりで秘密の悪巧みをしてる気分になって
    何となくワクワクするのだが、そんな子供じみた事を言えるわけもなく
    どちらも大人ぶって、自分の胸にだけ隠しておいた。
     
     
    しばらく料理を作らないと、王妃が自分で作ると言い出すので
    公爵家の娘は、週に1度は厨房に入らなければならなかった。
    王妃は何故か、南国の料理人が作ったものと
    公爵家の娘の手料理を見分ける事が出来るのだ。
     
    専門家が作った方が美味しいのに、あの子は舌までもバカなのね
    公爵家の娘は、仕方なしに料理をしていたが
    その内に王までもが食べに来始めたので、手を抜けなくなってしまった。
     
    王妃の部屋では、王と王妃と公爵家の娘の
    3人での食事会が恒例となりつつあった。
    王妃が笑顔で食事を摂るのは、東国に嫁いできて
    かつてなかった事なので、この食事会を止めるわけにはいかなかった。
     
     
    “国一番の貴族の姫君が料理をしている”
     
    これは、宮廷ではスキャンダルである。
    いくら使用人たちが口を閉じていても
    各貴族の召使いたちの間では噂になる。
     
    口火を切ったのは、もちろん
    かの宿敵、ベイエル伯爵であった。
     
     
    「高貴なお方が、下々の真似事をなさっている、
     という信じられない与太話を耳にしましたが
     それは、わたしめの聞き違いですかな?」
     
    やっぱり、おまえが来るのね
    公爵家の娘は、予想の当たり過ぎについ笑ってしまった。
    それが神経を逆撫でしたようで、ベイエル伯爵は言い過ぎる。
     
    「それも聞くところによると、南国料理だそうで
     きつい香辛料で宮廷が土人臭くなって、かなわぬわ!」
     
     
    公爵家の娘は、落ち着きはらって堂々と答えた。
    「あたくしは王と王妃のためなら、畑とてこの手で耕しますわ。
     あなたにはそういう忠誠心がございませんの?」
     
    「下賎な者の仕事をする事が忠誠心かっ!」
    ベイエル伯爵の激昂に、公爵家の娘がサラリと応える。
    「王と王妃が望むのなら。」
     
     
    この答は、王の溜飲を下げたが
    そこまで言われて黙っているのも、威厳に関わる。
    王は、毅然と言った。
     
    「ベイエル伯爵、そなたは、わしの妃を軽んじているようだな。
     それはすなわち、わしを軽んじているのと同じであるぞ。
     言葉に気をつけよ。」
     
     
    ベイエル伯爵は返事をしなかった。
    しかし、吊り上った目尻、噛み締めた唇、震えるほど強く握り締めた拳
    その形相を見た誰もが、背筋を凍らせた。
     
    王も公爵家の娘も後悔した。
    いつかは諌めねばならない無礼な態度なのだ。
     
    だがそれが果たして、“今” で良かったのか・・・
     
    王と公爵家の娘は、心中で案じ合った。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事: 継母伝説・二番目の恋 43 12.10.4 
          継母伝説・二番目の恋 45 12.10.11 
          
          継母伝説・二番目の恋 1 12.6.4 
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  • 服の値段

    この前、某店に行ったらさ、服の安売りをしてて
    私、何故かバーゲンに行き当たらないんで
    喜んでチェックしてたんだよ。
     
    そしたら値札に “300” って書いてあって
    これは何の数字だろう??? と、しばらく悩んだんだ。
     
    私、長文を書くくせに長文が読めない、とかタワケてるだろ?
    実は算数も出来ないんだよ。
     
    特にパッと見た数字の単位、千・万・10万といったのがわからなくて
    そんな私が結婚時代に経理をさせられて
    電卓の数字が出るところの上部に “10万” と貼っていたら
    元夫に 「おまえはバカか!」 と、ものすごく怒られて
    “バカか?” じゃなくて、“バカ” なのに
    こいつは何を今更怒っているんだろう? と不思議だったのは
    私の戸籍にバツマークが付く由来。
     
     
    そんな恥ずかしい過去はどうでも良いとして
    値札をパッと見て、いくらだ! ってのが瞬時にわからず
    「1・・・、10・・・」 と数えている内に
    店員さんに、「それ、良いお色でしょうー?」 とか
    捕獲されるのも日常茶飯事である。
     
    あ、そういう時にどう逃げるかを伝授しとこうな。
    恥をかなぐり捨てろ!
     
    「これ、おいくらですかー?
     1・・・、10・・・、ええーーー、○円ー?
     すっごく良いけど、余裕がないのですみませんー。」
     
    私、関西に来てこれを言えるようになったよ。
    だって本当に貧乏になったんで、言わざるを得ない。
    それを置いといても、見込みの薄いヤツに時間を取られるなんて
    店員さんが気の毒だろ。
     
     
    そんな私のお財布事情もどうでも良いとして
    上の “300”、どうしても意味がわからず
    店員さんに訊きに行ったさ。
     
    実はそのパート3?4?
    とにかく、またいたらんカミングアウトだけど
    私、消費税の計算が出来ないんだよーーー。
     
    今、0.5%だっけ?
    値段を半分にして、その10分の1、という計算で良いんだよね?
    (これがバカの考え方である。
     お陰で私は、理解している事を人に教えるのは上手いぞ。)
    もし、この “300” が消費税だとしたら6000円?
     
    と、その札を凝視しつつ考えたさ。
    さあ、どっから言い訳をすれば良い?
     
     
    「すみませんー。 この服、おいくらですか?」
    と訊いたら、店員さん、値札を見て 「300円です。」
     
    そのまんまじゃん!!!
     
    思わず、「え? 何でそんな安いんですか?」 と訊いたよ。
    そしたら 「売れ残りなんですよー。」
    他人事とは思えずに、即買いしたさ・・・。
     
    でもさ、他人事じゃないのなら、この服も絶対にいたらんはず。
    ちょっと動いたらすぐ寝込む私のように
    1~2回着たらボロボロになるかも。
    と言うか、要ドライクリーニング素材なんだけど
    クリーニング代の方が高いはず。
     
     
    知人が言うには、「何でそういう事で悩むの?」。
    300円なんだから、数回着て捨てれば良いでしょ、って。
     
    私にはそれが出来ないんだ。
    お金には無頓着だけど物には執着するという、頭が悪い性格なので
    一度、自分ちに迎え入れた物は、大事にするんだよ。
    値段じゃないんだ。
     
    この300円の服も、安いから買ったわけじゃなく
    良いと思えたから買ったんだ。
    その証拠に、他にも300~500円の服があったけど、それは買わず。
     
     
    この服がすぐボロけたら悲しい・・・。
    そう悩み苦しむ私は、よっぽどなヒマ人なんだけど
    とりあえず長年の夢だった、「これ、いくらに見える?」 をして回ったよ!
    そう、関西人のお家芸、安さ自慢。
     
    結果、5000~6000円となった。
    安いもの探しがヘタな私だから、あなどられたのもあるだろうけど
    “300円” は服の値段じゃねえよな。
     
     
    にしても、今の服って価格破壊もいいとこだよな。
    私、裕福時代もファッションにはお金を掛けなかったんだけど
    それでも1着2~3万円のを着てて、それがアホみたいだ。
     
    ブランド好きだったんだけど
    今は全身、しまむらユニクロイオン、と
    中身も合わせて、私、2万円ぐらいの値段じゃないだろうか?
    臓器、売るほど健康じゃないし。
     
    “私” の値段、服の話になると、いつも言ってるよな。
    割に値段が下がらないのは、意地かもな。
     
    まだ7000円ぐらいで売れるはず、と信じてる!
     
     
     

    評価:

    XTRA


    ¥ 500

    コメント:ごめん、史上最低のレビューをするけど、これ何? “300円” で検索したら、これがデカい態度でトップに出てきたんだよ。 このブツブツも気持ち悪いけど、そんな堂々と来られたら貼らないわけにいかねえだろ。 で、おめえ、何?

  • 継母伝説・二番目の恋 43

    ウォルカーから小瓶が届いた。
    ケルスートに託された、南国の花の香料だそうだ。
    真冬のこの時期に、いくら暖かい南国とはいえ
    花のエキスを入手するのは、大変な事であろう。
     
    あの “権力者”、何といったかしら
    ああ、ケルスートね、さすがだわね。
    しかし公爵家の娘は、その小瓶を陽にかざしつつも不安だった。
    王妃がこれで、少しでも元気を出してくれれば良いのだけど・・・。
     
     
    姫さまがいらっしゃいます、という知らせを
    召使いから受けた王妃は、肩をピクッと震わせた。
     
    その萎縮ぶりに、思わず召使いは口を出してしまった。
    「これは噂ですけど、以前こちらで働いていた召使いたちは
     今は皆さん、西国で結婚して幸せに暮らしているそうですよ。」
     
     
    その “噂” を、瞬時に王妃が信じたのは
    公爵家の娘の日頃の態度によるところが大きい。
     
    どんなに威圧感があっても、冷徹でも
    王妃の側に来てくれるのは、語りかけてくれるのは
    公爵家の娘ただひとりだからである。
     
     
    公爵家の娘が部屋に入ってきて
    ご機嫌はいかがですか、とお辞儀をした瞬間に
    王妃が飛びついてきた。
     
    その勢いに押されて、公爵家の娘は後ろにいた召使いにぶつかり
    召使いは手に持ったクッションに乗せた小瓶を床に落としてしまった。
     
    落ちた衝撃で蓋が外れた小瓶は、部屋中に強い香りを放った。
    公爵家の娘は、むせ返る花の香りの真っ只中で
    この王妃のご乱心のわけがわからず、憮然としたが
    しがみついて、わんわんと号泣している王妃のせいで
    誰も身動きひとつ出来ずにいた。
     
     
    ようやく王妃が泣き止んだので
    公爵家の娘も、召使いに命じる事が出来た。
     
    「この匂いが取れるまで、王妃さまの代わりの部屋を用意して。
     この近くで空いている部屋は・・・、ええと・・・
     ああ、良いわ、あたくしの執務室を使って。
     あたくしは、図書室で執務をするわ。」
     
    「ううん、良い。
     あたし、この匂い、好き。」
    王妃が公爵家の娘に抱きついたまま、顔を上げて微笑む。
     
    あなたは良くても、他の者が迷惑なんだけど・・・
    まあ、ようやくご機嫌が直ったようだしね。
     
     
    公爵家の娘が無言で手を出すと、そこに召使いがハンカチを置く。
    涙でグチャグチャになった王妃の顔を、そのハンカチで拭きながら
    公爵家の娘は混乱していた。
     
    にしても、いきなり何なのかしら?
    この子のする事は、本当にわけがわからない。
     
    「何かお食べになります?」
    公爵家の娘の問いに、王妃がうなずいた。
    「うん、あたしのお友達に、あたしが料理する。」
     
    公爵家の娘は、その言葉を聞いてゾッとした。
    冗談じゃないわ!
    王妃に、しかも懐妊中に料理をさせるなど
    いくらあたくしでも、処分はまぬがれないではないの。
     
     
    あまりに動揺したせいか、思いもしない言葉が口から出てしまった。
    「王妃さまのために、今度はあたくしが作りますわ。」
     
    王妃は、ものすごく喜んだ。
    言ってしまった公爵家の娘は、これ以上にないぐらいに後悔した。
    このバカ娘に構うと、これだから・・・。
     
    足元から立ち上がる強い香りも手伝って
    公爵家の娘の頭は、脈を打つようにズキンズキンと痛んだ。
     
     
    緘口令を布いて、極秘裏に作った初めての料理には
    想像以上に苦労させられた。
     
    「・・・あんまり美味しくない・・・。」
    とスプーンをくわえた王妃が言った時には
    切り傷や火傷だらけの手で、絞め殺したくなる衝動に駆られたが
    それでも王妃がいつもより随分と食べてくれたので、諦めもついた。
     
     
    ・・・・・・・・が、
    「あたしのお友達、料理、上手くない、やっぱり、あたし、作る。」
    と言ったせいで、公爵家の娘は料理の勉強をするハメになる。
     
    これも仕事、これも仕事、王国の跡継ぎのため・・・
    ブツブツとつぶやきながら、本を片手にスパイスを振る公爵家の娘を
    あざ笑う使用人はひとりもいなかった。
     
    緘口令は守られた。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事: 継母伝説・二番目の恋 42 12.10.2 
          継母伝説・二番目の恋 44 12.10.9 
          
          継母伝説・二番目の恋 1 12.6.4 
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  • タレ巨乳の末路

    注: この記事は3段階にわたる巨乳ババアの
       乳救済イベントのレポートなので
       前2話をお読みになっていない方は
       まずは記事末の関連記事のリンク先に飛んで
       
       私の苦労を知るがいい!!!
       
     
    スレンダーナイスバディーFカップだけど老婆、それが私!
    マイ巨乳も、まだ末路に行き着いてはいないんだけど
    どうも遠くに “GOAL” と書いてある旗が見える気がする
    が、老眼なので定かではない。 ← あがき
     
    上の注釈を台無しにしたくて、今までのあらすじを端的に説明すると
     
    禁煙した → 太れた! → 乳がデカくなった気がする
    → 重みでタレた → 下着屋さんに行った → 怒られた
    → 緊縛プレイのような絞めつけブラを装着するハメになった
     
    まあ、こんなとこなんだが
    私の悲劇は、これをこの夏に体験しちゃった事。
     
     
    皆さまご存知の通り、今年の日本は暑かった。
    私が関西に潜入してから10年ちょい、
    その期間中、ダントツ一番の暑さだと断言できる。
     
    そんな夏に、タレた巨乳を支えるパワーを持つ
    ドデカいブラ通気性なし圧迫値MAXをつけたら
     
    まず、アセモができます!!!
     
    いやあ、今まで冷暖房完備・上げ膳据え膳の人生だったんで
    アセモになんかなったのは初めてだったよー。
     
    ちなみに乳児の頃もなった事はない、と故かあちゃんが威張っておったが
    夏でもクーラーいらずの山奥で生まれて、自動避暑になっとったので
    大自然の功績が大きいんじゃないか、と思ったけど
    口答えをしてはいけないので、黙っていたのは親孝行。
     
     
    乳下をボリボリ掻きむしりたいのを耐えていると
    次は吐き気がしてくるようになった。
     
    猛暑だし、バテるのもしょうがないんだけど
    運が悪いタイミングで、逆流性食道炎とやらになったらしい。
     
    まさか、ブラの締め付けのせいで・・・、と一瞬疑念が湧いたが
    人は苦労をすると、その苦労がしなくても良いくだらん苦労でも
    とても重要な事だと思い込もうとするので、私もそれに倣う。
     
     
    Q.こういう事をしてたら、どうなるか?
     
    A.痩せます
     
     
    ・・・そう、痩せたんだよ・・・。
    何かさ、前回書いた、ブラの中でスライムを飼ってる感触
    あれがなくなったんで、慣れたのかなとプラス思考で受け取っていたら
    どうもブラから盛り上がる乳の量が減ってるんだよ。
     
    痩せるのは困るけど、乳が減るのは構わんのだ。
    でも、樋口&漱石を引き換えにして入手したブラが
    2ヶ月間苦しんだだけでワヤ、って、あんまりじゃねえ?
     
    合うサイズのを買っていくのが、正しいブラ道なんだろうけど
    「緩めにしといてあげたから」 と、言ったあの店員さんなら
    今度はピッタリサイズを勧めてくるだろうし
    何より、もうブラはしたくない!!!
     
     
    あ、太れば良いじゃん、とか言うヤツに忠告な。
    肉は思う場所に付いてはくれないんだよ!
    きっとまた、下腹から付くに決まっとる。
     
    て言うか、元から痩せてるヤツって病気だと思う。
    食えない、太れない、と悩んでる人が結構いるもん。
    ここらへん、万人がわかりあえないのが悲しいよな。
     
     
    それはさておき、このセレブリティブロガーの私が
    単なるグチ記事を書くと思うか?
     
    ほんとすみませんほんとすみません
    いつもグチグチ言うた後に、関係ない方向に話をズラしまくって
    何が言いたいのか、ボケ老人の介護ボランティア状況を作り出して
    ほんとすみませんほんとすみません
     
     
    では、今回の収穫を受け取るがよい!
    (あれ? これ、年貢を納めてるっぽくねえ?
     おめえらが領主さま役かよ!)
     
    あのな、最近気付いたんだけど
    乳、ブラを替える前より、格段にタレちゃったんだ。
     
    これは痩せたのと老化が進んだのとのコラボかな
    と諦めてるんだけど、ひとつ疑念があってな。
     
     
    ほら、最初の記事に書いたと思うけど
    ブラを外した後、乳がちぎれそうに痛い、っての。
    これ、1週間ぐらい続いてなくなったんだよ。
     
    これも “慣れた” で済ましておいたんだけど
    重度のタレ乳になった今になって思うと
    あの、ブラを外した時の痛みって
    筋肉がブチブチと切れてるような痛みだったんだよ。
    いや、筋肉、切った事があるんかないんかわからんけど
    とにかく憶測だけで物を言っとるのは確実だがな。
     
    ブラの試着をしている時に、店員さんが
    「胸の重みで筋が伸びてしまってるんですよ」
    と言っていたんだ。
     
    と言う事は、おい、皆を広間に集めてくれ!
    ばっちゃんの名に懸けて真実はひとつ! かな? ← パクリのあげく弱気
     
    タレてる重い乳をブラで無理に上げて
    ブラを外す → 乳、重みで急下降 → 乳筋切れる → タレる
     
    こういう展開になったんじゃねえのか?
    つまり、タレ乳は上げたら2度と下げるな! と
    風呂とかどうすんの? 的な、不可能な真実が隠れてねえか?
     
     
    今回の土産話は、女性の未来を暗くしてしまって、すまんのお。
    でも、乳、上げたら倍下がってくれるような気がするんだ。
     
    でも、まだ衣類でどうにかなるから
    私は微塵のちゅうちょもなく、ナイスバディーババアを名乗るけどな。
     
    この話、続き (ただし希望あふれる) はあるんかのお・・・。
     
     
    関連記事: 巨乳ババア 12.7.25 
          Fカップの苦悩 12.8.16 
     
     
     

    評価:


    ¥ 880

    コメント:はい、締めブラが辛くて逃げに入りましたよー。 ヌーブラが出て、「あ、ブラを着けなくて良いんだ!」 と、日本女性たちの意識が変わったと思うんだ。 それまで寝てる時でもブラってたもんな。 ブラをしててもタレる時ゃタレるよ。

  • 継母伝説・二番目の恋 42

    南国の食材が届いた。
    南国人の料理人も、城へとやってきた。
     
    レシピだけじゃなく、料理人まで寄越すとは
    ウォルカーも、中々気が利いているわね。
    公爵家の娘は、ご満悦であった。
    これで王妃も精をつけてくれるはず。
     
     
    ところが、王妃は南国料理に喜びはしたものの、食が進まない。
    元からいる、城の料理長の面目は潰れなかったが
    調理場がスパイス臭くなって、怒り心頭である。
     
    「どういう事なの?
     地方によって味付けが違うとかではないの?」
    怒る公爵家の娘に、駆けつけたウォルカーは弁明をした。
    「いいえ、あの料理人は南国の宮廷にいた者なのです。
     王妃さまにとっては慣れ親しんだ味のはず。」
     
    「どういう事かしら・・・。」
    わけがわからず、イラ立って歩き回る公爵家の娘に
    他に方法がないか、ケルスートに相談してくる
    と約束をして、ウォルカーは急ぎ立ち去った。
     
     
    公爵家の娘は、王妃の部屋を訪れた。
    身篭った王妃は、世界で一番大切にされる。
     
    あの薄汚かった部屋も、今ではピカピカに磨かれ、暖房も利き
    居心地の良い、清潔で明るい雰囲気になっている。
    よし、皆、ちゃんと仕事をしているようね。
     
    チェルニ男爵領から来た召使いたちは、実によく働いた。
    田舎から出てきた “新参者” として
    古株の召使いたちを立て、異国の王妃にも敬意を払っている。
     
    さすがチェルニ男爵が選んだ者たち、抜かりがないわ
    公爵家の娘は、そこでも少しチェルニ男爵に敗北感を味わっていた。
     
     
    厚いひざ掛けをして、フカフカのソファーに緊張して座る王妃に
    公爵家の娘は優しく語りかけた。
    「王妃さま、何か不自由はございませんか?」
    王妃はただ首を横に振る。
     
    「お食べになりたいものは?
     暖かい部屋での氷菓子など、美味しいですわよ。」
    王妃はただ首を横に振るだけ。
     
    公爵家の娘は、そのオドオドした様子に
    溜め息を付かないように意識した。
    「そうですの・・・。
     何でもいつでも仰ってくださいね。」
     
    公爵家の娘は、部屋を出る時に、見送る召使いにコソッと命じた。
    「何かあったら、夜中でも連絡を。」
    はい、と召使いはお辞儀をした。
     
     
    王妃付きの召使いたちには、王妃のこの態度の理由がわかっていた。
    公爵家の娘はすっかり忘れていたが、召使いの処刑事件である。
     
    懇意になった、公爵家の娘付きの召使いたちから
    その話を聞いていたのである。
     
    王妃は公爵家の娘を恐がっている、と召使いたちは思っていたが
    王妃が恐かったのは、自分のせいで人が死ぬ事であった。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事: 継母伝説・二番目の恋 41 12.9.28 
          継母伝説・二番目の恋 43 12.10.4 
          
          継母伝説・二番目の恋 1 12.6.4 
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  • パソコン容量オーバー

    私のパソコンのハードディスク?が、日に日に溜まっていっている。
    空き領域のところが、赤く波打っているんだ。
    理由はわかるよな?
     
    <念のための注釈>
     私は10年以上ブログをやっているけど
     機械方面はその都度、人に丸投げしているので
     知識が何ひとつありません。
     よってこの記事は、聡明なる皆さんの脳内補完がないと意味不明になります。
     頑張って推理と想像で読んでください。
     特に “?” と記してあるとこ付近は、理解不能の危険地帯です。
     
     
    こ、これは最近になって作ったエロファイルが容量を圧迫してるのか?
    とも思ったけど、そんなはずはない!
     
    だって世間の一般的な男性は、ネットと言えばエロサイトで
    その上、ネットゲームで出会いもやってるだろうから
    私より遥かにパソコンのエロ容量が多いはず!
     
    んで、普通は写真や動画だろ?
    私が保存してるのは白黒のエロマンガなんだよ。
    もう、そこで重さ?が段違いに軽いはず。
     
    でも、私のパソコンのディスクの空き容量を見ると
    水がタプンタプンの赤潮状態。
    これはヤバいんじゃないんか・・・?
     
    とりあえず、適当に保存してあったエロマンガを
    鬼の目で、厳選して消しまくってみた。
    だが容量はまったく減らない。
    これは久々に専サポに頼るしかないのか・・・?
     
     
    親は言う。
    「便りがないのは元気な知らせ」 と。
     
    しかし、「便りは必ず嫌なお知らせ」 というのは
    人付き合いとして、やってはいけない事である。
     
    その毎回毎回が、「何か、すみませんーっっっ。」 から始まる便りを
    受け取るのって、どんな気持ちなんだろう?
    このような疑問が浮かぶのは、そんな非常識な事をする人間が
    この世に私しかいないからである。
     
     
    でもな、今回は違うお便りなんだよー。
    というのも、このブログを “スーパーブログ” から
    “エクセレントブログ” へとバージョンアップさせるには
    隠していた能ある爪のひとつ、“画伯・私” をお披露目しようと
     
    ・・・言葉の乱れが懸念されている昨今
    ブッチ切りで先頭を走っている気分になってくるんだが
    私の日本語、通じてるよな?
     
    とにかく、秘密兵器を買ったので
    それをダウンロードだかインストールだかやって
    私は何も考えずに即、使えるようにしてもらう
    という、目出度い目的があったのだ。
     
    その目出度い道具とは、テッテレーーー♪
    あ、ごめん、私ドラ衛門、見た事ないんで記憶があいまいだけど
    イメージ的にああいう感じで、私のカンガルー袋うわ自分で言って気持ち悪い
    ああいう感じで、掲げるよ。
     
    ジャーン、画伯変身ステッキ
    ペンタブレットーーー!
     
     
     
     
    これをエサにおびき寄せて、パソコンの赤潮も退治してもらうのさ。
    嫌なサプライズ仕掛け人と呼んでくれ。
     
     
    さて、専サポは驚愕していた。
    私が場を明るくしようと、ペンタブをプッシュしている横で
    まだ何も言ってないのに、勝手にコンピューターの空き領域を見て。
     
    いつもは、全任せしてDSをする私が
    今日は後ろにビッチリ張り付いているのも、不愉快なようだ。
     
    ・・・エロファイルを見られたら、私の権威が地に堕ちる!
     
     
    で、何か色々説明をされたけど、忘れた。
     
    とにかく、ダウンロードしたファイル?と
    作業?しているファイル?が重いんじゃないか?
    だったら、それはしょうがない、と。
     
    専門家に逆らうのも何だけど、私の勘がそれは違うと言っている。
    だって私は、本当に必要なものしかダウンロードしていないし
    パソコンの作業なんて、ブログしかやってないからだ。
    ・・・エロマンガ画像は隠し持ってるけど・・・。
     
    そこで、(エロ画像以外に) ヘンなものが絶対にあるはず! と
    何がデカい容量なのか調べてくれ、と食い下がったさ。
    私のエロファイルは、絶対にそんなに大きな容量じゃない。
     
     
    そしたら、あった!
    えーと、バックアップシステム?が、上書きされないで増えるシステム?で
    それを消してもどっかに何とか?っちゅう名で残る、みたいな?
     
    私の勘、さすが!!!
     
     
    ほーら、やっぱりヘンなのがあっただろ、と勝ち誇っていると
    「エロファイルはUSBに落とした方が無難ですよ。」
    と、思わぬカウンターをくらって、グフッッッ。
     
    ちゃんと見張ってたのに何で知られた? とビビったら
    ファイル名が “エロ” なので、すぐわかったそうな。
     
    ・・・そうだった・・・。
    保存する時にファイルを見つけやすいように
    しかも英語のスペルがわからなかったので
    カタカナで エロ と付けてたんだった・・・。
     
    お礼にわけてあげようか? と親切のつもりで言ったのに
    「見たくもないですね。」 と、静かに言われて
    自分が汚れた人間のような気持ちに。
     
    おめえは草食系じゃなくて草なんじゃねえのか?
    と、怒って自分の恥を誤魔化したかったけど
    自分自身が枯れ木なので、自爆はすまい・・・、と
    唇を噛みしめてこらえたさ。
     
     
    専サポ様、今回もどうもありがとうございました。
    次回もよろしくお願いいたします。
     
    ちなみに、ペンタブ魔法は
    画伯になるまで、数ヶ月掛かる長期戦になりそうだ・・・。
     
     
     

    評価:

    ワコム


    ¥ 14,488

    (2011-10-03)

    コメント:買うたぞ、これを! 自称文豪から自称画伯に成長するために! 使いにくいのは、手元の線がモニターに出るから。 いわゆる絵描きのブラインドタッチが出来るかどうか、だな。 大丈夫! 慣れたら絶対に出来る! 昨日買った私はまだ無理グヘヘ