• 継母伝説・二番目の恋 41

    廊下を優雅に歩く公爵家の娘に、前から来た貴婦人が挨拶をする。
    「姫さま、ご機嫌よう。」
    「寒くなりましたわね。」
    にっこりと穏やかに微笑む、公爵家の娘。
     
    私室に入った途端、ソファーに走り寄り
    クッションにパンチを数発くらわせる。
     
    おお・・・、いけないいけない
    このクッションばかり殴ったら、傷みで召使いたちにバレてしまうわ。
    公爵家の娘は、クッションを入れ替えた。
    均等に殴る事にしましょう。
     
     
    公爵家の娘の荒れの理由のほとんどは
    ベイエル伯爵のいつもの突っ込みである。
     
    「南国との協議は、まあ仕方がないとしても
     南国に一番近い地の領主を差し置いて
     どこぞの姫君が一枚噛んでいる、という話は許せませんな。
     南国との協議よりも、南国の娘とお遊びになっていればよろしいのに。」
     
    これをすれ違いざまに早口で言われるので、たまらない。
    振り向いて追いかけて反論をしていると
    こっちがケンカを売った、と周囲に誤解されかねない。
     
    他の者の目がある場所で言ってくれれば良いものを・・・
    いえ、そんなバカな嫌がらせは、王の叔母ぐらいしかしない。
    あやつ、いっその事、死んでくれないかしら!
     
     
    その瞬間、公爵家の娘はノーラン伯爵を思い出した。
    自分を真っ直ぐに見つめてきた、あのまつげの長い青年。
     
    王妃の妊娠や、南国との国交など色々とあったとはいえ
    すっかり忘れていた自分の薄情さに、気分が沈む。
     
    と同時に、最近見かけないチェルニ男爵の事も気になった。
    大丈夫かしら?
     
     
    「今は王妃さまの事に集中した方が、よろしいかと思われます。
     ベイエル伯爵は、南国国交に不満を溜めているようです。
     あのお方は激しい差別主義者ですからね。
     これ以上、刺激をしない方が安全かと。」
     
    チェルニ男爵は、普通に宮廷にいた。
    山羊の紋章の調査はどうなったのかしら・・・?
     
    公爵家の娘のいつもの強い眼差しに、不安の影が宿っているのを
    チェルニ男爵は見逃さなかった。
    「どうか、わたくしを信じてくださいますよう。」
     
    それは、確かにチェルニ男爵の気遣いであったのだが
    公爵家の娘には、まるで目の前でドアを閉められたかのように感じられた。
     
     
    資料室を後にし、長い廊下をポツポツと歩き
    ふと窓の外の木の枝に、何とか残った枯れ葉が揺れているのを見た時に
    心の隅に、突然寂しさがこみ上げてきた。
     
    チェルニ男爵は何だかズルい!
    すべてを見通しているかのごとく、あたくしの先を先を読んでいる。
    そして、あたくしに反論する機会を与えない。
     
    王もズルい。
    お父さまも、肝心な事はあたくしには教えてくださっていない気がする。
     
    ノーラン伯爵も、あたくしに指輪を渡して何をしたかったのか
    “男” というのは皆、こんなものなのだろうか?
    だから女には政治は出来ないのだろうか?
     
    いえ、あたくしがバカなのだろうか・・・?
     
     
    自分がただひとり、冷たい風が吹きすさぶ荒野に立っているような
    そんな、寂しくてたまらない時がある。
     
    公爵家の娘の、そういった落ち込みは
    その若さにそぐわない自信を持っているせいであった。
    優れた人間など、世の中に大勢いるのだ。
     
    生まれつき、色々なものを持っている者は
    自分がまだほんの蕾だなど、思いもしない。
    だから時々、見え隠れする現実に気付いては傷付く。
     
     
    気付くと、さっきまであった枯れ葉がなくなっている。
    飛ばされてしまったのね・・・。
    公爵家の娘は、一瞬で起こる変化というものを
    目の当たりにした気がして、身震いをした。
     
    男性が優位であるのは、わかりきった事。
    嘆いて、それが変わるわけでなし
    あたくしにはあたくしの分というものがあるのだわ。
     
    とにかく、あたくしはあたくしのなすべき事をせねば。
    公爵家の娘は、再び足を踏み出した。
     
     
    公爵家の娘の、先ほどとは違う足取りに
    柱の影のチェルニ男爵は感心し、また安堵もした。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事: 継母伝説・二番目の恋 40 12.9.26 
          継母伝説・二番目の恋 42 12.10.2 
          
          継母伝説・二番目の恋 1 12.6.4 
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  • 禁煙をしたい人へ

    まずは、ここの カテゴリー禁煙 の記事を読んでください。
     
     
    こういう経過で私は禁煙したわけだけど
    もう今は、「禁煙した」 とは言いたくないんだ。
    「昔はタバコを吸っていた」 みたいに言いたい。
    そんぐらい、私の人生にタバコはナシになっているんだよ。
     
    だけど禁煙して、1年ちょいぐらいは
    まだ 「吸いたい」 と思っていた。
     
    ・・・いや、これは正確な表現じゃないな。
    “間が持たない” みたいな時がある、って感じかなあ。
    うーん、昔ならここで一服して、気持ちの切り替えを出来たのに
    という残念さが、たまに起こってたんだ。
     
     
    これは、習慣を止める時の、心の誤作動だと解釈しているけど
    今になって思えば、喫煙は “気持ちの切り替え” とか言いつつ
    しなければならない事の先延ばしの、良い理由になってたんだよ。
     
    あー、次これをしなきゃならない
    (めんどくせー)(休憩ぐらいしても良いよね)
    んじゃ、一服したら、するとしよう。
     
    で、タバコに火を点ける。
    ほんの1服だけのつもりが、ヘタすりゃ2~3服して、ようやく腰を上げる。
     
    こういうダラダラも、そんなに悪行ってわけじゃないけど
    喫煙しない今となっては、ちょっと止まるための理由がないんで
    ひとつひとつの作業が、ものすげえ時間短縮になったんだ。
     
     
    喫煙による弊害なんて、いくらでも言われているけど
    実際に経験してみると、このように意外なメリットにも気付く。
    やっぱり喫煙、良い事1個もなしである。
     
    これは止めたヤツの言い草か?
    いや、喫煙してる時点で、皆もう気付いているよな。
    私も知っていて、それでも禁煙する気になれなかったよ。
     
    その一番の理由は、喫煙が好きだったから。
    健康の害にも一切興味なしの、年季の入ったヘビースモーカーだったんで
    禁煙できる気が、まったくこれっぽっちもしなかった。
     
     
    私の元彼たちは、皆喫煙者だったが
    チェーンスモーカーの私を見ていて、全員が 「節煙しよう」 と言う。
    言わなかったヤツは、ひとりもいない。
     
    それで、何度も節煙には挑戦したんだけど
    これ、止めた方が良い。
    “節煙” は、まず挫折する。
    そんで挫折する度に、その後の喫煙本数が増えるんだよ。
     
    どうも、“いつでもどこでも吸えない” という縛りが
    抑圧となって、吸える時により多く吸ってしまうみたいなんだな。
     
    節煙は、喫煙行為依存者はまず成功しないはず。
    そしてその挫折感が、禁煙の不可能感にそのままスライドするんで
    節煙はしない方が良い、と忠告する。
     
     
    と同時に、軽々しい禁煙もするべきではない。
    あー、健康にも悪いし、値上がりするし、止めなきゃなー
    という気持ちでは、止められない。
    禁煙の理由は色々あれども、問題はそれに人生を懸けられるか? だ。
     
    タバコでガンになる、というのは、私には他人事だったよ。
    これがズキッと来る人なら、ネットで喫煙者の健康を調べれば良い。
    マジで命がけな事を書いてあるんで、止められるかも。
     
     
    私の場合は、一番の理由は 「タバコを買うお金がない」 なんだけど
    そんな最下層のヤツの話をされても困るだろうし
    覚せい剤常用者が、耳かき1杯の粉に高額紙幣を出せるんだから
    いざとなったら、お金はどうにか工面できるものなんだろう。
     
    私の場合の次の理由は、それをしないプライドだった。
    私はプライドの低い人間なんだけど、それでもゼロじゃあないんだ。
    その少ないプライドを突付かれたので、禁煙に踏み切ったんだよー。
     
    「もうこれ以上、嫌われながら税金を払いたくない」
    「他のドグラな喫煙者と同類だと思われたくない」
    はいはい、何様すまんが、本気でこう思ったんだ。
     
    世が民主党政権だったのも、功を奏したなあ。
    あんな政権に余分な税金など払いたくなかったし。
     
    それを失くしたら生きてる価値ある?レベルの
    最後の少ないプライドを懸けたんで
    禁煙した途端、成功するとわかっていたよ。
    自分の存在意義を懸けての勝負だから、負けるわけにはいかないだろう?
     
     
    こんな大層な理由を見つけろ、っちゅうのも、えれえ酷な話なんで
    経験上の、禁煙の真実を書いとく。
    他の記事と重複してるけど、何度でも訴えたいんで何度でも聞いて。
     
     1. ニコチン中毒は2~3日で抜ける
     2. 禁煙成功率データは意味なし
     3. 禁煙外来、ニコチンパッド等は必要なし
     4. 禁煙は簡単に出来る
     
    1は、不安なら禁煙前に1mgに落としておけば良い。
    本数が増えようが、しょせん1mgだから。
     
    2は、禁煙セミナーみたいなとこの宣伝が多い気がする。
    独自でやった禁煙成功率は5%とか聞いたけど、絶対に嘘だぜ。
    あいまいな気持ちで何度も禁煙に挑戦して、挫折しているヤツが
    ひとりで成功率を下げている、とみた。
     
    3は1と一緒で、禁煙前に1mgにしとけば必要なし。
    1mgでやっていける程度なら、中毒の内に入らない。
    1mgにしている最中に、ちょっと辛いだろうけど
    “吸う行為” は持続できるんで、まだラクだぞ。
    ちなみに、風邪を引いた時に落としていくのがコツ。
     
    4、結論はこれ。
    出来ないヤツは、禁煙する必要がないんだよ。
    とりあえず挑戦、とかして挫折感を積み重ねたら
    禁煙は永遠に不可能になるんで
    切羽詰った理由が出来た時に、一発勝負で挑め。
     
     
    どうしてもそういう理由が作れない時は
    環境が変わる時を利用して、ついでに禁煙してみれ。
    就職、転職、リストラ、結婚、離婚、引越し、病気 等々。
     
    刑務所に入ったら、好き勝手に喫煙なんて出来ないだろ?
    まあ、裏事情はどこにでもあるとして
    これを考えても、喫煙は簡単に止められるものなんだよ。
    簡単じゃないんなら、禁煙でイラついて暴動が起きるはず。
     
     
    ・ 自分を納得させる
    ・ 自分の欲をコントロールする
     
    これが禁煙の正体だぞ。
     
     
    私はこういう風に自分を追い込んで、喫煙を人生から追い出した。
    私のリアル周囲でも、偶然にも同時に禁煙が流行したけど
    全員成功しているよ。
     
    禁煙、頑張れ!
     
     
     

    評価:

    タバコヤ本舗


    ¥ 2,000

    コメント:1日3箱のヘビースモーカーだったけど、禁煙成功。 その時にこれに助けられたよー。 ニコチンより “吸う” という行為の方に依存している、と思い知ったんで、禁煙にはニコチン補充系より、“吸う” の代替行為をお勧め。

  • 継母伝説・二番目の恋 40

    南国との会談が始まった。
    大使には、中央の有力貴族が任命されたが
    東国南部の王の領地が、貿易の拠点になった。
     
    南国人街の “権力者” は、南国からの輸入品の
    東国内での管理を命じられた。
     
    その任命式で、遠目に見た王の後ろに
    見覚えのある女性がいるような気がしたが
    それはひとりの男性の登場によって、確信へと変わった。
     
     
    「よお。」
    平服を着たその男性は、あの時身分の高そうな女性と供にいて
    自分を脅した張本人であった。
     
    「あんたは・・・。」
    「俺は城の兵士だ。
     今後しばらく、あんたと共に動けってさ。
     ウォルカーって名だ。 よろしくな。」
     
    「監視かね?」
    “権力者” は、不愉快そうな顔をした。
     
    「いや、貿易ルートが速やかに整うように現場であんたを手伝え、とさ。
     これは姫さまの純粋な御厚意だぜ。
     俺の任務は、姫さまが欲しいものを揃える事なんだからな。」
     
    「姫さま?」
    ウォルカーは、声をひそめた。
    「食の細い王妃さまに、南国の料理を食べさせたいんだと。」
     
     
    その言葉を聞いて、一瞬で多くの事を理解できる頭を持つのが
    “権力者” でいられる理由であろう。
     
    南国から来た王妃は、その頭の弱さゆえに
    この国一番の貴族の姫が、王妃に成り代わろうとしている、
    という噂があるからだ。
     
    先日来た女性が、その “姫さま” か!
     
    だとしたら、今回の南国との突然の国交開始は
    隠密行動までしていた、その姫さまの意向としか考えられない。
     
    その理由が、南国出身の王妃の食事?
    取って代わろうとしている相手の食事のために
    貴族のお姫さまが、あんなところまで自身で来るものか?
     
    噂とは、このようにアテにならない事もあるのが恐いな
    “権力者” は、愉快そうに笑った。
     
     
    肌の色が違う、というのは相容れない原因のひとつである。
    東国人の肌は卵色のせいか、まだ “あたり” も柔らかく
    南国人が安心して暮らせる、専用区画も作らせてくれたが
    真っ白な肌の西国人は、南国人を容赦なく奴隷扱いすると聞く。
     
    東国の王は、南国の姫を王妃にし
    東国の姫は、南国出身の王妃の体を心配する。
     
    貧困ゆえに、生まれ故郷の南国を出て
    外国に移り住んだ己の不遇を、嘆き悲しむ事も度々あるが
    この国にいるわしらは、案外幸せなのかも知れんな。
     
     
    “権力者” は、報酬目当てだけではなく
    この与えられた役目に、誇りを持とうと思った。
     
    「わしはケルスートと言う。
     よろしくな、ウォルカー。」
    “権力者” こと、ケルスートは右手を出した。
     
    ウォルカーはその手を握り、微笑んだ。
    「ああ、お互いのためにも、上手い事やりとげようぜ。」
     
     
     続く 
     
     
    関連記事: 継母伝説・二番目の恋 39 12.9.24 
          継母伝説・二番目の恋 41 12.9.28 
          
          継母伝説・二番目の恋 1 12.6.4 
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  • ゴキブリ予防

    結婚していた20年前の話。
     
    結婚してすぐに家を新築したんだけど
    その近所の家の塀に、夜になるとゴキブリが数匹もいて
    これがうちに来たら・・・、とガクブルものだったんだよ。
     
    でも元夫は建築業者で、その “専門家” が言うには
    「ゴキブリは白蟻駆除をしていたら出ない」 と。
     
    現にうちも近所にゴキブリ塀があったけど
    白蟻駆除を専門業者に頼んでしてもらってたので、ゴキブリは出なかったんだ。
    代わりに足長バチやコウモリや野鼠やムカデは出まくったが・・・。
     
     
    それがある日、ゴキブリが出た。
    元夫も虫嫌いだったので、どっちが殺るかで争ったけど
    その時の醜い押し付け合いはさておき
    これは白蟻駆除剤の効果がそろそろ薄れてきた、という目安らしい。
     
    そこでさっさと白蟻駆除剤を撒布し直してもらったので
    またそれから、ゴキブリは出なくなった。
     
    あの時は、大体5年で効き目が取れて
    再散布は、60坪の床下で5~10万ぐらいだったような。
    20年以上前の地方都市で、まあこんなもん。
     
     
    白蟻は蟻じゃなく、ゴキブリと同じ仲間らしく
    もうそれだけで、今までよりも何倍も白蟻が嫌いになったわけだけど
    “駆除” という観点から言うと、“蟻” が一番死ににくいそうな。
     
    蟻じゃないけど、白蟻の駆除剤も
    床下に撒いたり、柱に注入したりしてもらうんだけど
    その強烈な薬品臭が何日も続いて、こっちが駆除されそうだったよ。
     
    あれはペットや子供がいる家庭は無理かも、と思ったけど
    今は天然の材料で出来てる駆除剤もあるそうな。
    それはそれで、ナチュラル臭そうではあるけど。
     
     
    でも、ちょっと調べてみたら
    ゴキブリが出るところと、白蟻が出るところは違う。
    白蟻は床下メインのテリトリーだけど
    ゴキブリは人間の生活圏全体、天井にもいる、とな。
     
    そこで、白蟻駆除業者のサイトの業務一覧には
    “ゴキブリ駆除” という項目も出来ていた。
    なるほど。
    マンションなら、この駆除だけで良いわけだな。
     
     
    ゴキブリは、家庭内で生まれ育つわけではなく
    自然界に生息しているそうな。
     
    つまり、そこらの公園で草花に囲まれてキャッキャウフフやってて
    腹が減ったら、人様のおうちに忍び込んで飯を食い
    そこに居付いて繁殖する、とんでもないアリエッティなのだ。
    だから近所に公園がある家は注意、って、うちもだよ!
     
    出たら、置き型タイプの毒や来い来いハウスで殺し
    ゴキブリが入り込むであろう隙間に、殺虫剤を定期的にかける。
     
    この “隙間” っちゅうのが、2mmあればオッケーとか
    もう家を真空にせんと防げんレベルなのが、おおごと。
     
    サッシの隙間や換気扇部分は厳重に
    何とエアコンの室外機から入り込む場合もあるそうで
    その能力を、人を恐怖に陥れるためだけに使っているなど
    私以上に才能の無駄遣いをしているヤツを初めて見たよ!
     
     
    と、これぐらいが今のところ私が持つゴキブリ情報かな。
    ゴキブリ出現を、安易に隣近所のせいにしないようにな。
    ゴキブリは元々野の生き物らしい。
    カラスと似たような共存なんだな。
     
    あ、ひとつ元夫に聞いた豆知識。
    白蟻は桜の木に寄って来るそうな。
    だから庭に桜の木は厳禁だぞ。
    桜の木がつきものの学校や公的機関のご近所さんは
    白蟻駆除に力を入れるんだぞ。
     
     
    あ、もういっちょ、虫と全然関係ないけど庭つながりで
    庭木とか庭石を捨てる時は、お祓いをした方が良いそうな。
     
    建築業者って、そういう迷信を異様に重視するけど
    それは自分が痛い目に遭うからだそうな。
     
    元夫は現実主義とやらだったけど、井戸を適当に埋めて
    その現場で事故が続き、とうとう本人がはしごから落ち背骨を折ったので
    それ以来、「危ない橋は渡らない」 ようになり
    いちいちお祓いをするようになったんだよ。
     
    常日頃から私が、「するな、と言われてる事はするな」 と言っているのは
    信じる信じないに関わらず、理不尽な厄災ってのがあるからなんだ。
     
    日本は八百万の神の国・・・
    建築業で実感したとは。
     
    えらい話がズレたのも、このブログのいつもの災い。
     
     
     

    評価:

    広洋株式会社


    ¥ 890

    コメント:あっ、これ良いかも知れない。(だから “レビュー” の意味がわかっとんのかと) ホイホイは中にいるし、ホウ酸団子は死体の行方が不安だし、アシダカグモはまずおめえが恐え! なので、嫌がらせ目的の消極的措置が一番無難だと思うんだ。

  • 継母伝説・二番目の恋 39

    城に戻った公爵家の娘を待っていたのは、大臣たちの説教のはずであった。
     
    公爵家の姫、しかも王の側室ともあろうものが
    マトモな供も付けずに、荒くれ兵士数人だけで街に出るなど
    あってはならない事だからだ。
     
    しかし、誰も何も言わない。
    説教の場になるであろう会議場に、呼ばれもしない。
     
     
    「それは、わしが命じた、と言ったからだ。」
    王が威張った。
    「これで貸し借りはなしだな。」
     
    公爵家の娘は、まあ! と喜んだ。
    「ありがとうございます。」
    と、ドレスの裾をつまんで、お辞儀をする。
     
    「では、あたくしからもお土産を・・・。」
    扇で口元を隠す公爵家の娘の目は、陰謀に満ちている。
     
    王はその目を見ただけで、内心ワクワクしたが
    何もないようなそぶりで人払いをした。
     
     
    「早急に調べていただきたいのですけど
     恐らく、南国国境沿いの領主は密輸をしておりますわ。」
    「何?」
     
    驚きはしたが、以前から南の方に
    小さい領地の割には、羽振りが良さそうな領主がいるのは
    王も薄々は知っていたので、公爵家の娘のその勘は当たっているであろう。
     
    「これを機に、密輸の旨みをなくしておしまいになったら?」
    「南国と正式に商取引きをしろ、という事か。」
    「ええ。」
     
     
    王は考えた。
    確かに表立った交流のない南国との付き合い始めに
    王妃は良いきっかけになるはずだった。
     
    それが出来なかったのは、王妃が予想外に反感を持たれたせいで
    その挽回に、今回の妊娠はまたとない機会である。
    密輸で儲ける者がいるなども、聞き捨てならない。
     
    「ふむ、では国交を深めるとして、その任をどうするかね?
     そなたの父を西国から呼び戻すか?」
     
     
    公爵家の娘の返事は、意外なものであった。
    「いえ、心情的には父に戻って来てほしいのですけど
     商いに長けた西国を相手に回して安心な者が、他に思い浮かびません。
     せめて関税の問題の決着が付くまでは、西国には父に詰めてもらわねば。」
     
    「では、誰か適任はいるか?」
    「・・・あたくしが思うに、この件は王さま所縁の者に任せるべきかと。
     他の貴族は、南国を軽んじ過ぎております。」
     
    王は引き出しから地図を出した。
    各領地の主がひとめでわかる地図である。
     
    「ほら、ここの端に王家の領地がありますわ。
     南国との境い目にもかかってますわよ。」
    「ここの領主は・・・、確か大人しい男だったぞ?」
    「あら・・・。」
     
     
    公爵家の娘は、困ったわね、弱腰じゃ外交は難しいわね、と悩んだ。
    が、すぐに妙案が浮かんだ。
    「でしたら、南国人街を取り仕切っている者を
     王さまが直接動かしたらどうでしょう?」
     
    王も、公爵家の娘の話す “権力者” に興味を惹かれた。
    「ほう、民の間ではそういう事になっているのか。」
    「ええ。 どこの世界も似たようなものですわね。」
     
     
    ふたりで政治の話で談笑する。
    それは、理想的な王と王妃の姿であった。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事: 継母伝説・二番目の恋 38 12.9.20 
          継母伝説・二番目の恋 40 12.9.26 
          
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  • 白い靴

    赤い靴なら、良いじいさんかひいじいさんに連れられて行くが
    (念のための注釈 : 本当の歌詞は “異人さん”)
    今日は “お迎え” と言えば鎌かつぎ骸骨が来るババアの、白い靴の話。
     
     
    ナイスバディーの私は、もちろん足も美しい。
    横幅も狭く、外反母趾もなし。
     
    私の足に合わないのは靴の方が悪いのよ!
    と、アントワネット以上の高飛車さで靴をデザインのみで選んでいた。
     
    さて、ここで残念なお知らせが。
    ババアになると、もれなく足が痛くなる!
     
    今まで履いてた靴たちが、前触れなく痛くなる。
    家を出た時は平気でも、歩いている内に痛くなる。
    何故か平気な日もある。
     
    ・・・何で老婆の靴が横幅が広く、靴底が厚いブサイクデザインか
    よくわかったよ・・・。
    あれは “足に負担がない”、これに一点特化した機能だったんだな!
     
     
    そこで、昔まだちょっとは動く気力があった時代に買った
    黒いウォーキングシューズの出動出番が増えた。
    これだと、ほんとラクなんだ。
     
    そもそも、避暑地にご静養にいらっしゃってる深窓の令嬢風味な私の
    足の皮が硬いわけがないもんな。
    そりゃ痛くもなるよな。
     
    ツラの皮だけは厚いがな。
    いっそ顔に靴を履きたいよな。
    ドやかましいわ!
     
     
    という感じで、最近の私は歳に甘えて
    ラクな、そのウォーキング靴ばかりを履いている有り様である。
     
    他の手持ちはファッションブランドの、デザイン重視のとかばかりなんだよ。
    大事に履いているんで、20年前に買ったのすら現役さ。
    でもそいつら、格好良い代わりに足にとても厳しいんだ。
    中敷きとか試してみたけど、虚弱足をフォローしきれねえ。
     
     
    んで、重さも気になり始めた。
    ババアの足に、ファッショナブルな鉄下駄は無理!
     
    だったら、“運動靴” というのを買えば良いんじゃないか?
    黒はあるので今度は白!
    と思いつくのは、自然な流れ。
    よって最近は、白い運動靴探しの旅に出ているんだ。
     
     
    私の靴の好みはさ、細身のデザインなのだ。
    そういう形が足に悪い、とはわかっているんだけど
    運動靴の形、モサッとしてるよな。
    んで、高いの!
     
    たまに、お、これ良いな、と思ったら2万超えで
    自分の見る目の確かさを思い知ったさ。
     
    だけど私の経済力は貧の一字なので、好みじゃないジャンルには
    なるべくなら、お金を掛けたくない気持ち、わかるよな?
    運動靴だから、3千円台で考えてたんだけど
    ほんとナメててすいませんでしたーーーっ!
    運動靴、高い! すっげえ高い!! 良さ気なやつほど高い!!!
     
     
    人に訊いて回ったら、どこどこの何とかシリーズ?が割に細身かも
    とか、絶対に覚えられないメーカー名やブランド名を言われまくり
    しかも人それぞれにこだわりがあって
    運動靴の世界も奥が深いんだな・・・。
     
    ニュースを観てたら、オリンピックのボクシングの試合があって
    ボクシンズシューズなら柔らかいかも
    あっ、F1のドライビングシューズも軽そう
    と思ったけど、幅広く売られてないのは余計に高いよな。
    てか、靴底薄そうだからダメだな。
     
     
    最初は気軽に、「3千円台で」 とか考えていた
    自分の好みとはかけ離れたデザインの運動靴。
     
    足の健康を重視して、諭吉発射をするべきか?
    それとも、好みのデザインに会えるまで旅を続けるべきか?
     
    3千円だろうが万超えだろうが、値段に関係なく
    買ったものは大事にするんで、10年は余裕で持つ。
    だから出来れば、好きなのを買いたい。
    けど、運動靴は好みのがほぼない。
     
    何より、クールエレガント意味不明ババアを目指しているのに
    “運動靴” って、どうだろうか?
     
     
    ズラリ並んだ靴たちを前に、色々と考えすぎて混乱して
    フラリ入った靴屋さんから、ヨロヨロと手ブラで出る日々なんだ。
     
    皆なら、どうする?
     
     
     

    評価:


    ¥ 4,800

    コメント:パンクファッションをしてた数十年前に、こういうのを履いていたよ。 女性でもメンズライクなファッションなら、意外と幅広く合わせられるデザインだけど、ババアの脚力では無理だな。 軍系靴はむっちゃ重いぞ。

  • 継母伝説・二番目の恋 38

    男性が案内したのは、普通の民家であった。
    南国人特有の黒い肌をした家主は
    公爵家の娘をひとめ見て、ただ者ではない、と察したようで
    言葉少なに歓迎の意を表しようとした。
     
    「これは、どちら様か存じ上げませんが、こんなあばら家に・・・」
    公爵家の娘がさえぎる。
    「挨拶など、どうでもよい。
     おまえが南国人街の権力者か?」
     
    「ここは私が・・・。」
    スッと前に出た兵士が、何事かを家主にささやいた。
     
    「わたくしめに出来る事がございましたら
     お言い付けくださいまし。」
    太った中年男である “権力者” は、床に両手両膝を付いて頭を下げた。
     
     
    「南国の食事を作りたい。」
    公爵家の娘の言葉に、権力者は驚いた。
    そして言いにくそうに、無理だと告げた。
    材料の入手が困難だと。
     
    「だけど、このかすかに香る匂いを、あたくしは知っているのよ。
     この家には南国のスパイスがあるわね。」
    その “匂い” は、城に来た頃の王妃から香っていたものである。
     
    公爵家の娘は、辺りを見回した。
    南国との交易は認められてはいない。
     
    そういう国とは、通常は王妃が国交を進めていくべきなのだが
    何せ、うちの王妃は “ああ” だから、頓挫しているのよね。
    だから多分、密輸ね。
     
     
    「あたくしが “お願い” しているのよ。」
    この言葉に、“権力者” は即座にすべてを喋った。
     
    この者、時勢を見るに機敏だわね。
    まあ、そうじゃないと権力は持てないものね。
    公爵家の娘は、秘密保持と協力の引き換えに
    “権力者” の地位を守る事を約束した。
     
     
    実際に、秘密裏に動くよりも、“お墨付き” を貰う方が
    “権力者” も本物の権力を手に入れる事になる。
    ありがたい取り引きであったが、そんな奇跡のような事が
    南国を軽んじる東国で起きるとは、信じられなかった。
     
    “権力者” は、兵士にコソッと正体を訊く。
    兵士は答えなかったが、後日、真実を知って腰を抜かすハメになる。
     
     
    帰り道に、公爵家の娘は兵士に訊いた。
    「あの者に何を耳打ちしたのだ?」
     
    兵士は事もなげに言った。
    「このお方に逆らうとこの街が丸ごとなくなる、と申しました。」
     
    公爵家の娘は、その言葉を当たり前のように聞き流した。
    実行するかしないか、は別として
    それは公爵家の娘には不可能ではないからである。
     
     
    代わりに、もうひとつ訊く。
    「おまえの名は?」
     
    その問いに、一瞬固まりかけるも
    慌てて馬から降り、地面に額をこすりつけて名乗る。
    「ウ・・・、ウォルカーと申します。」
     
     
    他の兵士も動揺した。
    身分ある者に名前を訊かれる、という事は立身出世を意味する。
     
    何故ならば、上流貴族にとっての兵士は
    いくらでも代わりの利く駒でしかないからである。
     
    使い捨てるものに名前などいらない。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事: 継母伝説・二番目の恋 37 12.9.18 
          継母伝説・二番目の恋 39 12.9.24 
          
          継母伝説・二番目の恋 1 12.6.4 
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  • パンティーはエロ用語です!

    だって私の周囲で、「パンティー」 と言う女性、いないもん。
    皆、「パンツ」 なんだ。
     
    “パンティー” という単語を聞くのは、時折男性が
    「何て言うの? その、女性の下着、パ、パンチー?」
    とか説明に困っている状況しかない。 (注: 老人間の会話)
     
    下着屋さんでは、“ショーツ” とか “アンダー” とか
    ものすごく統一感がないので、もう投げやりに
    “パンツ” と言っている女性が多いと思う。
     
    この “パンツ” も、ファッション用語で “ズボン” 系の事を言うんで
    区別に困る事がよくある。
    どっちも同じく股ぐら付近に着ける衣類だし
    もう、どう表現したら良いのやら!
     
     
    ちなみに、ファッション用語だけど、替わり過ぎじゃねえ?
    この話、もう何回目かも忘れたけど
    怒っても怒っても怒り足りないよ!
     
    “スパッツ” が “レギンス” に変身したのは記憶した。
    そしたら今度は何だ?
    ロシアの民謡みたいな名前になってねえ?
     
    嫌! 調べたくない。
    どうせ一生懸命に覚えても、来年あたりにはまた替わってるんだろ?
    私の脳は、ものすんごい低容量なんだよっ!
     
    私が若い頃は、こんなに用語が氾濫してたかなあ?
    少なくとも移り変わりは、もっとゆっくりだったような。
     
     
    あ、もういっちょ脱線させて。
    靴な、大きめか小さめで迷ったら、絶対に大きめを選ぶんだぞ!
     
    靴屋さんは、「革靴は伸びる」 と言うけど
    伸 び ま せ ん !
     
    これをこの前、言い返したら
    「本革の靴の話ですよ?」 と言われた。
     
    ・・・・・・・・・・・・・・
    このクソ女性の店員さんめ!
    私の時代は、靴は本革が主流だったんだよ!
    合皮なんて技術が出回ったのは
    長年生きてる妖怪ババアからしたら、つい最近さ。
    若い頃の私の靴の素材は、布以外はほとんど本革だったんだよっ。
     
     
    あのな、靴は、特に革靴はきちんとお手入れをしても
    伸びて足にフィットした時には傷んでるんだよ。
    そういう靴は、古臭い雰囲気になる。
    大事に履いていたら、そうなるまでに時間が掛かるんで余計に。
     
    シューストレッチャーとか、するぐらいなら
    最初から、自分の足に合わせて靴を選ぶべき。
    むっちゃ手間だぞ、靴の管理。
     
    だから、靴は大きめを選ぶべし!
     
    いやな、「本革ですよ?」 の言い方が、バカにしたような言い方で
    久々にデパートで嫌な思いをしたんだ。
     
    小さめサイズしか置いていない時の店員さんの、「革は伸びる」 は
    信用しない方が良い! というのが、私の経験からの忠告だぜ。
     
     
    さあ、より一層ピリピリした空気の方向に話が行ってるけど
    ギャアギャア言って気が晴れたんで、帰って来ただよ。 ただいまー。
     
    “パンティー” を何故に “エロ用語” と断定するのか?
    それは、“パンティー” という言葉が消えないからだ。
     
    んで、よーく考えて発音してみると
    “パンティー” という音の構成が、とても卑猥だと気付くだろ?
    a + n + e + i だぞ。
    しかも最後は伸ばすんだぞ、「いい~」 って。
     
    これは、ネットでエロサイトを回ってて
    世間では死語になりつつすらある “パンティー” が
    エロ関連ではやたら使われてる事から、推測したんだ。
     
    つまり当の女性たちは使わないのに、生き残ってる単語は
    男性が目的あって使うためだと!!!!!! (怒涛の ! 連打)
     
     
    どうだ?
    このコナンもビックリの推理は。
     
    ・・・ふっふっふ
    実はな、この根拠の一切ない、私の感覚のみの意見を
    世論にまで高めるために、
     
    もう既に私の周囲の男性たちを洗脳し始めてるんだよ。
     
    邪気のない素直な表情で
    「え? パンティーはエロ用語ですよー? やだあ」 って。
     
     
    「よー?」 のとこの “?” が、信憑性をかもしだすコツな。
    何故に句点で終わるところを、あえて語尾を疑問形にするかというと
     
    「○○ですよー。」 の後に
    「そんなの常識だから、当然わかってますよね?」 が隠れているのだっっっ。
     
    常識だからこそ、そこまで確認しないであげる思いやり!
    それをイントネーションで表現するために疑問形にする、ちょっとした親切!
     
    その空気を感じ取って、人は騙されるのである。
    あえて言わずに思い込ませる
    これぞ、必殺・文豪詐欺!!!!!!
     
    何をエキサイトしてるんだろうな、私。
     
     
    たまには自分で呼び名を決めたい、ババアの野望っ!
     
     
     

    評価:

    mico


    ¥ 1,650

    コメント:ほれ、“パンティー” で検索すると、こういのがトップに並ぶ並ぶ。 にしても、これは “下着” の意味を成してねえよな。 でも、あくまで “下着” じゃないとダメなんだよな? ヒモ巻いときゃ良いわけじゃねえんだよな? 気難しいのお。

  • 継母伝説・二番目の恋 37

    城下町の端にある南国人街の南国人は、東国風の暮らしをしていた。
    文化があまりにも違いすぎると、融合もしなくなるようである。
     
    そうよね、簡単に行き来できる国じゃないから
    南国のものも手に入らないだろうし・・・
     
    公爵家の娘は、自分の考えの甘さに落胆し
    つい、後ろに控えている兵士に声を掛けてしまった。
    「どうしたら良いのかしら?」
     
     
    貴族の姫と下級兵士は、直接口を利けない。
    必ず間に、相応の身分の召使いが介在する。
     
    バカげた慣例だが、身分制度の強い地域では
    線引きをはっきりする事によって
    勘違いや混乱の可能性を減らした方が
    結局はお互いのためになるのである。
     
     
    驚いたのは兵士である。
    下級兵士でも、平民にとってはエリートコースだが
    それでも貴族の近くに行く事は、滅多にない。
     
    貴族の方が、地位も身分も上ではあるが
    平民には平民しか持てない、財産や自由や権利があるので
    どちらが幸せなわけでもないのは、この国の民なら全員知っている。
    しかしそれでも目の前の大貴族の姫は、平民の娘とは雰囲気が違い過ぎた。
     
    汚い、と言っても平民にとっては高級な仕立てのドレス
    普段の暮らしが伺い知れる、清潔で栄養の行き届いた髪や爪
    何気なく立っているだけなのに、スッと伸びた背筋。
     
    たとえドブに落ちても、このお方は輝いているだろう
    そう思わせるだけの、手入れの良さである。
     
     
    兵士たちの驚愕に、我に返った公爵家の娘だが
    後先考えずに飛び出して来たので、召使いも置いてきた。
    と言うか、良家の子女の召使いたちは、こんな場所では足手まといである。
     
    でもこんな事をしちゃった手前、手ブラでは帰れない、絶対に。
    うーーーん、と考え込む公爵家の娘に
    兵士のひとりが頭を下げたまま、口を開いた。
     
    「あの・・・、ここの権力者にお会いになったらどうでしょう?」
    「権力者?」
    公爵家の娘は、いぶかしんだ。
    この街は王家の所有なのだ。
     
     
    「いえ、権力者と言うか、平民の中にも
     他人に影響力のある、際立って裕福な人物がいるのです。
     南国人街にも、そういう立場の者がいるはずです。」
     
    この意見に、公爵家の娘は納得させられた。
    各街には、領主が任命もしくは許可を出した “長” がいる。
    しかし、人は数人集まると派閥を作る。
    公にはならないリーダーが出来ても無理はない。
     
     
    「では、その者を探せば良いのだな?」
    公爵家の娘に、兵士は答えた。
    「いえ、もうあちらから様子を見に来ているようです。」
     
    何やら異質な雰囲気の女性が、屈強そうな男たちを引き連れてウロついている、
    それは充分に、“見張る” 対象になる。
     
     
    見張られていると言われても、公爵家の娘が周囲を見回さなかったのは
    噂慣れをしていたからである。
    相手を見ながらの陰口は、本人に気付かれる。
     
    公爵家の娘は視線すら動かさずに、自然な口調で命じた。
    「では、その者を捕らえよ。」
     
    兵士は、はっ と返事をした途端、走り出し
    家の陰にいた男性を引き連れて戻って来た。
     
     
    「そなたの家に案内してもらおうか。」
    国一番の大貴族の娘は、自分の命令にNOと言われる想定をしない。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事: 継母伝説・二番目の恋 36 12.9.13 
          継母伝説・二番目の恋 38 12.9.20 
          
          継母伝説・二番目の恋 1 12.6.4 
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  • 静電気防止キーホルダー

    ・・・・・・夏場は売り場に出してないんだと。
     
    静電気が1年中バチバチバチバチ来る人は
    関西では私ひとりかよ!!!
     
     
    あ・・・、そうなんですか・・・、と普通に言ったつもりだったけど
    私の瞳の奥に、深い絶望感を見たのか
    店員さんが、倉庫まで取りに行くと言ってくれた。
     
    値段を覚えていないのは、今回は許されるよな?
    申し訳なくて、ものすごくテンパったんだよ。
    もちろん、よく見もせずに即買いさ。
    でも硬貨をジャラジャラ出したと思うんで、千円以下だと思う。
     
    どこに行っても、こうやって親切にしてもらえるので
    ドブサイクで見るからに頭の悪そうなババアは、お得である。
     
    ドやかましいわ!
     
     
    という事で、時間をかけて見つけてきてもらったのが、これだ。
    ・・・・・・いや、今回は画像は出さねえ。
     
    だってこんな特殊な事例は、関西でも4件ぐらいしか発生していないだろうし
    今の私は、コンビニの出入り口とかで
    金属部分にその器具を当てて、ジーッと立っているんだよ。
    そんなヤツ、真夏の関西では3人ぐらいしかいないだろ。
    ブツの写真まで出して、言い逃れが出来ない身バレに陥りたくねえよ。
     
    いいか、皆、私と似たような事をしているババアがいたとしても
    それは私ではない!
    そのババアがナイスバディーでも、それは私ではない!
    「あしゅさんですか?」 とか、声を掛けるなよ。
    たとえ図星でも、私は否定するから。
     
     
    その静電気防止キーホルダーの使い方は、どんだけ脳が腐れとるのか
    説明書を読んでもよくわからなかったのだが、実戦で覚えたよ。
     
    キーホルダーの根元の金属部分を握って
    ドアノブとか車体とかの金属部分に、キーホルダーの先っぽを当てると
    体内の電気をキーホルダーが外へ出してくれるようだ。
     
    静電気を放電している時には、いつもは無表示のキーホルダーの窓画面に
    雷マークが表示され、それが消えたら放電完了で
    ドアノブを触ってもバチバチ来なくなる、と。
     
     
    で、その静電気防止キーホルダーの使い心地は?
     
    成功すれば、大成功!
     
     
    意味がわからんだろうが、脳腐れババアは
    金属か金属じゃないかの見分けが付かない事が判明。
     
    郵便受けでも、いつも触ってビリビリくる部分に器具を当てて
    無表示のままだから、静電気は溜まってないんだな、と
    開けようとしてバチッと来る。
     
    え? と思って、他の部分にキーホルダーを当てると雷マークが!
    最初に当てた部分は銀色塗装をしているんで、金属かと思ったら
    おめえ、何か他の物質で出来てたんかよ、と怒りが。
     
     
    明らかに金属部分だと思えるところに、キーホルダーを当てようとしたら
    前回の記事でも書いたけど、静電気、1cmの距離ぐらいは飛ぶんだよ。
    んで、調理中の油ハネのように、こっちにもバチッと飛んでくる。
     
    こりゃ、悠長に近付けてる場合じゃねえ、と
    キーホルダーをガー出して、ガー押し付けようとすると
    遠近感覚まで老化しているようで、突き指、打撲、スリ傷
    あげくの的外しで、勢い余ってヨロけて肩で放電、とか
     
    大人しく静電気にやられてた方が、まだ被害が少ない状況に!
     
    他にも、さっき放電成功したから、と思ってたのにバチッ。
    キーホルダーを当てると、ガンガン放電しよる。
    慎重になって、いちいちキーホルダーを当てても
    溜まってない時は何時間も溜まっていない。
     
     
    “成功した時は大成功” の意味がわかったろ?
     
    スムーズに放電が完了した時は、本当に静電気に襲われないんだけど
    今のところ、知力体力時の運に難アリのババアには
    使いこなせている、とは言えない状態である。
     
    でもマトモに扱える人なら、これは静電気防止には効果大!
    本当に、痛みなく放電してくれるから。
     
    ただ、そういう達人にもひとつ苦言を。
     
    静電気さ、体質にもよるけど
    私の静電気製造量は、原発レベルの自分の兄 (特上) と比べて
    上中下の中ランクだと思っているけど
     
    ・・・キーホルダーを当てて放電している時間、結構長いぞ・・・。
     
    と言っても、10~15秒ぐらいだと思うんだけど
    見知らぬ人が、道端のガードパイプや階段の手すりに
    何かの器具を当てつつ、ジーッとしててみい?
    それがたとえ5秒でも、不気味に感じると思うぞ。
     
    私、時々ガン見されてるもん。
    静電気だと説明しても、きっと理解してもらえないと思う。
     
    だって今、蒸し蒸しな真夏なんだよ。
    お店も倉庫にしまい込む、一般人には静電気無縁の季節なんだよ。
    ものすごく気の毒がられるか笑い者かの、不憫二択じゃん!
     
     
    と思いつつも、今日も私はキーホルダー放電をしている。
    衆人環視に耐えつつ、金属物体に電気を送る。
     
    何故ならば、気を抜いている時にくるバチッで
    「ひょわっ」 とか、「ぐげっ」 とか
    自分でもちょっと理解できない雄叫びを上げる事があって
    その時の恥ずかしさは、さすがの私にも耐えられないからである。
     
    思いがけない時に素の自分が出る、とよく言われるけど
    普段は思いもしない50音の組み合わせのヘンな叫びが、“素の私” かい。
     
    情けないのお 情けないのお
     
     
    静電気防止グッズは、冬になったら一杯出回るだろうから
    コレクションをしてしまいそうだ。
     
    それぐらい、このキーホルダーは “成功すれば、大成功!“
    後は耐久性とかぐらいか? 
    それを調べるのは、時間が掛かるので各自実験の上、報告せよ。
     
     
    関連記事: 静電気 12.8.24 
     
     
     

    評価:

    セイワ(SEIWA)


    ¥ 1,196

    (2012-05-09)

    コメント:シートの方が目立たないと思うんだ。 次はこういうプレートやシート状のを試してみる。 家電を壊し始めたら、ろろろ6万円の線電気除去装置も考え・・・、いや、とりあえず小物狙いで! この自家発電、何かに使えないものかのお・・・。 ムダに威嚇するだけかよ。