• かげふみ 55

    州議会では、館への追求は控えられた。
    館の収支報告書を読み、予算を決めているのは州議会なので
    州の議員なら、全員が館の事を知っていて当たり前だからである。
     
    そもそも、長老会が世襲制になったのも
    当時の州の富裕層が、“高貴なる義務” として
    寄付と運営の担当を押し付けられたものである。
    彼らは、その伝統を受け継いで守っているに過ぎない。
     
    だから州議会では、事を荒立てるつもりはなかった。
    館が更生して社会に溶け込めるのなら、それに越した事はない。
    なのに州知事だけが、館を潰すと息巻いている。
     
     
    「館が邪魔になる理由とは何でしょう?」
    「うーむ・・・。」
    長老会メンバーたちは、頭をひねった。
     
    「あの、ちょっと質問なんですが・・・。」
    手を上げたのはグリスであった。
    「何ですか?」
     
    「館の近所の鉱山は、どこの管轄なんですか?」
    「あそこはシティの管轄だが、それがどうかしたかね?」
     
    「村の人が言ってたんですけど
     偉そうな人たちが来て、村の食堂で食事をして帰ったそうなんです。
     それが、クリスタル州のなまりじゃなかった
     どうも首都あたりから鉱山を見に来てたようだ、と。」
     
     
    この話に、将軍の眉間がシワを寄せた。
    「それはいつ頃の話だね?」
    「えー・・・、主様の死後なのは確かですが・・・。」
     
    「鉱山が狙いなんでしょうかね?」
    「いや、あの鉱山は今も採掘はしているが
     一時期に比べて、そう採算が取れるとも思えんものだぞ。」
    「でも妙に引っ掛かるものがありますよね・・・。」
     
    「とにかく、調べてみましょうか。」
    「何の手掛かりもないですからね。」
     
     
    「じゃあ、わしは本を出版するぞ。」
    ジジイがやおら立ち上がった。
     
    「もうですか?」
    「うむ。 主が信条にしていた、“先手先手” じゃ。
     わしが矢面に立っとる間に、調査を済ませてくれ。」
     
    「そうしましょう。
     敵に対して、ひとつずつ順番にやっていくほど
     我々も親切ではありませんからね。」
    「じゃあ、わしら古参たちは矢面準備じゃな。
     実際に動くのは次世代諸君に任せるぞ。」
     
     
    白髪のメンバーの言葉に、他の年寄りメンバーたちが嘆いた。
    「処刑待機とは、寂しいもんですな。」
     
    「武士道は桜のごとし、じゃと。」
    ジジイが穏やかな目で語り始めた。
     
    「桜という木の花は、ジワジワと咲き始めて
     気付いた時には満開を過ぎて、既に散り始めてしまっている。
     しかし、その一瞬で終わる散り様だからこそ
     より一層に美しいのだそうじゃ。
     人間そう生きたいものだ、と主は言っておった。」
     
    「ううむ、ザツなようでいて、時々繊細な事を言いますね、主は。」
    長老たちが、唸る。
     
     
    「主様は、常に己にしか
     やいばを向けていらっしゃらなかったのだと思います。」
    グリスの言葉に、皆が驚く。
    「あれでかね!」
     
    「はい。
     私たちは、みね打ちをされていただけだと・・・。
     だから、その刃の繊細さに気付かなかったんだと思います。」
     
    ジジイの言葉にもグリスの言葉にも
    納得させられるような、違うような
    そんな複雑な気持ちで、メンバーたちは考え込んでしまった。
     
    “みね打ち” で骨が砕ける事もあるとは
    日本人ではない彼らは知らない、衝撃の事実。
     
     
    「では、散る準備をするか。」
    よっこいしょ、と古参メンバーたちは腰を上げた。
     
    「終わりを見据えるというのは、辛いものだな。」
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 54 12.5.7 
           かげふみ 56 12.5.11 
           
           かげふみ 1 11.10.27 
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  • お便りコーナー 10 見た目でバカにされる

      < 匿名希望 より > 
     
    見た目でバカにされることについての悩みです。
     
    職場で異動のとき「匿名さんは、かわいくないけど、仲良くしてあげて」
    とかいわれてたらしいです。
    男性なので仕方はないとは思いますが
    バカにされ同情されてて情けなくなります…
     
    それで思い出したのが、女性からは食後化粧直しをしてたときも
    「また鏡でも見てるんじゃない」と言われたらしいし。
     
    他には「(コンパで)匿名から面白さをとったらなんの魅力がある!」とか。
    これはノリで男性から…
     
    あとは「結婚する気あるんならそのままでいいの?
     よりどりみどりならともかく!」
    と私と仲良くもない女性から… 
     
    何もしてないのに勝手に同情されたり、
    バカにされたり、余計なお世話言われたり…
    職場で特にそう感じるので、情けなくて恥ずかしくすらなります…
     
    対処法などあると思いますか?
    一応はっきりとかわいくないとはっきりと言われたのは人伝ですが、
    初めてだったのでそれも厚かましくもショックだったかな…
     
     
    <今回はもしかして、ビューティーコロシアム物件レベルの
     外見イジメを受けてるかも知れないんで、追加で質問をしてみたんだ。>
     
    1.本当に顔がブサイクなんか?
    2.そうならば昔から自分で気付いてた?
    3.人から言われる事を抜きにして自分の顔が気になる?
    4.お便りコーナー宛てという事は、雑談のように気軽に話したいんかな?
      それとも、相談する方向が良い?
     
    <それに対する返事。>
     
    1.自分では客観的にはどうしてもなれないんですが、
     標準よりやや求心的です…
     パーツは褒められることはあります。あとはお世辞…
    2.いたって平凡と思ってたのですが…
    3.親兄弟が誉められることが多くて私は似てないのでコンプレックスです。
     職場はかなり美人率高いです。
    4.相談でもありますが
     あんなんに言われたキーーーという気軽さもほしいです。
     
     
    今の会社でイヤな思いをすることが多いです…
    昔から目は誉められることが多いです。
     
     
    ————————-
     
    私には信念がある。
    人は外見!
     
    ただし顔の作りではない。
    服からヘアメイクから動きから、の全体の雰囲気。
    特に知性は外面に表われるんで、気をつけるようにな。
     
    と、昔パンクファッションをしてたババアが言うとります。
    死ぬ前に一度は軍服ファッションをしたいなあ。
     
     
    私はビューティーコロシアムに出る一歩手前のブサイクなんだ。
    “一歩手前”、と言ってるのは、充分に出れると思っていたら
    知人に 「そこまではない」 と言われたから。
     
    傷付いてないぞ。
    ブサイクで嫌な想いをした事がないから。
    顔も悪いなら頭も悪いんで、嫌な事に気付かないんだ。
     
    それに顔の作りだけで判断するヤツなんざ、私以上に頭悪すぎだろ。
    相手にすると、バカが移りそうで嫌だから近寄らねえよ。
     
     
    こっから私の勘のみで言うけど
    匿名希望ちゃんは、ブサイクではない気がする。
     
    もし、本当に顔の作りのイヤミを言われてるのなら
    言われている内に、暗示にかかるのはわかるけど
    同じ洗脳されるなら、私論の方にしとけ。
     
    匿名希望ちゃんのエピソードは、どうも全部が全部
    顔の作りを言われてるわけじゃない気がするんだ。
    匿名希望ちゃん、疑心暗鬼になりかけてるかもよ。
     
     
    職場って、顔の作りが関係ある業種じゃねえだろうな?
    モデル事務所とか、化粧品やファッションの販売とか。
    そうじゃないなら、いや、それでも言ったヤツはセクハラ。
    それを匿名希望ちゃんに伝えたヤツも、要注意人物。
     
    職場で嫌な想いをする事が多いんなら、よく観察してみい。
    真の性悪は1人か2人で、後は自分が言われるのが恐くて
    右へならえしているだけの、ド脇役のはず。
     
    その真の悪・1人か2人だけに気をつけて
    なるべく穏便に距離を置いて、仕事に専念せえ。
     
     
    「面白さをとったら何が残る」 のヤツは、放置でオッケー。
    そいつから人真似を取ったら、頭の悪さしか残らないから。
     
    「古代から何度も繰り返し言われてきた、古臭いそのセリフを
     まさか現代で聞くとは思わなかったー。
     いやん、ビックリーーー!」
     
    腹が立った場合は、上のセリフを返せ。
    満面の笑みで、明るく冗談っぽく無邪気に。
    多くの場合は、鼻で笑って済ませる。
     
    私は実際にどっちもした事があるけど、場は凍らなかったぞ。
    酒の席なんぞ無礼者だらけだから、斬り捨て御免で大丈夫だぜ。
     
    それよりもさ、「~を取ったら」 の言葉を気にする自分を見つめ直してみ。
    案外、問題は自分の中にあったりするんだよ。
     
    自分が悪い、って事じゃなくて
    自分が何かに執着してるとか囚われてるとか
    そういう意味で、危険信号を発してるんじゃないのか?
     
     
    私が匿名希望ちゃんをブサイク認定しないのは
    「また鏡を見て」「そのままでいいの?」、この2つの言葉。
     
    これはブサイクに言う言葉じゃない。
    鏡を見ても吐き気をもよおさない、
    どうにかすればどうにかなるツラに対しての言葉だからだ。
     
    おめえ、なーんか全体的に空気を読み外してねえかー?
    もう一度、冷静に状況を判断してみれよ。
    (これ、私に言われたらおしまいだぞお? うひひ)
     
     
    あ、最後にひとつな、自分の面構えも客観的に見れないとか
    自分プロデュースが出来ねえだろうが。
     
    何度も言うが、顔の作りじゃねえんだよ
    漂う雰囲気を把握せえ、っての。
    んで、長所を生かす。
     
    ・・・欠点は放置しとけ。
    いじくる程、裏目裏目に出る。
    メイクで私はそれを学んださ。
    ああ・・・、縦穴式毛穴が隠れねえ・・・。
     
     
    今回は、勝手な決め付けをしたあげくに
    ファジーな論理を元に、極端な対応を意見しちゃったので
     
    さあ、皆、フォロー ミー!!!
     
     
    :::::::::::::::::::::::::::
     
    このコーナーは、何か言いたい人のためのものです。
     
    持論でも、自慢でも、疑問でも、自分語りでも、不平不満でも、雑談でも
    内容は何でも良いので、言いたい事がある人は私にメールをください。
     
    メールアドレスは、ブログ管理者紹介の
    あしゅ のところにあります。
    メールシステムが変わりましたので、ご一読ください。
      
    匿名でも無記名でも別名でもいつもの名でも構いません。
    むしろ、匿名、無記名でお願い。
    先入観なしに読めるし。
     
     
    なお、身元がバレそうな部分や、不適切な表現
    そして改行、誤字脱字の補正などはしますが
    基本方針としては、出来る限り、そのままの文を載せます。
     
    文自体が載せられない内容の場合は
    その旨を親切丁寧に返事いたしますので、ご安心ください。
     
     
    ブログの記事に載せる、という事は
    ここを通りすがる誰かからの反応があるかも知れません。
     
    罵倒もされる場合もありますが
    それを受け止めるのも、書いたヤツの義務です。
    それは覚悟しとくべきだけど、私がフォローします。
     
    私の立場は、この場だけはお便りをくれた人をえこひいき、です。
    それがたとえ、私の意見と違っていても、です。
     
    じゃないと、わざわざお便りを書く意味がない。
    なので、私にえこひいきをされたい人、お便りをください。
     
     
    あ、単にコメント欄に書いたものも
    内容によっては、許可なくここに流用する場合もあります。
     
    “お便りがこない” という、私の人徳のなさを隠すためですので
    皆様方は、介護のつもりで温かく許してください。

  • かげふみ 54

    「館はクリスタル州の善意であると同時に、恥部でしーた。
     我々の祖先は、元犯罪者を保護しようとしましーたが
     結局は手に負えず、放置してしまう結果になったのでーす。」
     
    リオンは州議会に呼ばれて、“説明” をしていた。
    館の広報活動で、全国にその存在が徐々に知られ始め
    州としても無視は出来なくなったのである。
     
     
    あの日の長老会議の後、グリスは館で説明をした。
    住人だけじゃなく村人も一同に講堂に集め
    主のインタビュー映像を見せた。
     
    「主様は、志半ばで亡くなったと思っていらっしゃるようです。
     ぼくに “皆さんの事を頼む” と、おっしゃっていたからです。
     しかし、主様の改革は達成していた、とぼくは思います。
     この館と皆さんを見れば、それは一目瞭然です。」
     
    演説慣れをしていないため、紙を見ながら一生懸命に喋るグリスが
    皆の目には逆に誠実に映った。
     
     
    「館はこれから、国に認めてもらわなければなりません。
     生まれ変わったぼくたちを、社会に受け入れてもらうのです。
     ぼくはそれを主様に託されました。
     『この館の過去の罪は全部、私が墓まで持っていくから
     私が死んだあ・・・と・・・に・・・』」
     
    ここまで言うと、グリスは涙が溢れ言葉に詰まった。
    「管理様、頑張って。」
    住人から声が飛ぶ。
     
    グリスは、ちょっと微笑んで涙を拭った。
    「すみません、いつまで経ってもメソメソして・・・。」
    「わかるよ、俺らだって毎日悲しんでるよ。」
     
    住人たちも涙を拭う。
    集団心理というのは、感情を暴走させやすいが
    この場合は、それが管理側にとってはありがたい流れである。
     
     
    「ぼくは・・・、ぼくは皆さんのために生きるよう
     主様に育てられました。
     その使命を、力の限り果たしていくつもりです。
     どうか皆さん、ご協力をお願いいたします。」
     
    「私らは何をすれば良いんですか?」
    住人のひとりが質問をした。
     
    「いつも通りで良いんです。
     ただこれから、館が知られるにつれて
     訪問者や観光客が増えると予想されます。
     その方々に、ぼくたちの今の姿を誤解なく知ってもらうよう
     案内や説明などをお願いしたいのです。」
     
     
    「館にも売店を作ったら良いんじゃないか?」
    住人の意見に、グリスがパッとほころんだ。
    「ああ、それは良い考えですね。
     早速、事務部にかけ合ってみます、ありがとうございます。」
     
    「希望者で案内係を募ればどうだろう?」
    「喫茶室のようなものも必要じゃないかねえ。」
    「講堂でずっと主様の映像を流すのは?」
    「玄関ホールに主様のお写真を飾るべきだよ。」
    「村に宿泊施設を充実させてほしいのお。」
    「南側の道を整備しないと。」
     
    住人や村人からは、次々に案が出される。
    グリスはそれをひとつひとつ手元の紙に書いていく。
     
     
    「皆さん、本当にありがとうございます。
     これらの提案を、長老会議で申し出てみます。
     主様は、皆さんを誇りに思っていらっしゃると思います。
     ぼくも皆さんと一緒にいられる事が、本当に嬉しいです。
     どうかこれからも、未熟なぼくを助けてください。」
     
    たどたどしい言葉で、情けない〆をするグリスに
    住人たちは保護欲をかきたてられた。
     
     
    主が揺るぎない信念で押さえつけて、成した改革が
    今度は住人たちによる、“管理者を守ろう” という
    意識によって支えられる。
     
    主の後を追って追って、主にはなれない、と絶望してきたグリスだが
    実は彼は、主にはない武器を持っていたのである。
     
    無意識なゆえに、その武器は一層研ぎ澄まされていた。
    その威力が通用しなかったのは、主のみであっただけの事。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 53 12.5.1 
           かげふみ 55 12.5.9 
           
           かげふみ 1 11.10.27 
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  • 人生相談 38 黙り込んでしまう

     <質問>
     
    17歳女子です
     
    私は感情があまり表に出ないタイプです
    特に「悲しい」「嫌だ」とかいった感情を我慢してしまいます
    なんだか、人前で感情的になるのが面倒というか恥ずかしいというか〓〓
    でも、そのせいで自分の言いたいことを言えずに
    不機嫌になったり落ち込んだりしてしまいます
     
     
    自分で意識するようになったのは、
    この前、友達とドラマの話をしていた時のことです
    感動的だったシーンの話になって、あれは感動した、って友達に言ったら
    「え?だって〓〓って泣かないじゃん」とか言われてイラッときました
     
    別に私だって泣かないわけじゃないんですよ?
    でも、いざそう言われるとショックで何も言えませんでした
    あー、自分ってそんな冷たい奴って思われてるんだなーって、
    それから黙り込んでしまいました
     
     
    でも前にも似たようなことがあって、その時に他の友達に言われたのは、
    「〓〓は急に黙るから何で怒ってるのかわからない」でした
     
    いや、わたし的には原因つくったのはそっちでしょって感じなんですが…
     (すいません逆ギレですね)
     
    その時は友達が私になにかしたんだと思いますが、
    私が悪いみたいに言われて黙ってしまいました
     
    黙るからにはちゃんとそれなりの理由があるんです
    だけどいつもそれをうまく伝えられなくて、
    不機嫌になってしまうんだと思います
    だって自分はこう思う、とか言えないですし!
     
     
    私はこんな自分を変えたいです
    どうしたら自分の思ったこと・感情を相手に伝えられるようになりますか?
     
     
    (注: 文中の 〓〓 は多分、文字化け)
     
     
     <回答>
     
    まず、人付き合いにおいて揺るぎない鉄則があるんだ。
    黙り込むのは、人間関係ではものすごい障害になる事が多い。
     
    相手とのやり取りを一方的に放棄した
    と解釈されてもしょうがない態度なので
    最も嫌がられる行為のひとつ、と言えるんじゃないかな。
     
    人は以心伝心は滅多に出来ない。
    どんなに “常識的” な、よくある事でも
    「皆、同じように思う」 という判断は
    この多種多様の感性がはびこる、今の社会では通用しない。
     
    自分も、他の人の気持ちを正確に予想できないだろ。
    意見や感情は、きっちり言葉にしないと伝わらない
    と思っておいた方が良い。
    そう思って過剰な期待をせずにおけば、裏切られた気分になる事もない。
     
    だから自分を変えたかったら、逆切れは心の中で思うのもダメ。
    伝えられない自分をかばう感覚は、なくす方向でな。
     
     
    ちょっと厳しい言い方になったのは
    友達の 「泣かないじゃん」 という言葉が気になったからなんだ。
    泣かない = 感動しない と言った友達が
    わけわからん感覚の持ち主なら、問題ないんだ。
     
    でもこの老婆心が外れてれば良いんだけど、もしおめえが
    友達にそう言われる程に、感情を表現していないのだとしたら・・・
    という心配があってな。
     
    思った事や感情の表現は、周囲に対する自己アピールの上で
    とても大事な役割りをするので、それがヘタだと
    社会に出た時に、生活に直結する苦労をする事もあるかも知れないから
    まだ若者と言われる内に、出来るだけ直しておいた方が良いと思うんだ。
     
     
    感情を出すのが恥ずかしい、と思う気持ちは誰にでもある。
    面倒な事になるかも、というちゅうちょもわかる。
     
    だけど多くの人は、かなり周囲に合わせる努力をしている。
    笑いたくなくても愛想笑いをするし、迷惑でも嬉しいフリをする。
    興味がなくても、「わあ、凄いねえ」 と言う。
     
    つまり、真の感情を出しているわけではないんだ。
    その場に合った、適度な反応をしているんだよ。
    これを死ぬまでする。
    何故か?
     
    人の心に波風を立てないようにするのが、思いやり!!!
     
    こう思って、周囲の言動を予想して合わせていく練習を
    少しずつしていけば、いつか自然にそれが出来るようになる。
    30歳をとうに超えてから、ようやく気付いた私以外は全員。
     
     
    何で人を思いやる必要があるのか、って?
    それはズバリ! 自分のためだ。
     
    人とのコミュニケーションが上手くいかないと
    人から恨まれたり憎まれたりする可能性が出てくる。
     
    それを気にせずに繰り返していると
    たとえば100人会った中の、1人2人に危険なヤツがいた場合に
    ちょっとしたくだらない、と思える事柄でも
    異様にブチ切れられて危害を加えられる恐れがない、とも言えないからだ。
     
    現に通り魔とかの異常犯罪に、そういう動機が多いんで
    自分のためを思うのなら、出来る限りのリスク回避を考えて
    周囲の人間とは、無難な意思疎通を図っておくのが安全だろ。
     
     
    このように、自分を抑えるなど理不尽に感じるかもしれないけど
    自分の世界は自分の心の中にあれば良いじゃん。
     
    その内、理解してくれる人が現われるかも知れないし
    現われなくても、ブログとかで言いたい事を吐き出せば良い。
    私はブログを書いている事は、リアルでは誰にも言ってないよ。
     
    “社会的な自分” と、“私的な自分” を
    きっちり分けるように心掛けてみい。
    人生、ちょっとはラクに生きられるようになるぞ。
     
     
    友達は “公” か? って?
    “親しき仲にも礼儀あり” だろ。
    大事な人だからこそ、誰よりも丁寧に接してあげるべきだと思うよ。
     
    「何でも言える」 は、ひとりよがりだったり
    相手に負担を掛ける事もあるんで
    “友達” の定義も、状況によって見極める必要があると思う。
     
     
    どうすれば変われるか、の具体的な方法だけど
    まずは、“人に違和感を持たれないのが自分を守る事になる” と知る事。
    そして、“面倒”“恥ずかしい” の定義を変える事。
     
    ・ 人の機嫌を損ねたら、一番面倒くさい事になる。
    ・ 変わり者扱いをされるのって、恥ずかしい。
     
    本当は皆それぞれ違う感覚を持っているんだろうけど
    それこそ、“面倒”“恥ずかしい” から、周囲に合わせている
    と、私は睨んでいる。
     
    いわゆる、“本音と建前” っちゅうやつだな。
     
     
    私の意見は、立派と言われる大人の社交術の必須科目なので
    完璧に出来る必要は、普通の状況ではあまりない。
    単に理想なだけ。
     
    17歳で社交を考えるおめえは、凄いと思うよ。
     
     
    :::::::::::::::::::::::::
     
    人生相談は、あまり受け付けておりませんでしたが
    ここを通りすがる人々の意見が、えらい素晴らしいので
    それに期待をして、ペリー以来の門戸開放の方向で行きます。
     
     
    相談はメールでお願いいたします。
    念のために、相談前に私の他の記事をご一読ください。
    こういう “私” に相談する、というその選択について
    もう一度よくお考えくださるよう、お勧めします。
     
    アドレスはプロフィールにあります。
    件名に、「人生相談」 と入れてください。
    迷惑メールに紛れる危険性がありますので、何とぞ。
     
    匿名で結構です。
    いらん個人情報ばかり書いてこないで
    肝心の相談内容の情報の方にこそ気を遣ってください。
     
     
    なお、ここの相談では、通りすがりの人にも回答されます。
    むしろ、通りすがった人に回答を丸投げする思惑です。
     
    なので相談後の意見、返事、報告等がありましたら
    出来れば記事のコメント欄に書いていただけたら、ありがたいです。
    答えた人ここを読んだ人全員、結果を気にしていると思いますので。
     
     
    ※ 相談内容を転記の際、状況によって
      伏字、改行、修正などをさせていただく場合があります。
     
    ※ 精神的に打たれ弱い方はご遠慮ください。
     
    ※ 相談文の情報のみを基に考え、相談者のためにだけなるような
      相談者をえこひいきした回答になるのを、ご了承ください。
      ここに来てない人の事まで知ったこっちゃありません。
     
     
    注: たまに、こちらからのメールが届かない人がいますが
       その “私ブロック” を解いておいてください。
     
     
     <通りすがりの人の、回答上の注意>
     
    偽名、匿名、無記名で結構ですので
    相談内容に沿った、ご自分の意見、経験を教えてください。
     
    相談者にも、詳しく言えない事情もあるかも知れませんので
    相談文のみの情報で、お考えください。
     
    貰った意見をどう解釈して取り入れるかは
    相談者が勝手に決めて良い事なので、意見を書く人は
    相談者に一方通行の贈り物をするつもりでお願いします。
     
    相談者には相談者の個性や性格があるので
    願ったものとは違う答を出しても
    助言がムダになったわけではないのです。
     
    相談者が意見募集を締めた後も
    似たような状況の人も関係ない人も、何かの参考になって
    皆が何かを得る事ができたら良いな、と願っておりますので
    いつでも経験談などの意見を書いてくだされば、ありがたいです。

  • かげふみ 53

    「どういう経緯になっても、責任を取っての辞職は免れませーん。
     私も市議会議員を辞職しまーす。」
    リオンの言葉に、ダンディーが仰天した顔で 何っ? と叫んだ。
     
    「だけど私はこの首を賭ける事で、この館を善だと全国に認識させ
     かえす刀で現州知事を叩き切って、州知事に立候補しまーす。
     民衆の支持を得られたら、名誉の回復もできまーす。」
     
    「要するに、勝てば良いわけじゃよ。」
    ジジイが続けた。
    「ここにいるお歴々にそれが出来ないわけがない。」
     
     
    ここまで言われて、逃げ腰になっている紳士たちではない。
    「そうですね、まずは館に広報部を作りましょう。」
    「よし、敏腕の広告マンを連れてこよう。」
    「デザイナーたちも必要になってくるな。」
     
    「グリスくん、きみは住人と村人の意思の統一を図ってくれ。」
    「クリスタル新聞の社主には私が働きかけよう。」
    「では私は、検事に根回しをしておこう。」
     
     
    「わしは本を書くぞ!」
    ジジイが叫んだ。
    「一番の生き証人は、このわしじゃ。
     全部を包み隠さず書き、館内部の罪をすべて背負う。
     主の弔い合戦じゃ!!」
     
    「その本は村と館のサイトで売って、収益は館に回してくださいね。」
    ジジイの興奮に水を差すように、リリーが冷静に言う。
     
    「もちろんじゃ。 年寄りに金は必要ない。
     わしの財産も、死後はすべて館に寄与する。
     グリス、おまえも主との回顧録を書くんじゃ。」
    「は、はい。」
     
    「では推敲も含めて、文章のプロも必要になりますね。」
    「あ、それは私が新聞社に心当たりがあります。」
    マデレンが手を上げた。
     
    「きみには広報部に所属して、引き続き館にいてもらいたいんだが。」
    メンバーの言葉に、マデレンは即答した。
    「はい、喜んで。」
     
     
    「それと、ネットも販売だけじゃなく
     館自体のサイトが必要じゃないかね?」
    「それは電気部でまかなえると思います。
     詳しい者が何人もおりますので。」
     
    リリーの言葉に、将軍がうなずいた。
    「うむ、一気に外部から人員を補充すると
     思想教育がおろそかになりうる。」
     
     
    「これらの動きは、ひとつずつ密かに進めていきましょう。
     敵に知られる前に、あらかたの準備をしておいて
     アピールは小出しにして、国民に徐々に慣れさせていくべきです。」
     
    「異議なし。」
    「同意。」
    長老会が久々に息を吹き返した。
     
     
    主が死んで1年も経たないのに、再び戦いが始まろうとしていた。
    館の歯車は、止まる事を知らないのか。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 52 12.4.26 
           かげふみ 54 12.5.7 
           
           かげふみ 1 11.10.27 
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  • モンハン対策

    ここで言う “モンハン” とは
    任天堂3DSのゲームソフト、“モンスターハンター3G” の事である。
     
    これはハンターを操り、クソ凶暴な恐すぎるビジュアルの恐竜たちを
    蹴られ殴られ燃やされ突かれして、何とか倒す、という
    ヘタレな私には爽快感のまったくない、何かの罰ゲームのようなゲームである。
     
    ちなみに、以前にもプレステ2の “モンハン2ドス” を
    オフラインで孤独に遊んでいたが、その時も苦痛で苦痛で
    キリンが出たあたりで、挫折してしもうた。
     
    そんな嫌いなゲームを何故やっとるのかは
    ↓ ここを読めば何となく理解できるかも知れない。
     
    関連記事: 3DSとババア 11.12.16
     
     
    さて、ナイスバディーの私は、手も美しい。
    言うとくが、手の形が美しいのだ。 骨格が!
     
    ・・・この注釈は、さすがに歳を取ってきて
    手の皮膚にもシワが出来るようになってしもうての、苦しまぎれ。
    お陰で安い顔用クリームとかを、ハンドクリームの下地にせにゃならんのだ。
     
    狂おしく貧乏なんだよ!
    ゲランやドゥラメールのハンドクリームなんぞ買えるわけがなかろう。
    おめえらが顔に一生懸命塗っている美容液やクリームを
    手に塗ってやんよただし2000円以内に限る。
    えっ・・・、そんな極貧は私だけ?
    くううううううううう、格差社会憎し!!!
     
    話が進まん!
     
    でな、そのビュリホーハンドにな、タコが出来たんだよ。
    いや、今までもコントローラーダコはあったよ。
    でもその場所は、親指の付け根と右手中指で、ペンダコに見えて
    「ちょっと俳句をたしなんでおりますの・・・」
    系が通用する上品な場所だったんだよ。
     
    ところが今回は、両手の中指と薬指の第二関節の内側。
    つまりモンハンスライドパッドの裏に当たる部分だ。
    ここが、ものすごく言い訳が利かねえ場所でのお・・・。
     
    マイ・3DS。
    モンハンのシール1枚で、ものすごく安っぽく変身!
      
     
     
     
    さて、ここからわかる事はひとつ。
    私は3DSを折ろうとしているんだな。
     
    ・・・そんだけ力が入るんだよ、モンハンをやってると。
    うちの3DSは、モンハン以外のソフトを知らずに壊れるに違いない。
    何て純潔なの!!! 操! 操!
     
    話が進まんその2!!
     
    でな、3DSが折れるのは、いたしかたない。(かあ?)
    こんなゲームを作ったカプコンが悪い。
    だが、私のビュリホーハンドに
    下品なタコだとバレる角質硬化が起こるのは許せん。
     
    そこで天才な私は、モンハン専用防具を作ってみた。
    ただしRPGで言うところの、いわゆる “コテ” のみ。
     

     
    これな、ゴムのブツブツが付いたドライビング手袋に
    包帯をグルグル巻きにして、両面テープで貼ってあるんだ。
    ただ、ボタンや十字キー操作がしにくいので
    親指の先を切って、そこに指サックをはめておる。
    どだ? この創意なる工夫は。 日本語ヘン。
     
     
    これが思いの外、使い心地が良くてな。
    タコが痛くない事も、もちろん
    ほら、イビルジョーとかに追われてると、手の平にビッショリ汗をかくだろ?
    もう、十字キーがすべるすべる。
    そういう時にも対応、立派な生活防水機能も付いてきた。
    さすが私!!!
     
    だが発明の天才、私は思うた。
    これは夏場は暑くないか?
    おいおい、夏場までモンハンを挫折せずにいられるつもりか?
     
    そこで、大きい指サックに包帯を巻いてみた。
    タコは指4本に出来てるので、4個。
     
     
     
     
     
    これなら手の平はフリー。
    まあ、汗は吸い取らんが、イビルジョーはこやし玉で追い払う事を覚えたし。
     
    ・・・ところが、これ、手袋よりムレる。
    当たり前だ、これ、ゴムじゃん!
     
    もう、いっその事、包帯を1巻きごとに
    両面テープでとめて、包帯ちくわを作ろうか、とも思うが
    あまり包帯ばかり買ってると、ミイラに間違われかねん。
    ちょうど今、関西でツタンカーメン展をやってるし
    誤解を招く事は控えておかねば。
     
    という事で、私のモンハン装備、パクっても良いぞ。
    それとももう、3DSをカチ割ってしまった後かな?
     
     
    あああ、モンハンと言えば、もういっちょグチりたい。
    ちょっとこれを見てくれよ。
     
     
     
    これ、全部、モンハン3Gの攻略本。

    最初にVジャンプのが出て、いつものVジャン攻略本にしては厚いな
    と思って、期待せずに買ったけど、これが意外に役立った。
    Vジャンプ、おめえんちの攻略本で役に立ったのは
    20年近くのゲーマー人生で、これが初めてだよ、ありがとう!
    ただし下級クエに限る。
     
    まあ、それはいつもいち早く出るVジャンだから、しょうがない。
    次に出たのが、雑誌サイズのやつ。
    おお、やっと本格攻略本が出たか、と買ったら
    こいつ、情報が尻切れ。
     
    で、最後と思いたい、この鈍器のようなブ厚い攻略本。
    私愛用の笛の情報は間違ってるし、これも情報が途中までしかない。
     
    モンハン3Gって、PS3かPSPで出たモンハン3rdのやき直しだよねえ?
    ごめん、こっから暴言吐くけど
    カプコンは3DSでは、モンハン4を出すつもりだったと思うんだ。
    それがあまりの3DS本体の売れなさに
    ちょっと3を出して新規ユーザーを引っ張ってきてよ
    と、任天堂に頼まれて、3rdのちょい変え3Dを出した気がするんだ。
    間違ってたら、申し訳ございません。
    法に訴える前に話し合いで解決できますんで、どうか何とぞ。
     
    何が言いたいか、っちゅうと
    3rdのベースがあるんだから
    とっとと完全なる攻略本を出してくれ!!!
     
    微妙に進んだ情報を小出しにする攻略本商法は
    ネットの攻略サイトを見ない貧困ババアを罠にかけるためか?
     
    こいつら、3冊で3kgあるんだよ・・・。
    一番厚いやつなんか、1.4kgあるんだ。
    持てねえ。 持ったら手首の筋を傷めた、マジで!
    何故に上下編2冊に分けてくれなかった?
     
    これで情報がまだ途中なんだもんなあ・・・。
    あと何冊、買い足せば良いのやら。
    モンハンのために割に金を掛けているんで
    苦しくても挫折できない、自分の首絞めプレイ。
     
     
    アスキー、ウネリシェルンに水属性は付いてないぞ。
    私、狩猟笛使いで、全派生作ってるんで
    リアルのみならず、ゲームの中でもド貧乏なんだ。
    えっ、水属性にスロット2個? と喜んで作って、ちょっと泣いたよ・・・。
     
    物事には順序っちゅうもんがあってな、それは完璧なる私の都合だけど
    よりによって何で私の愛用武器んところで間違うんだよ?
     
     
     

    評価:

    週刊ファミ通編集部

    エンターブレイン


    ¥ 2,520

    (2012-03-31)

    コメント:また出たよ、殴り殺せそる重さの攻略本が! 買った人の話によると、これも完璧ではないらしい。 どうせGで挫折する予定だから、私にはもうこれはいらないかも、と自分を戒めている真っ最中。 ああっ、私がやってるの、アフィリ行為じゃねえじゃん! 皆は買え!

  • かげふみ 52

    「マデレンさん、ご苦労様でした。
     引き続きよろしくお願いいたします。」
     
    会議が終わろうとした時、マデレンが言い出した。
    「あの、ちょっと噂を聞いたのですが・・・。」
     
    「どんな噂かね?」
    「館の噂です。
     それも、首都の新聞社の人らしいんです。
     州内じゃなく首都で館の噂など、起こる事自体まずいですよね?」
     
    「何っ? 詳しく教えてくれたまえ。」
    青ざめる長老会のメンバーたち。
     
    「はい、この前クリスタルシティでばったり元同僚と会ったんです。
     クリスタル新聞の社会面担当記者です。
     その人の、首都の新聞社に勤める友人からのメールで
     館に関する質問があったそうなんです。
     元同僚は、館については知っていましたので
     単なる元犯罪者の更生施設だけど、とだけ答えたそうです。」
     
     
    会議室は一気にザワついた。
    「どうも、首都のタブロイド誌が館の事を嗅ぎつけたようなんです。
     州内では、村の直売所が人気ですよね。
     毎日あちこちからお客が来ています。
     その話は、首都まで届いていたそうなんです。」
     
    村の商品の人気は、徐々に州外にも広がっていて
    それは予定外ではなかった。
     
    「ところが主様の葬儀の時に、その村が一斉に休んだでしょう。
     それだけではなく、盛大な葬儀が行われ
     州の政財界関係者が大勢参加した、たかが一施設の管理者に何故?
     という事らしいです。」
     
     
    確かに、その疑惑を持たれる可能性に気付くべきであった。
    しかし気付いたとて、あの主をひっそり葬るなど
    館の関係者には誰も出来るわけがない。
    従って、これは避けられないトラブルである。
     
    「それで、そのタブロイド誌はどこまで知っておるのかね?」
    マデレンは、すまなそうに首を振った。
     
    「それはわかりませんでした。
     タブロイド誌の場合は、何もつかめないと思うんです。
     だけど情報網が厚い首都新聞が、この事に興味を持つと・・・。」
     
     
    「・・・ううむ、館が公になるのはまだ早い・・・。」
    皆が腕組みをして、眉間にシワを寄せた。
     
    「いえ、これはチャンスだと思いまーす。」
    声を上げたのはリオンだった。
     
    「今の州知事は関わりを避けていまーすが、反・館思想でーす。
     館の事が表沙汰になったら、潰しにかかってきまーす。
     そうなる前に早めに準備をして、こちらからアピールを開始するんでーす。」
     
    「攻撃が一番の防御か。」
    将軍が言った。
     
    「館内は、もう整備されていまーす。
     主の死後間もない今、住人たちの心は主の事で占められていまーす。
     今なら団結力がありまーす。
     逆に有利な条件が整っているのでーす。」
     
     
    「しかし、ひとつ問題がある。」
    白髪紳士が口を挟んだ。
    「館がまだ荒れていた頃、私は既に長老会メンバーだった。
     ・・・共犯じゃよ・・・。
     代替わりした者も何人かいるが
     この中には、まだ当時のメンバーが多くいる。」
     
    「法的には時効でしょう?」
    新メンバーの言葉に、古いメンバーが冷静に答える。
     
    「だが、倫理に時効はない。
     そこを突かれると、不利だ。」
     
     
    ジジイが立ち上がった。
    「館の改革は主の死をもって遂げる、そういう予定じゃった。
     それは普通に考えて、主がわしらより長生きするはずじゃったからじゃ。
     じゃが、順番が狂ってしもうた。
     わしらが浄化を阻止しておるんじゃ。」
     
    「じゃあ、私らに死ねとおっしゃるのか?」
    感情的になる老メンバーを、ジジイが抑える。
     
    「いや、そういう事は必要ない。
     むしろそれをしたら、改革の理念に反する。
     ただ、わしらも皆、館に対して責任を取るべきなんじゃ。」
     
     
    会議室は静まり返った。
    確かにそれが筋ではある。
    しかし地位を失う事になるかも知れない。
    大きすぎる代償である。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 51 12.4.23 
           かげふみ 53 12.5.1 
           
           かげふみ 1 11.10.27 
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  • めまい

    エロ系のタイトルだが、実際はゲロ系。
     
    あっ、ごめん、気持ちがスサんで、つい汚いダジャレを言うてしもうた。
    大丈夫、私、スカトロ大っ嫌いだから!
    内容はいつでも清潔系だから!
     
     
    昨日は、ほんと参った。
    目覚めたら、えっらい脳内がグールグルで
    それでも気にせずに起きようとしたら、ズドーンとコケる。
     
    いやあ、布団の上で良かったよー。
    骨でも折ったら、私のジェネレーションだと寝たきりコースに突入だぜ。
     
    んで、こりゃあかん、と、ちょっと寝る。
    3度寝までしたけど、脳みそグルグルは治まらないので
    横になったり丸まったりと、自分を騙しつつ
    どうにかコタツまでたどり着く。
     
     
    で、座椅子に座って様子見をしたら
    同じ姿勢で動かずにいたら、数十秒でグルグルは止まるんだ。
     
    なので、試しにモンハンをやってみた。
    バカモノ! 遊びじゃねえぞ、検証だぞ!
     
    そしたらこっちはNO DEATHで上級リオレイアが倒せるので
    これは、普通の一時的なめまいじゃないんじゃないかと。
    だってあのメス龍、ちょっとでも調子が悪いと殺られるじゃん。
     
    うわあ、これは病院に行くべきかな、と
    ネットを立ち上げ、恐々と “めまい” を調べる。
     
     
    めまいには、大きく分けて
    脳みそ由来、耳由来、精神由来、とある。
    耳とは、体の平衡感覚を司る三半規管の部分の事。
     
    何か私の場合、精神由来の可能性が強そうで
    それだったら放置で良いんだけど
    一番恐いのが、万が一の脳溢血とか脳腫瘍なのだ。
     
    いずれにしても病院には行かねば、と思っていたら
    “めまいと闘う人たちのサイト” みたいなんとかある。
     
    えええええええええええ、めまいって治らない場合があるんか?
    私ももしかしたら、また闘いをいっちょ増やさにゃならんのか?
    (ゲームの中で) 世界のために、必死で戦ってるというのに???
    と、ものすごく不安になったけど、恐いんで見て見ぬフリをした。
     
    だって私、思い込みでマヒとかしちゃうタイプだもん!
    そういう、負の方の自己暗示がむっちゃ得意なんで
    あまり病気の知識とかいれないようにしてるんだよー。
    そしてブログを書いて、病院に行ったさ。
     
     
    酔っ払っていないのに、酔っ払っている動きしか出来ないのは
    ものすごく恥ずかしい! と痛感したよ。
     
    あらゆる病人の巣窟、病院の中でさえ
    人々の、何やこいつ視線がグサグサ痛くて。
     
     
    話はこれで終わりたいな。
    だって診断が、“気圧の変化による三半規管の異常” だったから。
     
    もう、はあ? だよ、はあ?
     
    ぶっとい注射をされて、薬を貰って、早ければ明日には治る
    と言われたら、ああ・・・、来なきゃ良かった、となるだろ?
     
    老化でも更年期でもストレスでもないとさ。
    「体のバランスが崩れてるんじゃないですかね。」 という事らしい。
     
    I’ts the 虚弱!!! (ごめん、英語の偏差値40台なんだ・・・)
     
     
    んでさ、もういっちょ “来なきゃ良かった” になった事が。
    待合室でグラグラと座っていたら
    隣に座ってたご婦人が、「あら、何とかさん!」 と声を掛けた。
     
    また老人の社交か? と、チラ見したら、マスクをつけた若い男性。
    何と、熱が39度あって、ようやく38度まで落ちたとか。
     
    ちょ、これでインフルとか移ったら、私マジ死ぬ!!!
     
    いやあ、まさかこの時期にインフルエンザ等があるとは思わなかった
    and めまいでウロたえてたので、私、マスクをして来てないんだよ。
     
    ああ、おにいさん、早く立ち去って! の私と
    早く切り上げようとするおにいさん。
    空気が読めてないのは、隣のご婦人のみで
    「あらあ、まだ38度もあるのー?」 とか
    まことにどうでも良い世間話を続ける。
     
    熱が38度ある人を立ち話させるな!!!
     
    と言う事で、私に死亡フラグが立っちゃったかも知れない。
    しょうがねえので、おにいさんの無事だけでも祈ろう。
    思いやりのねえクソバカご婦人に長々と無意味に引き止められて
    高熱の身でさぞ辛かったろう、可哀想に。
     
    でもな、おめえ、この時期にインフルになって
    私と同時間に同場所に存在してんじゃねえよ!
    (とんでもない言い掛かり)
     
     
    で、今日。
    まったく症状変わらず。
     
    ほら、酔っ払ってグルグル、ってあれだよ、あれ。
    あまりにグルグルなんで、当然吐き気も伴う。
    まさに、酩 酊 状 態 !!!
     
    こんなんで生活なんて出来ないぜ。
    そんで私がどうしてるかっちゅうと、普通にしようとしてる。
     
    こういう時さ、「休め」 って言われるじゃん。
    でもさ、休んでたら餓死するっつの。
    汚部屋になるっつの。
     
    大丈夫!
    特定の地域では、昼から酔っ払っている人もいる関西だから
    フラフラ歩いているババアがいても、割に見逃されるはず。
     
    て言うか、フラフラしてる人の中には
    このように病気の人もいる、とわかったよな。
    全員が全員、酔っ払っていません! 個人の権利キイイイイッ
    (病気でもなお、敵を作る事を忘れず)
     
     
    今は、転んでケガをするのが一番恐いので
    それに気をつけて、ユルユルと生きていってるから
    ひとつ何かをするにも、ものすごく時間が掛かるんだ。
     
    ナイスバディーの天才なのは相変わらずなのに
    まさか、ヨタヨタの老婆時代がこんなに早く来るとは
    人生、ほんっと一歩先はわからんものよのお。
     
     
    治るまで、・・・もしかしたら治らないかも知れないけど・・・
    出来るだけ、いつも通りに過ごそうと思っているんだ。
     
    ブログの記事だけは、何とか更新したいけど
    それも無理な事があるかも知れない。
    メールの返事やコメントまで、出来ない時があるかも知れない。
     
    それもこれも、半病人の私をダシに
    皆が徳を積めるように、との天の配慮だろうから
    私に感謝しつつ、私を助けてくれ、お願いします。 ほ-ほほほほ
     
     
    どう助けるかって?
    うーん、祈祷?
     
    ウソウソ。 休んでも見て見ぬフリをしてNE愛くるしい絵文字略 
     
     

    評価:

    アーテック


    ¥ 290

    コメント:ウイルス予防のために “マスク” で検索したら、これが! ちょっと意表を突かれるが、なるほど。 これをデコってオブジェとかインテリアとかにしたり、乱交会に使うんかな? ちなみにはマスク “A” は男性っぽい顔型だった。 こっちの方がリトルグレイ。

  • 急病っぽいー

     ごめん、今日のブログは休ませて。
     
    理由は、めまい。
     
    朝起きようとしてから、目が回って起きれず
    起きても真っ直ぐ歩けないんだ。
     
    こんな時でもブログに来る私、偉い!
     
    ついでに、ネットでめまいについて調べてみたけど
    一番不安な、脳溢血の線はないようだ。
    2日前から、よくわからない肩凝りがあったんで、そのせいかと。
    いや、これ素人判断だけどな。
     
     
    って、普通のブログの長さじゃん、この記事。
    休んだ事にはならないよな!
     
    あ、でもコメントや、メールの返信等は
    ごめん、今日は休ませて。
     
     
    んじゃ、ちょっと病院に行ってくるよー。
    明日ブログが更新されなくても
    多分、心配いらないと思う。
     
    だが、まだ地獄の釜のフタは開いていねえっぽい。
     
    ・・・だから長いって。
    もう、今日は休みにカウントしねえ。

    ちょっと報告にくると、こうやって
    ダラダラ喋るんで、休む宣言の意味ねえっつの。
     
    んじゃ、本当に go to 病院だー。

  • かげふみ 51

    マデレンが長老会議に出席した。
    「ようやく完成しました。
     主様のプロモは、3種類あります。」
     
    「何故3種類だね?」
    「はい、それは職員の転勤等で
     主様を直接知らない人も編集に参加したので
     彼らの意見と私の意見が、まったく食い違ったのです。」
     
    マデレンは3枚のディスクを見せた。
    「これは主様を知らない人が選んだ、善・主様の映像集。
     数少ない笑顔がメインです。
     こっちは、主様のインタビューシーン。
     仕事中の風景や演説のシーン。
     そしてこっちは、私が選んだ悪・主様集です。
     平然と鬼のような事を言ってのける、あのいつもの主様です。
     私の思う主様の魅力は、この悪・主様に表われていると思うのです。」
     
     
    「なるほど、本人を充分に理解していないと
     彼女の大部分は、“悪” だと判断されますね。」
    「ふむ、3種類に分けたのは良い判断だな。」
    メンバーたちはうなずいた。
     
    「この3種類以外にも、館の日常や村の風景
     住人たちや村人のインタビューなどの編集も進んでいます。」
     
    「ほお、思ったより綿密に分類しているんだな。」
    「じゃあ、早速これらを観てみようじゃないか。」
    メンバーたちは、大画面モニターの前でワクワクした。
     
     
    善・主様。
    「ああっ、相変わらず、張り付いたような笑顔だ。」
    「目が笑ってないんですよ、この人は。」
    「うわ、これじゃバカ笑いですよ。」
    「“微笑む” ってのが出来ない人でしたよねえ・・・。」
     
    不評である。
    「口直しに悪シリーズを観ましょうよ。」
    「うむうむ、“あの” 主が観たい。」
     
     
    『はあー? 昨日言ったじゃないですかー。
     丸一日も猶予を与えたのに、何で出来てないんですー?
     ここがどこの国であろうと、この館では
     私時間で動いてくれないと、はちくり回しますよー?』
     
    『でー? 言い分は何ですかー?
     ほー、へー、ふーん、はい、却下ー。
     理由? いくらでもいかようにも言えますよー?
     だけど言いくるめられる時間がもったいないと思いませんかー?
     結局はあなたは私の意見に納得する、と納得してくださいー。
     てか、いい加減、この流れを学習してくださいねー。』
     
     
    「うーむ、鬼だなあ・・・。」
    「主の罵倒の右に出る者はいませんよね。」
    「聞いていると、納得してしまいますもんね。」
    「亜流を主流にするパワーが凄いですよねえ。」
     
    批判しながらも、嬉しそうに見入るメンバーたち。
    「これらを見ると、会議ではまだ抑えてたんですね。」
    「それなりに気を遣ってもらってたんだなあ。」
    「あれでも、だがな・・・。」
     
     
    最後に主のインタビューを見る。
    好きな食べ物は? などのたわいない質問から入り
    主らしい、と会議室は笑いに包まれていたが
    館についての答に、誰もが口を閉ざした。
     
    『この館は、身寄りのない元犯罪者たちの施設ですー。
     彼らは法的には、罪を償い終わっていますー。
     だけど罪は、一生自分の中で生き続けるのですー。
     そんな彼らには行く場所がないー。
     この館で生きていくしかないのですー。
     ここは、そういう意識でいる限り
     人生の牢獄と言える場所なんですー。』
     
    『だから私は、彼らにこの館を維持する喜びを与えたかったんですー。
     彼らの人生に欠けているもの、それは希望ですー。
     この館で、それを感じてもらいたいんですー。
     罪を抱えながらも、喜びも同時に持っていられるー
     ここをそういう場所にしたい、それが私の目標ですー。』
     
     
    「『館の事しか頭になかった』 と、おっしゃってらしたけど
     ちゃんと住人の事を考えていらっしゃるじゃないですか・・・。」
    グリスが涙声でつぶやいた。
     
    「単純に言うと、館 = 住人 なんですよね。」
    「完璧主義者だったから、満足がいかなかったんだろうな・・・。」
    「充分でしたのにね・・・。」
     
    会議室は、涙に包まれた。
     
     
     続く 
     
     
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