• 伊賀醤油

    まず、最初にお詫びを。
    どうもすみませんでしたーーーーーーっ!!!
     
    何がすまないのかっちゅうと、まあ聞いてくれ。
     
     
    伊勢うどん 11.10.26 のコメント欄で
    伊勢うどんが生醤油仕立てで美味いんだから、伊勢醤油も美味い!
    という論法により、激しく伊勢醤油をプッシュした。
     
    そしたら、どこのが美味しい? と訊かれ
    その時に使っていた醤油を紹介した。
     
     
    その醤油、値段の割にアルコール臭がないし
    ほんのり甘みとコクがあって、私の好みなんだ。
     
    んで、それがなくなったけど、ちょっと買いにくい場所なんで
    次は近場で伊勢醤油を買った。
     
    それが、美味しくなかったんだよー。
    亀の甲羅男の醤油と似た感じで、薄くてアルコール臭がキツい。
     
    まあ、伊勢醤油でも色々メーカーがあるだろうし。
    にしても前の醤油と同じような価格帯でも、これだけ違うんかな
    とか思いつつ、何とか使い切った。
     
     
    最近、よく白菜漬けを食ってるんで、醤油が不味いととてもつらい。
    なので、無理をして以前の醤油を売ってるとこまで行った。
    そして大瓶も見つけたので、あわせて買ったさ。
     
    はさめず (こいいろ) 株式会社福岡醤油店
    200ml 430円 (税抜)
    900ml 700円 (税抜)
     
     
      
    ふふん、今回はちゃんと買った時に
    値段をメモっておいたんだよー。
     
     
    この醤油の言い方は、“こいいろ”“うすいろ” で
    それぞれ、“濃い口”“薄口” らしい。
    私が使ってるのは、こいいろ、つまり濃い口。
     
    他にもう1種類、呼び方を忘れたけど、刺し身醤油がある。
    どれも1升瓶と、大瓶、卓上瓶が揃ってた。
     
    あ、若い者は知らない場合も多いかもだから書いておくけど
    1升は、約1.8リットルだぞ。
    私のブログはタメになるよなあ、ふぉっふぉっふぉ。
     
     
    不思議なのが、材料を見ても美味そうな配合じゃないとこ。
    添加物いっぱいだし、そこらの大手メーカーのと変わらないんじゃないか?
    実際に値段も手頃だし。
     
    なのに、これはアルコール臭くないんだよー。
    コクもちゃんとある。
    一応、材料名を丸写ししとく。
     
    原材料名: 大豆、小麦、食塩、アミノ酸液、ぶどう糖果糖液糖、
          アルコール、調味料 (アミノ酸等)、甘味料 (甘草)
     
     
    ・・・と、私にしては珍しく、売り場でじっくりとチェックしていた時
    ふと、棚の商品タグっていうの? ポップ? が目に入った。
     
    んで、ふんふん、と納得して、また商品の裏書きに目をやって
    次の瞬間、もう一度そのポップを見直したね。 二度見、二度見!
    書いてあったのは
     
    伊 賀 醤 油 
     
    それでもちょっと意味が飲み込めず、あれ? と。
    伊勢うどんが美味いから伊勢醤油も美味いんだよね?
    と言ってた時に使っていたのって、確かにこれだよね?
     
    ・・・・・・・ 伊 賀 ・・・・・・・・?
     
     
    各関係者の皆様方、及び私に醤油を勧められた人、
    重ね重ね、どうもすみませんでしたーーーーーーーーーーっ!!!
    私は、伊勢醤油うめえー、と伊賀醤油を使っておりましたーーーっ。
     
    でも買った人、私が勧めた伊賀醤油、安価な割に美味いだろ?
    私は醤油探しの旅はもう疲れたので、今後はずっとこれにするよ。
    他にも探さにゃならんアイテムが目白押しだし
    醤油はこれで大満足なんだ。
     
     
    なお、この記事は、伊勢醤油を不味いとは言っていない
    と、明記しておきます。
     
    私が買った安価な伊勢醤油は、たまたま不味かった。
    けど、伊勢うどんの生醤油は美味しいんで
    私の運が悪かっただけで、伊勢醤油も絶対に美味しいはず。
     
    この、はさめずレベルの価格で
    美味しい醤油があったら、ぜひ教えてほしい。
    産地やメーカーに限らず。
     
     
    ただ、醤油ってそんなに消費しないんで、試しにくいよな。
    不味いのに当たったら、使いきるまで苦痛なんで
    気に入ったのが見つかると、冒険したくなくなるしさ。
     
    だから口コミって大事なんだけど
    こういう勘違いを多発するから、ババアは信用ならんのだよな。
     
    皆様、本当に申し訳ございませんでしたーーーっ!!!
     
     
    ↓ あ、あれ? 何でヤフーじゃこんなに安いの?
      ・・・交通費まで出して無理して行ったのに、ガーーーン・・・
     
     
     はさめず醤油 濃口 900ml

    はさめず醤油 濃口 900ml

  • かげふみ 50

    電話を切った後に、アスターは泣いた。
    喜びや悲しみ、色んな感情が溢れてどうしようもなくなったのだ。
     
    グリス、ぼくはきみが羨ましいよ。
    拒絶されても側にいられたんだから。
     
    ぼくはきみにとって、主様のローズさんのようになりたい。
    ぼくにはその道しか残っていない。
    だからぼくには、きみの成長を望まない心があるんだ。
    それが時々、とてつもなく汚いものに思えて苦しいんだ・・・。
     
     
    リオンの別荘に招待された時に
    実はアスターは、主とふたりだけで話す機会を得ていた。
     
    それぞれが入浴などをしている時に
    偶然、バルコニーにいた主を見つけたのである。
    アスターは、そのチャンスを逃さなかった。
     
     
    主に同席の許可を貰ったが、なかなか言葉を出せずにいた。
    すると意外にも、主から話しかけてきた。
     
    「欲しいけど、手に入れる事が出来ない
     と、わかっているものが手に入ったら
     その後って幸せなんですかねー?」
     
    「・・・また、他の何かを探していけば・・・」
    「至上の幸福を得たら、他に欲しいものなどないですよねー?」
     
    アスターは聡明な受け答えをした。
    「では、至上の幸福では人は幸せにはなれない、と
     おっしゃりたいんですか?」
     
    「逆に言えば、手に入らないからこそ
     それが至上に思えるんじゃないですかねー。」
     
    アスターの視線に、主が合わせた。
    間近で見る主の瞳は、真っ黒だった。
    アスターには、目の前の人間が “正しいもの” に思えなかった。
     
     
    その時は、わからなかったけど
    今になって思い返すと、見えてくる事もある。
     
    “至上の幸福” なんて、この世じゃありえない。
    そんなもの、まるで邪悪な囁きも同然じゃないか。
     
    それにしても、あの暗い瞳・・・
    まるでグリスは、主様のあの影に囚われたような
    ふとアスターがそう思った時に、脳裏で何かがはじけた。
     
    もしかして、主様がぼくにおっしゃりたかったのは
    “グリスの想いは叶わない” という事だったのかも知れない。
     
    アスターは絶句した。
    何という、残酷な人なんだろう。
     
     
    まとまらない考えに、混乱した頭を抱えながらも
    ただひとつ、確信できる事があった。
     
    あの時、主様が何をおっしゃりたいのか理解できず
    ただ主様を見つめるだけしか出来なかったぼくの左手に
    主様が触れようとなさった。
     
    だけど途中でひどく動揺なさった様子になり
    その手を止め、そのまま立ち去ってしまった。
     
    ぼくはその瞬間、きっと脅えた表情になっていたんだ。
    あの時のぼくには、主様がものすごく恐ろしいものに思えたんだ。
    もし主様がぼくの手を取ってくださっていたら・・・。
     
     
    グリス・・・、ぼくは愛を見た気がするんだ。
    想像もしていなかった、イビツな形だけど。
     
    それでもあれは愛だと思うんだ。
    だけどぼくは、それを肯定したくない・・・。
     
     
    グリスの愛、主の愛、そしてアスターの愛。
    誰の愛も、喜びと共に悲しみをもたらしている。
     
    だけど愛さないより、愛した方が幸せなのだろう。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 49 12.4.17 
           かげふみ 51 12.4.23
           
           かげふみ 1 11.10.27 
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  • ウツ歌

    今、メールの着うたをデスメタル・ドナドナにしている。
    この曲の歌詞、ものすげえウツな内容である。
     
    世界中が明るく幸せに満ちているのに、仔牛だけが不幸のドン底
    という歌詞で、こういう歌を誰が望んでいるのか、さっぱりわからん。
    それをまた着うたにしている自分も、さっぱりわからん。
     
     
    真のウツ歌は、明るく楽しい曲調なのに
    歌詞の内容がとんでもない不幸なものだと思う。
     
    私がショックを受けたウツ歌は、“大きな古時計”。
    あれ、古時計がおじいさんに殉死した話だよな?
    何でそんな悲しい話を、わざわざ歌わにゃならんのだ?
     
    この歌、小学校の時に合唱があって、何度も繰り返し練習させられた。
    しかし歌詞に気付いたのは、高校生ぐらいになってから。
     
    毎日歌っていて、歌詞の意味がわからないなど
    どんだけアホウだったんか、という意味でも
    私にとっては、この歌はウツ歌である。
     
     
    巷のウツ歌は、どうも童謡に多い。
    脳が拒否してるんか、その数々の歌をまったく思い出せないんだけど
     
    橋が落ちただの、池に落ちただのの、落下系
    鍋で煮られただの、丸焼きにされただのの、弱肉強食系
    キレイにまとめてるつもりだろうけど
    これ、普通に考えて死んでるよな? というお空の星に系
     
    大体こういうカテゴリーに分かれてる気がする。
    多くの子供たちの心に、さぞトラウマを残してきた事であろう。
     
     
    そんな中、最強のウツ歌がある。
    歌詞も曲も、これ以上にないブルーなものである。
     
    たった今さっきウツ歌の批判をした、その口で
    ウツ歌の紹介をしようなど、おめえ、どうした二枚舌だよ?
    と、突っ込まれそうなんだが
    すまん、矛盾しているのはわかっているけど
    どうしてもこの苦しみを、皆に押し付けたいんだ。
     
    というか、体温調整機能の老化で寝苦しかったせいか
    今朝方の夢でこの歌を思い出して、今とても恐いんだ。
    それだけのために、いきなり “ウツ歌” とか言い出したんだよ。
     
     
    で、その歌のタイトルはわからん。
    曲はしっかり覚えている。
     
    この歌は、中学の時の修学旅行で習った。
    県名を出しても良いものだろうか?
    いいや、これを “ウツ歌” とか言ってる時点で
    もう、非人道的だと罵られてもしょうがねえよな。
    懸命な皆さんなら県名は察して語るな。 すげえ韻だ!
     
    楽しい修学旅行のバスの中で、皆ワイワイはしゃいでいた。
    するとバスガイドさんが、突然歌を教え始めた。
     
    そのあまりの歌詞の衝撃さに、泣き出す子や、酔って吐く子もいて
    バスの中は結構な動揺状態になり
    私もその時食べてたきのこの山を、そっと片付けたよ。
     
    そのショックは、皆、現地のホテルでも引きずっててさ
    幽霊を見た、とかいうグループが出現して、もう学年中がパニックだよ。
     
    いらん歌を教えてトラウマを作ったせいだと思うんだけど
    教師は皆ヒステリーを起こして、怒鳴るは殴るは
    夜中に生徒全員、廊下に一列に正座だ。
    そういう事をしてたら、逆に見苦しいっつうに。
    てか、某米国ならこんなん、カウンセリング案件だと思う。
     
     
    やたら前置きが長くなったけど
    私だけじゃなく皆がショックを受けた、と言いたかったんだ。
    正直、知りたくなかった歌 No.1 だよ。
     
    前にもブログのどっかで書いた記憶があるけど
    見つけ出せないんで、またわかる歌詞だけ書いておく。
     
    大事な事はポンポン忘れるのに
    何でこれはいつまでも覚えているんだろう・・・。
     
     
    歌詞
     扉を叩くのは私
     あなたの?に???でしょう
     ????????
     私の声が聴こえるでしょう
     私の体は見えないの
     
     私の髪に火がついて
     以下全忘れ
     
     
    曲を見つけた人は、ぜひ聴いてみてくれ。
    そんで、私を恨まないように。
    あっ、この歌に関する情報もいらないからな。
     
    通り魔になった気分で、書いた記事なんで
    相手にしないのが一番だと思うぞ。
     
     
     

    評価:

    マリリン・マンソン

    ユニバーサル インターナショナル


    ¥ 2,230

    (2004-09-25)

    コメント:ホラー映画ファンなら、マンソンの歌は馴染み深いだろうー。 私的にベストアルバムは、やっぱりこれかな。 19曲目のイレ何たらヘイト何たらという曲が特に好き。 ・・・英語が読めねえんだよ!

  • かげふみ 49

    グリスは反射的に携帯を手にした。
    しかし思いとどまって、電話を切った。
     
    これはぼくがひとりで乗り越えなければならない。
    いつまで経っても、同じ事で友をわずらわせたらいけない。
    ぼくの主様への気持ちは変わらない。
    たとえ主様が誰を愛そうと!
     
    頭の中で、自分にそう言い聞かせてはいるが
    心がザックリと裂傷を負ったかのように、ズキズキと痛む。
     
    耐えるんだ!
    わかっていたじゃないか、主様に愛されていない事など。
     
     
    電話が鳴った。
    アスターからである。
    繋がる前に切ったつもりだったが、着信が記録されていたのだろう。
     
    グリスは平静を装って、電話に出た。
    あ、ごめん、間違ってプッシュしてしまったんだ
    そう言おうと思っていた。
     
    しかし電話に出た瞬間、アスターの優しい声が聴こえてきた。
    「どうしたんだい? 何かあったのかい?」
    グリスの決心は、一瞬で崩れ去った。
     
    「アスターーーーーー!!!!!」
    悲鳴にも近い、涙交じりの声だった。
     
     
    アスターは、グリスが泣き止むのを電話口で黙って待っていた。
    あの寮での出来事が、再現されている。
    グリスがこんなに動揺するのは、主様の事以外にない
    それもアスターにはよくわかっていた。
     
    グリスはごめんごめんと謝りながら、ひとしきり泣いて落ち着いたらしく
    ポツリポツリと、今回の出来事について話し始めた。
     
    「あのお方は、ぼくの気持ちをわかっていながら
     平気で無視できる氷のような人だったよ。」
     
    グリスは、少し黙り込んだ後、言った。
    「それでもぼくはあのお方の側にいたかったんだ・・・。
     でも、ローズさんが、主様の右目と一緒に
     心も持って行ってしまっていたんだ・・・。」
     
     
    アスターには、グリスが自らを責めているように思えた。
    ソデにされても、気持ちを止められない自分の心を
    情けなく感じているのだろう。
     
    アスターは、慰めるつもりはなかった。
    グリスは、それでも幸せだったはずだからだ。
     
     
    「アスター、ぼくは主様に一度も触れた事がなかったんだ。
     引き取られて20年間、ただの一度も。」
     
    その言葉に少し驚いたアスターだったが
    何となくその気持ちがわかるような気がした。
     
    「主様は時々、夕日を眺めていらっしゃった。
     主様の影が長く伸びているんだ。
     後ろにいる、ぼくの足元にまで。」
    グリスはその時の事を思い出すかのように目を閉じた。
     
    「ぼくは少し前に出て、手を伸ばして主様の影に触れるんだ。
     夕日で赤く染まったぼくの手の平に、主様の影が乗る。
     その時だけは、主様を支えている気分になれたんだ・・・。」
     
     
    アスターの瞳から涙がこぼれ落ちた。
    グリスが哀れに思えたからではない。
    とてつもなく純粋なものを見せられたように感じたからである。
     
    言葉を失うアスターに、グリスは我に返ったように言った。
    「ごめんね、アスター。
     自分でもわかっているんだ。
     ぼくは全然成長していない。
     少しの事で動揺して、きみにこうやって泣きついてしまう。
     きみに救われてばっかりだ。
     ぼくもきみを救えるような人間になりたい。
     頑張るから、どうか許してほしい。」
     
    アスターは、今のきみで良いんだよ、としか答えられなかった。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 48 12.4.13 
           かげふみ 50 12.4.19 
                  
           かげふみ 1 11.10.27 
           カテゴリー ジャンル・やかた
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  • 機種変更

    この記事を覚えているだろうか?
    携帯の機種変更 11.10.11
     
    こっから、auがものすごく失礼な電話を掛けてきて
    「今すぐにお手持ちの機種を持って、お近くのauと書いてある店に行って
     機種変更をしてください。
     7月にはその機種は使えなくなるんですよー?
     わかりますー?」
     
    無愛想な男性の声で、本当にこういう言い方をされて
    さすがの私も電話を切ってから (← ・・・)、腹が立って
    次に女性が掛けてきた電話で、ブチ切れてしまったのである。
    ボケ老人扱いをするでない、と。
     
    それ以来、勧誘の電話はないけれど
    携帯電話の事は、考えるのも億劫になっていた。
     
     
    それが機種変更まだのau使いの人が
    機種変更予定の1週間前に、携帯をブッ壊して
    データ復元の修理に5000円掛かったあげくにスマホにした、と聞き
    それはまさかの auシビレ切らしタイマー発動か? と
    慌ててauショップに駆け込んだ。
     
    という、ロクでもない動機。
     
     
    ・・・しかし、数ある機種の中
    どれが良いのか、さっぱりわからぬ。
     
    以前から私の面倒を見てくれてるおにいさんにお願いした。
    「機種変更したいんで、どれか選んでおいてくれますかー?」
    (忙しかったら悪いな、という的外れの気遣い)
    (そんな気遣いが出来るのなら、とっとと自分で選べ、と)
     
     
    この丸投げ即、帰路につこうとする私を引き止めつつ
    おにいさん、しばらく考えていたが、帰りたい私を椅子に座らせる。
     
    「パソコンはなさってるんですよねえ?
     スマホでネットをする気はないんですか?」
    「ないです。」
    「どうしてです?」
     
    この質問に、ちょっと困る。
    私の “パソコンをやってる” は、正確に言うと
    “ブログで暴言を吐いてるだけ” なので
    ネットをしてる、というのもおこがましいような気になっているのだ、最近。
     
    そんな事は言えないので、老眼がー、と言いつつ
    「でも年寄りって、皆こんなでしょう?」 と多数派を気取ろうとしたら
    そんな事はない、とおにいさんは言う。
     
     
    「今は皆これなんだろ?」 という、自我のない理由でスマホにし
    孫との画像のやり取りとかで頑張る内に、使いこなしていくのだそうだ。
     
    「この人には無理だろう、と思っていた人が
     結構、活用できるようになったりしてるんで
     あしゅさんなら、頑張らなくても出来ると思うんですが
     どうも携帯自体に思い入れがないみたいですね、どうしてです?」
     
    えらい意外な追求をされて驚いたけど
    何か一理あるような気がして、うーん、と考えてみた。
     
    その時、机に立てかけてあるタブレットみたいなんに
    小型犬の画像が出ていて、それで あっっっ!!! と気付く。
     
    「ああーーーっ、私、小さいものが好きじゃないんですよねー
     ちょっと触ったら、すぐ壊れるでしょう?
     ノートパソコンに電話機能が付いたら使いますよ、持ち歩かないけど。」
     
    「それ、携帯してないじゃないですか・・・。」
    こう突っ込まれるのも無理もない事を何故言うのか、私・・・。
     
     
    「というのものですね・・・」
    おにいさんはパソコンのキーを叩きつつ言う。
     
    注: こっから言われた専門用語は、全忘れしたので
       皆が普通に持っている常識に更に応用を利かせて察してくれ。
     
    「あしゅさんの携帯利用状況では、?プラン?とかいらないんですよ。
     だって先月は?放題?のところを、○円しか使ってないし
     通話に至っては、○円しかしていないし、先々月は・・・」
     
    私の友達いない暴きはもう止めて!
     
     
    「・・・つまり、私には携帯自体いらない、と。」
    ええ。 (← !!!)
     でも、それを言ったら、うちも困るんで
     携帯電話は持ち続けてくださいね。
     だからスマホでネットをお勧めしたんですけど、いらないですね。」
     
    で、肝心の機種だが、スマホじゃないのは
    もう3~4種類しかないそうだ。
    その中から投げやりに選んださ。
     
    ・・・わかるだろ・・・?
     
     
    「もしもの時のために、?プラン?は残しておきましょうね。」
    という、おにいさんに言いなりになる私。
     
    「そうですね。
     嫌がらせメールが100通来るかも知れませんしね。」
    おにいさん、あんた一体何をしとんのか、という顔をする。
     
    で、ほとんどの設定をおにいさんがしてくれた。
    個人情報保護法と言うのがあって、ぼくがしてはいけないので
    このキー?を押してくれ、と何度も言われて
    「私を人と思わなければ良いじゃない!」 と
    やってもらっておいて、妙なアントワネット発言を叫びそうになったけど
    私の中の理性のカケラを総動員して、自分を押し留める。
     
     
    あとは画像のフォルダ分けとかだけだが
    何か1000個以上、データがあって
    ひいいいいいいいいいいいっっっ、となってたら
    それは絵文字とかのデータがあるせいらしい。
     
    「それ、消したらダメなんですか?」
    「良いですよ、消します?」 「うん」
    年寄りに親切な若者である。
    きっと、こいつには天国の門は開くはず。
     
    消したらダメなのとか、あるのか訊いたら
    「消したらダメなものは、最初から削除できないようになっています。」
    おおお、GOD!!!
     
     
    にしても、まだ600件ぐらいデータがあるんじゃん、と溜め息を付いたら
    「1から積み上げていくのって楽しくないですか?」 と
    えらい前向きな若さで、爽やかに励まされたので
    「でも、いくら積み上げたキャリアが役立てられるとはいえ
     転職したら、しばらくは辛いでしょう?」 と
    河原で積む石は鬼が来て崩すのよ、と教えてあげたら
    「それ、何かわかります・・・。」
    と、最後は2人でドヨンとして終わった。
     
    おにいさん、薄い客なのに、いつもいつもごめんね。
    でも、ありがとう。 本当に感謝してるよ。
     
    おめえがいなくなったら、私はキャリア変更をする。
    あのauの電話男に付けられた傷が癒せないんだ・・・。
     
     
     

    評価:

    リュウド


    ¥ 6,463

    (2007-06-22)

    コメント:おっ、こ、これは!!! 調べてみると、これはガラケーっていうの? スマホじゃない方の携帯電話用だと思う。 しかし値段がパソコンのキーボードより高い・・・。 だから小さいのって憎いんだよっっっ!

  • かげふみ 48

    館がいつもの日々を取り戻した頃
    長老会管轄のクリスタルシティのスタジオでは
    主の映像の編集が行われていた。
    主の偶像化という計画を進めるためである。
     
    「それで切った貼ったは上手くいっとるのかね?」
    長老会の定例会議の最近の話題はそれである。
     
    「それが中々困難のようですよ。
     何せ、“あの” 主ですからね。」
    「無表情で笑顔が少ない “あの” 主ですもんねえ。」
    「さぞかしあくどい顔をした場面が多いだろうな。」
    「マデレンも大変だろうな。」
    皆で、はっはっはっと笑う。
     
     
    「だけど、あの表情も今となっては懐かしいですよね。」
    「ああ。 当時は憎らしく思える事もあったもんだが・・・。」
    ひとりが言い出すと、皆がそれに追随する。
     
    「わたくしなんか、『はあー?』 と言われて
     上から見下された事もあったんですよ。」
    「それを言うなら、わしなぞ、“出歯亀” と罵られたぞ。」
    将軍が追いかぶせる。
     
    「待ってくださーい。
     私など、罵倒されすぎて覚えていないほどでーす。」
    リオンが手を上げると、ジジイがさえぎった。
    「そんなもん、わしに敵うヤツはおらんじゃろ。
     顔を合わせる度に、『死ねー!』 と言われ続けたんじゃからな!」
     
    おおーーーーー、と、どよめきが起こる。
    「良いですねー。」
    「それ、言われてみたかったですねえ。」
    「そうそう、あのまるで汚いものを見るような冷たい目つきで。」
     
    死人が美化されるのは、ありがちではあるが
    ここの場合、何故か特殊な方向に行っている。
     
     
    ひとしきり言い合った後、誰からともなく溜め息が漏れる。
    「惜しい人を亡くしましたね・・・。」
    「うむ、あまりにも早すぎた・・・。」
     
    出席しているグリスも、うつむく。
    主様、皆あなたをこんなにも愛していらっしゃるんですよ・・・。
     
    これが最近の長老会会議のお決まりのパターンだった。
     
     
    長老会会議の後、グリスはふと思い立った。
    監視カメラにも主様のお姿が録画されているはず。
     
    主の写真は持っているが、動く姿が見たかった。
    マデレンの作業の完成を待ちきれない。
    グリスは主の映っている映像をピックアップしてもらうよう
    監視部にお願いした。
     
    監視部の仕事は早かった。
    と言うか、既に “主様動画集” を趣味で作っている者がいたのだ。
    それはコピーされて、グリスの元に翌日には届けられた。
     
     
    自室のパソコンでそれを観ながら、グリスは感慨にふけった。
    いついかなる時でも、表情をほとんど変えないが
    足取りに気分が表われている。
     
    ふふっ、リハビリ室からの帰りは、ちょっとハツラツとしてらっしゃる。
    長老会に行く前は、何となくモタモタして、きっと面倒くさかったんだな。
    あっ、寝室に駆け込んでらっしゃる
    きっとリオンさんのSOSが入ったんだな。
    ああ・・・、主様のいつものクセもちゃんと映っている。
    昔からのクセなんだな。
     
     
    それは主が歩いていて、ひんぱんに左前に首をかしげるクセなのだが
    観ていて、ふと気付いた。
    グリスはそれを、単なる “クセ” と捉えていたが
    主の見る方向には、人がいるのである。
     
    明るい茶色のショートヘアの小太りの女性。
    地味過ぎて、視野に入らなかったのだが
    館内を移動する時には、いつも主の右後ろにいる。
     
     
    もしかして、この女性がローズさん・・・?
    グリスはローズの姿を見た事がなかった。
     
    バラを愛し菓子を手作りしていた、という話から
    たおやかで女性らしい人だというイメージがあったのだが
    モニターの中のローズは、ずんぐりむっくりして粗野な冴えない女性に見える。
     
     
    この女性がローズさんだとしたら・・・
    グリスは早戻し早送りを繰り返して確認した。
     
    そうだ! いつも主様の視線の先にはローズさんがいる!
    主様のあのクセは、右後ろにいるローズさんを追っていたのだ。
    右後ろ?
     
    ・・・・・・・右目!!!!!
     
    主様の右目は、ローズさんが亡くなってから見えなくなった、と聞いた。
    主様は死ぬまで見えない右目でローズさんを追っていたのだ・・・。
     
     
    モニターの前で、グリスは愕然とした。
    主のローズへの愛情はそれほど強かったのだ、と
    思い知らされたような気がした。
    あの主様が、こんなにも愛する人がいたとは・・・。
     
    いや、主様に誰がいても関係ない。
    ぼくの気持ちは、主様のすべてを愛している。
    だったら、ローズさんを愛する主様をも受け入れて当然じゃないか。
     
     
    そう気持ちを立て直そうとした時に、画面が変わった。
    エレベーターの中、主とローズがふたりでいる。
    ローズの背後からのアングルで、ローズの表情は見えない。
     
    そこに映っていたのは、ローズの顔を見つめて
    子供のように無邪気に笑う主だった。
     
    この映像集の中で唯一の主の笑顔、
    いや、グリスが初めて見る、主の笑顔であった。
     
     
    グリスは知らなかったが、これはローズが飛び降りる直前の画像である。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 47 12.4.11
           かげふみ 49 12.4.17
           
           かげふみ 1 11.10.27 
           カテゴリー ジャンル・やかた
           小説・目次 

  • 100%ヘナ反対!

    老人の社交場と言えば、病院の待合室である。
    解せないのが、「あら、元気だったー?」 という掛け声。
    病院に来てて元気なわけねえだろ! と内心突っ込むんだが
    言葉の意味に深い理由を持たせないのが
    し、社交辞令? とかいうやつなのかも知れない。
     
     
    その日も、私の前の席のおばちゃんが 「あら、元気ー?」。
    いや、きっと病気だと思う、と心の中で突っ込みつつモンハンをする私。
     
    そのおばちゃん、真横のおばちゃんの方を向いて喋るので
    後ろの耳の悪い私にも、話の内容がよく聞こえる。
    それは実に興味深い話であった。
     
     
    注: こっから、よくわからん関西弁でお届けします。
       もう10年関西にいるけど、1個も関西弁を覚えておらんのが
       まことに心苦しい限りでございます。
       でも関西弁も、私なんかに喋ってほしくねえと思う。(開き直り)
     
    「うちな、ええもん見つけたねん。
     この髪な、ヘナという天然ので染めてるねん。
     ヘナで染めるとな、髪に良いねん。
     どんどん髪が健康になるねん。
     それで体の毒素も出してくれるねん。」
     
    アオキノコを採取する手が止まる。
    あっ、ここでひとつ言い訳させてくれ。
     
    いつ呼ばれるかわからん、診察の待ち時間に
    大型モンスターを狩る余裕があるか?
    せいぜいが、モガの森で資源集めだろうー。
    それでもリオレウスとか出て来て、おおごとかますのに。
     
     
    私の経験上、ねんねんねんねん言ってるご婦人の話は
    あまりタメにならない、という法則がある。
    何故ならば、関西弁には豊富に語尾が揃っているからで
    ほとんどの人は、それを自在に使いこなしており
    ねんねんねんねん言うのは、子供か男性に甘える女性のイメージである。
     
    現に、私の目の前のご婦人も、ロクでもねえ事を言うておる。
    髪が健康になるのは、まあなるかも知れんけど、体の毒素って何?
     
    たまにこういう事を言う、ナチュラルネイチャーなお方もいるけど
    ヘナで毒素が抜けるなら、毒だらけの私の体はもう溶けてなくなっとるわ。
    何せ、ヘナをもう5年以上やってるんだから。
     
    私は3DSを閉じ、おばちゃんの髪をガン見した。
    おばちゃんは話に夢中だし、もし気付かれても
    「私もヘナをしてるんですよー。」 と、仲間ヅラをすれば良い。
     
     
    最近、ヘナをしているババアが増えたよな。
    すぐわかるよ、白髪混じりの頭髪だと。
    私も、もう3割以上白髪になっとるババアなので
    インディゴを混ぜている!!!
     
    これのブルー。
    機種変更したばかりなんで、カメラ機能の所在がわからん。
    よって、昔の画像で出ています。 うるせえ、そうだよ昭和だよ!
     
     
     
    だって、若い娘さんの黒髪にヘナ100%でも
    光に透けてようやくわかる程度で済むけど
    白髪だと赤金色になって、毛だと思たがそれは銅線か? になるのだ。
    正直、銅線カラー、下品。
     
     
    おばちゃん、どこでヘナを知ったんかなあ。
    何で白髪が多いおばちゃんに、ヘナ100%を勧めるんかなあ。
    あ、でも毒素とか言うような人だから
    混ぜ物はキイイイッ! って感じなんかなあ。
     
    と、後ろで私が勝手におばちゃんの心配をしていると
    「これで染めてくれる美容院があるねん。
     私いつも、そこに行ってるねん。」
    どこだよ、その天然由来の美容院は! と、聞き耳を立てていたら
    「あ、あそこが空いたわ、ここ風が当たるからあそこ行こ。」
    と、おばちゃんたちは、席を移ってしまった。
     
    その席の周囲には空きがなく
    おばちゃんの話も、もう聞こえない。
    さすが関西、日常にもきっちりオチが付くのお。
     
     
    ヘナヘナ勧めといて、今更に言うけど
    白髪が多くなったら、ヘナ100%は止めてほしい。
    本当にすぐ、ヘナやってるね? と、わかるほど赤いから。
     
    私は元の髪色が、栄養が足りていない系の茶色で
    ヘナの発色がキツく出るタイプだったし
    突然、貧困になって白髪が激増えするという
    アントワネット現象を起こしたんで
    ヘナとインディゴを5:5ぐらいの割り合いで混ぜて使っている。
     
     
    ヘナは持ちが良いけど、インディゴが落ちやすいので
    髪が赤くなり始めたら、染め直して黒くしているのである。
    そのサイクルは、ほぼ3週間おきかな。
     
    インディゴだけで染めたいけど
    インディゴの発色は、ヘナの成分に反応するらしいし
    インディゴだけだと、むちゃくちゃ髪がきしむので
    やっぱりヘナは欠かせない。
     
    リタッチはインディゴのみでも良いかな、と試したけど
    髪がキッシキシになって、たまらんだった。
    ヘナ、インディゴをするのには必要不可欠だ・・・。
     
    しかも私な、インディゴにカブレる気がする・・・。
    インディゴの量が多いと、耳の付け根が切れる時があるんだ。
    (耳の付け根が切れたり、痒くなったりするのは
     私の経験上、ヘア用品でカブレてる可能性が大きいぞ。)
     
    その内に、インディゴが完全にダメになる日がくるかも知れない。
    何か他に黒くなる天然染料を探しておかねば・・・。
     
    ああ・・・、中国の国家主席のような真っ黒の髪色になってみたいーーー!
     
     
    ともあれ、「銅線色の髪色が格好良い」 と世間様が言い出すまでは
    白髪にヘナ100%は、断固反対!!!
     
     
    もうひとつ、新情報を。
    今年は、ものすごく乾燥した冬だったから気付いたんだけど
    ヘナ、さすが汚れ落とし効果もうたうだけあって、頭皮の脂を取るようだ。
     
    ヘナ後に頭皮の乾燥で、痒い痒い。
    こういう時には、シャンプー前に頭皮にオイルを塗ると良い。
    オイルを塗って15分ぐらいおいて
    よくなじんだ後に普通にシャンプーをすると、頭皮の脂分が守られる。
     
    頭皮を保護したいのなら、シャンプー後にオイルを塗れば良い。
    ベタつくのが心配なら、オイルを塗った後にお湯で素洗いをすれば良い。
    育毛も期待したいのなら、馬油を使えば良い。
     
    何を使うにも、“自分の適量” を自分で探せ。
    これ、ほんと人によってかなり違うみたいだぞ。
     
     
    あ、もういっちょ。
    頭が痒い事とか、あまりなかったんで
    ヘナ歴5年以上経って、今頃ようやく気付いた次第だが
    頭を爪で掻くじゃん、これ、頭皮にものすごいダメージなんで
    絶対にやっちゃダメだぞ。
     
    で、そのやるな、っつー事をするじゃん。
    そしたらな、黒っぽい垢が爪に付いてくるんだ。
    汚い話でごめん!
     
    でも、ヘナの色は付いてこないんで
    インディゴ、どうも頭皮に着色してるんじゃないかと思うんだけど
    見てもよくわからないんで、全体的に微妙に黒ずんでるのかな?
    染めが落ちてきたら、頭を掻きむしってもその黒垢がつかなくなるし。
     
    だから素手でヘナる人もいるけど
    インディゴ混ぜの場合の素手は、ちょっと危険かも知れない。
     
    イヤ! 実験しない!
    だって私の手、むっちゃ美しいから
    その手を、わざわざ物理的に汚したくない。
    心理的にはものすごく手を汚しておるが
    見た目がキレイだから大丈夫! (何が?)
     
     
    最後に残念なお知らせなんだが、馬油・・・
    クレンジング効果はない、と言われているけど、ヘナが落ちるんだ!
     
    ヘナをして、2日後に馬油で頭皮マッサージをしたら
    4日後に髪の根元が白くなっていた。
    (いや、気付いたのが4日後で、もうマッサージ後には落ちてたかも。)
    ああん、こんなの初めて~~~っ!下ネタじゃないぞ。
     
    他のオイルでも試してみるのが、カリスマブロガーの義務なんだけど
    またヘナが落ちたら面倒だろ。
    ヘナは100均だから良いけど、インディゴは100g1500円なんだよっ!
    クソもったいねえ事この上ねえぜ。
     
    という事で、オイルマッサージでヘナ落ちの情報求む!
    (清々しいほどの他力本願ぶり)
     
     
    余談だけど、アントワネット現象とは
    フランス革命で捕らえられて牢屋に入れられた王妃、
    マリー・アントワネットの髪が、恐怖で一夜にして白髪になった話。
     
    この話と、飢えに苦しむ国民に
    「パンがなければお菓子を食べれば良いじゃない。」 と言った話は
    事実ではないけれども印象的なので、度々好んで引用している。
     
    ごめんね、アントワネット、風評被害だよね。
     
     
    関連記事: カテゴリー ヘアケア
     
     
     

    評価:

    コジット


    ¥ 1,243

    (2003-08-04)

    コメント:ナイスバディーの私が使っているのがこれ。 そう1 体型1個も関係なし! これを熱湯に浸けて柔らかくして噛んで自分の口に合わせて、更に切って削って湯に浸けて、と改造しまくって使っている。 形を自由に出来るし長持ちするし、お勧め。

  • かげふみ 47

    30日間の喪が明けて、館の運営は再開された。
     
    主の寝室、書斎、そして執務室のデスクは永久保存となった。
    長老会で満場一致で決まった事だった。
     
     
    結局リオンが代金を払った、主の寝室の品々も
    そこにそのまま残す事になった。
     
    「こんなマニアックなものを、妻のいる家には持ち込めませーん。
     それに、ここに来てするからこそ楽しいんでーすから。」
    リオンは、変わらずゲームをしに館に通い続けた。
     
     
    グリスは館の講堂で、主就任の儀を受けた。
    「“主” の名は、先代で最後とします。
     私以降は、“管理者” を名乗ります。
     主様の偉大な功績に敬意を表して
     主様は先代主様のみ、といたします。」
     
    1ヶ月前に泣き喚いていた人物とは思えないほど
    落ち着いて穏やかで静かな、しかし信念のこもった声だった。
     
    「日課の演説は、これからも続けます。
     しかしそれはぼくではなく、今まで通り主様です。
     主様の演説の映像を流します。
     ぼくたちは、ずっと主様に導かれるのです。
     ぼくは、単に管理の跡継ぎでしかありません。
     皆さん、この館を、主様の教えを
     どうか一緒に守っていってください。
     お願いいたします。」
     
     
    主の最初の就任演説の時とは違って
    今回は大きな拍手で、住人たちに迎えられた。
     
    よくここまで立ち直ってくれたわい
    さすが、主が鍛え上げた跡継ぎじゃな。
    横で聞いていたジジイは、涙が出そうに嬉しかった。
     
     
    講堂の一番前を陣取る長老会メンバーたちも、盛大に拍手をした。
    リオンもその中にいて、ひときわ大きく手を打ち鳴らした。
     
    相変わらず冷静な表情のリリーも、こころなしか微笑んでいるし
    護衛に立っているタリスや、講堂に座っているラムズも誇らしげである。
     
    デイジーに代わり、お世話係の筆頭になったレニアは
    マリーと一緒に、はばからず泣いていた。
    あの汚かった子供が、ここまで立派になって・・・。
     
    グリスの就任初の仕事である式は、大成功の内に幕を閉じた。
    春本番になろうかという、温かい日差しの午後だった。
     
     
    式典を終えたグリスは、長老会メンバーたちと一緒に
    主の墓所に報告に訪れた。
     
    墓地自体は館からは見えないが、その丘の一番上にある主の墓は
    ピンクや赤に彩られているので、遠くからでもわかる。
     
    主の墓所は、バラの花が耐えた事がなかった。
    リオンが命じたのである。
     
    「クリスタル州、いや国中、世界中を探してでも
     主の墓にはバラを供え続けてくださーい。」
    その費用は、リオンの私財で賄われた。
     
     
    「お金の心配はいりませーんよ。
     だって私は大金持ちでーすからね。」
     
    リオンは主の墓に向かって、ふふっと笑った。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 46 12.4.9 
           かげふみ 48 12.4.13 
           
           かげふみ 1 11.10.27 
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  • お便りコーナー 9 鼻息

      < あーみんZ より > 
     
    どうも、あーみんZです。
    いつもお世話になってます。
     
    相談というのは、わたしの鼻息のことです。
     
    最近特に「スーピー」と鼻息がします。
    10代の頃から鼻息が荒かったのですが
    最近、特に激しくなってきてしまいました。
     
    アレルギー性鼻炎で耳鼻科に通ってるのですが
    「前に通院していた耳鼻科の時は鼻息がなかった。」と母が言うのです。
    ちなみにその耳鼻科、廃業してしまいました。
     
     
    数年前に交通費をうかせるために現在、通院している近くの耳鼻科にしました。
    前に通院していた耳鼻科は月に1回、鼻を薬品で「やき」
    鼻用の内視鏡を入れて鼻の状態が良好か確認して抗生物質の薬が出てました。
     
    週に2回来るように言われてましたが予算の都合上、週1回の通院でした。
    今、通院してる耳鼻科に変えたら「2週間に1度通院すればいいですよ。」と
    先生に言われ、2週間に1度通院してます。
     
    鼻をやきませんし、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)という漢方薬を
    朝・昼・晩に1回につき1袋飲んでいます。
     
     
    お風呂の湯船に入った時に片方の鼻の穴を手で塞ぎ、鼻で息をすればよくなると母が言うのですが
    先日試して、お風呂から上がっても「すーぴー」止まらずw
     
    どうすれば、鼻息がなくなるのでしょうか。
    よい知恵をお貸しください。
     
     
    ————————-
     
    この質問は専門的すぎるので、あーみんZちゃんと話し合って
    鼻息の音が気になる時の、対処法、態度、気持ちの持ち方の
    そういう言動面での助言もお願いしてみよう、となったんだ。
     
    ここは “お便りコーナー” なんで、雑談の雰囲気を重視して
    鼻にまつわる体験談、都市伝説、見聞きしたあやふやな情報、
    (もちろん真面目に、治療法の助言や情報も)
    とにかく、鼻関係の話があればお願いー。
     
    我々の今回の目標は、情報交換とともに
    あーみんZちゃんの気を軽くする事、としようぜ。
     
     
    私の意見さ、健康に悪影響のような気がするんで
    どうしても鼻息が嫌な時だけの奥の手として・・・
     
    口 呼 吸 !
     
    鼻はフィルターになってるんで、口呼吸をすると
    免疫力が下がってしまう、と聞いた事がある。
     
    だから口呼吸はしない方が良いんだけども
    どうしても音が気になるシーンなら、口呼吸もやむなしかと。
     
    あーみんZちゃんにとって、鼻息の悩みと口呼吸、
    どっちが、よりストレスになるのか、って考えてみたんだ。
    ストレスが一番、免疫力を下げるらしいじゃん。
     
    何ならマスクをして、口呼吸って方法なら
    ある程度の菌系は防げるんじゃないかと。
     
    この方法、専門家は大反対すると思うんで
    突発的な鼻息回避法として。
     
     
    人と違う、ってのは、ものすごく重荷だと思う。
    私もそういう荷物が沢山ある。
     
    でも世の中には色んな人がいて、色んな事情がある。
    それがわかってくると、“人の違い” を気にしなくなるんだ。
    自分が人と違うのは気になっても
    人が特殊なのは、何かわけがあるんだね、と流す。
     
    大抵の人は歳を取るにつれて、そういう事を学ぶけど
    経験の浅い人の中には、わからない人もいる。
     
    わからない人の無神経な言動は、わかる人からは
    バカ扱い、もしくは鬼畜扱いをされる事もあるし
    そういう無知には、バチが当たる事もある。
    ほんとすいませんほんとすいませんもうしません
     
    自分が荷物を持ってるから、人の荷物にも気付けるんだ
    と、己の糧にするのが、一番の考え方だと思うよ。
     
     
    んで、もしからかわれたら、病気だと伝えて
    「これで悩む人も多いみたいだよ。」 と
    親切ぶった説教をしておあげ。
     
    それで、どーのこーの反論されたら
    女優になったつもりで、頑張って泣け。
    「泣いたりしてごめんなさい、つい・・・。」 と、控えめに。
     
    それが欠点を武器にする、という事だ!
    ほーほほほほほほほ
     
     
    :::::::::::::::::::::::::::
     
    このコーナーは、何か言いたい人のためのものです。
     
    持論でも、自慢でも、疑問でも、自分語りでも、不平不満でも、雑談でも
    内容は何でも良いので、言いたい事がある人は私にメールをください。
     
    メールアドレスは、ブログ管理者紹介の
    あしゅ のところにあります。
    メールシステムが変わりましたので、ご一読ください。
      
    匿名でも無記名でも別名でもいつもの名でも構いません。
    むしろ、匿名、無記名でお願い。
    先入観なしに読めるし。
     
     
    なお、身元がバレそうな部分や、不適切な表現
    そして改行、誤字脱字の補正などはしますが
    基本方針としては、出来る限り、そのままの文を載せます。
     
    文自体が載せられない内容の場合は
    その旨を親切丁寧に返事いたしますので、ご安心ください。
     
     
    ブログの記事に載せる、という事は
    ここを通りすがる誰かからの反応があるかも知れません。
     
    罵倒もされる場合もありますが
    それを受け止めるのも、書いたヤツの義務です。
    それは覚悟しとくべきだけど、私がフォローします。
     
    私の立場は、この場だけはお便りをくれた人をえこひいき、です。
    それがたとえ、私の意見と違っていても、です。
     
    じゃないと、わざわざお便りを書く意味がない。
    なので、私にえこひいきをされたい人、お便りをください。
     
     
    あ、単にコメント欄に書いたものも
    内容によっては、許可なくここに流用する場合もあります。
     
    “お便りがこない” という、私の人徳のなさを隠すためですので
    皆様方は、介護のつもりで温かく許してください。

  • かげふみ 46

    グリスが相変わらず、ベッドに突っ伏してメソメソしていたら
    ドアがいきなり、バアンを大きな音を立てて開いた。
     
    グリスがビクッとして顔を上げると
    リオンが呆然自失で立っていた。
     
    リオンは主の葬儀に参列できなかった。
    議員研修先の外国で、一報を受け取ったからである。
     
     
    「・・・今、主の墓に行ってきまーした・・・。
     本当だったんでーすね、ほんと・・う・・・」
     
    リオンは膝をつき、うずくまって泣き叫んだ。
    「うおおおおおおおおおおおお」
     
    「リオンさ・・・」
    グリスが側に寄ろうとしたら
    リオンはそのまま部屋の中を、泣きながら転がり始めた。
     
    「あの主がーーーーー、主がーーーーー・・・
     あああああああああああああああーーーーーーーー」
     
     
    リオンは転がって壁に激突した。
    掛けてあった額縁が落ちる。
     
    「うおおおおおおおおおお」
    ゴロゴロゴロゴロ ドスーン 棚から本が崩れ落ちる。 ドサドサドサッ
    「うおおおおおおおおおお」
    ゴロゴロゴロゴロ ドスーン 窓際に置いた花瓶が落ちる。 パリーン
     
    それでもリオンは転がる事を止めず
    部屋中を、物にぶつかりながら転げ回る。
     
    その取り乱しぶりは、深い悲しみに苦しむグリスでさえも
    なだめに入ろうとするほどの狂乱だったが
    リオンの巨体にはねられかねないので、ベッドから降りられない。
     
     
    廊下のタリスは、中の騒動を何事かといぶかしんだ。
    うおおおおおお ゴロゴロゴロ ドンッ ガターン うおおおおおおお
    多分、泣き叫んでいるのはリオンさんであろうが、この物音は何だろう?
     
    そこに、振動音に驚いたマリーもやってきた。
    何事ですの? と、ヒソッとタリスに不安げに訊く。
     
    本来ならば、決してしてはならない事だが、今は館の一大事。
    何が起こるかわからないので、細心の注意を払う必要がある。
    おふたりの身の安全を優先するため・・・、と
    タリスとマリーは目で話し合って、ジワーッとドアレバーを回した。
     
     
    わずかに開いた隙間から、ふたりが目撃したのは
    泣き叫びながら、床を縦横無尽に転げ回るリオンと
    ベッドの上から降りられずに、オロオロするグリスの姿であった。
     
    忠実な従者であるタリスとマリーは
    気付かれないように静かに驚愕し、ドアを速やかにかつ静かに閉めた。
     
    そして何事もなかったかのように
    タリスは腕を後ろに組んで、ドアの横に仁王立ちし
    マリーはお茶の用意をしに、厨房へと向かった。
     
     
    電池が切れたかのように、リオンがようやく止まった。
    今度はうつぶせになって、動かない。
     
    「リオンさん!!!」
    やっとグリスがベッドから降りられた。
    リオンを抱き起こすと、フウフウ息切れしつつもそれでも泣いている。
     
     
    高価なスーツはシワシワになり、破れて薄汚れている。
    大人が怒る、いけない遊びを止められた子供のように
    顔をグチャグチャにして泣くリオンを抱きかかえながら
    グリスは消えない悲しみの中、思った。
     
    そうだ・・・、悲しいのはぼくひとりじゃないんだ・・・。
    皆さん、主様とはぼくより付き合いが長い。
    それぞれに想いというものがあるんだ。
    ぼくひとりが悲劇の底にいるつもりになって、ぼくは・・・
     
     
    こんなぼくを、主様が見たらどうおっしゃるだろう
    主様をガッカリさせる事だけはしたくない。
    しっかりしなければ!
    ぼくは、これからのために生きてきたのだから。
     
    グリスは、つぶやくように言った。
    「リオンさん、ぼく、頑張りますから・・・。」
     
    リオンもその言葉に、力なく応えた。
    「はい・・・、一緒にいきましょーうね・・・。」
     
    弱々しい口調とは裏腹に、ふたりは強く抱き合った。
     
     
     続く 
     
     
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