• かげふみ 29

    「あの・・・、ありがたいお申し出に感謝いたしますが
     なにぶん急なお話ですので、考える時間をいただけないでしょうか?」
    グリスの頼みを、リオンは快諾した。
     
    「もちろんでーす。
     だけど急いでくださーいね、結婚も控えていまーすから。」
    その言葉にグリスは驚いた。
    「恋人、いらっしゃったんですか?」
     
    グリスの率直な疑問に、リオンが笑った。
    「私たち支配階級の結婚は、大抵が政略なんでーす。
     私も今、貧乏貴族の娘を物色中でーす。」
     
     
    「え・・・?」
    グリスのとまどいに、リオンが詳しく説明をする。
     
    「我が家系は歴史はありますが、元は商人だったんでーす。
     お金はあるけど身分がないんでーす。
     そのために貴族との婚姻で、高貴な血を入れるんでーすよ。」
     
    「でも何故、“貧乏貴族” なんですか?」
    「裕福な貴族は己の知恵があり、我々の力を必要としませーん。
     貧乏貴族は能無しなので、財産を切り売りしたくなければ
     家名に頼っての婚姻で、婚家にタカるしかないのでーす。
     我々は彼らを経済援助し、彼らは我々の血筋に名誉をくれる、
     GIVE and TAKE でーす。
     しかもこういう結婚では、大抵お金がある方が主導権を握れるので
     我々にとっては、理想的な結婚相手なのでーす。」
     
     
    あまりのカルチャーショックに呆然とするグリスをよそに、主が言った。
    「あなたの場合、それプラス “ブサイクな娘” というのも
     条件に入れといた方が良いですよー、リオンー。」
     
    「何故でーすか?」
    「美人の結婚相手だと、“トロフィー・ワイフ” みたいで下品でしょうー?
     “見た目にとらわれず中身で女性を選ぶ誠実な男性”
     を演出した方が、得ですよー。」
     
    リオンがポンッと手を打ち鳴らした。
    「なるほど!!! さすが主でーすね。
     その案、もらいま-す。」
    「お役に立てて、なによりー。」
     
     
    汚すぎるふたりのやり取りに、グリスは虚しい気持ちになった。
    「グリス、現実を直視しないと、幸せになれませんよー。」
     
    主の心を見透かすような言葉に、ギクリとしつつも
    慌てて否定をする。
    「い、いえ、ぼくは別に・・・。」
     
    「誰でも自分の価値に迷う時期を送って生きてきているんですよー。
     あなたは解説されるだけ、まだ幸運ですよー。
     年寄りの言う事は聞くもんですー。」
     
     
    「主様は年寄りなんかじゃありません!」
    そういうところにだけは引っ掛かって、反射的に怒るグリスに
    日頃からウンザリしていた主が反撃をした。
    「私が年寄りになったら、価値がなくなるとでもー?」
     
    「い、いえ、決してそういう意味では・・・。」
    「年寄りと言って否定されるのは、年寄りしかいないんですよー。
     若い子が年寄りとか言っても、一笑にふされるだけですからねー。
     もちっと配慮して反応しなさいねー!」
     
    「はい・・・、すみませんでした・・・。」
    謝って落ち込むグリスに、リオンが優しく肩を叩いた。
    「ははっ、主に敵う者などいませーんよ。
     主は怒った事すら、すぐ忘れまーすから大丈夫でーす。」
     
    リオンの言葉にムッとして、振り向いて睨む主。
    その瞬間TVからバシュッと音がして、自キャラが倒れたのに気付く。
     
    「ひいいいいいいいいっ、セーブしてなかったのにーーーーーっっっ!!!」
     
     
    「良かったでーすね、これで主の怒りがゲームに行きまーすよ。」
    リオンがグリスにヒソッと耳打ちした。
     
    しばらく畳の上に倒れていた主だったが
    ムックリ起き上がると、リオンに攻略本を投げつけた。
    「おめえのせいだよーーーーーーっ!」
     
    「ええっ、私でーすかーーーっ!」
    リオンは慌てて立ち上がり、上着とバッグと靴を素早くかき集め
    叫びながら、裸足で部屋を飛び出て行った。
    「では、そういう事で、またーーーっっっ。」
     
     
    ドアに向かってフーフー言ってる主の後ろで、グリスは妙な感心をした。
     
    に・・・逃げ慣れている・・・
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 28 12.1.30 
           かげふみ 30 12.2.3 
     
           かげふみ 1 11.10.27 
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  • 年寄りは死ね

    年金が破綻したのは、平均寿命が延びたせい、とか
    年寄りの貯金を出させろ、とか
    言ってるヤツって、何を考えてるんかなあ。
     
    一生懸命に働いて、生活をしてきて
    やっと老後にノンビリできる、と腰を下ろしたら
    長生きするのが悪いかのように言われる。
     
    年寄りが貯蓄を放出を出来ないのは当たり前。
    だって入ってくるお金が少ないのだから。
     
    もし万が一の事があったら、その時に費用を捻出できないだろ。
    だから “何かの時のため” に備えるんじゃん。
     
    そんな貯金も、死んだら相続なり没収なりで世に出回るんだから
    それまでの間、休ませてもやれんのか。
     
    そんなんだから、幸福度が低いんだよ!
     
     
    若い頃は、年寄りの事など視界にも入ってなかったよな。
    自分が年を取る事も、年寄りになったらどうなるかも
    まったく何もわかっちゃいなかった。
     
    年寄りは病院に朝早くから来て、元気だよなあ
    と、たまに行く病院で苦々しく思っていたさ。
     
     
    だけど自分がどんどん老いていく内に
    体調が、少しずつ不調になっていくんだ。
     
    私は元々虚弱だったんで、病気慣れはしていたんだけど
    体が徐々に動きにくくなっていくんだよ。
    ちょっと元気に動くと、グキッだ。
     
    そんで、寒い時とかに関節がミシミシ言う。
    古い家屋の家鳴りのように、体が鳴る。
     
    おまけに、ある日突然、慢性病の治療をしようって
    え? 何でそんなとこが? という部分が
    いつの間に? って感じで悪くなっていた。
     
    病院に元気そうな年寄りが来ている理由がわかったよ・・・。
    一見わからないけど、神経痛だったり
    内臓がやられていたりするんだよ。
     
     
    これは私の途中経過だけど
    今10代20代の人には、想像できないと思う。
    私も、想像できても思いやれる心まで、きっと持てない。
    だけど、これが老いの現実なんだ。
     
    でも、それでも生きていかなくちゃいけないし
    誰もが老いるのだから、後に続く人たちのために
    このブログで楽しいババアライフを提案しようとして
    何か間違って、何様な態度で気遣われる介護ブログになっとるけど
     
    ぼくもう疲れたよパトラッシュ・・・
     
    以前質問されたんで、念のために注記しとく。
    上のセリフは、“フランダースの犬” という本を
    日本でアニメ化してTV放映されていたんだけど
    そのラストシーンで、ネロという主人公の少年が
    愛犬パトラッシュを抱きしめて言うセリフだ。
    このアニメ、私は一度も観た事がない。
    “感動の最終回” みたいな番組でちょろっと観ただけ。
     
    と、そんなこんなで私は、生きる事と愛の伝道に疲れ果てておる。
    マヤ暦、私の半径30cm圏内だけで当たってくれんかなあ。
     
     
    確かに社会で大事なのは子供たちである。
    国の未来は子供たちが背負うのだから、大切に育てねばならない。
     
    でも、年寄りをないがしろにして
    自分たちの老後が安泰だと思えないだろう?
     
    自分たちの未来図である、年寄りが幸せそうじゃないから
    未来に希望が持てずに、幸福度も低いんだぞ。
     
    どんなに頑張っても、年寄りになったら迷惑がられる、
    働けなくなったら死ね、そんな社会で頑張れるか?
    そこに気付いてほしい。
     
     
    あ、私は自業自得とか自己責任とか知ってるから
    路上で孤独のたれ死にの覚悟をしようとしてるんだ。
     
    でも、この覚悟、中々できるもんじゃねえよな・・・。
    それでもどうにか腹をくくるから、放っておいてくれ。
     
     
    私が心配なのは、この国の行く末である。
    目の前の “とりあえず” に飛びつく、という
    無能な政策の落ち度を見つけられて非難されないように
    他に悪者を仕立て上げる。
     
    今回のターゲットは年寄り。
    「年寄りが長生きしすぎ」「貯金いらないだろ」
    そう言いつつ、とにかく税を上げようとする。
     
    これを許すと、年寄りの経済は子孫に頼らざるを得なくなる。
    つまり、老後の面倒をみてくれる子供が絶対に必要。
    子供に選択肢はなく、女性も子供を産む義務を課せられるのだ。
    国民の自立が難しくなる、という時代との逆行。
     
     
    根本的なシステム改善がなされないと、何をしても焼け石に水なのに
    マスコミを利用して政権を取った政党には
    マスコミを利用して目くらましをするしか、能がないようである。
     
    こういうやり方に、いつまでも騙されないでほしい。
    「過去の事を言ってもしょうがない」 という考えだから
    失敗を繰り返すんだぞ。
     
    政権交代のしすぎで外国に呆れられるのは構わない。
    日本の価値は、大昔から技術力で政治力ではない。
    外国が日本に期待をするのは経済であって、政治ではない。
     
    日本の政治は独特だと思われとけ。
    職人は頑固なものだ。
     
     
    私たちが何をすべきか?
     
    まずは何をおいても政権交代。
    「誰がやっても同じ」? いや、違うよ。
     
    自民党は官僚と上手く折衷して、手持ちのカードで
    日本の運営を日本らしく行ってきた。
     
    それを “世界の常識” とか言って
    横からマスコミの尻馬に乗って、揚げ足とりをして
    埋蔵金伝説をふりかざしてメルヘンな理論で
    国民を混乱させて、政権を奪ったのが民主党。
     
    案の定、お花畑に宝箱は置いてなく、とうとうつじつま合わせの努力も止め
    「過去の事を・・・」「誰がやっても・・・」
    「それよりひんぱんに政権が変わると世界にどう見られるか・・・」
    と、政権にしがみついて、愚作で国をダメにしようとしている。
     
     
    とにかく、政権交代!
    もう騙されないでくれ!
     
    次が、“不正をやめさせる”。
    政界から民間まで。
     
    その後が、“改革”。
    “復興” は、民間に権限を持たせるのが一番早いと思うんで
    これは最初から平行してやれる。
     
     
    私の言う事にソースはない。
    私のやり方は、色んな事を見聞きして脳内に溜め込んで
    経験でそれを取捨選択して、混ぜくって補完して
    “自分の意見” として確立するんだ。
     
    ネットって、うっとうしいよな。
    「ソースは?」「データは?」 と問われ
    それがなければ、“嘘” だと非難される。
     
    読んだ本も見たニュースも、そんないちいち覚えていないだろ?
    私の言う事も、多くの噂のひとつと捉えれば良いじゃん。
    私は知恵袋の破れたババアなだけだ。
     
    てか、逆に訊きたい。
    学者ですら、目が曇ってたり思い込んでたり捏造したりするのに
    確実に信用できる情報って、あるのか?
     
    これは意見を言う立場としては、逃げなのかも知れないけど
    データを集めて整理して発表する、って
    会議や講演と、個人の意見を一緒にすな。
     
     
    私たちの年代は、「年寄りを敬わない」 という斧を湖に投げ込んで
    今になって、「長生きするな!」 という
    ハイパーメディア斧を受け取った。
     
    「年寄りの貯金を世に回せ」 という斧を投げ込もうとしているヤツが
    受け取る、グレードアップされた斧は、きっと
     
    「さっさと死ね!」  ホラー!!!!!
     
     

    評価:

    ロゴス(LOGOS)


    ¥ 1,880

    (2011-12-26)

    コメント:画像を見て、アックスと盾! と萌えたら、実用的なアウトドアセットだった。 皆、邪念を捨て去りたまえ!!! 「ショベル、斧、くぎ抜き、カンキリ、ハンマー、ノコギリ、栓抜き と7通りの使い方ができるツール」 と書いてあるんで、真面目な気持ちで買うようにな。

  • かげふみ 28

    「え? 私を養子にですか?」
    夜の8時に主の寝室に呼ばれて、何事かと思いながら来たら
    リオンがいて、唐突にその話を持ち出されたグリスは驚いた。
     
    「はーい。 本当なら大学進学の時に申し込みたかったのでーすが
     あなたの跡継ぎへの気持ちが揺れていたようだったので
     気を利かせて控えたんでーすね。」
     
    「でもまた何故でしょうか?」
    「叔父があと数年で政界を引退するので
     私が票田を継いで、市議会議員になるのでーす。
     身寄りのない者を養子にする慈悲は、選挙のために有利でーす。」
    隠さない邪心は主で慣れていたとはいえ、グリスはさすがにウンザリした。
     
     
    隣でゲームをしていた主が、その様子を見て言った。
    「グリス、この国では “身分” というものが幅を利かせているんですよー。
     あなた、外の学校に行ってた時に、差別されましたかー?」
     
    「はい、同年代の子たちには少し・・・。」
    「大学ではー?」
    「あ、そういえば、大学ではまったく。」
     
    「後見人のリオンは、大学に面会に来てくれましたか-?」
    「はい、度々いらしてくださいました。
     講義室や寮を見学なさった後は、大学のカフェでお茶をしたり
     大学周辺の美味しいレストランに連れて行ってくださったり。」
     
    「良い車に乗って、良い身なりで、侍従を連れてー?」
    「・・・はい・・・?」
     
     
    主はコントローラーを置いて、グリスに向き直った。
    「本来なら、あなたや私は差別対象の人種なんですよー。
     あなたが大学で差別をされなかったのは
     いかにも身分の高そうなお金持ちが後見人だ、と
     周囲にリオンが見せ付けていたからなんですよー。」
     
    グリスはリオンの顔を見た。
    リオンはただニコニコとしているだけだった。
     
     
    「リオンはあなたの着る物も送ってくれてたんでしょうー?」
    「はい、季節ごとに。
     靴や時計もいただきました。」
    「それらはすべて良い仕立てのものだったでしょうー?」
     
    「はい、私にはもったいないほどの高価な物で
     いただく度に恐縮したものです。
     リオンさん、本当にありがとうございました。
     今でも大切に使わせていただいています。」
     
    「私は大金持ちですから、大丈夫でーす。」
    リオンは変わらずニコニコしながら、腹黒い答をした。
     
     
    「あなたの元に来るリオンを直接見てない人も
     あなたの格好や持ち物を見て、あなたを軽んじてはならない
     と判断していたんですー。
     善も悪も関係なく、この国ではそういう感覚なんですよー。
     あなたが余計な不遇に邪魔されずに
     快適な大学生活を送れたのは、リオンの気遣いのお陰なんですよー。」
     
    グリスは言葉に詰まった。
    主との仲に嫉妬をして、リオンを敬遠していた自分を恥じたのである。
     
     
    「リオンの養子になれば、あなたはこの国で認められますー。
     加えて、あなたの次の主候補をあなたが養子に出来る、という
     可能性も出てくるんですよー。」
     
    グリスは、ハッとした。
    そうか、そういう事も考えて判断しなきゃいけないんだ。
     
    「パスポート期限失効の私には、その選択肢はありませんでしたー。
     まあ、ダーティーな手段はあるにはありますけど
     リオンの養子である方が、あなたの今後のためになりますしねー。」
     
    主の養子? グリスにそれは酷な話である。
    そんな事になったら、親子になってしまう。
    いくら血が繋がっていないとはいえ、道義的に罪悪感がある。
     
     
    「でも養子にも相続権が発生しますよねー。
     それはどうクリアするんですかー?」
    主がリオンに訊く。
     
    「それは遺留分なしの生前贈与で、最初に片付けておきまーす。」
    「あの、たとえ養子になったとしても、ぼくは財産など受け取れません。」
     
    グリスのその当然の遠慮に、リオンが首を振る。
    「グリスくん、これはケジメでもあるんでーす。
     自分の野望が一番ですが、私は私なりにきみを愛しているんでーすよ。」
     
    「ま、そうじゃなきゃ、いくら作戦のためでも
     他人を養子になど出来んわなー。」
     
    主がひとりごとのように言って
    TV画面の方を向いてゲームを再開した。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 27 12.1.25 
           かげふみ 29 12.2.1 
     
           かげふみ 1 11.10.27 
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  • お便りコーナー 5  教科書等の処分

     < una より >
     
    > あしゅちゃんみなさんお疲れさまです。
    >
    > unaです。
    >
    > つーかこれは匿名のほうがいいんですか?
    >
    > わたくし的にはどっちでもいいので名前についてはよきにはからってください。
    >
    >
    > 他の人はどうしているのか、いま急に訊いてみたくなったことがあるので書いてみます。
    >
    > みなさん中学や高校のときの教科書ってどうしてますか?
    >
    > つって現役の学生の方は日々使用中と思いますので回答は不要です。
    >
    > 知りたいのは、もうとっくに学生ではなくなった妙齢のみなさんはどうしているのかです。
    >
    > ・実家に保管してある
    > ・とっくに捨てた
    > ・まだ読んでる
    >
    > くらいしか思いつかないないのですが、私は実家がないので、いまだに自分で自宅に保管しているんですね(全部じゃないです。気に入ってるのだけ)。
    >
    > いやもう何十年も開いてはいないんですけども。
    >
    > 今週末、大々的にお部屋の模様替えをしようと思っていまして、ついでに本棚の中身も見直そうと思い、けっこう冊数がある教科書これどうすっぺ、と思ってしまったので。
    >
    > 特に、私と同じく実家がない方はどうしているのか知りたいです。
    >
    >
    > 鉱物の名前!
    > カンラン石!
    > 輝石!
    > せん、、、なんとか石!
    > 雲母!
    > 長石!
    > 石英!
    >
    > せん、、、なんとか石が思い出せない!
    >
    > 中学か高校で習ったはずなんですよねえ~。
    >
    > 憶えてますか~?
     
     
    ↓ 添付されてた写真2枚
     
      

     
     
    ————————-
     
    本当は今日は小説の日なんだけど
    「急に訊いてみたい」 とあって、しかも今日は金曜なので
    来週に延ばすのも何だから、予定変更。
     
     
    unaちゃん、私もどうしたら良いかわからんかったので丸写し。
    > を消さない方が、臨場感が出るか、ちょっと試させて。
     
    て言うか、おめえのメール、MSNがものすごく警戒して
    迷惑メール扱いをしおったぞw
     
    私のこのブログも、時々ゴネて開いてくれなくて
    私が自分で書いてる記事の、一体どこが不適切なんだ? と!!!
    ウインドウズ7になって、まことに不便になった・・・。
     
     
    で、教科書?
    スペースがあるなら、取っておくのも良いと思う。
    記述の違いとか情報の変化とか、読み返すと面白いと思う。
    でも、まず読み返さないと思う。
    思う思う、うるさい。
     
    私の場合は、思い出を平気で踏みにじるガキだったんで
    教科書も賞状も証書も、写真でさえどうなったか謎だなあ。
     
    実家にもないっぽい。
    ヤベえ、私が偉人になった時に、それでひと儲けされかねん。
     
     
    もし処分をするなら、身元の分かるものがないか
    念入りに調べてから手放すようにな。
    拾っていくヤツ、いるよ。
     
    引越し前のゴミ捨て場で経験したよ。
    私の捨てた洗面器を、どっかのオヤジが持って行くのを・・・。
     
    今だったら、おまけに私も付けてあげかねん勢いだが
    当時は20歳前半のピチピチ乙女だったんで
    友人とフリースしたさ。
     
     
    そんな事はどうでも良いようだから、捨ての極意を。
     
    自分に都合の良いものは残し、悪いものは捨てれ。
     
    これ、真理だって!
    私が中学まで神童だったのを、誰も信じてくれんので
    あの素晴らしい記録の成績表を取っておけば良かったな
    と後悔しきりだよーーーっ。
     
     
    でも、今まで取っておいたのだから
    決定も先延ばしをしたらどうかな?
    自分が死んだ時のための準備を考えるようになる年齢まで。
    もう少し年を取ると、気持ちも変わるかも知れないよ。
     
    何かあって 「生まれ変わりたい!」 とか思った時に
    ドサドサと捨てる儀式をする場合もあるじゃん。
     
    捨てたら元に戻らないんで
    自分の生き様系や思い出系の扱いは慎重にな。
     
     
    鉱石?
    習ったっけ? ← これで神童を自称・・・
     
     
    :::::::::::::::::::::::::::
     
    このコーナーは、何か言いたい人のためのものです。
     
    持論でも、自慢でも、疑問でも、自分語りでも、不平不満でも、雑談でも
    内容は何でも良いので、言いたい事がある人は私にメールをください。
     
    メールアドレスは、ブログ管理者紹介の
    あしゅ のところにあります。
    メールシステムが変わりましたので、ご一読ください。
      
    匿名でも無記名でも別名でもいつもの名でも構いません。
    むしろ、匿名、無記名でお願い。
    先入観なしに読めるし。
     
     
    なお、身元がバレそうな部分や、不適切な表現
    そして改行、誤字脱字の補正などはしますが
    基本方針としては、出来る限り、そのままの文を載せます。
     
    文自体が載せられない内容の場合は
    その旨を親切丁寧に返事いたしますので、ご安心ください。
     
     
    ブログの記事に載せる、という事は
    ここを通りすがる誰かからの反応があるかも知れません。
     
    罵倒もされる場合もありますが
    それを受け止めるのも、書いたヤツの義務です。
    それは覚悟しとくべきだけど、私がフォローします。
     
    私の立場は、この場だけはお便りをくれた人をえこひいき、です。
    それがたとえ、私の意見と違っていても、です。
     
    じゃないと、わざわざお便りを書く意味がない。
    なので、私にえこひいきをされたい人、お便りをください。
     
     
    あ、単にコメント欄に書いたものも
    内容によっては、許可なくここに流用する場合もあります。
     
    “お便りがこない” という、私の人徳のなさを隠すためですので
    皆様方は、介護のつもりで温かく許してください。

  • 調味料

    飯を食う前に、いきなりソースや調味料をかけるヤツがいるだろ。
    これ、もんのすごーーーーーーーーく失礼だと思う。
     
    目の前でそれをされたら、1度目なら論理的に説明をする。
    2度目は激怒しつつ、説教をする。
    3度目はちゃぶ台がえしをして、縁を切る。
     
    何故ならば、これをするヤツは思いやりの心がない、と判断するからだ。
    作ってくれた人への敬意は、その人の味をそのまま味わう事で示すべき。
    その上で、テーブルに置かれている調味料を使いたいなら使う。
    味も確かめずに最初からアレンジするなど、無礼にも程がある。
     
    私はこう思うので、これが理解できない人と
    一緒に食事をするのは、恥でしかない。
     
     
    何か、えらいキレまくっている礼儀にうるさいババアに思われそうだが
    非常識な私に、そういう知恵が自然に備わっているわけがない。
    私はこの礼儀を友人から教わったんだよ。
     
    だから知らないであろう人に、伝えるのは
    教えてくれた人への恩返しでもあるんだ。
    そんで、大抵の人は1度目の説明で納得してくれる。
    3度目まで行った人など、個人的付き合いではひとりしかいねえ。
     
    ちょっと偏見な暴言かも知れんけど
    妙な食い方をするヤツって、食事マナーも悪い場合が多い。
    “マナーとは、人を不快にさせないための思いやり”
    っての、当たってる気がする。
     
     
    粗末な料理の腕と、稚拙な味覚の持ち主である私だけど
    ものの一番美味い食い方、っちゅうのは少しは知っている。
     
    フランス料理屋にしょうゆを持って行く海原雄山や
    何にでもマヨネーズや七味などの、同じ調味料をかける人も許せない。
     
    家でひとりでするのなら、文句は言わない。
    それを邪道だと自覚があるのなら
    家での行儀悪い食い方も、個人の自由タイムである。
     
    それも、私が作ってない料理限定でだ。
    私が作った飯なら、私の言う通りに食ってもらう。
     
     
    とか、えらい強気で言うとるが、私の場合は飯で揉めた事はないんだよな。
    味噌汁の出汁とか、納豆に何をかけるかとか
    別れ話に発展する勢いで揉めた話を、たまに聞くけど
    家によって、そんなに違うもんなんかな。
     
    て言うか、マナーの範囲内なら好きにすれば良いと思うんだ。
    そんなに私の作る飯が気に食わないのなら、自分で作れ!
     
    あ・・・、いかにもこれを言いそうだから
    遠慮されてたんかな・・・。
     
     
    でも、よっぽどの料理下手や初心者じゃない限り
    作ってくれる人に合わせるべきだな。
     
    ・・・でも料理が不味い、ってのは言えないよな・・・。
    これ、ほんっと困るよな。 辛いよな。
     
    言っとくが、私は普通の味覚は持ってるんで
    自分の料理の失敗は、誰よりも早く察知して
    土下座しつつ配膳するぞ。
    謝れば良い、っちゅうもんでもないんだがな。
     
     
    とにかく、王道の食い方もわからずに
    バカになった味覚細胞を誇るのは、許せないのだ。
     
    いくら自分の好きな味だから、といって
    普段はあまり食べられない最高級和牛のフィレに
    市販の焼肉のタレをかけるような真似はすな
    と言っているのである。
     
     
    昨今は、激辛ブームか何か知らんが
    とうがらしが流行っている。
     
    なあ、それ、本当に美味いか?
    根性試しのような飲食法になってないか?
     
    とうがらし系さ、体に良いとは思えんぞ。
    舌の細胞、激死にまくってると思うぞ。
    続けてると、寿命に影響するレベルの濃い味しか
    判別できなくなってしまう気がするぞ。
     
     
    とうがらし系は、程々にしとかないと
    日本の食文化が壊れてしまうんじゃないか、と、とても不安だ。
    だって、和食、とうがらし系辛さはないだろ?
     
    TVで韓国の人が言っていた。
    日本人に唐辛子は合わないはず
    伝統的な食事で美容健康を目指せ、って。
     
    私もそう思うんだ。
    激辛料理は、日本にいる外国人のためだと判断すべき。
    じゃないと、和食の旨みがわからなくなるぞ。
     
     
    一番の好物がとうもろこしの味音痴に言われたくない、って?
    ばかもの!!!!!
    硬くて甘くない真のとうもろこしを
    炭火で塩焼きして食ってから逆らえ!
     
    ああっ・・・、今の日本には私の求めるとうもろこしはねえ。
    (とうもろこしは、一度外来種を植えると
     従来のやつも変身してしまうんだと。
     これは何とかって現象だそうだが、その “何とか” は忘れた。)
     
    家畜用なら、まだ昔のとうもろこしに近いんだけど
    都会住みの一般人に、家畜用のとうもろこしを食える機会ってないだろ。
    古来種が残ってるであろうアンデスか北朝鮮に行きたいよっ。
     
     
    あっ、ちなみにな、これ私の周囲では定番の食い方だけど
    意外に知らない人もいるんで
    いかにも私の発明品のように紹介しとくな。
     
    高菜や野沢菜を食う時に
    マヨネーズにしょうゆとすりゴマをかけたやつをつけて食ってみい。
    美味いぞーーー。
     
    マヨネーズ、ほんと何にでも合うよな。
    マヨラーという人種がいるのもわかるよ。
    だけど・・・太る素だぞ、程々にな。
     
     
     

    評価:

    skb


    ¥ 6,700

    コメント:ちゃぶ台返しがしやすいのはこれかな? 星一徹がちゃぶ台返しをしたのは1度だけ、と話題になっていたけど、1 度 で も 返 し た の な ら 大 問 題! 後片付けが面倒な怒り方はしないで!

  • かげふみ 27

    さて、マデレンが来てからというもの、主の様子がぎこちなくなったか。
     
    一日目の最初は、それこそカメラを意識して
    カメラ目線で妙なポーズを取ったりしていた。
    マデレンは特に注意をする事もせず、忍耐強く無言で撮影を続けた。
     
    主様は素人だから、慣れるまでにはかなりの月日が必要だわね。
    カメラマンとしての実績は、その忍耐強さに表れていた。
     
     
    ところが初日の午後にもならない内に、主が言った。
    「何かもう、格好つけるのが面倒くさくなっちゃいましたー。
     どうあがいても、私は私でしかないし、それを隠す必要もないし
     不適切な部分ばっかりでしょうけど
     そこらへんは、そっちで何とか体裁つけてくださいねー。
     ほんっと、面倒かけてすみませんけどー。」
     
    そう宣言すると、ダラッと椅子に座った。
    主は、いつもの主に戻った。
     
    マデレンはその主の姿を見て驚いた。
    今まで数々の被写体を追ってきたが
    こんなに早く、素をさらけ出す人物はいなかった。
     
    この人はどういう人なんだろう?
    マデレンは、レンズを通して主の本質を見つけたい
    という、使命とは別のやり甲斐を感じた。
     
     
    マデレンの標的は、主だけではなかった。
    ジジイやグリス、リリー、その他館の諸々の人々
    周囲を通して、“主の素晴らしさ” を作り上げるのである。
     
    主の、一日中カメラに追い回される、という懸念も
    それによって、少しは薄れた。
     
    館という独特の空間にも、マデレンは興味をそそられた。
    不安があったこの役目だけど、楽しく仕事が出来そうだわ
    マデレンは日々イキイキと、カメラを担いで動き回った。
     
     
    マデレンが主の次に興味を持ったのは、グリスであった。
    普段から無愛想な態度の主が、この次期主に対しては
    目も合わせずに、ことさらに冷たくあたる。
     
    なのに、彼はそんな主に従う。
    しかも嬉々として、である。
     
    端整な顔立ちでスタイルも良く、頭も良さそうな
    非の打ち所のない若者なのに、何故このような冷遇に耐えているのだろう。
     
    複雑な生い立ちゆえに、辛抱強いのかも知れないけど
    それだけでこの仕打ちを我慢できるのだろうか?
    マデレンは、主とグリスの関係が理解できなかった。
     
     
    「ああ、それはな、単純な話じゃ。」
    ジジイがカメラに親指を立てながら言う。
    ジジイは写りたくて、館に日参していた。
     
    「あんたも数ヶ月、主を撮ってきたからわかるじゃろうが
     あやつには “優しさ” というものがないじゃろう?」
     
    「いえ、そんな・・・。」
    「かばわんでよい。 事実じゃからの。」
    言葉を濁すマデレンに、ジジイが軽く言う。
     
    「じゃがな、特殊なのは、あやつは自分にも優しくないんじゃ。
     甘えるわ、我がままだわ、勝手だわ、ロクでもないヤツじゃが
     自分を守ろうとだけはせん。」
     
     
    確かに・・・。
    あの素の出し方は、自分を良く見せようとしていたら出来ない。
    マデレンは妙に納得できた。
     
    「それが館の者には逆に、“主は自分より皆を守ってくれる” という
     安心感を与えておるんじゃよ。
     グリスもそうじゃ。
     実際に主はグリスを守るためなら、己を平気で見捨てるじゃろうな。
     だから普段どんなに冷たくされても
     主に対しては絶大な信頼感があるんじゃ。」
     
     
    はあー、と感心するマデレンにジジイが言う。
    「あんたもこの館に関わったからには
     主の “守る” 対象になっとるだろうよ。」
     
    「え? そうなんですか?」
    驚くマデレン。
    「主は、館を守るためだけの存在じゃからな。」
     
     
    普通に考えれば、人権を無視したひどい話をするジジイに
    マデレンが気になって訊いてみた。
    「あの、立ち入った事をお聞きしますが
     元様は何故この館にいらっしゃったんですか?」
     
    「んー、わしはある国の有力貴族だったんじゃ。
     その国の貴族の長男は騎士となり、次男は僧侶になるのじゃ。
     わしは長男じゃったんで、戦に出とった。
     じゃが、内戦で我が一族の与する側が負けてな。
     我が家系は、お家取り潰しとなったんじゃよ。
     そのまま国に残ったら、残党どもが “お家再興” とかうるさいんで
     諸国を放浪して、たどり着いたのがここじゃったんじゃ。」
     
    「すごい過去をお持ちなんですねえ。」
    素直に受け取ったマデレンに、ジジイがピースをした。
    「という設定でどうじゃ?」
     
    「えっ? 作り話なんですか?」
    ジジイは、フォッフォッフォッと笑うだけだった。
    ファインダーを覗きながら、マデレンは思った。
     
    このお方も謎だわ・・・。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 26 12.1.23 
           かげふみ 28 12.1.30 
     
           かげふみ 1 11.10.27 
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           小説・目次 

  • 安いめがね店

    近視用のめがねは、良いレンズにすると
    フレームが普通のクラスのにしたとして
    大体1つあたり、5万円ぐらいから掛かる。
     
    めがね店でのレンズの利益率は、3割だというので
    これは人件費その他を考えると
    今の日本では、まあ妥当な価格だと思う。
     
     
    何故良いレンズにするのかというと
    めがねを買い替える、という事を気軽に出来ないからである。
     
    まず、同じ度数でもフレームの形状によって
    見え方に微妙な差が出るので、慣れるのに時間が掛かり
    これがまた慣れるまで、めまい頭痛肩凝り吐き気も出る場合がある。
     
    だからレンズには、傷みにくいように
    傷防止のコーティングは必須。
     
    この感覚は、人それぞれらしくて
    レンズにやたら細かい傷が入っている人がいて
    聞いたら、安いレンズなのに
    ちゃんとめがね拭きや専用スプレーを使っていなかった。
     
    見えづらかろう、と思ったけど
    それで平気なその人が、正直とても羨ましかった。
    私にはレンズの汚れなど、耐えられないからである。
    ザツな性格なのに、こういうとこだけは神経質なので
    自分でも、とても苦労をする。
     
     
    で、遠近両用のめがねを買った。
    お試しのつもりだったので、ネットで探した安いめがね店で。
     
    平日の空いている時間帯に行ったので、客はひとりふたり。
    スタッフの数の方が多い。
    ところが、スタッフが接客に来ないのだ。
     
    安い店だから、まあこんなものなんかな、と思ったけど
    私がスタッフを呼びに行って
    「遠近両用を作りたいんですけど、このサイズのフレームは大丈夫ですか?」
    と訊いたら、「ちょっとお待ちください」 と誰やらに訊きに行って
    戻って来て、「大丈夫だそうです。」 で、サーッと向こうに行くんだよ!
     
    「すみません、こっちのサイズは?」 と、もう一度訊きに行っても
    待て → 伝言 → 立ち去り の繰り返し。
     
    おめえはゼノブレイドのモンスターかよ?
    (ゼノブレイドの敵は、追いかけて来られても
     こっちが逃げて、ある一定の距離を取ると
     追うのを止めて、猛スピードで元いた場所に帰って行く。)
     
     
    おい、ちょっと待ってくれよ、私、買いたいんだよ
    相談に乗ってくれよおおおおおっ
    と、追いすがりたかったけど、安い店だからサービス削減だと思い
    大体これ以上のサイズなら、遠近オッケーだろう
    と自力で選びに選んで、2つまで絞った。
     
    そして再びスタッフを呼びに行って
    「これかこれで迷っているんですけど、どちらが良いと思いますか?」
    と訊くも、「好みがありますから・・・」 って
    好みでこの2つに絞ったから、後は客観性を求めているんだよおおおっ。
     
     
    ここの店さ、ひとつ質問する度に
    「ちょっと待ってください」 と、上の立場らしき人に訊きに行くんだ。
     
    遠近両用は日数が掛かる、と言われて
    何気なく 「どのぐらいですか?」 と訊いたら、数分待たされる。
    こういう、何気ない質問の数々に 「ちょっとお待ちください」 なのだ。
     
    割に買い物が早い私なのに、ものすごく時間が掛かり
    でもまあ、安い店だから略と思い、もう最後まで自分の勘だけで選び
    眼科医の処方箋を出して、これでお願いします、となった。
     
     
    今回は遠近両用で、近視の方も度数を上げたんだ。
    ところが出来上がっためがね、今までのより見えないんだよ。
     
    掛けた途端、見えないのがわかったので
    それを伝えて、調べてもらったら
    近視の焦点を上のフレームギリギリにして
    老眼の焦点は下のフレームギリギリなんだ。
     
    遠くを見る時はうつむいて上目遣いで、ってアホか!
    そういう使い方は出来ない、と言い張った。
     
     
    というのも、作る前にそれだけは念押ししたからである。
    まず、私には首の骨に異常があって
    なるべく首は固定せねばならない事。
     
    そして以前に焦点が自分の目の中心点とズレて、苦労した事があるからだが
    そこのスタッフは、「焦点はズレてもそんなに影響はない」
    と、言い放ちやがった。
     
    1mmでもズレると、大変なのだ。
    何故だかわかるか?
    人間は制止していないからだ。
     
    通常の目の人が、近視のめがねを覗いても目まいはしないだろ?
    だけどそのめがねを掛けて、動き回ってみい。
    クラクラするから。
     
    この時点で、ここのめがね店は止めれば良かったのである。
    案の定、聞き入れてくれなかった。
     
    しかもそれは、私のお願いとは違うにも関わらず
    「慣れやすいように」 と善意でしてくれたらしいんで
    私の我がままで作り直しをする事になったんだとさ。
     
     
    スタッフは、赤のマジックでレンズにザカザカ線を引き
    「ペンの先を見てください」 と、ペンを掲げる。
     
    「ペンのどこを見れば良いんですか?」
    「この先です。」
    「何故そんな上に上げるんですか?
     私は普段、真っ直ぐに物を見ているので
     ここに通常の視線がくるんです。」
    と、グイッとスタッフのペンを持つ手を下げたよ。
     
    そうだった・・・。
    最初の時も、こうされたんだった。
    あの時は意味がわからなかったけど、今回はわかるよ。
    そんな測定をしてるから、上のフレームギリギリに焦点がくるんだよ!
     
     
    2度目も見えなかったけど、もう妥協したよ。
    もうこの店には期待できないとわかったから。
    自力で良いメガネを作るには、私は素人すぎる・・・。
     
    レンズは、客の都合で2回まで交換できるんだとさ。
    で、私はもう1回交換した事になってたさ。
    その説明もまったくなし。
     
    説明されたら、さすがに 「私の都合か?」 と怒ったのに
    気付いたのは、帰宅後保証書を熟読した時だった。
    いや、私の都合なんだけど、作る前にそれを伝えてたんで
    店側のミスだと思うんだ。
     
     
    そして数日後に、眼科に行って調べてもらったさ。
    度数、処方箋通りに保証書通りに出てなかったよーーーっ!
     
    眼科医には作り直してこい、と言われたけど、2度目の交換には行かない。
    安い店だから、こんなものなんだろう。
    遠近両用はレンズの値段がプラスされるから
    そこまで安くもなかったんだがな。
     
     
    この店には二度と行かないよ。
    上記の経験だけで充分だろうが、更に激怒項目があるんだ
    上でサラリと書いただろ、スタッフが赤のマジックでレンズに印を付けた事。
     
    その時あまりにもザツな書きように、あ然とさせられたんだけど
    多分、無言で怒ってたんだろう。
     
    それはともかく、新品のフレームにその赤マジックが付いてる!!!!!
    しかも2箇所! 拭いても取れない!!!
    (これは後日、他店で落としてもらった)
     
    ファッション的に使い捨て感覚でめがねを掛けたい人には
    安いめがねは良いと思う。
    あと、単焦点の人。
    遠近両用は追加料金なので、それほど安くはないと思う。
    私は目には苦労しているので、この手の店は向いてない事がよくわかった。
     
     
    なお、こんな言い訳はしたくない程、怒っている私だけど
    予防線を張っておく。
     
    この店が特殊なのかも知れない
    この支店が特殊なのかも知れない
    私が行った日がたまたま悪かったのかも
    私が当たった店員さんがたまたま不慣れだったのかも
    その店員さんの調子がたまたま悪かったのかも
     
    ・・・こんぐらいで良いかしら?
    “安いめがね屋さん” というジャンル全部が
    こうじゃないかも知れないので
     
    ~~~・・・、めんどくさいんで、後は気合いで察して!
     
     
    後日、普通のめがね屋さんに行って、お高いめがねを買ったよ。
    んで、そこの店員さんと懇意になった。
    年齢がいってからの初の遠近両用は、プロの支えがないと慣れにくいと思う。
    その人には随分、助けられた。
     
    んで、その人、他府県に移動になった後も連絡をくれるので
    今度レンズを買い換えるために、旅に出るんだー。
    遠いんだよ、その移動先。
     
     
    原価がいくらだろうが、どんなに安かろうが
    丁寧な説明と親切な接客に、私は諭吉と敬意を発動させる。
    そんで買った品も出来た縁も、大事にする。
     
    それが私の理想の買い物なんだけど、貧乏な今は無理かもー。
    分相応な買い物法を探さないと
    今回も余分な出費になっちゃったよー。
     
     
     

    評価:

    サンエス


    ¥ 1,999

    コメント:めがねって折りたたみを繰り返して、ネジ部分とかに緩みが出ないんかな? その不安があるので、めがねスタンドはそのまま置けるタイプを推奨。 ・・・この猫はゲームのキャラだ。 こいつ、一見可愛いけど、爆弾を投げてくるんだよ。 ボス戦で足を引っ張られて困る!

  • かげふみ 26

    「マデレンと申します。」
    館にカメラマンがやってきた。
     
    「この館の事は、ひと通り教わってまいりました。
     私などがこのような大役を果たせるか、不安もありますが
     精一杯努めさせていただきますので
     どうぞ、よろしくお願いいたします。」
     
    立派な挨拶をする30代の逞しい女性に
    グリスはホッと胸を撫で下ろした。
     
     
    仏頂面の主に代わって、グリスが挨拶をする。
    「こちらこそ、よろしくお願いいたします。
     こちらが主様で、私は次期主の予定のグリスと申します。
     ご不便な事がありましたら、何でも私にお申し付けください。」
     
    「恐れ入ります。
     少し自己紹介をしますと、私はクリスタル州の西の海辺の町出身で
     今までは戦場カメラマンをやっていましたが
     首と背骨を負傷して、静養中だったのです。
     そこにこのお話をいただきまして、自分なりに理解できたので
     お引き受けする事にいたしました。」
     
    「とすると、将軍から派遣されたんですか?」
    グリスの問いに、マデレンは首を振った。
     
    「いえ、私は軍人ではなく新聞社勤務なのです。
     クリスタルシティにあるクリスタル州立新聞社です。
     今回のお話は、社主直々のお達しによるものです。」
     
    長老会というのは、どこまでパイプを持っているんだろう
    その組織の底の知れなさに、グリスは
    決して甘く考えてはいないはずの、自分の取り組む姿勢に
    気合いを入れ直した。
     
     
    ここで気合いの入らないヤツがひとりいる。
    「マデレンさん、ようこそいらっしゃいましたー。
     ですがー・・・」
     
    「ああ、大丈夫、わかります!」
    マデレンは、主の憂鬱をすぐさま汲み取った。
     
     
    「普通、ずっとカメラに追い回されるなど、ごめんですものね。
     ですが、カメラと私を無機物だと思ってください。
     いてもいないのです。
     撮る側に悪意がないので、すぐに慣れますよ。」
     
    「そういうもんですかねー。」
    「野生の動物の映像とかが良い見本ですよね。」
    グリスの例えに、主は納得した。
    「ああ、なるほどー。」
     
    って、私は獣かい! と思ったが、これも役目のひとつ。
    主がさっさと諦めて、気持ちを切り替えた。
     
    「では、申し訳ありませんが、慣れない内は無視させていただきますねー。」
    「はい、どうぞしたいようになさってください。
     決して無理をなさる必要はありません。
     主様のペースでゆっくりといきましょう。」
     
     
    ふたりのやり取りを横で聞いていたグリスは、主の態度に感心した。
    自由奔放なお方には、こんな監視されるような事なんて
    誰よりもお嫌であろうはずなのに、それをも受け入れるなんて
    このお方は、館の “プロ” なのだ。
     
    自分が主についていき、主の願いを叶えたいのなら
    館を攻略せねばならないのかも知れない・・・。
     
    グリスのこの考えは、主様は素晴らしい! という
    崇拝に基づく、いつもの感覚だったが
    そこに不気味な問題が見え隠れしていた。
     
     
    今の主に代替わりをして、終息させたはずの相続戦が
    形を変えて、次の相続者に襲い掛かっているようにも見える。
     
    管理者の人間としての権利を放棄する犠牲・・・
    結局この館は、贄が必要なのかも知れない。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 2512.1.19 
           かげふみ 27 12.1.25 
     
           かげふみ 1 11.10.27 
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  • 幸・不幸

    「不幸なら不幸で良いじゃん。」
    10.5.12の記事で何気なく書いて、突っ込まれた意見だが
    それから時々考えてきたんだけど、どうやらこれは私の本心である。
     
     
    元々、幸・不幸ってのがよくわからない。
    幸せだと認識している時って、後から思い起こすと
    結構な不幸のどん底だったりする場合が多いからだ。
     
    しかし私は今、かなり不幸なんだが
    どっから見ても、やっぱり不幸である。
     
    どうも、不幸は自覚できるものだが
    幸福は自己判定は出来ないもののような気がする。
     
    うん、色々あるけど結局は幸せだよね、とか
    こんなに○○できる私って幸せ とか
    突き詰めれば、生きてるだけで幸せ、とかになる。
    幸せとは、自分を納得させるための暗示のような存在ではないのか?
     
     
    私の人生上、幸せだったと言えるのは
    自分が幸せかどうか、考える知能がなかった頃である。
    良いんか悪いんか、かなりのドバカだったんで
    20歳頃までは幸せでいられた。
     
    まあ、その後病気とか色々あって
    生きる意味だの、自分の価値だのを確立したい
    とかいう、いらん知恵をつけたら
    幸せを追い求める人生になってしまった。
     
    “自分探しの旅に” とかいうアホウに
    「自分が世界のどこにいるっつんだよ? 鏡を見ろ!」
    と、常々罵倒してきたが
    そういう自分も、気付けば日常的に
    必死こいて幸せ探しをしてきたわけだ。
     
     
    悪い事に、幸せっちゅうのは探せば見つかるんだよ。
    そういうのを1つ見つけては、安心してきたんだ。
    「ないものより、あるものを数えろ」 って言うけど
    これをしてたら、幸せになんて簡単になれるんだよな。
     
    でも、あるものを数えて見つける幸せは
    既に自分が持っていたものの再確認でしかない。
    本当に幸せな人は、ないものを数えていると思う。
    もっともっと幸せを積み重ねるために。
    しかも、無意識に。
     
     
    これに気付いたら、幸せなんてレゴブロックのような気がしてきた。
    いっぱいある家は、そりゃ楽しいだろうが
    何個かなくなったって、そう支障があるわけじゃなし
    補充もできる。
     
    つまり幸・不幸なんて、無数に存在するものであって
    自分はこれ! と決定づけるものじゃないんだ。
     
    たとえ自分が不幸だと感じても
    自分のすべてが不幸なのではなく
    こことここが問題だけど、こっちは割に幸せじゃねえ?
    という判定が、正しい幸・不幸のジャッジだと思う。
     
     
    こう思ったら、幸・不幸なんてどうでも良くなったんだ。
    私の感じる不幸がヌルいものだから、こう言えるのかも知れんけど
    何をどの程度感じるか、など、個人の資質だろ。
     
    てか、幸・不幸なんて、基準がないものを題材に
    鈍感だと否定されたくないね。
     
     
    誰が言い出したんか、得体が知れないもののような気がするぞ
    “幸・不幸”。
     
    これほど、知らない方が幸せだった単語があるだろうか?
    私にはこの単語は、呪詛に思えてならない。
     
     
    で、終わろうとして、今気付いた! たった今、気付いた!
    気付くの遅すぎ新記録!!!
     
    この説には足りないものがあるんだよー。
    それは、他 人 。
     
     
    私は幼い頃から、他の人と協調しなさい、目立ったらダメ、と教わったせいで
    どうしても溶け込めない異質さを、自分の中に認識してからは
    ずっと孤独とともに生きてきた。
     
    この異質さというのが何なのか、というと
    皆は1をたくさん持ってるけど、私には1はなく2が多い、みたいな。
     
    他の人も、2はないけど1と3を多く持ってる、と
    それぞれの持ち玉みたいなんがあって
    この場では5をいっぱい持ってる方が有利だ、となったら
    皆、5を持っているフリをする。
     
    この、持っているフリってのが “協調性”。
    持ち玉の多さは、元々の資質と経験値。
    いらない玉も、絶対に持てない玉もある。
     
     
    人生って、そういうものかな、と思っていたから
    人と自分を比べる必要性がないんだ。
    だから私は、人と自分を比べない。
     
    これ、幸・不幸に、ものすごく関係してくると思う。
    幸・不幸は、他人の存在がもたらす場合が、ものすごく多い。
    不幸だ、とグチっているヤツって、必ず人と比べてるんだ。
     
     
     

    評価:

    旭食品


    ¥ 595

    コメント:♪幸せって何だっけ何だっけポンズ醤油のある事さ♪  関西人に紹介されたポンズ。 これは濃厚で柑橘の味がしっかり出ているタイプ。 値段を見よ、ポンズでは高いだろ? 関西はポンズ好きで、ものすごいこだわりがあるみたいだぞ。

  • かげふみ 25

    「館はあくまでも公的施設でーす。
     我が国では政教分離の原則はないとは言え
     あからさまな宗教はいただけなーい。
     ですから、情に訴えるんでーす。」
     
    紅茶をひと口飲み、続ける。
    「暗い過去を持つ館を改革し、住人たちの心を救った “英雄”、
     主をそれに仕立て上げるんでーす。
     ひとりの人間を、“恩人” として奉るのは
     各地によくある話で、しかも非常に道義的でーす。
     神を信仰するのではないので、宗教ではありませーん。
     一般民衆の共感も得やすいでしょーう。」
     
     
    「なるほど、見事な心理誘導だな。」
    将軍がつぶやいた。
     
    「そうですね、それなら公でも可能ですね。」
    「しかし、“神官” ですぞ?」
     
    「そこは言い方じゃないですかな?
     “生涯独身だった主に敬意を表して、館の管理者は独身を貫く”
     と義務づける、というのはいかがですか?」
    白髪の紳士が落ち着いた口調で発言した。
     
    「「「 おお!!!!! 」」」
    メンバーが一斉に、同調した。
     
    「それが良い! ゲン担ぎのようなものだし。」
    「伝統は重んじるべき、という我が国の風習にも合う。」
    「これで決定ですね。」
     
     
    会議室の空気が一体になったのをブチ壊すのは、いつも主である。
    「あのー、ちょっと良いでしょうかー?
     ごく一部には、崇拝者もいますが
     どう自分に甘く見ても、“偶像” まで行けないと思うんですがー。」
     
    「それはあんたの死後にするから大丈夫じゃろう。」
    失礼な事を見事に言いたれるジジイに、将軍がもっと無礼な異議を唱える。
    「ですが、捏造にも限度がある事ですし
     主には今から言動を控えていてもらわないと。」
     
    「その事なんでーすがあ。」
    リオンが再び提案をする。
     
    「主の毎日の演説は録画されていまーす。
     これは後々の良い材料になりまーす。
     それだけじゃなく、仕事中などの普段の姿も映像に撮るのでーす。
     我々はそれを、切ったり貼ったり塗ったり削ったりして
     美しい記録として残せば良いのでーす。」
     
     
    メンバーのひとりが、ダンディー紳士に耳打ちした。
    「いやはや、貴殿のご子息はヤリ手ですなあ。
     先が楽しみですな。」
    ダンディーは いやそんな、と恐縮しながらも、少し気落ちした。
     
    代々市会議員を務めてきた我が一族だが
    私にその才はなく、弟がその役目を肩代わりしている。
    その弟も、そろそろ引退すると言っている。
     
    弟の息子たちは、私似で政治家には向いていない。
    逆に私のこの長男が弟にそっくりだ。
    弟の跡は、多分この息子が継ぐ事になるだろう。
    血というものは時折、奇妙な遺伝をするものだな・・・。
     
    ダンディーの生真面目で心優しい性格では、その “才” が
    非情で不道徳なものに思える事も、ままあったのだ。
     
     
    「では、早速カメラマンを手配しよう。」
    そう話がまとまりそうになった時に、主が慌てて制止しようとした。
    「ちょ、やめてくださいよー!
     一日中カメラに追われるなんて、冗談じゃないですよー。」
     
    「きみが素で偶像になれるぐらいに好人物だったら
     こんな予算も手間も掛けずに済んだのだがね。」
    「うっっっ・・・。」
    メンバーのその容赦のない批判に、主は反論の言葉も出なかった。
     
     
    「では、そういう事で・・・」
    「ちょっと待ってください!」
     
    会議を締めようとする声を遮ったのは、意外な事に
    主の死後の話にしょぼくれて、ずっと無言でいたグリスであった。
     
    「何かね?」
    長老たちは、グリスに優しい。
     
    「カメラマンは女性にしてください!」
     
    「「「「「 !!! 」」」」」
     
    その言葉に、メンバーたち全員が意表を突かれ
    主は瞬間だけ、嫌な顔をしたが
    すぐさま長老たちに納得されたので、その願いは聞き届けられた。
     
     
    この会議でグリスは発したのは、このひとことだけだった。
     
     
     続く 
     
     
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