• 訓練ジジイの謎

    関連記事: 狡猾な愛すべき犬というヤツら 11.3.28
          訓練ジジイ 続報 11.4.11
          訓練ジジイ 続々報 11.4.15
     
     
    訓練ジジイが公園から消えた。
    公園は、今はもう子供たちの野球場になってしまい
    (注: 球技が禁止されている公園である)
    心霊写真カップルも、ダンシング男子もいなくなった。
     
    何か、ネタが1個もない公園になってしまった。
    これは私自らが、公園で何かパフォーマンスをしろ
    という啓示なのか?
     
     
    ところが、そんなこんなのある日
    訓練ジジイと道ですれ違った!!!!!
    正確に言えば、2車線道路の向こうとこっちのすれ違い。
     
    だけど、すぐに訓練ジジイとあの犬ペアだとわかった。
    犬でわかった。
    歩いてても、訓練ジジイをパシリにしているんだ。
     
    私がジッと見ていると、犬がその視線に気付き
    こっちに来ようと、訓練ジジイを引っ張った。
     
    だけどその時に車が来て、ちょっと危なかったので
    私はそのまま通り過ぎた。
     
    訓練ジジイは、持っているペットボトルの水で犬のおしっこを流すという
    ものすごいマナーの良さ。
    犬は間近で見ると、毛がピッカピカのツヤツヤで
    あの犬種で、あんなに手入れをされている犬は初めて見たよー。
    ジジイの犬に対する愛が、2車線を挟んだこっちにも伝わってきた。
     
     
    そして訓練ジジイの犬が公園にいた!
    訓練ジジイ復活!
     
    と、一瞬、喜びに満ちあふれかけたけど
    訓練ジジイが、あの訓練ジジイではないのだ。
    あの訓練ジジイより、10歳ぐらい若いオヤジなのだ。
     
    犬は一緒。
    仕草も行動も一緒。
    何故そう言い切れるかと言うと
    訓練内容が、訓練ジジイとまったく同じだからだ。
     
     
    これ、不思議じゃねえ?
    同じ犬を、10歳違う男性が同じ訓練をしている。
    “持ってこい” の腕の上げ方どころか
    “ついてこい” のナメられ方まで、生き写しなのだ。
     
    その歳の差は、親子じゃないだろうし
    友人? 兄弟? 親戚?
     
    にしても、訓練の代理なのに
    その訓練法が、訓練ジジイとまったく一緒。
    そこまで教わって、散歩代理?
    まさか訓練ジジイに何か起こったんか?
     
     
    他人事なのに、むちゃくちゃ心配している私は
    訓練ジジイのとりこなのか?
     
    とか、ハーレクイン妄想をしていたら
    訓練ジジイと犬ズがいた。
     
    朝の7時に駅前ロータリーに。
    通常はその時間に駅には行かないんで、気付かなかったんだな。
    散歩時間帯の変更かー。
     
    ちょい待て、おめえ訓練は午前中にやってたろ?
    んで、この前は16時前に歩いてたろ。
    1日何回散歩してるんだよ???
     
    いや、色々と変更してるのかも知れない。
    とにかく、無事で良かった。
     
     
    で、夜の11時前、23時前ぐらいに
    横断歩道の赤信号で、訓練ジジイと犬と並ぶ。
     
    ところが、どの訓練ジジイでもない!
     
    斜め後ろから、ジーーーッと観察する。
    本来の訓練ジジイは、固太りで大柄な体格である。
    2番目の訓練ジジイは、10歳ぐらい若くてちょっと小柄。
    そしてこの3人目は、ものすごく小柄でしかもメガネっ子。
    3人の中でも、一番年老いて見える。
     
    犬は一緒。
    もう、断言するけど、私の犬好き生命を賭けて良い。
    それぐらい性格が個性的で、仕草にクセがある犬なのだ。
     
     
    1匹の犬に3人の訓練ジジイ・・・。
    もしかして飼い犬じゃなくて、シルバー雇用の散歩業とか?
     
    と、1人と1匹をジロジロと見ていたら
    またしても、犬が私の視線に気付く。
     
     
    この犬、横目でチロチロと私に問いかける。
    おっ、いく? いっちゃう? みたいに。
     
    私を見た途端、嫌わない動物なんて滅多にいないんで
    何かもう、あー、すっげえ触りたい!
    と、痴漢のような気持ちになって
    思わず手が出ちゃったんだよー。(正に痴漢の言い訳)
     
    そしたら、そいつな、いきなりドーン! と頭突きして来たんだよ。
    こここ攻撃? と思ったけど
    私の足にフンフンとまとわりついて来るんだ。
    その勢いに、私もジジイもヨロけた程。
     
     
    私が思わず笑って撫ぜたら、ジジイが喋った。
    「すみませんのお・・・、遊び好きな犬で・・・
     こうやって、すぐ人様に飛び掛るけど
     可愛くて怒れんで・・・。
     甘やかして育ててしまったんですわ・・・。」
    (正しくない関西弁で再現しております。)
     
    そのトツトツとした喋り方に、ちょっと涙が出そうになった。
    ああ・・・、このジジイはこの犬を本当に大事にしてるんだな・・・。
     
     
    「こんなにキレイにお手入れされたこの犬種を初めて見ましたよ。
     大事にしてらっしゃるんですね。」
    そう言うと、訓練ジジイは犬の頭を抱えるように撫ぜた。
     
    信号が青になったので、渡りながら訓練ジジイたちと私は分かれた。
    訓練ジジイは一度も私を見なかった。
    犬しか目に入らないようだ。
    犬はこっちに来たがっていた。
     
     
    さて、これはどういう事だろう?
    1匹の犬に、3人のジジイ。
    犬は絶対に同一犬。
     
    1人目は、1ヶ月ほど毎日公園で訓練。
    その後、2~3回道端で見かける。
     
    2人目は公園で1回限り。
    でも訓練法が、ありえないほど1人目と同じ。
     
    3人目も1回限り。
    でも犬の飼い主としか思えない言動。
     
     
    本来なら、2人目はたまたまピンチヒッターで
    1人目と3人目が同一人物だと思うべきだろうけど
    体格が違い過ぎるんだよ。
     
    てか、そう思いたくない。
    同一人物だったら、訓練ジジイ、病気を患ってる変貌ぶりだし・・・。
     
     
    そして、その後・・・
    20代と思われる男性が、犬を連れていた。
    一瞬だったんで、同じ犬かどうかは断言できない。
    同犬種ではあるけど。
     
    イヤな想像をしてしまうんで、もう一度会いたいよー。
     
     
    て言うか、この話、若者だと恋愛フラグが立つよな・・・。
    ジジイとババアじゃ、寿命の話になるのが切ないーーーっ(泣) 
     
     
    関連記事 : 訓練ジジイの謎 2 12.9.6
     
     

    評価:

    バレリー・オファレル

    ペットライフ社


    ¥ 1,995

    (1993-11)

    コメント:多分これ、私がしつけのために読んだ1冊のような。 だったらこれに、“しつけが入りやすい犬種ランキング” が載ってるかも。 犬を買う前に、ぜひ読んで欲しい。 犬の頭の良し悪し基準は、人間にとって “しつけが入りやすいか” に尽きるんだよな、現実問題。 

  • かげふみ 15

    歩いて来るグリスらしき姿が鮮明になると、主は驚いた。
    「ええっ? あれ、本当にグリスですかー?
     えらい育って、別人じゃないですかー。」
     
    その言葉に、ジジイは得意げに携帯画面を差し出した。
    「ほれ、これがグリスの近影じゃ。
     男の子は急激に成長するもんなんじゃよ。」
     
    「あんた、待ち受けにまでー・・・。」
    果てしなくドン引く主。
     
     
    「そんな事より、もうそこまで来とるぞ、どうするんだね?」
    慌てる将軍に、主が小声で指示を出した。
    「あんたら出歯亀は気付かれないよう、伏せてくださいーっ。」
     
    「で・・・出歯亀?」
    「将軍、伏せるんじゃ!」
    車内の床に這いつくばるジジイと将軍。
     
    グリスが向かいの歩道を通過しようとしたその瞬間、主は車の窓を開けた。
     
     
    ところが主はピクリとも動かないどころか、ひとことも発しない。
    ただ、車の中からグリスを睨んでいる。
    しかも機嫌が悪いのも手伝って、いつも以上の仏頂面である。
     
    そしてそのまま窓を閉め、将軍に言った。
    「車を出してくださいー。」
     
    将軍は不自然な体勢で転がりながらも、素早くマイクを取り
    運転手に車を出すよう告げた。
     
     
    グリスの姿が小さくなり、やがて見えなくなると
    ジジイと将軍はようやく体を起こして、同時に叫んだ。
    「これだけかね!!!」
     
    「何じゃ、今のは!」
    「6.26秒だったぞ!」
    時計を見ながら叫ぶ将軍。
    コンマ00秒まで時間を計っているなど、さすが軍人である。
     
    あっけに取られているふたりに、主は断言した。
    「はい、これだけですー。
     これでダメなら、もう私の出る幕ではありませんー。
     さあ、帰りましょうー。」
     
     
    「「「 ・・・・・・・・・・・・ 」」」
     
    ジジイと将軍の報告を聞いた長老会メンバーは、言葉が出なかった。
     
    うむうむ、その気持ちわかるぞ、とジジイがうなずきながら
    ムービーカメラを取り出した。
    「その時のグリスの様子は、ちゃんと撮っておいたぞ。」
     
    「何だね、これ、逆さまじゃないかね。」
    「うわあ、手ブレが酔いますねえ。」
    「ムチャ言わんでくれ。
     隠れながらも、手を伸ばして必死に撮ったんじゃぞ。」
     
    カメラに写ったグリスは、激しく驚いた表情のまま固まっていた。
    「おお、驚いとる驚いとる。」
    「さぞかし肝を冷やしただろうなあ。」
    「あの主が般若顔で突然現れたんですもんねえ・・・。」
     
     
    グリスに同情の声が寄せられたところで、ジジイが続けた。
    「でな、わしらも手土産なしでガキの使い、ってわけにもいかないんで
     帰りがてらに主の恋愛歴など、探ってみたんじゃ。」
     
    「へ? 何故いきなり恋愛歴ですか?」
    「いや、それはアリかも知れん。
     押すと男は逃げたくなるが、引くと追いたくなるものだろう?
     今回の主の行動は、それの応用だとも思われるぞ。」
    「ああ、なるほどー。」
    「主の恋愛事情・・・、それは、ちょっと興味がありますねえ。」
     
    「「「「「 で、何ですって? 」」」」」
     
     
    メンバー全員がジジイに期待の眼差しを向け
    ジジイは調子に乗って、主の口真似をし始めた。
     
    「はあー? 恋愛ー? よくわかりませんねー。
     向こうから好き好き言ってきたくせにー
     付き合ったら何故かすっげえ憎まれて、突然別れ話されちゃってー
     すんなり別れてあげたのに、陰で悪口言われ始めてー
     私の恋愛なんて、全部こんなんですよー。
     何なんですかねー、あれってー。」
     
     
    「・・・・・・・・・・・」
    「・・・ダメ・・・って事・・・なんじゃないですかねえ・・・。」
    「・・・予想を微塵も裏切らない経歴だな・・・。」
    愕然とするメンバーに
    ジジイが更なる “主のお言葉” を再現した。
     
     
    「これで美人だったら、悪女の称号でも貰えて
     傾国とかしちゃってたんかも知れませんがー
     ブサイクなんで、単なる性悪女で済んで
     目出度し目出度し、ってなもんですよー。
     皆、遺伝子元の私の親に感謝すべきですよねー。」
     
     
    あああああああああーーーーーーーーーっっっ
    と、メンバー全員が頭を抱えた。
     
    「やはり、主を行かせたのは間違いだったんじゃ?」
    「それよりも問題なのは、この調子じゃ
     いつまたグリスくんが出て行くかわからん、ってところだぞ。」
     
    暗い雰囲気になった会議室に、声が響いた。
    「グリスくんは戻ってきまーす。」
     
    声の方向を見ると、ケーキを食うリオンだった。
    「何故そう言いきれるんだね?」
    その問いに、リオンはニコニコしながら答えた。
     
    「私は主の恋愛傾向を間近に見てるからでーす。」
     
     
    その言葉に一同がドヨめき立ち、リオンに詰め寄った。
    「あの主が恋愛しているんかね!」
     
    色めき立つメンバーたちを、リオンが諭す。
    「やでーすねえ、皆さん、他人の恋愛話には首など突っ込まないのが
     紳士の心得じゃないでーすかあ。」
     
    「この場合はわけが違うんだよ! あの主の事なんだよ。」
    「セクハラ、パワハラとかありますしね。」
    「そう。 館の平和を脅かしかねん可能性もある。」
     
     
    リオンは溜め息を付いた割には、嬉しそうにしている。
    「そうでーすかあ? しょうがないでーすねえ。
     じゃあ・・・」
     
    そしてせきを切ったようにペラペラと喋り始めた。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 14 11.12.7 
           かげふみ 16 11.12.13 
     
           かげふみ 1 11.10.27 
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  • ナンパ

    「顔のつくりはとりあえず置いといて
     一生の内、1回でも “色気” っちゅうもんを
     ひねり出してみてえぜ。」
     
    これが残り寿命の短いババアのセリフとは、とても思えんが
    知人にこう嘆いたら
    「あら、色気なんて簡単に出せるじゃない。」
    と、事もなげに言われた。
     
    それらしいメイクや格好をして、それらしい仕草をすれば
    すぐに男が寄ってくるわよ、と。
     
     
    違う!
    色気はそういうもんじゃない!
     
    こう、カッチリした隙のない衣服の下の肌はどんな触り心地か
    その落ち着いた表情をグチャグチャに乱してやりてえ、とか
    思わんのか? と、つい我を忘れて力説したら
    「あなた、そんな事を考えてるの?」 と、驚かれた。
     
    嫌がる婦女子を見るのは、私の好みのシチュエーションだけど
    安心したまえ、2次元じゃないと眼中にないから、と言い訳したら
    「うわあ、ドン引きするわあー。」 と、言われた・・・。
     
     
    こういう性癖は、定番中の定番だと思っていたんだけど
    世間とのズレに愕然とさせられたよ。
    そうか、世の中にはびこる露出の多い服は
    あれは色気を出そうとしてたのか!
     
     
    まあ、私の色気の定義なんか、どうでも良いけど
    知人の言葉の 「すぐに男が寄ってくるわよ」 の部分が
    とても気になったので、「今でもナンパされるの?」 と訊いてみた。
    とても失礼な質問だけど、その知人もババアになりかけなんでな。
     
    すると、されると言う。
    「えっ、どこで?」 とビックリこいたら (重ね重ね失礼)
    飲み屋でだと答える。
     
    酒が嫌いな私は、絶対に行かない場所なので
    何が何でも飲み屋じゃないとダメなんか、訊いたら
    飲み屋以外で、知らない人と話す機会のある場所ってどこよ
    と、逆に訊き返されたので、病院の待合室とか・・・
    と答えたら、ハッとかヘッとかいう、あいまいな発音の失笑をされた。
     
    どうやら私の人生は、色恋沙汰に縁のない
    ハード・モードに設定されているようだ。
     
     
    にしても、えっらい世の中、簡単になっとるのお。
    酒飲みが嫌いなのに、酒を飲む場所に来る人とは知り合いたくねえよな
    と絶望感に襲われかけた時に、ふと思い出した。
     
    そう言えば、私も若い頃は毎晩のように飲み屋に行っていた。
    バカ兄のせいで、大人は毎晩飲酒せねばならん、と思い込んでいたのだ。
     
    だが、そこで声を掛けられた事などないよな。
    顔は残念だが、このナイスバディーなら
    簡単な出会いは可能だったはず!
    と、当事一緒に飲む事が多かった友人に訊いてみた。
     
     
    ・・・酔わない女の本気飲みに、声を掛ける隙はないそうな・・・。
    しかも友人がいくらセクシーな格好をしても
    横にいる私がパンクファッションなんで
    (青メッシュ髪おっ立て、真っ黒口紅、鋲つき腕輪)
    それで寄って来る男なんて逆に怖いわ! と、怒られた。
     
    えーーー、友達なら注意してよー、と責めたら
    アホウな私には言ってもムダだから、言わなかったそうな。
    どうやら性格的にも、色恋沙汰から程遠い仕様のようだ・・・。
     
     
    件の知人に、「ナンパされると腹が立たない?」 と訊いたら
    「若い頃はそうだったけど、この歳になると嬉しいわよ。」
    と言われ、ものすごく同意して
    「そうだよね! 痴漢に遭っても
     触ってくれてありがとう! って思うもんね!」
    と言ったら、あなた、そこまで・・・ と哀れまれた。
     
    うん、確かにこういうババアを触りに来る痴漢なんて
    どんだけの変質者なんだ? という話だから、恐いけど
    あっちで怒られ、こっちで嘆かれ。
     
     
    女性ホルモンひねり出しのために、エロマンガを乱読して
    ようやく、ちょっと出てきたかな? という性欲も
    ムツゴロウさんの驚愕逸話で、きれいさっぱり失せた事だし
    なるべく恋愛話は避けるようにしとこう・・・。
     
    (ムツゴロウさんの驚愕逸話とは。
     オス犬の性欲処理をしてあげている、という話で
     記憶から消し去りたいんで、詳しい説明はしたくない。
     何か、TV番組でやってたらしいぞ。)
     
     
     

    評価:

    カナディアンクラブ 40度 700ml 1本【1回のご注文で12本まで】


    ¥ 1,116

    コメント:あああああ、今までバーボンだと思っていたんだけど、“カナディアンウィスキー” なんだってよー。 ライ麦やトウモロコシが原料の、軽くて飲みやすくて翌日に残らない酒。 ちなみにバーボンはケンタッキー州のトウモロコシ酒の総称だとさ。

  • かげふみ 14

    「私とした事が、グリスの私に他する予想外の崇拝に動揺して
     ついつい使命を忘れていましたー。
     どうも申し訳ありませんでしたー。
     まったく、これだからガキは厄介だわー。」
    反省しているのかしていないのか、疑わしい主の態度である。
     
    「私がこれから大学に行って、グリスを連れ戻してきますー。
     私としても、せっかくの次期主候補を潰したくないですからねー。」
     
     
    その言葉に、リリーが口を挟んだ。
    「今から行きますと、首都に着くのは夜の8時過ぎになりますけど。」
     
    「ええっ、首都そんなに遠いのー?」
    驚く主に、メンバーが突っ込む。
    「首都まで列車で5時間は掛かるぞ。」
    ヘタリ込む主。
    「ええーーー、じゃあこの計画ダメじゃんー。」
     
    メンバーのひとりが、疑問を口にした。
    「きみ、国際線に乗る時に首都に行ったんじゃなかったんかね?」
    「あの時は軍がヘリで送ってくれてー・・・。」
     
    全員の目が一斉に将軍に向く。
    「お、おいおい、あの時は私も首都に公務があったんで・・・。」
    慌てて断ろうとする将軍に、主が事もなげに言う。
    「じゃ、明日5分で終わる “公務” を作ってくださいー。」
     
     
    「あああ・・・、また私か・・・。」
    ガックリと肩を落とす将軍に、気の毒そうにメンバーが詫びる。
    「すみませんが、今回は次期主の一大事ですし。」
    「我々で他に役に立てる事があったら協力しますよ。」
     
    「んじゃ、これで決定ですねー。
     私は帰りますよー。 将軍、明日迎えに来てくださいねー。
     あ、あと軍から大学までの車の手配もよろー。 リムジン必須ー。」
    主は要求をするだけしたら、さっさと帰って行った。
     
     
    翌日の首都へと飛ぶ軍用機の中では、主がムッツリした顔で座っていた。
     
    「ご機嫌斜めそうじゃのお。」
    ジジイの声掛けに、不機嫌そうに主が答える。
    「・・・軍用機って、何でこんなに寒いんですかー。
     凍え死なすつもりですかー?」
     
    将軍がキリッと弁明する。
    「物資を運ぶのに冷暖房がいると思うかね?」
    「この前はこんな寒くなかったですよー。」
    「この前のは上官専用で、今日はそれが空いてなかったんだよ。」
     
    「こら、そんな調子でグリスの説得が上手くいくのか?」
    「それはわかりませんー。」
    その言葉に、飛び上がるジジイと将軍。
    「「 何じゃ「」何だとーーーーーーーー? 」」
     
    「これで帰って来なかったら、私に打つ手はないですねー。」
    その頼りない言葉に、ジジイと将軍は焦った。
     
     
    軍空港から大学に向かう公用車の中で、主はぶしつけに訊いた。
    「ところで、何であんたらまでついて来るんですかー?」
    主の質問に、ふたりは答えるのを控えた。
     
    実は昨日、主が帰った後に長老会メンバーで話し合ったのだ。
    どう考えても、あの主だけに任せておいて穏便に済むわけがない。
    暴力沙汰を起こして通報されないよう、“見張り” が必要だ、と。
     
    そして今日の結果は、明日の極秘臨時長老会で報告せねばならない。
    どうか上手くいきますように・・・
    ふたりは心の中で必死に神頼みをしていた。
     
     
    ふたりを見て、どうせ野次馬だろ、と判断した主は地図を見ながら呟く。
    「グリスは今日は何時頃に寮に戻るんでしょうかねー。」
    「何じゃ、あんたそんな事も知らんと来とるんかい!」
    ジジイの驚愕に、主はサラリと言ってのける。
    「寮付近で待ち伏せしようと思ってたんですよー。」
     
    「はあ・・・、無計画ここに極まれり、じゃな・・・。」
    呆れたジジイは、手帳を出して説明し始めた。
    「んとなあ・・・、この時間じゃとグリスは受講中じゃ。
     今日は11時までで終わって、12時から17時までバイトじゃな。
     道端で捕まえるなら、この公園横を11時20分ぐらいに通るはずじゃ。」
     
    その細かい指示に、今度は主がドン引きした。
    「・・・あんた、大学に間者でも潜ませとるんですかいー。」
    「失礼な! わしゃそこまでストーキングしとらんわい!
     以前にグリスに、日々の予定を教えてくれ、と頼んだだけじゃ。」
    「うわあ・・・、グリスもよくこんなに細かく教えたなあー・・・。」
     
    ジジイは嬉しそうに話す。
    「いつも時計を見てな、ああ、今頃グリスはあれをしとるな
     おお、今は橋の上を歩いておるな、とか想像するんじゃ。
     この気持ちがわからんから、あんたはグリスを傷付けるんじゃよ!」
     
     
    ジジイの溺愛ぶりにゾッとした主だが
    最後の行が逆らう術もない正論なので、黙っていた。
     
    ソワソワしてあたりを見回していたジジイが叫んだ。
    「あっ、来たぞ! グリスじゃ!!!」
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 13 11.12.5 
           かげふみ 15 11.12.9
           
           かげふみ 1 11.10.27 
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  • 食のトラウマ

    昔から、“食事” というものに興味がなく
    年老いてからは、もう料理も面倒になり
    ツイッターでブーブー言ってたら、レンジの皿を割る
    というバチが当たり、レンジを買い換えるハメに。
     
    “うっかり” とか、“怠惰” とか
    自分のせいにしたくないので、この踏んだり蹴ったりは
    もしかして老人性ウツの初期症状じゃないか? と疑いを持つ今日この頃。
     
     
    リンガーハットに行ったら、隣の席に友人同士であろう女性2人組みがいた。
    それは普通の事なんだけど、その片方の女性の前にある皿が
    気になって気になってしょうがない。
     
    リンガーハット好きの私が
    それ、どのメニュー? と訊きたい、得体の知れない料理だったからである。
     
     
    結局その女性は、その料理には手をつけずに店を出て行った。
    と同時に、その皿を凝視して理解できた。
     
    それは、皿うどんの何だっけ、かかってる具
    つまりその女性は、皿うどんのパリパリ麺だけ食っていたのだ!
     
     
    そんな行儀の悪い事をするんだったら
    家でベビースターでも食ってろ、とは言わないよ。
    友達の食事の誘いを断れない人もいるんだから。
     
    かなりのポチャ系のその女性は
    夜の10時過ぎのリンガーハットでは
    皿うどんの麺のみを食うのが、最良策だったのであろう。
    たとえスリムな友達が、目の前でチャンポン餃子セットを完食しても。
     
    え? 私?
    私はナイスバディーだから
    チャンポンは夜の2時ぐらいに食うものだと思ってるよ。
    でもこの件で、少しは空気を読んで人付き合いをすれ、と怒ったさ。
     
     
    ちょっと、あんた。
    ポチャ友達が食に気を遣ってるのぐらい、察しなさいよ!
     
    あんたが私ほどナイスバディーじゃないのは
    こんな時間にチャンポン餃子セットを汁まで完食するからよ!
    私も真隣で同じものを頼んだけど、汁まで飲み干さないわよ。
    あんたと私の差は、汁よ汁! 下ネタじゃないわよ!
     
     
    新しい芸風を披露して芸達者なところを見せて、満足して本題に戻すけど
    その汚い残し方を見て私が思ったのは、批難でも嘲笑でもなく
    純粋に、“羨ましい” だった。
     
    今の若い子は、食べ残しても良いんだな・・・。
     
     
    私の若い頃は、“食う人” が偉かった。
    どんなに勉強が出来ても、どんなに運動神経が良くても
    どんなにナイスバディーでも、どんなに文豪でも
     
     食わなければ非国民
     
     
    給食を残すと、昼休み中クラス全員が待つ針のムシロで
    しかも教師の殴る蹴るまで、もれなく付いてくる時代だった。
     
    あまたの生徒の中でも、私は特に食わないので
    担任から目を付けられていて、給食時間が苦痛だった。
    私の時代の給食は、ゲロマズだったのだ。
    なのに量だけは多い。
     
    “不登校” という単語を知っていたら実行していたよ。
    あと、“非行” とか “反抗” とか “家出” とか
    “人権” とか “個人差” とか “人それぞれ” も。
     
    知らないから、素直に従ってたんだよ。
    無知って悲しいよな・・・。
     
     
    昔は、“食える事が幸せ” だったので
    私の周囲の全員が、食え食え攻撃であった。
     
    うちのかあちゃんは、際限ない量の飯を出すし
    うちの兄は、私が残そうとするものを
    目の前でゲフゲフ言いながら、代わりに食ってくれるし
    そんな心の負担になるような事ばかりされるので
    食う事自体が、嫌で嫌でしょうがなかった。
    私は、“食わない幸せ” が欲しかった。
     
     
    そういう時代のお陰で、私は今でも飯が恐い。
    というか、今ではもう飯屋に入っただけで
    お腹が痛くなったり、気分が悪くなったりするぐらい
    “食事をしにいく” というのが苦痛なんだ。
     
    だって飯屋で出る料理って、私には多いんだよ。
    コース料理って、何で最初にスープだよ?
    私にはそのスープが1食分なんだよ。
     
    普通にファミレスで、たとえばハンバーグを注文しても
    何か、ものすごく多い。
    悪い事に、私は米好きなので
    ご飯を食うためにおかずを食うタイプの選手なんだ。
     
    でも “栄養” とかいうやつが大事らしいんで
    無理に肉だの野菜だの食ってるけど
    本当は白飯さえあれば、おかずは漬け物で良いよ・・・。
     
    だから目の前に、人には普通の量の料理が出てきただけで
    気分的にお腹一杯なってしまい食べられない、という
    心の病いの持ち主なのが、私なのである。
     
    “残すのは悪” と洗脳されたヤツには
    残す事にものすごい抵抗があるんだよ。
     
    でも食えないから残す、
    自分がそれをしてしまう事がわかっているから
    飯屋に入るだけで具合が悪くなるんだ。
     
     
    よって、外食は出来るだけ避けている。
    でも人付き合いでは、“飯を食いに行く” という行為は
    ものすごく大事っぽいので、私はそれで苦労をさせられる。
     
    「美味しそうにいっぱい食べる子が好き。」
    「一緒に楽しくご飯を食べられる子と付き合いたい。」
    っていうのが今の世の定番なので
    私は少食が貴婦人のたしなみだった戦前に生きたかった。
     
    「飯、飯、うるせえ! 何で皆、そんなに飯を食いに行きたがるんだよ!」
    とブチ切れて、フラれた事もある。
    ちっ、私のナイスバディーを食うよりも飯を食う事を選んだか・・・。
    とか、下品な解釈をして、心の傷を癒したけど
    きっと私は一生、飯の事で苦労をする。
     
     
    食え食え攻撃で、つらい想いをしてきた私には
    世の中の飯に対する情熱が理解できない。
     
    カロリーメイトやサプリで栄養を補って
    好きな駄菓子でも食って、残り寿命を消化したいけど
    それを言うと、周囲の人々全員が大反対をする。
     
    明確な理由はわからない。
    「そんなの不健康」 とか言われるけど
    今までの人生で、私が健康だった事はない。
     
    1800gで産まれて、しかも自宅出産、保育器なしで
    幼い頃から食事を嫌がり、治療が必要な栄養失調に陥った私は
    本来なら、生き延びられない子供だったのかも知れない。
     
     
    とか被害者ぶってみたけど、どうもスッキリしないなあ。
    飯を嫌がる事自体、ものすごい罪悪感があるんだよな。
    食う事は生きるために必要だから、防衛本能でも働くんかな?
     
    でも、必要以上の食事量のヤツに、“贅沢病” とか言われたくないな。
    今の世は食い過ぎなんだよ!
     
     

    評価:

    サンポー


    ¥ 2,300

    コメント:トンコツ嫌いの私が、一番好きなカップ麺がこれだ。 正直、具はないも同然と思え。 んで、ちょっとブタ臭え。 でも、これが一番好きなんだ! なのに関西には売ってねえー。 皆、買ってサンポーを調子づかせて全国展開させて!!!

  • かげふみ 13

    「はあー・・・。 でー?」
    主がポヤンな返答をすると、ジジイが噴火した。
    「跡継ぎが何年も帰ってこんのを、何とも思わんのか!」
     
    主が、はあ? と言うような表情をした。
    「何、言ってんですかー。
     最初にグリスに通学を勧めたのは、あんたでしょーがー。」
     
    ジジイは、ボッフンボッフンと煙を出しつつ怒鳴った。
    「そうじゃ!
     わしは “通学” を勧めたんじゃ!
     寮に入って帰って来んなど、許した覚えはない!!!」
     
     
    まったくもう・・・、年寄りの我がままは・・・
    と思いつつ、(主にしては) 丁寧に解説する。
    「それはあんたの勝手な思惑でしょうがー。
     グリスの学力を活かす学校が、首都の国立だったんですから
     そこで学ばせてあげないで、どうするんですかー。」
     
    「それはそうじゃが、館にまったく帰らんのはおかしい!
     クリスマスも感謝祭も子供が帰ってこんのは
     この国では普通じゃないんじゃぞ!
     グリスはもう館に帰ってこないつもりかもしれん!」
     
     
    涙目のジジイに、主は困り果てた。
    「グリスに跡を継ぐ気がないなら、それも仕方のない事かとー・・・。
     それに関しては、対策を考える必要がありますよねー。」
     
    「あんたはグリスが可愛くないんかっ!」
    真っ赤になって怒るジジイに、主がひるむ。
    「えー・・・、いやあ、そういうわけではなくー
     本人の意思を尊重してー・・・」
    「キレイ事を言うでないっ!」
     
    ジジイのさえぎりに、主が見事な短気でブチ切れる。
    「この野郎ーーー、ケンカ売っとんのかあー?
     3倍値で買うぞ、この腐れジジイーーーっ!!!」
    「上等じゃわい、そのクソ生意気なツラをボコボコにしちゃるわ!」
     
    今にも殴り合いを始めそうな、ふたりの激昂に
    長老会メンバーたちが慌てて止めに入る。
    「ま、まあまあ、冷静に話しましょう。」
    「とにかく座って。」
    ジジイと主は、睨み合ったまま椅子に座らされる。
     
     
    「長老会としても、次期主の問題は重要ですから
     このまま放置するわけにもいかないのですよ。」
    「そうですよね。」
    「何年も帰ってこない、というのは、やはりおかしい。」
    メンバーたちが、口々に言う。
    「どうでしょう、ここらで今一度
     跡を継ぐ気があるのかどうか、本人に確認してみる、と言うのは?」
     
    主が憮然とした態度で言い放つ。
    「そう思うんだったら、そうすりゃ良いじゃないですかー。
     何で私が怒られなきゃいけないんですかー?
     長老会でさっさと訊いてくれば済む話でしょうにー。」
     
    その投げやりな言い草に、ジジイがガッと立ち上がり
    それを左右のメンバーがすかさず押さえる。
     
     
    小太りの紳士が、穏やかに言う。
    「ですがね、グリスくんには税金が使われているんですよ。
     やりたくない? ああ、そうですか、というわけにはいかない。
     出来るだけ、本来の予定に従ってもらうように
     努力しなきゃいけないんですよ。」
     
    その言葉に主も我に返った。
    「あー・・・、そうでしたー・・・。」
     
    「そこで2~3、お伺いしたいんですが
     主、あなたはグリスくんと上手くいっていましたか?」
    「えー・・・? まあ、そこそこー・・・?」
     
    主の答にジジイが ウソつけ! とつぶやき
    主がカチンときて、グワッと椅子から立ち上がったところを
    リリーとメンバーのひとりが押さえた。
     
    「グリスくんから連絡はありますか?」
    「アドレスー・・・、教えていませんー。」
     
    「何じゃと? 何故教えない?」
    ジジイの怒声に、主がしどろもどろに言い訳をする。
    「だって訊かれなかったですもんー。
     そんなん、他の人からも訊ける事だしー
     私のPCや携帯は仕事用だからー
     私に連絡を取る方法なんて、いくらでもあるしー
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
     
     
    皆の視線が集中した主は、黙り込んだ後に叫んだ。
    「すいませーんーーー、ほんっと、すいませんーーーーー。」
     
    頭をテーブルに押し付けて詫びる主に
    ようやく溜飲が下がったジジイが、穏やかに語りかけた。
    「正直言って、あんたはグリスが苦手なんじゃろ?」
     
    その図星に、主は観念した。
    「その通りですー。
     あの子の、“お慕い申し上げビーム” が
     ほんっと、うっとうしかったんで、いなくてホッとしてましたー。」
     
    その正直すぎる言葉に、今度はメンバーたちに火がついた。
    「あの子を連れてきたのは、あなたでしょうが!」
    「子供が母を慕う気持ちをうっとうしいとは何事です!」
    「あんな良い子を・・・。」
    「そうですよ、良すぎるぐらい良い子なのに・・・。」
    「きみには母性というものがないのかね?」
     
     
    さすがに己の非を認めて、小さくなって言われ放題されている主。
    助け舟を出したのは、意外にもリオンだった。
     
    「皆さん、もう、そのぐらいで良いでしょーう。
     主も反省しているようでーすし、珍しーく (笑)」
     
    この、かっこ笑いとじかっこ が癇に障って
    止めに入ってくれたリオンに素直に感謝できない主。
     
    メンバーたちは、まだまだ言い足りなかったが
    立派な大人なので怒りをどうにか静めて、話し合いの体勢を立て直した。
    「それで、どうするのかね?」
     
    主は、簡単に言った。
    「要するに、グリスを連れ戻せば良いんですよねー?」
    「「「 そんなにたやすく出来るのかね! 」」」
     
    いぶかしがるメンバーに、主は先程の反省していた態度もどこへやら
    不適な笑みを浮かべた。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 12 11.12.1 
           かげふみ 14 11.12.7 
     
           かげふみ 1 11.10.27 
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  • 強酸性ミネラルイオン水

    今、化粧水は使っていないんだ。
    一時は、型通りのお手入れ法から、足を洗えずに顔も洗わんと
    未練がましく、オーガニックコスメの
    “フラワーウォーター” なるものを使っていたけど
    これ、ほんと “水” なんだよね。
     
    そこいらの雑草の汁でさえ、ベタベタしたりするのに
    ちょっと匂いの良い、とことんな水!
     
    そういうのに何千円も出して、ものすごくモヤモヤするけど
    「肌に水分、大事じゃん!」 という
    化粧品メーカーの洗脳は中々取れず。
     
     
    そういう時に、これを貰った。
     
    (株) Evah の “Evah Water”
     
     
     
    250ml 1260円 だと書いてある。
     
     
    水だと、えらい高いけど、化粧水だと安いよな。
    しかもフラワーウォーターの何分の1だよな。
    と、顔にシュッシュして、スクワランを塗ったくっていた。
     
    だけど、このレポを書くために
    改めてパッケージを見たら
    値段表記の下に、“外用洗浄水” と書いてある。
     
    ・・・・・・・・・・えっ?
     
    化粧水だと聞いたんで、何の疑いもなく
    顔に吹きかけていたんだけど、洗浄水・・・?
     
    ものすごくショックを受けて、慌てて調べたけど
    メーカーのサイト、わかりづれーーーーーっ。
    漠然とした万能感は程々にして、具体例を提示してくれよー。
     
    んで、結論は肌に使っても良いけど、殺菌に良いんだと。
     
    えええーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!!
     
     
    “主に” 清掃に使うものかあ・・・。
    はあ・・・・・、ものすごい脱力感・・・。
    私、ものすごい鉄板肌だぜ・・・。
     
    ま、脂っぽい時とか、ニキビが出来た時
    それこそ水洗いの後の、仕上げ流し等には良いんじゃないかな。
    私、これを数ヶ月化粧水代わりに使ってて、異常はなかったし。
     
    何より、肌に何の変化もなかったんで
    化粧水は、やっぱり必要ない、という証明になったよ。
     
     
    ちなみに、ここ数ヶ月のお手入れ法。

    1.水で洗い流すのみ。 洗剤なし。
    2.たまに、この “洗浄水” を吹きかける
    3.スクワランオイルを1滴伸ばした手の平を顔に当てる
    4.気が向けば、オーガニックのクリーム
      出掛ける前は、シアバターかホホバオイル
     
    夜のクレンジング後や風呂上り後も、こんなもんだ。
    家にこもっていた時には、夜のお手入れはなし。
     
     
    この、明らかに手抜きしているお手入れ法だけど
    これが肌状態を、とても良くしてくれている。
     
    これが現実なんだけど、ガッツリ美容も楽しいよな。
    だけどうちの諭吉は少子化なんで
    簡単美容で済むのなら、あえての婿出しはさせられねえよ。
     
     
    にしても、洗浄水かあ・・・。
     
     
    ここにアフィリを張る予定だったけど
    アマゾンが拒否りやがってよー。
    お陰でアフィリ長者になる野望が遠のいたぜ。
     
    フザけたレビューばかり書いてたんで、切られたか?
    それとも、よくあるkonozamaか?

    ごめん、 アフィリが張れなかったのは
    一時的な不具合だったらしい。
    アマゾン、言論統制の冤罪かけてごめん。
    皆にも心配かけて、ごめん。

    悪いのは、判断が付かない私の無知さと
    不具合を起こしたジュゲムかアマゾンのどっちかだ。
    全体的にグダグダなのが露呈?

  • かげふみ 12

    「次期様は大学に編入なさるそうですよ。」
    執務室のデスクで書類を読む主に、リリーが事務的に報告した。
     
    「ああ、そうですか-。」
    主の返事は、そっけないものだった。
     
     
    グリスは最初の頃は、年相応に街の学校に通ったが
    同級生の幼さに失望して、早々に飛び級を重ねていた。
    街の学校には車で通っていたけれど
    遠い首都の大学では、寮に入る事になる。
     
    「外国って凄いですよねー。
     学年飛び越し制度なんて、日本にはないですよー。」
    主のグリスに関係ない感想に、リリーが冷たく切り捨てる。
    「何度も申しておりますが、ここでは日本が “外国” ですけどね。」
     
     
    大学でのグリスは、年上のクラスメートを持ち
    ようやく勉強のレベルにも納得できる生活を送っていた。
     
    年齢的には子供だったが、急激に伸びた身長と
    しっかりした性格がにじみ出る顔つきで、大人びていたので
    皿洗いで入ったカフェのバイトも、接客を任せられるようになった。
     
    館を出ての1年間は、主に会えない辛さにベッドの中で毎晩泣いた。
    そんな寂しさも、勉強にバイトにと打ち込む内にどんどん薄れてきた。
     
    だけどそんな忙しい日々の中でも
    主を思い出しては、孤独にたまらなくなる時があり
    たまに沈み込んでしまう。
     
    その憂えた様子と端整な顔立ちで
    グリスは女の子たちに人気があった。
     
     
    付き合ってくれ、と自分より年上の女の子がくる。
    その瞳を見る度に、主と比べてしまう自分が情けなかった。
     
    主様はこんな媚びた目はなさらなかった。
    あのお方は、いつも頭上からヘビのような冷たい目で見下ろし
    ぼくの存在などないかのように、そっけない態度でいらした。
    ぼくは、そんな主様を見つめているだけで幸せだったのに・・・。
     
     
    そんな未練タラタラの自分が腹立たしい半面
    その気持ちを大事にせずにはいられない。
     
    主様はぼくのこんな気持ちを、きっと鼻でお笑いになるだろうな
    そういうお人だ。
    あのお方にもローズさんという存在がいるのに。
     
     
    告白を断る度に、こんな考えをしてしまい
    落ち込み、その夜はまたベッドの中で泣くのだ。
     
    そんなグリスの心情を知らず、クラスメートがからかった。
    「おい、グリス、モテるのに何故恋人を作らない?
     おまえ、やっぱりまだまだガキだな。」
      
    そんな挑発にも乗らず、グリスは目を伏せて答えた。
    「忘れられない女性がいるんだ・・・。」
     
     
    その言葉は、瞬く間に女生徒たちに駆け巡り
    悲恋っぽいその様子に、歓喜すら沸き起こり
    グリスの評判は逆に上がった。
     
    若い女の子なんて、魔物のようなものである。
    その不可解な反応に、グリスは動揺させられ
    益々主の事が恋しくなる、という悪循環。
     
     
    グリスが若い女の子に翻弄させられながらも、学業にいそしんでいた頃
    長老会会議では、ジジイが主に詰め寄っていた。
     
    「グリスがもう3年も帰ってこん!」
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 11 11.11.29 
           かげふみ 13 11.12.5 
           
           かげふみ 1 11.10.27 
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  • アフィリのお礼 2

    以前にアフィリのお礼の記事 (リンクは下に) を言ったら
    「オフィリのお礼を言う人なんて初めて見た」
    と言われたので、アホな事をやらかしたかな
    と、ちょっと己を恥じたんだけど
    それは褒められたんだと信じて、また言うよ。
     
    ありがとう
     
     
    このブログに貼られるアフィリは、ほとんどが
    自分で使ったものじゃない、妙な商品の紹介ばかりで
    (業者の人にとても失礼)
    皆に楽しんでもらおうとしているんで
    私の貼る商品を買う人なんて、いないと思うんだ。
    (買った人にとても失礼)
     
    つまり私に入るアフィリ代は、わざわざ私のところから
    アマゾンに入って、商品を検索し直して買ってる!
     
    自分には何の違いもないのに、そんな手間を掛けてくれる人に
    お礼を言わなかったら、私は生きてる資格がない。
     
     
    私のブログ記事で、月に平均1000円前後のアフィリ収入がある事自体が
    ミラクルという名の奇跡 (直訳する意味がわからんだろうが) で
    それに対して、私には感謝してもしきれないんだ。
    何かヘンな宗教の人みたいな事を言うとる自分が気色悪いけど
    これが本心なんだから、しょうがねえだろ。
     
    まあ、待っとけ。
    月に数万の稼ぎが入るようになったら
    人格が変わって手の平返して、えらい威張り始めて
    エセセレブのような態度を取るから。
     
     
    今回買ったのは、コタツ布団。
    写真がないのは、ボロコタツを見せたくないからだ。
    生地のドアップだと、わけわからんだろ?
     
    いやな、不二家の千歳飴を買ったんだよ。
    こういう旬ものは、見かけたら買うようにしてるんだ。
     
    んで、当然それを食うわけだが
    私は大人なんで、甘いものの大量食いはしないんだ。
    子供って、甘いものばっかり一日中食ってねえ? えっ? 偏見?
     
    だから、ペコちゃん千歳飴も容赦なくカチ割って食うんだけど
    いつもコタツのカドに叩きつけて割ってて
    時々包装が衝撃で破れて、部屋中に千歳飴のカケラが舞い散ったりして
    割に危険な行為ではあったけど、まさかコタツのフチが割れるとは・・・。
     
    ペコちゃん千歳飴、どんだけ硬くなったんだよ? と
    つい不二家を呪いかけたけど
    うちのコタツ、10年前に数千円で買った安物で
    最近グラグラして安定感がないし、フチの材質も劣化したんかも。
     
    とりあえず、ひと夏の思い出のカケラを拾い集めるかのように
    コタツのフチの破片を探して、大体全部見つかったんで
    それを最初に手に掴んだ接着剤でくっつけたら、それが木工用ボンドで
    不器用な私には、何回も位置ずらしを出来たのは良いけど
    接着剤を山盛りし過ぎたのか、何日経ってもベタベタして
    それがテーブル上にまで広がり始めて
    何故私は、適所に適材を選ばなかったのか
    何をイライラしとんのか、もしくはボーッとしとんのか
    己を激しく問い詰めつつ、広がったベタつきを爪楊枝でチマチマ削り落とし
    その上に更に瞬間接着剤を盛る、という愚行を重ねたのである長いわ!
     
     
    まあ、要するにタダでさえチャチなコタツが
    経年劣化と私のバカな行いで、ちょっと人様に見られたくないレベルで
    ボロボロになっている、という事を伝えたかったわけで
    これを書いている今、たった今!
    もしかして、コタツ + コタツ布団 のセットを買うべきだったか?
    と思い付いて、ちょっと愕然としたけど
    いや、それは無理だな。
     
    何故ならば、旧コタツ布団も10年前に買った安物で
    最初はクリーニングに出していたんだけど
    何年も使う内に、毛玉だけならともかくも
    喫煙時代の火の不始末跡や、糸のホツレを不器用に縫い
    裁縫が苦手なので、しまいにゃ ”布の接着剤” とかで補修している
    そんな布団は人様に見られたくないので
    風呂場で手洗い、いや足踏み洗いをしたら
    水を含んだ綿の重さに、物干しまでの運搬が困難で
    何とか洗濯機にブリ込み脱水し、綿チラ見えので
    何年もコタツ布団の買い替えを検討してたんだよ長いわ!
     
     
    コタツ布団ってさ、安いのを探してたら
    無地で明るい色って、まずないんだよー。
    どれも、なくて良い、いや、ない方が良い妙な柄がついているんだ。
     
    暗い色は、部屋が陰気臭くなるんで使いたくない。
    んで、私の寒いと思う時期と、世にコタツ布団が出回る時期がズレてて
    冬の終わりの安売りは、より一層ヘンな模様のしかないし
    と、グチグチ言ってたら、友人が 「ネットで探せば良いじゃない。」
     
    !!!!!!!!!!!!!!
     
    ああ・・・、思い出した、この感じ・・・。
    以前にもこういう事があったよな、何を探してた時だっけ?
    ものすごいデジャブなのに、肝心の内容がさっぱり思い出せない不思議。
     
    で、ネットでコタツ布団を買うわけだけど
    コタツセットのまでのポイントは持ってないんだ。
    よって来年は冬前にポイントを貯めておいてコタツを買おう!
    だからコタツ布団だけ買った私は間違ってはない! 大丈夫!!
     
     
    で、来たのがこのコタツ布団。
     
    はい、脳内で念写するんだ。
    ベージュで薄くて、いかにも毛玉が即出現しそうな毛布状生地だ。
     
     ここに写真があると思え。 ミンティアが左下に小さく写ってるぞ。
     
     
    何で薄いのか、っちゅうと
    コタツ布団、邪魔じゃねえ?
     
    私、ババアなんでボロボロ食いこぼすから
    しつけが悪いわけじゃなく、ババアのたしなみとして食いこぼすから
    コタツ布団の汚れ防止に、ビニールカバーをかけるんだよ。
    それがあるんで、布団自体は薄くて良いと判断したんだ。
     
    ビニールカバーだけでやってみたけど
    やっぱり布団があるとないとでは、暖かさに歴然の差があるんだよー。
     
     
    で、早速使ってみたけど、薄くても布団があるのとないのじゃ大違い!
    いや、ごめん、当たり前だよな。
    なくて良いなら、“こたつ布団” というアイテムは生まれてないだろうしな。
     
    とにかく、普通に温かい。
    これで今年の冬も、人並の暖を取れる。
     
     
    これもひとえに、アフィリの協力をしてくれる皆のお陰だよ。
    本当に本当に、ありがとうーーー!!!
     
     
    関連記事: アフィリエイト 10.11.29 
          アフィリのお礼 11.8.2 
     
     
     

    評価:

    ナイスデイ


    ¥ 4,100

    (2011-09-30)

    コメント:これこれ、これだ、買ったのは。 でも値段が違うような・・・? 確かに邪魔にならないし、薄いんで収納場所も取らなくて助かる。 温かさは、ビニールカバーとかアルミの中掛け等のサブアイテムでどうにかせえ。 うん、正直、角部分は生地が薄くて寒い。 真ん中に座っとけ。

  • かげふみ 11

    グリスはひどく落ち込んでいた。
    主の心には、決して消せない人物が住み着いている。
     
    冷静に考えれば、そんな関係のヤツなど
    誰にも、ひとりふたりはいるわけだが
    それすらも容認できない自分の心の未熟さも腹立たしい。
     
    主とローズの母娘のような愛が
    何故、自分のところにも降り注がれないのか。
     
    いや、ぼくが欲しいのは、そういうのじゃないんだ
    その事にも気付かされ
    グリスは、自分が穢れた人間のような気分に陥っていた。
     
     
    表面上は普通に振舞い、ジジイの授業もあれから何度かあったが
    グリスは葛藤を誰にも言えずにいた。
    そんなグリスの心理を、ジジイは見抜いていた。
     
    「のお、グリスや。
     学校に通って、同年代と遊んでみてはどうかね?
     ここに閉じこもっているのは
     おまえの年では、あまり良くない事だと思うんじゃが。」
     
    ジジイのこの言葉は、決して責任逃れではない。
    グリスの心には、主との世界しかない。
    それがグリスを追い詰めている。
    もっと広い世界を見せねば、純粋にそう案じての提案だった。
     
     
    グリスはジジイのこの提案に、一筋の光を見た想いだった。
    ぼくが生きる場所は、ここだけじゃないんだ
    他の世界へも行ける!
     
    ・・・だけど、そうすると主様からは離れる事になる・・・
     
    グリスの悩みは、そこへと移り変わっていった。
    何日も何日も、その事で頭が一杯だった。
    主の元へも通う事が出来なくなっていた。
     
    主はリリーから、ジジイの話を聞いていた。
    ほお、最近姿を見せないと思ったら、そういう事かあ
    でもローズの事が、何がそんなにショックなんやら
    主もリリーと同様の感想を持った。
     
     
    そんなある日、グリスは主とバッタリ鉢合わせた。
    道場での運動の帰り道に、牧場を視察に行く主と遭遇したのである。
     
    「しばらく顔を見せませんでしたねー。
     元気でやっていますかー?」
     
    グリスの状態は、ジジイから聞いて知っているはずなのに
    事もなげに 「元気か?」 などとシレッと言う主に、腹が立って
    グリスはつい、試すような事を口走ってしまった。
     
    「ぼく、学校に通ってみようかと思うんですが
     主様はどうお思いになりますか?」
     
    主はその言葉が嬉しいかのように、笑って言った。
    「それは良い事だと思いますよー。」
     
    その言葉にガックリときて、立ち去ろうとしたグリスに主は言った。
    「ちょっと一緒に来てくださいー。」
    そして、周囲の人々にその場で待つように告げた。
     
     
    主はグリスをうながして、ゆっくりと歩き始めた。
    遠くに見える厩舎や家畜小屋、茂る畑。
    鳥が鳴きながら、滑空していく。
    少し乾いた風が、気持ちの良い季節である。
     
    眩しそうに空を見上げ、立ち止まる。
    そして振り向いた主の瞳には、館が映っていた。
     
     
    「この館は今でこそ、こんなマトモな姿ですー。
     でも、ここは決して “正しい場所” ではないんですよー。
     あなたは幼い頃からここにいるー。
     それが私にはとても心配なんですー。」
     
    自分に見とれるグリスの方を見もせずに、主は言った。
    「グリス、外の “普通の世界” を見に行きなさいー。
     色んな事を知った上で、自分の歩むべき道を選んでくださいねー。」
     
    主のこの言葉はジジイと同じく、正に “親心” だった。
    だけどその気持ちも、混乱しているグリスには届かなかった。
    主の目には、館しか映っていなかったからだ。
     
     
    ここを継ぐために連れてこられたのに
    何故今になって、他の世界を見ろとおっしゃるんだろう?
    ぼくは “いらない” と判断されたのか?
     
     
    グリスはこの数ヵ月後に、街の小学校へ通う事を決心した。
     
     
     続く 
     
     
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