• 偏屈

    世の大人たちの言う事って決まってるよな。
     
    TVが出来れば 「TVなんて観てたらバカになる」
    マンガが出れば 「マンガなんて読んでたら以下同文」
    ゲームが出れば 「ゲームなんて以下同文」
     
     
    ところが昭和初期とかの文豪たちも言われてたんだぜ。
    「小説なんか書いてても何にもならん」
    「本ばかり読んでたら、ひ弱い子になる」
     
    それが今や、TVが情報源で
    「本を読まないとバカになる」 だもんな。
     
     
    うちの故かあちゃんは事もあろうに、ネットなんかしてると
    「悪い人に騙されて東南アジアに売られるんですってよ。」 と心配しおった。
    ネット = 出会い系 とでも
    もんた (みの) あたりの番組が誤解させたのであろう。
     
    おいおい、もう若くない (とても控えめな表現で)
    バツ1の私には、売り値は付かないぞ
    と言いたかったけど、親にとって子はいつまでも子供だろうから
    うんわかった気をつけるあまりしないよ 等
    なるべく安心させるように、表面的に応えておいた。
     
    まあ、臓器の売買なら可能性もあるしな。
    ・・・とか言うと、私の思考傾向も含めて色んな意味で
    四方八方から余計に心配させるので、言わなかったのは親孝行。
     
    親が子を案じるのは当たり前で
    しかも自分の知らない世界だと
    より一層、警戒するのはわかるので
    もう、親だけは例外として考えているよ。
     
     
    さて、世はネットが当たり前の世界。
    私の年代は、TVゲームでさえバカ扱いなんで
    パソコンをしている人は、あまりいない。
     
    ここで不思議なのがな、パソコンを持ってる年寄りは結構いるんだよ。
    それで何をしてるんだろう? というと
    メールのやり取り、しかも最初の頃だけ。
     
    で、後は放置。
    年賀状作成ですら、息子娘に代行させるみたいだ。
    パソコンをやって、”ネット” まで行き着かないのが
    私には不思議でしょうがないんだが・・・。
     
    辞書とかレシピとかも、”検索” がハードル、いや
    棒高跳びのバーぐらいの敷居の高さらしい。
    もう、どういう例えをしたいのやら。
     
     
    あ、お約束は忘れないぞ。
    「全員そういう年寄りばかりじゃなく
     ここでは私の見聞きした半径52mぐらいの
     ミクロの世界の出来事を語っているので
     あなたの世界とは別世界かも知れないし
     もしかしたら私の幻覚幻聴かも知れないんで
     どうかひとつ何とぞ、ご了承を。」
    イヤミが過ぎる注意書きか? ほほほ
     
     
    私がネットをやってる事をリアルで言わないのは、ここにある。
    ネットをやってるヤツは、しない人からは
    “バカ” どころではなく、驚く事に不審者扱いレベルだからだ。
    私の年代を含めたそれ以上の年齢の人には。
     
     
    歳を取ってくると、世の中の流れに付いて行きにくくなる。
    実際に私も、携帯電話に関しては割に諦めてはいる。
     
    文字がな、見にくいんだよ。
    文字を大きくするとな、画面が見にくいんだよ。
     
    だけどこういう言い訳は、私自身が好まないんだ。
    よって、次の機種変更でスマートフォンにしようか悩んでいた。
    自分に死角を作りたくない! とか。
     
    これは、もう皆に答をもらったから解決したぞ。
    皆、ありがとうーーー!
    関連記事は下にリンクしたから。
     
     
    と、このぐらい頑張らないと、時代遅れになるのが年寄り。
    時代について行くのが、古き良き伝統を捨てる事にはならない。
    問題は、過去と現在の両立であって
    どちらかひとつしか持てないわけじゃない。
     
    だけどな、新しいものは良いんだよ・・・。
    伝統的なものも、良いんだけど
    やっぱり古いものは実用的ではないんだ。
     
    そういう、発展の恩恵も受けたいし
    何といっても、“社会のお荷物” になりたくないので
    出来る限り、自分で家電ぐらいは使いこなしておかないと。
    と言いつつ、パソコンはいつまで経っても素人なんだが。
     
     
    こういう、“人に迷惑をかけない” どころか
    年寄りは、“人の足を引っ張る” 事を、たまにする。
    それも善意で。 多分。
     
    「本ばかり読んでたら軟弱になる」
    「TVを観るとバカになる」
    「マンガを読むとバカになる」
    「ゲームをするとゲーム脳になる」
     
    ときて、今は 「ネットをする人は悪い人」。
     
    私は最近、これを言われたよ。
    原発関係のニュースは、外国のサイトの方が
    詳しく載せているみたいですよ、と言ったらこれを言われた。
     
    「ネットなんかしてたら、ひどい目に遭いますよ」 と。
     
     
    ・・・・・・・・・・・・・・・よく考えると
    確かに、実際にひどい目にも遭ってるよな、私。
    死ねと言われたり、うぜえと言われたり、アホ扱いされたり。
    それも自分が好き放題言ってるから、自業自得だよな、あはは。
     
    と、間の悪い笑えん軽口は程々にして
    何だかそれ以来、その人の言う事を軽視しちゃうんだ。
    言いたい事はわからんでもないし
    心配してくれたんだろうけど
     
    やっぱ年寄りはダメだな
     
    と思う気持ちが私の中にある。
    だから自分はそうはなりたくない、と余計にあがいてしまう。
     
     
    そんな私にな、知性批判をしやがるヤツがいるんだよ。
    「頭が良いだけじゃつまらん」 と。
     
    私は上品な淑女だから、それはそれは頭も良いように見えるだろうけど
    出会い頭に、これを言われた時には驚いたよ。
    まだ、ひとことしか発してなかったのに。
    しかも、それは私が質問をしたという状況なのに。
     
    こういう発言は、無意識のバカカミングアウトだとわかってないんだろうか?
    こっちはそれこそ、“病弱” という大きな欠点を持っているんで
    得意不得意は人それぞれ、と嫌いな “人それぞれ” を組み込んで
    共存していこうとしているのに
    すべてが私以上じゃないと、気にくわないヤツがいるみたいだ。
     
    まあ、えっらい嫌われたもんだな、と
    ものすごく落ち込ませてもらったけど
    やっぱり天才は、隠してもにじみ出てしまうんだろうか?
     
    でも、私は頭が良い “だけ” じゃないのに・・・
    運動神経も良い、スーパーウーマンなのに・・・
    しかも無敵のナイスバディーなのに・・・。
     
     
    正直、最近はリアルで話すより
    ここで話してる方が、ずっと楽しいし勉強になるんだ。
     
    リアルで深い意見交換なんて、滅多に出来ないから
    もう、引きこもりたい気分だよ。
    ここの皆、一体どこに隠れてるんだよ?
     
     
    何でもかんでも、目新しいものには
    とりあえず拒否反応を示して、批判をする。
    そんな大人を、私は軽蔑する。
     
     
    関連記事: 携帯の機種変更 11.10.11 
          老害 11.11.24 
     
     
     

    評価:

    任天堂


    ¥ 14,200

    (2011-02-26)

    コメント:正直3Dは老眼に迷惑。 が、従来のDSと互換性がないんで、しょうがねえ。 おめえらが本体を買ってくれないと、ソフトが増えないんだよー。 任天堂、また調子こいたバージョンアップをやらかしちゃったよー。 ディスクシステムや64で懲りてくれよー。(私もな)

  • かげふみ 10

    駐車場にリオンの車が停まっているのを見ると
    グリスは必ず主の寝室に行き、リオンに挨拶をするようにした。
     
    リオンはいつもゲームを中断させて、グリスと会話をした。
    ニコニコしながら語るリオンの会話の内容は
    主に負けず劣らず、ドス黒いものだったが
    グリスは一生懸命に聞いていた。
     
     
    それはリオンが主の唯一の、“友達” とも呼べる存在だったからである。
    跡継ぎの自分にさえ丁寧語を使う主が、リオンにはひどい言葉遣いで喋る。
     
    特にゲーム中の罵倒は凄かった。
    その怒鳴り合いが、えらく仲が良いものに見えて
    グリスには耐えられず、主が心配するのとは逆にゲーム嫌いになった。
     
    でも主様の好きなお方の傾向を学ぶ必要がある。
    避けるのは簡単だけど、それじゃ進展しない。
    何よりも、ぼくがリオンさんと仲良くするのを
    主様は望んでいらっしゃるのだし。
     
    そう決心したから、主が来ていない内にリオンへの挨拶を済ませ
    主とリオンがふたりでいる場面を避けていたのである。
     
     
    同じく主と仲が良いと思われるジジイには、この心理は働かなかった。
    それどころか、ジジイには主に相談できない事もできた。
     
    グリスには、この自分の心のムラが不思議だったが
    ジジイからしたら、当然の事である。
     
    主はわしの娘みたいなもんじゃ。
    そしてグリスは孫。
    放置気味の娘の子を、祖父が面倒をみているのと同じじゃな。
     
    ジジイは自分の役割りを最初から完全に把握していた。
    グリスには自分を “おじいさま” と呼ばせた。
     
    あの大雑把な主には、周囲のこんな繊細なフォローが大事なんじゃ。
    そういう事に気が回るわしはさすがじゃのお。
    ジジイはひとりで悦に入って、グリスを猫可愛りした。
     
     
    ある日ジジイが何気なく発した事から始まった。
    「主も昔はもっと明るかったんじゃがの。」
     
    このひとことに、グリスが引っ掛かった。
    「何かあったんですか?」
     
    ジジイは一瞬、しまった と思ったが
    自分の武勇伝も語りつくしたし、館の歴史もあらかた教えたし
    この館の現在に至るまでの経緯で、やはりローズの話は外せない。
     
     
    そこで主とローズとの出来事を、出来るだけ客観的に伝えた。
    ジジイにしては、余計な誇張もせずに淡々と正確に話せたのだが
    それを聞いたグリスの心は衝撃にみまわれた。
     
    あの主様にそんな大事な人がいたなんて・・・。
     
    そのショックの大きさは、ジジイにも伝わるほどで
    大丈夫か? の言葉も届いていない有り様である。
     
     
    おじいさま、すみませんが、今日はもう休みたいので
    やっとの事でそう言うと、グリスはヨロヨロと寝室に入っていってしまった。
     
    ジジイは、時期尚早だったか、と後悔したけど時既に遅し。
    慌てて事務部に行って、リリーの姿を探す。
     
    こんな事を主に言っても、それがどうした? で終わってしまうじゃろう
    と言うか、問題視されたら、しばかれかねない。
    リリーちゃんにグリスの様子に注意しておくように言わなければ。
     
     
    リリーは総務部にいた。
    「ちょ、ちょ、リリーちゃん、ちょっと・・・。」
    ドアの陰からコソコソ呼ぶジジイを見て
    また主様と何かあったのかしら? と、ウンザリした顔で側に行くリリー。
     
    ところがジジイの話を聞いても、ピンとこない。
    「館の歴史を教えるという事は、その事も当然言わなくてはならないでしょう。
     何が問題なんでしょうか?」
     
    この言葉を聞いて、現実的すぎる女はいかん! と悟ったジジイは
    とにかくグリスの様子に注意するように、と言い残して
    グリス護衛のタリスのところに走った。
     
     
    タリスはジジイの話を聞いて、青ざめた。
    おお、やっと話がわかるヤツがおったわい、と安心するのもつかの間
    タリスはつい、非難めいた言葉を洩らしてしまった。
     
    「あんなに主様をお慕いしているグリス様に
     何故そのような話を・・・。」
     
    その当然の責め言葉に、ジジイはつい自己正当化をしてしまう。
    「わしはわしの教えるべき事を教えただけじゃ。
     あんたは軍人じゃろう?
     何かね、この国の軍は上の立場の者を非難するのを良しとしとるのか?」
     
    その言葉にグウの音も出ないタリス。
    「申し訳ありません・・・。」
    と、頭を下げるしかなかった。
     
     
    「とにかく、そういう事情じゃから
     グリスの様子には、くれぐれも注意するように。」
    それだけ言い残して、敬礼をするタリスに背を向けて立ち去った。
     
    わしも酷い人間じゃのお・・・
    心の底では、自分の態度をなじりつつ。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 9 11.11.22 
           かげふみ 11 11.11.29
           
           かげふみ 1 11.10.27 
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           小説・目次 

  • 老害

    スカトロは嫌いなんで言いたくはないが
    正に、「天に向かってツバする」 という
    ことわざが当てはまるタイトルだよな。
     
    とか本当に自分で思ってるわけないだろ! 謙遜だぞ謙遜。
    私は善良で心優しい貴婦人なのだから。
     
     
    マンションのホールで、老婦人と出くわしたので
    「こんにちは」 と、笑顔で挨拶をした。
    そしたら、意外な展開になった。
     
    「あなた、どなた?」
    「何故、私に声をかけるの?」
    「何階? 何号室?」
     
     
    えーと、これはどうした事かな? と動揺しつつも
    「同じ住人として、ご挨拶を・・・」
    と、誠実に答えたら、やっと老婦人は事情を話してくれた。
     
    昔、隣の部屋に入ろうとしてた人に挨拶をしたら
    そいつが空き巣だったと。
    それ以来、挨拶をしてくる人は泥棒だと思う、と。
    「それはすみませんでした。」 と、詫びておいた。
     
     
    素直で純粋な私は、決して考えが遅い鈍いではない私は
    へえー、そういう考え方もあるんかー、と
    興味深く聞いていたんだけど
    24時間以上経って今、ようやく何か違う! と腹が立ってきた。
     
    ちょお、待て!
    だったら、おめえは挨拶をしてきた人々に
    あのように犯罪者を見るような目で尋問をするのか?
    挨拶をする人 = 犯罪者 と説いて回るのか?
     
    冗談じゃない!
     
    そもそも、その空き巣に挨拶をしたのは、おめえの方からだろう。
    その空き巣は、2軒3軒と入る予定だったのを
    おめえの挨拶で隣1軒だけにしたのかも知れないんだぞ。
     
    それを 挨拶 = 犯罪者 って、どういう論理の展開だよ?
    まったく、これだからアラエイは・・・。
    (アラウンド80)
     
     
    そこいらの国民の間では、アラサー、アラフォーだが
    私の世界では、アラシク、アラセブ のレベルなんだよ。
    (アラウンド60、アラウンド70)
     
    もう、こいつら世代が、物知らずのくせに
    人に教えを請おうとせずに、無知な自分でコトを動かしたがる。
    ほんと老害だよ!
     
    以前の記事 (NTT光の営業 2010.4.7) のコメント欄で
    「めんどくさいとかわからんなどとぬかす情弱に対して
     救いの手を差し伸べている ってことに気付け馬鹿」
    という意見が載ってて、その意見は私の記事の内容とズレてたので
    “私” についての言い分を返事したのだけど
    この意見をくれた人は、正しい事も言っているとわかったよ。
     
    ツイッターでこの話は書いたけど
    携帯からは私のツイッターは読めないんだって。
    (ashural でツイッターをやってるよー)
     
    だからツイッターと重複する話をするけど
    その後さ、何かの回線事業者?の勧誘の人と出くわして
    勧誘を受けたんで、話したら
    「いやあ、このマンションでそんなにお詳しい人は初めてですよ。」
    と言われたんだよ。
     
    私は別に何も詳しくないんだよ。
    携帯やネットの回線関係とかの興味のない事は、私も情報弱者なんだ。
    だけど度重なるNTTの、「入っているサービスに入れ」
    という、わけわからん攻撃に、そこらはやむなく勉強させられたんだよ。
    と言っても、専サポの言う事を丸覚えしただけだがな。
     
    自分が知らない事は詳しい人に丸投げ、が
    結局は社会のためになる事が多いんだ、私の場合。
     
     
    で、そこで、上の情弱うんぬんのコメントを思いだして
    プログラムを見せてもらったんだな。
    そしたら、何か見事にロクでもねえ番組の構成でさ。
     
    詳しく言うと、敵が増えそうだけど言うぞ。
    ローカル局が放送しないキー局の番組を
    丸々受信する価値があるんかよ?
     
    てか、あなたFOXTVだけでも何チャンネルあるか知ってます?
    と訊いたら、知らないって言うんだよ。
     
    いや、私もFOXTVが何チャンネルあるかは知らないけど
    「え? TV朝日もTBSも必要ないんですか?」
    と、FOX1チャンネルだけの回線の勧誘で言われたら
    そりゃあ、受けて立つよ!
     
    「え? はんりゅう (うちのパソコンでは変換しない) も
     観ないんですか?」
    と、変わり者でも見るように言われたら
    この番組編成は誰がやってるのか、その人は何歳なのか逆に問うだろ。
     
    見せてもらったその番組表は、70代に向けてだと思われる編成だった。
    なるほど・・・、と謎が解けたよ。
     
     
    情報弱者は60~70代。
    時代の流れについていけないくせに、人の言う事を聞かずに
    何でも自分が決めないと、ムゲにされた! と怒り出す世代。
    しかも、タチが悪い事に平均的に他の世代よりお金持ち。
     
    あああ、ガンはこいつらか!
    こいつらのせいで、訪販や電話勧誘が後を絶たないわけだ。
     
     
    年寄りの敵は年寄りだなあ・・・と、シミジミ。
    すまん、しばらく機嫌が悪い。
    (そういう態度も立派な老害)
     
     
    関連記事: 挨拶 11.2.10
          偏屈 11.11.28
      
     
     

    評価:

    コメント:3990円 ブラック、ベージュ ピンク あり。 いやあ、最近こういうポケットの多いベストを買ってさ。 これ、アウターの下に着ると手ぶらで歩けて、とても良いんだよー。 着ぶくれもしない。 背中に隠しポケットもあって旅行にも良いと思う。 本気でお勧め。

  • かげふみ 9

    「おお! 次期主のお出ましでーすかあ。」
    主の後ろからおずおずと顔を出したグリスを、リオンは大歓迎した。
     
    「ようやくお顔を見せてくれまーしたねえ。
     ささ、一緒に遊びましょーう。」
     
    グリスにコントローラーを渡そうとしたリオンを、主が止める。
    「あー、だめだめー。 この子にゲームはさせないからー。」
    「え? 何故でーすかあ?」
     
    リオンの質問に、主がサラッと言う。
    「ゲームなんぞしとるガキは、ロクな大人にならないからー。」
     
    その意見に、意外な事にリオンも同意した。
    「ああー、そうでーすねえ。
     私は地位とお金と自制心があるから、廃人にはなっていませーんが
     平民には危ない中毒性のある遊びでーすもんねえ。」
     
     
    いつも会議でニコニコしているだけのリオンしか見ていなかったので
    この発言に、激しく驚くグリスに主が言った。
     
    「このドバカも、人前でのこういう発言は一応は控えているんで
     暴言を吐かれる事を、ありがたく受け取るんですよー。
     心を許していないと、本音は言わないものですからねー。」
     
    「グリスくんとは長い付き合いになりまーすでしょーうから
     ムダな腹の探り合いは省きましょーうねえ。」
     
    は、はい、と返事をしたグリスだったが
    人間のロコツな裏表を間近に見て、動揺の色を隠せなかった。
     
    主様といい、リオンさんといい、何というか・・・直球すぎる
    偉い人というのは、皆こんな感じなんだろうか?
     
     
    グリスの混乱を見てとったリオンが言う。
    「グリスくん、育ちの良い人間というのは、こんなもんでーすよ。
     幼い頃から賞賛されているので、人間の善意を疑わないんでーす。
     自分が疑わない事は人も疑わない、と信じ込んでーる。
     自分に悪気はないから、人に悪く取られたりしなーい、とね。
     私ほどではないにしても、主も育ちが良いお嬢さんでーすしね。」
     
    その言葉に主が異論を挟んだ。
    「ちょお待てー。 私は一般家庭の出だぞー?」
    「ふふーん、あなたのその無邪気な残酷さを見れば
     育ちの良さは、すぐわかりまーすねえ。」
     
    即座に答えたリオンを鼻で笑う主。
    「へへーん、この国と比べれば日本人は皆、裕福なんだよー。」
     
    「ああー、そういう事でーしたかあ、なるほーど。
     では、あなたのその性格は、無知な庶民がたまに持つ
     根拠のない全能感というやつでーすねえ?」
     
    「・・・おめえのそういうとこ、ほんっと好きだよー。」
    主とリオンは、見つめ合って笑った。
    恐ろしい光景であるが、グリスの意識は他のところに向いていた。
     
     
    無邪気な残酷さ・・・
     
    グリスは、自分が主を恐れていた理由がわかった気がした。
    何となく感じていたものの形が、くっきりとしてくる。
     
    きっとこのお方は、ぼくが去っても追ってきてはくれない。
     
    実際に主と縁を切るのは、ごく簡単である。
    現に恵まれた祖国を、あっさり捨ててきている。
    恵まれた過去を持つからこそ、未来に執着がないのである。
    そういう無欲さは、時によって人の繋がりにもヒビを入れる。
     
     
    その、たやすい別離の可能性が
    グリスには恐くて恐くてたまらなかった。
     
    この苦悩は彼の人生に度々現われては、影を落としていく事になる。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 8 11.11.18
           かげふみ 10 11.11.25 
           
           かげふみ 1 11.10.27
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  • 贈り物の難しさ

    世の中には贈り物をしょっちゅうされる職業というのがある。
    多くの人に接し、世話をする専門職とかである。
     
    私の知ってる限りでは、会社経営者、企業の重役、お寺の住職
    “先生” と呼ばれる職 (議員、医師、弁護士、一部の教師、塾講師 等)
    地域の名士、有名人、芸能人、文化人 などなど。
     
     
    そういう職の人は、普段からお礼で贈り物をされるけど
    お中元お歳暮にもなると、その量がものすごいのである。
    部屋1室が贈答品で埋まるほどである。
     
    うちは “地域の名士” 系だったが、とうちゃんが酒乱だったので
    地元の人は、「あそこには酒さえ贈っておけば良い」 と
    認識していたようで、とうちゃんも一晩で2升飲むので
    楽勝かと思われただろうけど、・・・酒蔵を増設した・・・。
     
    時々酒屋に極秘裏に引き取ってもらうのだけど
    それでも酒蔵は酒で埋まっていた。
     
     
    遠方の人は、そういう事情を知らないので
    食品類を贈ってくるのだけど
    それだけを食って、数ヶ月は飢えがしのげるレベルである。
     
    甘いものの類が多かったので、それだけを食ってるわけにもいかず
    賞味期限もあるので、“お裾分け” をするのだけど
    「あそこは貰ったものを人にやる恩知らず」 とか
    悪口を言う人も中にはいて、もうどうしたら良いの?
    という状態だったようである。
     
    この悪口、もっともなようだけど
    “人にはそれぞれ事情がある” という “人権” は
    この場合には適用されんのかな。
     
    信用の置ける人に、密かに貰ってもらっていたけど
    田舎だから、どうしても漏れるようで
    うちの親は、悪口を言われるのを諦めたようである。
     
     
    同じデパートから大量にくるのなら、引き取ってもらえるらしいし
    贈答品買い上げ業者というのも存在しているようだけど
    生ものとか、食品の種類によってはそうもいかない。
     
    以前、堺正章 (字がわからず) の元奥さんが、離婚の時に
    「貰い物が多すぎて迷惑」 と言って、えらく叩かれたが
    そんな事を、贈った相手も見聞きする状況で言った事は
    非難されてしかるべきだけど、これ、隠された真実だと思う。
     
    貰い物が多い家は大抵がお金持ちなんで、舌が肥えているんだよ。
    そしてどんなに美味しいものでも、大量だと迷惑。
     
     
    私の母と叔母と、その周囲の知人たちは
    遠方に住んでいる人ばかりだったが、互いに年中、贈り贈られしていて
    「この前のあれ、見栄えは良いけど味がいまひとつだったわよ」
    みたいに、冷静な評価のし合いをしていた。
     
    もちろんこれは、親しい友人間でしか出来ない事だが
    人へのお返しの時のために、練習をしていたようである。
     
    というのも、彼女らは皆、贈り物を沢山貰う家の主婦で
    その迷惑さをも、身をもって実感しているらしく
    「量より質」「値段より気持ち」 を信条にしていたのだ。
     
    この場合の “気持ち” とは、いかに相手の事を考えるか、である。
    老人の家庭に、“○○牛の霜降りステーキ ○kg“ とか
    マンション住まいで近所付き合いがない家庭に “生牡蠣ダンボール1箱”
    など、いくら高価でも相手の状況を考えて贈れ、という話。
     
    ご近所にお裾分けするにしても、それがしょっちゅうなら
    分けて貰う側も、お返しなどで気を遣って負担になるし
    食べきれずに捨てる事になったら、それこそ贈ってくれた人に申し訳ない。
    贈り物は、宅配爆弾になる場合も多いのである。
     
     
    これを読んで、貰う側の感謝の気持ちが感じられないだろうけど
    私が貰ってたわけではないからな。
     
    私はド貧乏なんで、今使っている家具とか人から貰ったものが大半だし
    ボロボロのタンスとカラーボックス、TVラックは
    捨てようとしてた人から貰って、以後10年近く大事に使っている。
    何か、拭いても拭いても汚れが取れねえ。
    うちには、インテリアる余裕はねえ。
     
    それに、食うに困ってるんで、食料品とかとてもありがたい。
    現に私の友人は、安いレトルト食品とかを送ってくれる。
    安いからお返しはいらない、お返しをするならもう送らない、と言って。
    私の事を本当に考えてくれるこの行為こそが
    “思いやり” ではないか?
     
    私はお返しはしていないけど
    彼女が私の助けを必要としたら、何でもするよ。
    犯罪行為でさえ。
     
    そんな彼女が、私に犯罪行為をそそのかすとは思えないから
    断言しているわけで、私はそれだけ彼女を信頼しているんだ。
    私の望む喜びを与えてくれる人だから。
     
     
    この記事は、過剰な贈り物に困っている家もある、という情報である。
    うちのかあちゃんは、「せっかく貰ったものだから」 と
    捨てるのはしのびないんで、私に押し付けていた。
    これは贈った人への感謝の気持ちからだろ。
     
    捨てる役目の私は、迷惑でしかない。
    好みもあるだろうけど、不味いものってあるんだよ。
    んで、どうでも良い、よくある味のは食い飽きる。
     
    そういう “銘菓” の大箱など
    老人ふたりの家庭に贈らないでほしい。
    相手の状況を考えれば、贈り物が多い家だとわかるだろうに
    うちの親を知っているのだから、礼状1通だけでも喜ぶ、とわかるだろうに。
     
    贈り主を知らない私は、そう怒りつつ捨てる。
    ・・・ああ、そうか、贈り主を知ってたら捨てられないんだ・・・。
    だから、かあちゃんは私に押し付けてたんだな。
     
     
    お中元お歳暮なんか、単なる習慣でしかないやり取りになっていて
    経済の活性化以外に、価値を見い出せない。
    経済の活性化は大事だけど、ゴミも増えるんだよな。
     
    何度も言うけど、“ほんの気持ちだけ” というのを
    “とにかく何か物を贈る気持ち” ではなくて
    “高価なものではないけれど
     喜んでもらえるように、あなたの事を考えましたよ” に、してほしい。
     
     
    とうちゃんが死んだ時に、私はかあちゃんに提案した。
    もうお中元お歳暮のお気持ちは辞退いたします、と
    葉書を送ったらどうか? と。
     
    現に、そういう葉書をくれた人もいるんだよ。
    その時のうちの両親の反応が
    「お金に困っているのだろうか?」 という心配だった。
     
    ・・・そこんち、歩くのが年々辛くなるから、と言って
    東京の目黒区の一等地の一軒家! を売って
    確か、同じ目黒区の駅真ん前のマンションに引っ越したんだよ。
    ものすごい大金持ちだっつの!
    そこんちも、過剰な贈り贈られに疲れ果てたんだと思う。
     
    で、この脱落、かあちゃんは拒んだ。
    食うに困っても、止めないわ! と。
     
    兄も私も、やれやれ、と思ったけど
    この贈り物の呪縛、解くのには勇気がいるんだろう。
     
     
    私の意見は、貰い過ぎる家庭を間近に見てきた者の意見。
    贈ってくる人を知っているわけではない。
     
    贈る側としての言い分もあると思う。
    けど、酒乱の父を持ったんで、飲酒を一切しない私の結婚家庭に
    その事情を知っているにも関わらず
    毎年お中元お歳暮にビールを贈り続けた人を、私は好きになれなかった。
     
     
    貰い物に文句を言うなんて、という今までの常識は
    今こそ、くつがえるべきではないのか?
     
    不況にあえぐ日本で、エコエコ言うのなら
    “とにかく何か贈るのが気持ち” じゃなく
    相手に負担をかけずに、必要なものを適量で。
     
    贈り物も、頭を使うべき。
     
     
    関連記事: いらないサプライズ 11.11.15
     
     
     

    評価:

    山本海苔店


    ¥ 3,150

    コメント:海苔だきゃあ、お中元お歳暮用の高級海苔が美味い! それを食べてた時は、スーパーで売ってる海苔が不味くて食えなかったぜ。 今食ってるの? スーパーで売ってるただの海苔じゃないぞ。 大安売りの海苔だぞ! 貧乏暮らしも長くなると味覚も落ちぶれるんだよっ。

  • かげふみ 8

    事務部の仕事は、通常なら夕方5時で終わり土日は休みだが
    主はほぼ毎日執務室か書斎に遅くまでいて、何らかの仕事をしていた。
     
    食事も仕事の合間に不定期にとるので
    一緒に食事をしたい、というグリスの願いはあまり叶えられなかった。
     
    執務室に行けば、ほとんどの場合は主に会えるし
    長老会会議にも、授業がない日なら連れて行ってもらえるので
    それ以上の事を望むのは贅沢というものだ、そうグリスは思っていた。
     
    しかし主の側にいられない日がある。
    それはリオンが来る日である。
     
     
    リオンは週に2~3度は主の寝室に来ていた。
    大抵は土曜か日曜だったが、ひどい時には平日の夜にも来る。
    勝手に来て、勝手に主の寝室で遊んで、勝手に帰って行く事が多いが
    たまに主にメールをしてくる。
     
    リオンからの携帯メールが入ると、主は寝室に戻っていく。
    ふたりで部屋にこもって遊んでいるので
    グリスは遠慮して、その中に入っていけない。
    グリスはリオンを羨ましく思うと同時に、憎んでいた。
     
     
    授業がある日は、夕方からしか主の側に行けない。
    最近の主は、7時には寝室に戻るようになったので
    2~3時間しか一緒にいられないのである。
     
    その日も授業が終わって執務室に行ったのだが
    30分も経たない時に、主の携帯にメールが入った。
     
    「今、佳境らしいしねー。」
    主のつぶやきの意味はわからなかったが、嫌な予感がする。
     
    主は内線のボタンを押して、デイジーに言った。
    「すいませんが、寝室にお茶の用意をお願いしますー。」
     
     
    ああ・・・、やっぱり・・・、と気落ちするグリスに
    机の上を片付けながら、主が言う。
    「今日はこれで仕事を終えますー。」
     
    はい、お疲れ様でした と小声で返事をして
    部屋を出て行こうとしたら、主が意外な事を訊いてきた。
    「あなたはリオンを嫌いなんですかー?」
     
    不意打ちのようなその言葉に、しどろもどろになる。
    「え、い、いえ、そんな事は・・・。」
     
    「別に嫌いでも良いですけどねー
     リオンとは仲良くしといた方が良いですよー。
     彼はああ見えても、次代の長老会の中心になる人物ですから
     そういう事も計算して、味方につけておくべきですよー。
     リオンの方はあなたに好意的ですよー?」
     
     
    グリスは、え? という顔をして訊いた。
    「ぼくも主様のお部屋に行って良いんですか?
     主様のプライベートにお邪魔するのは悪いと思って・・・。」
     
    「あなたには、“そういう” 許可は与えたはずですがねー。」
    慌ただしく机の引き出しを開け閉めして片付けをしながら、主が言う。
     
    「プライベートだろうが何だろうが、私に関する領域で
     リオンに許されて、あなたに許されない事はないんですよー?
     次期主という自覚を、もうちょっと持ってくださいねー。」
     
    パアッと顔が明るくなるグリスに、少しウンザリした様子で
    主が釘を刺すように言った。
     
    「あ、ただし、ゲームと駄菓子は成人するまで禁止ですー。
     そんなんやっとったら、ロクでもねえ人間にしかなりませんからー。
     これが守れなかったら、私のプライベートには出禁ですよー。
     何せ私は、ロクでもねえ大人なんでねー。」
     
     
    「わかりました。
     大丈夫です。 ぼくの興味は別のところにありますので。」
    グリスのこの返事の意味を、主は突っ込まなかった。
     
    気にならないのか、それともあえて流したのか
    主の気持ちが気になってしょうがないグリスであったが
    さすが天才児、主の性格を的確に分析していた。
     
    このお方は、多分何も気になさってはいない。
    こういう、試すような回りくどいやり方は、このお方には通じない。
    反応が欲しかったら、ストレートに訊くべきなんだ。
     
    そうわかっていながら、グリスが主の愛を直接確かめる事をしなかったのは
    主がおそらくするであろう、何じゃー? そりゃあー という
    身も蓋もない反応が恐かったせいであった。
     
     
    主様はドライなとこがおありになるから・・・
    グリスは次期主である事以外の自分の価値に、自信がなかった。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 7 11.11.16 
           かげふみ 9 11.11.22 
           
           かげふみ 1 11.10.27 
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           小説・目次 

  • HABA クレンジングオイル

    キレイな肌を保つために、なるべく顔を洗いたくない私は
    日焼け止めを落とすクレンジング探しに腐心していた。
     
    サッと軽くの動きでキッチリ落とすには、オイルクレンジングである。
    その後、石鹸を泡立てて肌に乗せるだけにして洗い流す。
     
    これでも肌の潤いは落ちるんだよ・・・。
    それはしょうがないのか、米ぬかとかを試して
    試行錯誤をしていたところ
    もう、ダブル洗顔がいらないタイプにしよう、と。
     
    ダブル洗顔、もしくはダブルクレンジングとは
    2度洗いではなく2種洗い。
    クレンジング剤で洗い流し、その後石鹸等で
    皮膚に残ったクレンジング剤を落とす方法。
     
     
    日本人は風呂に入るんだし、異常が起こらなければ
    そんなにキッチリ洗い流さずとも良いんじゃないか?
    と思い、ダブル洗顔不要のタイプのクレンジングをあれこれ試してみた。
     
    正直、手頃な値段 (私的には100ml以上で2000円台まで) で
    気軽に入手できるものには、あまり良いのはない。
    というのも、洗い上がりがヌルヌルなんだ。
     
    もしこれでニキビ等が出来なくても
    ものすごく不愉快なんだよ。
     
    洗浄にはストレス解消の役目もあるというのに
    洗い上がりにイライラしていたら意味がない。
     
     
    この、“試してみたあれこれ” を写真に撮って
    ・・・いや、せめて商品名ぐらい覚えておくべきなのに
    ここで皆様にお詫びします。
     
    実は私は、“ブログにレポを載せる” という事を
    普段まったく考えずに生活をしております。
     
    記事内では、ブログでレポートするために
    えらい色々実験しているかのように言っておりますが
    実は単に、こねくり回して、あーしてこーして
    と、ヘンな使用法を工夫するのが好きなだけで
    記事に書くのは、“それを思い出したから” というタイミングだからです。
     
    なので、時期がズレたり、画像がなかったりするのはしょうがない事!
    いかにも皆様のためであるかのように
    恩着せがましく情報提供をしているのは、人間性!
     
    そういう態度なので、肝心な時に
    写真がなーい、値段がわからなーい、商品名を覚えてなーい
    と、いう事が度々起こるわけです。
    ほんとすみませんほんとすみません
     
     
    でもさ、その “試してみたあれこれ” のメーカーは
    私に感謝すべきだぞ。
    私の記憶力が良ければ、ボロカスに言ってたもん。
     
    おめえら、“洗い流す”“1品で済む” の意味、わかってる?
    売る前にちゃんと自分で使ってみた?
     
    まあ感覚の違いもあるだろうけど
    100歩譲って評価しても、女性じゃないだろ?
    あんな商品を作るなんてさ。
    ほんと、よからぬヤツらに献金しちゃった気分だよ。
     
     
    ちなみに、オイルクレンジングは最初は
    “ダブル洗顔がいらないクレンジング” として発売されたんだ。
     
    値段帯が、私の身分じゃ無理なので
    今回は候補にも入れられなかったけど
    元祖は、シュウ・ウエムラ。
     
    乳化させる方式だからこそ、ダブル洗顔が必要ないのに
    今のオイルクレンジングのほとんどは
    「石鹸で洗い流せ」 と言ってて、それじゃ邪道だよなあ。
     
     
    で、辿り着いたのがHABA。
    ハーバー と読む。
     
    ここ、1品だけで済むと言ってたのが
    どんどん種類が増える、というよくある展開をしたんで
    うさんくさい自然派化粧品メーカーだと思ってたけど
    クレンジングの洗い上がりが、比較的サッパリと落とせるんだよ。
     
    えーと、プラチナ何とかシリーズのクレンジングも合わせて
    ここのは3種類使ったけど、オイルクレンジングとしては
    プラチナも安い方のオイルクレンジングも、どっちでも良い。
     
    今使っているのは、3個目ぐらいの
    HABA スクワクレンジング 120ml 2310円
     
     
     
    オイルだから、やっぱり多少のヌルつきは残るものの
    風呂に入る直前に使うのなら、すっげえサッパリする。
     
    でもな、これ、カルシウム臭いんだよ・・・。
    昔、結婚時代に “カルシウム原液” みたいな健康飲料があってさ
    魚嫌いの元夫が、「魚の匂いがする!」 と毛嫌いしてたんで
    魚ってカルシウムの匂いなのかも知れない。
     
    サメのスクワランだから、魚臭いのは当然かもだけど
    魚臭いクレンジング・・・、苦手な人もいるかも。
    まあ、そんなにキツい匂いじゃないけど。
     
     
    んで、それよりヌルつかないのが
    次に控えている、これは確か2回目のリピ買いかな。
     
    HABA ミクロフォースクレンジング 120ml 2100円
     
     
     
    私はこの商品以上にスッキリ洗い流せるクレンジングを知らない。
    オイルじゃなくて、ジェル状なんで
    ナチュラルなイメージがなさすぎて、ちゅうちょしたけど
    日焼け止めがガッツリと “科学の子” なんで
    クレンジングも同様のパワーじゃないと、落とせないんだ。
     
    いや、ホホバやオリーブオイルでクレンジング、もしたよ。
    だけど不器用な私には、あのユースキンAを思い出す
    (関連記事: ユースキンA 10.10.28
    しつこい芸風のベタベタ感に太刀打ち出来ず
    植物オイルとも相性が悪く、天然オイルでのクレンジングは断念。
     
    てか、ユースキンAも、いつまでも言われ続けて
    私の方が、よっぽどしつこい芸風だよな。 
     
    普段は顔も水洗いしかしないくせに
    クレンジング剤の洗い上がりにスッキリ感を求めるのは
    何か間違ってる気もせんでもないけど
    クレンジング後のヌルヌル、耐えられるか?
     
    自分の皮脂のヌルヌルや、お手入れのベタベタは容認できても
    洗剤系のヌルヌルだけは嫌じゃないか?
     
     
    そう思う人は、この青い方の
    HABA ミクロフォースクレンジング を試してみい。
     
    んで、ダブル洗顔不要で、安物で、簡単に入手できて
    これよりスッキリと洗い流せるクレンジングがあったら
    ぜひ私に教えてください!
     
    おめえが教えに来てくれるその日まで
    私はこの、ミクロフォースを使うよ。
     
     
    ミクロフォースは、下の記事でアフィったので
    今回は魚臭い方をレビューするよー。
     
    関連記事: 美容法の変遷 11.6.30
     
     
     

    評価:

    ハーバー


    ¥ 2,310

    コメント:ダブル洗顔不要のクレンジング。 オイルクレンジングにしては、スッキリ洗い上がるんで良い! けど、微かにカルシウム臭い。 サメはカルシウムの香りなのか、と驚かされる1品に仕上がっております。 メイク落ちは、日焼け止めも普通に落ちるんで支障なし。 てか、お勧めだよ? マジで。 

  • かげふみ 7

    グリスがノックをすると、どうぞ の声がした。
    部屋の中に入ると、主がデスクに座ってこっちを見ていた。
     
    「ああー、何だー、あなたでしたかー。」
    主が途端に緊張を解いて、椅子の背もたれにギギッともたれる。
    「私の部屋に入る時、あなたはノックしなくて良いですよー。
     いちいち身構えるのは疲れるんですよねー。」
     
    「いきなり入ってよろしいんですか?」
    「うんー。 あなたには隠す事は何もないですしねー。
     私の豹変ぶりも勉強してくださいねー。」
    主は書類を見つつ、ボールペンで鼻をほじりながら言った。
    えらい態度の変わりようである。
     
    「ただし、私のこういう言動は他言しないようにー。」
    「はい、それはわかっております。」
    「んなら、オッケー。
     後は自由にしといてくださいー。」
     
     
    自由にしろと言われて、手持ち無沙汰になったグリスは
    主の後ろに来て、質問した。
    「今、何をなさっているんですか?」
    その質問に、主は面倒くさそうに答えた。
     
    「あー、その質問は禁止ー。
     いちいち、“何をしてるか” なんか訊かないでくださいー。
     具体的な質問や提案なんかには答えるけど
     そういう漠然とした質問は、うっとうしいんですよー。
     机の上の書類を勝手に見て判断してくださいー。
     私の周囲の全ての物を自由に見て良いからー。」
     
    「はあ・・・。」
    コツが掴めず、オドオドするグリス。
     
     
    ノックの音がした途端、椅子にダラーッともたれ掛かっていた主が
    シャキッと座り直し、どうぞと返事をする。
    その切り替えに驚くグリスをよそに、入って来たのは事務服の人だった。
     
    書類を前にいくらかのやり取りをした後
    事務服の人は部屋を出て行った。
     
     
    「うーーーーーん・・・・・」
    主が書類を見ながらうなる。
    もちろん、どうかしたんですか? とは訊けない。
     
    パソコンをしばらくいじくっていた主が、グリスに声を掛けた。
    「ちょっとこれを見てくださいー。」
    はいと返事をして主の側に行く。
     
    「これは食堂の壁紙のサンプルなんだけど
     あなたはこっちとこっち、どっちが良いと思いますかー?」
    「えーと、こっちです。」
    「あ、そうー。」
     
    黙り込んだ主だったが、数十秒後に再び訊いた。
    「あなたが選んだのどっちでしたっけー?」
    「こっちです。」
    「こっちをあなたは選んだのー?」
    「はい。」
     
    主はフフッと笑って、言った。
    「あなたは “選んだ” つもりでしょうー?
     でも違うんですよー。」
    主はパソコンのモニターをグリスに示した。
     
     
    「この壁紙の柄は、実はこんだけあるんですよー。」
    モニターには数百種類の柄が並んでいた。
     
    「この中から、“私” が 良いな、と思ったやつを
     4種類ピックアップして、皆に選ばせるんですー。
     すると皆は、自分たちが選んだ気になるけど
     実はその前に既に私が、その4種類を選んでるわけー。」
     
    グリスが はあ・・・、とあいまいに返事をする。
    「私の差し出した中から、人は “選ぶ”。
     それは “不自由な選択” なんですー。
     これとこれ、どっちが良い? ってのはねー。
     何の作為もないゼロからの選択ではないー。
     つまり私に選択権をコントロールされているんですよねー。」
     
    「ああ、なるほど。」
    グリスが感嘆すると、主がニヤッと笑った。
    「これが、“私” の仕事なんですよー。」
     
     
    マウスを連打しながら、主が言う。
    「私を見て “学ぶ” ってのは、こういう事なんですー。
     あなたにはまだ早くないか? と思うんですけどねー。」
    グリスはきっぱりと言い切った。
    「いえ、大丈夫です。」
     
    「んー、そうですかー・・・。」
    主は再び無言になって、パソコン画面に見入った。
    そっと斜め後ろから確認すると、ニンテンドー公式サイトだった。
     
     
     続く 
     
     
    関連記事 : かげふみ 6 11.11.14 
           かげふみ 8 11.11.18 
           
           かげふみ 1 11.10.27 
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  • いらないサプライズ

    「喜ばない」  と責められた事が数度ある。
    全部、元彼にである。
     
    それもそうだろう。
    友人知人レベルでは、この指摘はしにくい。
    現に言われた後に、ケンカになった事もある。
     
     
    イベントだのサプライズだの、女は面倒くさい
    というのが世の常識だが
    私から言わせると、男性の方がよっぽどメルヘン脳である。
    誘い受けもひどい。
     
    プレゼントを渡す直前になって、「○○系って好き?」 と訊く。
    そしてそこで、悲劇にもって行くのが私である。
     
    例えば、「ネックレスとか、何でいつもしてないの?」
    「嫌いだから。」「え・・・。」
     
    はあ・・・・・
    その後に渡された箱のラッピングをほどいたら
    当然入っているのはネックレス、と思うだろ?
    だがペンダントだったのは、素人男性だから突っ込まない。
    けど、
     
    私 は 喜 ば な き ゃ な ら ん の か ?
     
     
    そりゃ喜ばにゃならんだろうな。
    でもな、私にも言い分はあるぞ。
    まず私の嗜好を、せめて好きなものぐらいはリサーチせえ!
     
    どの世界で一般的に外れがない贈り物になってるのか知らんが
    花、ぬいぐるみ、人形、アクセサリー
    私は大大大っっっ嫌いなんだよ!!!
     
    化粧品を贈っておきゃ間違いないんで
    簡単だと思うんだが、それだと面白くないんだと。
    自分が “サプライズ” じゃないんだと。
     
     
    その自己満足を理解してあげるのも、“付き合い” だよな。
    うん、そんぐらいわかる年頃になってきたんで
    波風を立てないようにはしているつもりだが
     
    そ れ を 買 う 金 を そ の ま ま く れ
     
    これが世の人々、老若男女の総意だよな?
    本音はこれだよな?
    そんな、自分の好みドンピシャのサプライズって
    一生に数度ぐらいのレベルの奇跡だよな?
     
     
    さて、何をイラ付いているのか、というと、別に何もない。
    ただ、つい最近、「喜んでいる時って、そうなんだー?」
    と言われて、昔の事を思い出しただけなんだ。
     
    私にプレゼントをして、それが本当に嬉しくても
    「うわあ、ありがとうーーー!!!」 と、はしゃぐのは
    私の素の表現ではない。
     
    グヘッとニタリ笑いをするだけ。
    でもよく観察していると、事ある毎にそれの方向を見ている。
    これが私の自然体での、最大級の喜びの表現なのである。
    気色悪い事この上ないが、私はテンションが低い人間なのだ。
     
    だけど、こういう態度ではあまりに失礼なので
    感謝の気持ちとともに、うわあ、ありがとうーーー! と
    大げさに喜びを表現しているけど
    わざとらしくないか、とってもヒヤヒヤする。
     
     
    嬉しいんだけど、表現は相手に合わせて無理をするのが疲れる。
    私って人格障害かも、とか思いつつも
    何とか社会で浮かないように、努めてきたつもりだったが
    「喜んでいる時って、そうなんだー?」 と言われて
    えっ? 全バレしてた? と、愕然とした。
     
    どうも、満面の作り笑顔の 「ありがとうーーー!」 の後に
    数秒して、ニタッと笑うか笑わないかで
    喜んでいるいないの判別をされたようである。
     
     
    ・・・笑ってたか・・・。
    良く言えば、正直っちゃあ正直なんだけど
    心情ダダ漏れは困るよな。
    そんで世間の人って、観察眼が鋭すぎるよな。
     
    にしても、数秒後の笑み・・・。
    そこに注目するなんて、凄すぎ!
     
     
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    評価:

    LA CHERE


    ¥ 680

    コメント:私の人生に、これほどいらない物を初めて見た!!! 私にこれをくれる人がいたら、その勇気に逆に尊敬してしまうかも知れない。 その後、最大の敬意をはらって全力で攻撃させてもらうがな。 ・・・にしても、こいつの存在、ほんと奇跡と言っても過言じゃないぜ。 何に必&

  • かげふみ 6

    「勉強を頑張ったようですね。
     10歳でハイスクールの課程まで終わらせるとは凄い事です。
     それで今後の学業の方針を話し合いたいのですが、希望はありますか?
     学校に通って、同じ歳の子たちと友達になるのも良いと思いますよ。」
     
    2度目の長老会会議室には、ほぼ全員のメンバーが揃った。
    ジジイも主もリオンもいる。
    テーブルの端に座らされたグリスは、緊張しながらもはっきりと答えた。
     
    「勉強の方は、少しペースを落として
     教養の一環として、先に進んでいきたいと思っています。
     学校は、相応の年齢になってからの大学進学を考えています。
     私の役目は主様の跡を継ぐ事なので
     主様のお側で、館の事を重点的に学んでいきたいのです。」
     
     
    おおーっ、と、どよめきが起こった。
    何てしっかりした子なんだ これなら安心だ の声が上がる。
     
    「いやあ、この主が連れてきたから心配しとったが
     こんなに利発な子だったとは、良かったですなあ。」
    太っちょ紳士の言葉に、主が格好をつけてフッと笑う。
    「天才は天才を呼ぶものですよー。」
     
    「天災もどきが何を言う!」
    「そもそも、きみは教育に関わってないだろう。」
    「今後も頼むから、なるべく大人しくしとってくれ。」
    四方八方からの罵倒にも関わらず、主は涼しげに茶をすすっている。
    その貫禄ある姿に、グリスは見とれてしまう。
     
     
    「では、次期主様と話し合ったこれからの方針ですが・・・。」
    リリーが事務的に資料を読み上げる。
    「学業の方は、週2回の一般教養と、週1回の専門教育
     運動はこれまで通り毎日
     新しく加わるのが、元主様による “館講座” で
     館の歴史などを知ってもらう目的です。
     その他の時間は自由時間とし、住人たちと触れ合うも
     主様のお仕事を観察するも、ご本人の自由といたします。」
     
    「うむ、それで良いでしょう。」
    メンバーたちは納得したが、主から異議が出た。
    「ちょっと待ってくださいー。」
     
    「何だね? 何か不都合でもあるかね。」
    「はいー。
     あまりにも出来すぎな子ですので、歓迎されているようですが
     次期主になる事の真の意味を、皆さんにも本人にも
     もう一度よく考えてもらいたいのですー。」
     
     
    主はグリスの方を向いて、問いかけた。
    「主になるという事は、館のために人生を捧げる事なのですー。
     己を捨てなければなりませんー。
     あなたにその覚悟があるのですか-?」
     
    「ちょっと待ってくれ、きみがいつ己を捨てたかね?」
    メンバーのひとりが、容赦ない突っ込みを入れた。
    「はあー? 私、すんげえ自分を捨ててるじゃないですかー!」
     
    メンバーたちから、再び口々に非難が殺到する。
    「あれでかね!」
    「わしたちには言いたい放題じゃないか。」
    「ちょっと言えば3倍にして返すくせに。」
     
    主がいきりたつ。
    「アホかー!
     館じゃ四六時中、善人ヅラしてるのに
     ここでまでそんなんやっとられんわー。」
     
    「館じゃ本当に立派にやってるのかね?」
    メンバーがリリーに訊ねる。
    「え・・・、まあ、“主様モード” というのはあるようですが
     ご本人がおっしゃるほどの態度の違いはないですね。」
     
    「ええええええええーーーーー?」
    「ほら見ろ、きみは常にきみなんだよ!」
     
     
    うぐぐ、と言葉を詰まらせる主を見て、グリスがふふっと笑った。
    キッと睨む主に、慌てて謝る。
    「あっ・・・、すみません。
     主様は本当に皆様に愛されていらっしゃるんだなあ
     と思って、つい・・・。」
     
    その言葉に、その場にいた全員が異論を唱えた。
    「冗談じゃない!」
    「今のは主に注意をしていただけなんだよ。」
    「こんな凶暴な女は願い下げだ。」
    「我々は職務としてやっているだけなんです。」
     
    「ちょっとー・・・、今どさくさにまぎれて
     誹謗中傷をしたヤツがいませんでしたかー?」
    主が目ざとく追求すると、メンバーの全員が四方に目を逸らした。
     
    クスクスとグリスが笑う。
    「ほら、やっぱり愛されていらっしゃるじゃないですか。
     大人の世界では、言いたい事を言い合えるのは
     本当に信頼し合った仲じゃないと出来ない、と習いました。
     皆様は主様を信頼していらっしゃるんだと、お見受けします。
     さすが主様、私の誇りです。」
     
    全員が呆然とする。
    「言いたい事を言ってるのは、主だけだと思うが・・・。」
    「私らは言いたい事の半分も言わせてもらえていないんですがねえ。」
     
     
    「・・・にしても、彼の崇拝ぶりは凄いですね。」
    「こんな少年まで毒牙にかけるとは・・・。」
    同情の目をグリスに向けるメンバーに、主が溜め息をつく。
     
    「いや、私だってまさかこんなになるとは思っていなかったですよー。
     ほんと、この子のこの盲信には参っているんですよー。」
    「え・・・、ぼくがお慕いするのは、主様に迷惑なんですか?」
     
    泣きそうな顔をして訊くグリスを見もせずに、主が答える。
    「だって好いてくれてる人の期待は裏切りにくいでしょうー?
     良い人ぶらなきゃいけなくなって、すんげえ疲れるじゃんー
     面倒なんですよねー。」
     
    その言葉をメンバーが注意する。
    「その言い草はあんまりじゃないかね?
     言いたい事はわかるが、相手はまだ子供なんだよ。
     大人として、もうちょっと考えて発言すべきだろう。」
     
    「この子は私の跡継ぎ候補なんですよー。
     良い事も悪い事も知っておいてこその、尻拭い要員でしょうー?
     だから、この子にだけはウソやキレイ事は言いませんー。」
     
    「そ、そういう教育は、どうかと・・・。」
    戸惑うメンバーに、グリスが答えた。
    「皆様のご心配には、感謝いたします。
     ですが、ぼくの人生は主様に与えて貰ったものです。
     ですから、主様のすべてを受けとる覚悟をしております。
     主様がどんなお方でも、ぼくの尊敬に揺らぎはありません。」
     
     
    無言になったメンバーの心情を、主が代弁した。
    「ほんと、すいませんー。
     ある種のモンスターを作っちゃいましたー。 あははー。」
     
    はあーーー・・・、と頭を抱えるメンバーであった。
     
     
     続く
     
     
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